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お題
開催期間 2005/05/07~2005/05/17
参加作品数 30
審査員 4人
本スレ 14の382-474?
議論スレ 10の75-229


【チャンプ】

【準チャンプ】

作品一覧


No. タイトル 作者 点数
384-388 トレイン・シネマ - -
389-390 列車は走っている - -
391-392 何もない駅 - -
393 ひきにくのうた - -
394 「三角定規駅」 - 1
395 かたすみ - 2
396-398 家出 - 1
399 コズミックラプソディー - -
400-401 靴のある風景 MUJINA 2
402-403 発つ時 - 2
404 誰しも待つ。電車、或いは他の現象を - -
405 - -
406-407 茶色いホームにて - -
408-409 世界の果て ゼッケン 5
410 無人駅 - -
411-412 サルベージステーション - -
413 「新大阪」 抑揚 1
414-418 人生(いきる) - -
419 ハタチ新宿スティション - 1
420-422 光りに満ちた自由へのレール - -
423 駅漏れ - -
424 明治の唄 - -
425-426 ぐるんぐるん - 1
427 誕生日 - 1
428 待ち合わせ 葉土 3
429-430 「灯台のある岬をめぐる」駅にて  Canopus 1
431-433 車窓 大木人 1
434 プラットホームにて - -
435,438 - -
436-437 乳色の鞠も 鳴りだした - -

【審査員】
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.
  • ゼッケン ◆ZKKEnLZjOY
  • シオン ◆poetsyov/2
  • 葉土 ◆Rain/1Ex.w

【採点レス】

447 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/17(火) 01:38:03 ID:vp+2FgX3
2点
>>408-409 『世界の果て』
>>428 『待ち合わせ』

1点
>>394 『三角定規駅』
>>402-403 『発つ時』
>>425-426 『ぐるんぐるん』
>>427 『誕生日』
>>431-433 『車窓』

448 名前:ゼッケン ◆ZKKEnLZjOY 投稿日:2005/05/17(火) 19:24:04 ID:LEUo66pj
>396-398 家出
これに1点。

450 名前:シオン ◆poetsyov/2 投稿日:2005/05/17(火) 23:50:54 ID:eRAQWitQ
1点 >>419 ハタチ新宿スティション
1点 >>428 待ち合わせ
1点 >>413 「新大阪」

460 名前:葉土@携帯 投稿日:2005/05/19(木) 07:37:30 ID:3miHdaAt
3点
>408 世界の果て

2点
>395 かたすみ
>400 靴のある風景

1点
>402 発つ時
>429 灯台のある岬をめぐる 駅にて

ごめんなさいです。トリップは後ほど補完します。

461 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w 投稿日:2005/05/19(木) 08:44:21 ID:RIYv7zyd
審査延長のお願い申し訳ありませんでした。トリップの補完です。(>>460のサイテン分)


作品





トレイン・シネマ



車はガタゴト、思ったタワゴト、学生ママゴト、縮図のタマモノ。
車は車であっても、自家用車ではない。
そこらへんの認識は家庭教師は過程教師ではないという認識に似てる。
若干の苛立ちを隠せない僕。車が来るまで待つとしよう。

  全くマナーという言葉の定義というものを君たちは心得ているのだろうか。
  なんと不謹慎な、不謹慎な事この上ないほどマナーがない。
  自分の車も持っているけど僕の距離で210円の車のほうが僕は好きだ。

さて、僕と多数のためのハイヤーがやってきた。
看板の景色を抜けるとそこには雪国がひろがってもいい。脳味噌の自由は素晴らしい。
そんなブレインストレッチをココロで叫ぶと車内がやってくる、僕は俺になる。
頭の中に飼っていたオオカミの鎖をひきちぎり、血肉したたる牙を魅せる。

  よし、準備は万全だ。電車の中にいる木偶の坊たちをどうしてやろう。
  耳からケーブルの飛び出ていうる音の魔術師。
  天にむかった頭髪が気に入らない、殺す。


俺の頭のオオカミが魔術師の喉笛に噛みついた。
喉を噛み切ったら血が噴き出た。オオカミの銀毛を赤が染める。
ぬらぬらと光る銀、ぬめぬめと輝く朱。
鮮血という形容が相応しい液体を喜んで俺は眺める。

