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お題
開催期間 07/04/03~07/04/21
参加作品数 21
審査員 6人
本スレ 19の5-88
議論スレ 15の339-360


【チャンプ】

【準チャンプ】

作品一覧


No. タイトル 作者 点数
5 初めてのルネサンス - -
11 乾葬 - 2
17 砂流 - -
19 砂時計 - 2
20 砂葬 やさしいあくま 3
23 寂漠ランチ あぶく 4
24 砂漠の眼病 - -
25 砂上の楼閣 - -
26 砂漠の砂、一粒 - 1
27-28 砂の国 ナナシー -
29 健ちゃんと僕 - 2
30 浮雲 4
31 唇、 - -
32 眠り男 - 1
34 砂風呂 ◆notePDkbPQ -
35 さらさらら cレール 4
36 