  さて、まずは一人、俺は忙しいから二回目のストップで逃亡しなきゃいけない。
  そんな思考を巡らせていると背広を着込んだワシが粘着物を啄んでいる。
  纏った負のオーラが気に入らない、殺す。

オオカミに指示を与える。魔術師の死肉を貪っている。
そんな下卑た輩は口にしてはいけない、オオカミをはたいた。
オオカミは手を出されるとワシに猛った。思いっきり躍動して頭部に噛り付く。
ワインみたいな汁が出た。臭い、不愉快な気持ちになりながらももう一人の制圧に嬉しくなった。

  ふぅ、もう一人、時間からみてもう一人を殺傷するのが関の山だ。
  俺のオオカミも息をあげているフラストレーション発散も疲れるのだろう。
  俺はオオカミに鎖にもうすぐつながれてしまうぞ、と煽った、オオカミは奮起した気がする。


オオカミは一人の少女ににじり寄っていた。俺はなんとなく嫌な予感がした。
あぁ、少女が食い散らかされてしまう。と思考がジャンプしたが、
みてみたい欲求にかられた。どんだけ悲痛な声をあげて、どれだけ怯えて恐怖の波を泳ぐのだろう。
そんな俺の矮小な欲求がオオカミの静止を静思した。

  少女は毅然な態度だった。左手を噛みつかれても微動だにせず、
  俺の存在に気付き俺を見据え俺に微笑みかけた。
  泣いていた、オオカミも涙を流して、自分の逃亡スポットにたどりついた時、
  俺は涙が止まらなかった。涙の川を俺が泳いだ。


逃亡スポットのアラームが車の中で木霊していた。
いたたまれない気持ちがしたのでオオカミを残して扉をくぐった。
オオカミは少女の膝元に身をふしてひたすら泣いていた、そして目をつむり眠ったようだ。
僕はその光景を、半身いれた車内の光景を、異世界の世界の出来事と自分を慰めた。

  少女は、否、彼女は強い女性だったのだろうと、自分を恥じた。
  僕は一人の少女に負けたのだ。涙の川は何度も反乱して、
  僕というエジプト人を陸地に何度も叩きつけた。
  涙を泳ぎきった自分を、夢と思って忘れようとした。
  僕の飼っていたオオカミは彼女の膝元でまだ眠っているだろう。


僕にはもうオオカミがいない。


384-388 名前:トレイン・シネマ ◆qE7CezEczo 投稿日:2005/05/08(日) 19:55:20 ID:hQAo6LVW


【コメント】

441 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/15(日) 01:12:09 ID:J2CMTuKT
>>384-388 歪んだ正義感を持った異能者か、と思って読んでいたら、3/5あ
たりから、普通の人になってしまうんですね。少女の微笑みに打ち負かされる
下りは、何だか若さを感じたな。

98 名前:葉土@遅くなってごめん [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 07:04:22 ID:RIYv7zyd
>384 トレイン・シネマ 
もしかして、トリップ消し忘れでないかと思うのだけども、次回から気をつけてくだされ。。
冒頭の一行がすごくいいんだけど、あとが、、、つかみの部分が説明くさくて、
本題の狼(イドのばけものだね)の蛮行とうまくマッチしてこない。
ストレス解消チックな脳内暴力の果てはマドンナ幻想に終わる。



【得点】 0点





列車は走っている



窓の外を見上げると高い空があって その下に白い雲があって
またその下に灰色のビルがあって その調度真上に 若い女が立って
唾を飲み込んだ時には 僕の目線の高さにいて
瞬間 目線が合わさったような気がして はじけたような気がして
僕は電車に揺られているような気がしていたけれど
その女が 僕の顔を見て ニマリと笑ったことは 覆せない確かなので
負けちゃいない 負けちゃいないと 呟いた

人ゴミの中で みんな何も言わずに
無表情に 上か 下か 左か 右か 女のうなじを見ていて
何も言わずにいて 触れ合わない 角度にいて 何も言わずに触れ合わずに
痴漢に間違われないように 右手を上げたり 左手を上げたり
しているので とても嬉しい 人生の中でこの時間だけ 僕は皆と一体になれる
嬉しい

手を振る 手を 追いかけてくる少年に手を振る
泣きじゃくる少年はそれでも追いかける
死んだか そうか 誰が死んだか そうか 追いかけるのやめないか そうか
そろそろ崖に落ちるよ そうか 聞こえているか そうか
やめないのか そうか 本当やめないのか そうか
そうだ いつもそうだ ここで少年は諦める
この真っ赤に染まった川に見とれ 少年は立ち尽くす そうだ
そうだった 仕方ないことだった 諦めなければいけないことだった
僕だっていつか そうか 

電車は駅を目指して 車掌は駅を目指して 皆は駅を目指して
列車は走っている
僕は電車でも車掌でも皆でもない
列車は走っている
別れの時を待ってる シャバの空気を吸うのを待ってる 騒然とした街の声を聞いている
僕はもうだめだ 一人 また一人と 途中下車をして ついには本当に一人になる
その時に僕は何を思って悲しもうか それだけを考えている
列車が駅に止まらない内に じっと黙って考えている
窓の外が 真っ白に濁ってゆく
列車は走っている


389-390 名前:列車は走っている 投稿日:2005/05/09(月) 01:29:53 ID:wQzUk8Kt


【コメント】

441 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/15(日) 01:12:09 ID:J2CMTuKT
>>389-390 饒舌さが、うまく言い表せないようなもどかしい思いを、的確に
表現できてると思います。惜しい所としては、ひとつの連にひとつの感情、て
な具合に区分けしちゃってるとこがあって、それがこの詩の魅力を減らしてし
まってるかも。

98 名前:葉土@遅くなってごめん [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 07:04:22 ID:RIYv7zyd
>389 列車は走っている
1/2 と 2/2 がかなり違うテーマなんだね。
これも冒頭の女との視線の絡みの部分はすごくいい。1連、2連目は同じ列車に乗る
奇妙な同属意識のようなものの安心感。

3,4連目は打って変わって、夢を諦める現代人の姿と、夢を諦めきれない自分。
であるのに皆と同じでなく、(しかし皆と同じく)列車に乗ってしまっている。
ここで、一人また一人と列車を降りていくという描写が矛盾してないんだろうか?
と読みながら頭を捻ってしまった。。。列車が夢の象徴であるならば、1,2連目の
どこか冷めた同乗者との連帯は変だし、、、(てか自分だけは違うと言っているんだが)
うーーん。。。


【得点】 0点





何もない駅



荒れ果てた田の真ん中に建つ駅を
利用するのは蛙たちばかりではない
線路のないその駅に
降り立つ人間だっている

僕は卵からオタマジャクシになって
金色のスーツを着たウルトラマンになって
今ここまで来た
九州の遥か南を発って
この街の駅に立ち雪山を眺めている
スワッチと毎日叫びながら
生きている
生きていたら
いろんなことがある
なんて物語みたいじゃないよな現実は
なんて気分に苛まれながらも
本当は結構いろんなことがあるもので

駅状化現象を起こした現実の中で
僕は電車を乗り継いできた
車窓の風景は退屈ばかり流れていたけれど
結構いろんな葉っぱや
いろんな土地や
いろんな人や
いろんな卵


スワッチと今日も叫んでから
雪山を臨む駅の
東口へと歩いていた足を北に向ければ
白い壁に行き止まる
見えない取っ手を探し出し
白い扉を開いたら
一面の荒れ果てた田に出る

どこの駅にもその扉はあって
取っ手を見出そうとするなら
いつでも不毛の田に出ることはできる

いつでも
そこが僕の本当の駅

ここからは電車は
どこにも行かない


           (了)


391-392 名前:何もない駅 投稿日:2005/05/10(火) 18:17:18 ID:uZqoiA7U


【コメント】

441 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/15(日) 01:12:09 ID:J2CMTuKT
>>391-392 廃線の駅、しかも北国。この詩は、それにありがちな、安易なセ
ンチメンタリズムやノスタルジーを脱したことに価値がありますね。過去も思
いながら未来を見据えようとする姿勢に好感。それだけに最終の「電車は/ど
こにも行かない」は引っかかった。安住なのか、停滞なのか。

98 名前:葉土@遅くなってごめん [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 07:04:22 ID:RIYv7zyd
>391 何もない駅
この荒れ果てた駅は何なんだろうかとぼんやりと考えていました。
郷愁の念なんかもしれないですね。いろいろあったけど、ルーツはそこなんだろうと
思います。がんばれウルトラマン。

110 名前:39 [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 11:22:41 ID:43VSeBCA
本スレ391-392 何もない駅

詩を作るより田を作れ、とはよくいわれるが、
それならば荒れ果てた田とは、人間社会にとっては何の意味もない田、なのか。
そんな田の中に建つこの駅は、何も「意味の」ない駅なのだ、と読んだ。
駅状化した現実という言葉かおもしろい。
確かに私たちは誕生から幼稚園、小学校→社会へと、
次々と駅を乗り継いで生きている。
社会へ出てからもさまざまな駅がある。結婚、出産、マイホーム・・・
そんな賑やかな駅の裏には、前述の何も意味のない駅が、いつでもひっそりとある。
それは人間社会に敷かれたレールから切り離された、どこへも行かない駅だ。
実存主義でいう「本来的な自己」がそこにある。
駅状化した現実の中でスワッチと生きる虚構のような主人公と
本来的な何も意味のない駅とが出会うところに空気のアンバランス感覚が生まれる。
それがおもしろいのだが、しかし具体的に描かれているというよりは
言葉が説明のための道具になってしまっているため、
対比の効果が薄まり、アンバランス感覚が弱くなってしまっている。それが残念だ。



【得点】 0点





ひきにくのうた



ラブ ラブ ステーション フォーエバー
イブ イブ ステーション フォー レバー
恋をしたの 恋をしたのよ 地下道で
あなたの目 あなたの手 あなたのレバー

フゥ フゥフフ
うさぎの目
イブイブしちゃうの
枯木の手
なによりその心臓
唇に脈打たせちゃって

照れ隠しだと思うのかしら
ウフ ウフウウ
レバーはナイショ

秘密のかき氷
アタマドキーン鳴らして
アパパン パン
アパパン パン
撃つぞコノヤロー

鉄筋の高い屋根
赤いレーザービームで撃ち抜いちゃってもいい

だってここは出会い系の場所だもんっ

ラブ ラブ ステーション フォーエバー
アハ アハ ステーション フォーr

アォハッ アゥッアゥゥッ


393 名前:ひきにくのうた 投稿日:2005/05/11(水) 16:34:40 ID:Mj5AXQcP


【コメント】

441 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/15(日) 01:12:09 ID:J2CMTuKT
>>393 うおー。あるサイトを駅に見立てて、不特定多数とすれ違っていく、
その一例の描写、かな。駅でもたくさんの人とすれ違うからね、上手い暗喩だ
よね。ことばが楽しい。でもなぜか、ドキッとまではしなかった。

99 名前:葉土@ごめんなさい [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 07:05:11 ID:RIYv7zyd
>393 ひきにくのうた
これ好きですねい。こういうの出せるっていうの詩板ならではですよーーー。
レバーがいい。
 >撃ち抜いちゃってもいい
ってとこちょっとひっかかりました。妙な躊躇いを感じます。
もっちっとドラマがほしいかな?ちょっと物足りなさがあります。



【得点】 0点





「三角定規駅」



観光に向かないような週の真ん中の水曜日に
人ひとりも見当たらない中途半端な時間が襲う
眠れない駅長は次の電車までの長い時間を
あくびでカウントしながらホームの上で待ち続けている

ホームの真ん中にねそべっている古い屋根付の待合場所の
ベージュ色した床の上で一匹の猫が丸くなってる
ときどき向こうの防風林から季節外れの花粉が降ってくるのか
くしゃみに邪魔されながら安眠の時間を待ち続けている

駅舎の板屋根の打ち付けた角度はきっかりと90度に見え
片方だけに長くなったひさしが日よけと雪よけに使われる
屋根の裏側では籠の中から小さな鳥が頭を交互に出しては
抜け道を通ってやってくる餌の匂いと住人を待ち続けている

あくびがここで1つ2つ誰かから伝染したのか
歩き続けてきた旅人がベンチの上で抜けた空を眺めて
次の電車もバスもない時間から寝たり起きたりしては
全ての天気と季節を見てきたような表情を出して次を待ち続ける

空気の流れない駅舎の狭い入口と出口の間で
それでも実は彼の視界の隅でうろうろしながら
ボクはといえば三角定規の真ん中の空間を指にかけて
改札のハサミのように持ち続けてずっと瞬間を待っている

駅前のアスファルトはへこみもしないで雪が降る前のままの高さで
昨日通った軽トラのタイヤの跡だけがカーキ色して残っている
昨日も今日も明日も夏までまだ時間が余るほど余っている
ホームとレールの向こうに立ち並ぶ防風林もそれを待ち続けている


まだ夏の風は来ない


394 名前:「三角定規駅」 投稿日:2005/05/11(水) 23:56:48 ID:8wgldZv3


【コメント】

442 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/15(日) 23:36:13 ID:kqwqUnpe
>>394 駅で過ごす時間の大部分は、列車を待つこと。海辺の駅なんでしょう
か、夏の観光シーズンまでは街ごと眠り続ける点景描写が、味わい深い。ただ
所々に違和感のある描写があって、その違和感が、三角定規の連でピークに達
するんだよね。「違和感」だけで終息させるのは、惜しいような気がする。

99 名前:葉土@ごめんなさい [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 07:05:11 ID:RIYv7zyd
>394 三角定規駅
昔の木造の駅舎って、三角屋根で切り妻が正面向きになってたのあったなああ。
単線で、もしかしてまだ電化してなかったりして、たまにしか列車が来ないような駅。
すごく懐かしいです。
風景は「待ち続けている」で、5連目のぼくだけは「瞬間を待っている」と区別しているのは、
5連目のぼくだけが待つものが違うってことなんだろうか?
連を積み重ねて、最終行、夏の風に焦点化する緊張が少々緩んでしまっている印象を受けました。



【得点】 1点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点





かたすみ



バターの匂いする液
草に垂らして
少しだけ
糸をひく

夕陽の幻燈が
幼い飛蝗たちを糸で繋いで
揺らす

蕩けた鉄の川
二筋ならんで
いつまでも
どこまでも

川底の蒼
そよぐものはもうなくて
動くものたちは草に潜んで
さようなら
またあした

朝の光が
液をみな蒸発させて
白いコンクリートがあらわになると
機関車の舌は牛脂みたいに黄色くて
誰もが目をそむけた

乗客は冷たいジュラルミンの未来に乗り込んでいって


395 名前:かたすみ 投稿日:2005/05/12(木) 13:23:45 ID:68IorQ7G


【コメント】

442 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/15(日) 23:36:13 ID:kqwqUnpe
>>395 妹よ、江戸はさきごろおわったのだ、なんてね。狙いはスルドいと思
います。「駅→液」の語変換の効果は、やや疑問のあるところです。前半の描
写は近い過去と読みましたが、郷愁にどっぷり浸からない微妙さが、上手いと
思いました。

99 名前:葉土@ごめんなさい [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 07:05:11 ID:RIYv7zyd
>395 かたすみ
幻想的に描いた線路。美しさを結晶化したみたいな表現がとてもいい。
 >いつまでも  /  どこまでも
 >さようなら  /  またあした
っていう合いの手がリズムを刻んでいて詩に弾みがついてる。
 >誰もが目をそむけた。
そむけるという語感で、機関車を厭うような印象が入ってしまっていて、詩に毒が混じります。
もし、それを意図してないんなら、まぶしさを表現しておいたほうが良かったような気がする。



【得点】 2点
  • 葉土 ◆Rain/1Ex.w:2点





家出



バターの匂いする液
草に垂らして
少しだけ
糸をひく

夕陽の幻燈が
幼い飛蝗たちを糸で繋いで
揺らす

蕩けた鉄の川
二筋ならんで
いつまでも
どこまでも

川底の蒼
そよぐものはもうなくて
動くものたちは草に潜んで
さようなら
またあした

朝の光が
液をみな蒸発させて
白いコンクリートがあらわになると
機関車の舌は牛脂みたいに黄色くて
誰もが目をそむけた

乗客は冷たいジュラルミンの未来に乗り込んでいって
卵の腐った匂い
そう教えられた硫黄の匂い
卵なんて腐らせた事ないからわからないが
そんな町から列車で私の町へと帰る

山を離れるこの列車の乗客はみんな
家へと帰る奴らだろうか
私はずっと流れる窓の外を見ていた

薄い黄色の田んぼ
どこか寂しそうな森と民家
老いた夫婦が畦道を歩いていた
何を話していただろう
何も話してなかっただろうか
私はただ流れる窓の外を見るだけ

友達同士かなにかの集団は
まるでそれが義務であるかのように
固まって座り
まるでそれが当然であるかのように
談笑を続けた
集団を襲う沈黙が怖いのだ
無理に無理にと話を続ける
一体話に乗り気な奴はいただろうか

誰も降りない 誰も乗らない
寂れた小さな駅でも止まる

どんな小さな駅でも                    
それを通り越すたびに                      私ガ母ヲ怒鳴ッタノデス
この列車はただ闇雲に走ってるのではなく
確かに私の町へと走っているのだと思い知らされる        私ハ家ニ唾ヲ吐イタノデス

憂鬱

                        私ハ嫌ダッタノデス
                         コノ家ガ
                              コノ女ガ
                                   ソフダ コノ町ガ
                           嫌ダッタノデス

ついに列車の中は沈黙が支配した
みんな疲れている 話はそう長くは続かない
やがて窓の外は
だんだんと新しめの家々が増えていく

春を希望の季節と言う
どんな頭が どんな心が そんな事を言わせるのだろう
こんな弱々しい黄色い光は
身を起こすのを億劫にするだけだ
希望とはもっと目も眩むほどの 強い光でなければならない



ああ できることならあの温泉町に一生留まっていたかった


                            私ハモフ帰リタクナカッタ
                               コノママドコカヘイッテシマイタイ
                                  コノママドコカヘ アイツラノ知ラヌドコカヘ


柔らかな光 若干懐かしい街並み 香り
私の家のあるこの町の 駅を
ついに通り過ぎてしまったよ

私はなるべく町を見ぬように
しばらくの間まどろんだ


396-398 名前:家出 投稿日:2005/05/12(木) 13:23:45 ID:68IorQ7G


【コメント】

442 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/15(日) 23:36:13 ID:kqwqUnpe
>>396-398 旧かなが変かな、と思って調べてみたら、やっぱり間違っている
よ…。「ソフダ→サウダ」、「モフ→マウ(モウ)」。ついでに言うと、シマ
イタイはシマヒタイ。内容については、感情が主体で、人間そのものの描写が
不足してるかも。だから、家が町が嫌で、と言われても、ピンとこない。

100 名前:葉土@ごめんなさい [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 07:05:46 ID:RIYv7zyd
>396 家出
温泉の町から私の町へ帰る。帰途なんだろうか?その帰途の中で消極的な
家出が始まっているように見えた。カタカナ交えた独白がなんとも追い詰められたような重苦しさを
重ねている。(旧かなづかいはもちっと慎重に。。かなり気になる)



【得点】 1点
  • ゼッケン ◆ZKKEnLZjOY:1点




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最終更新:2006年10月31日 23:35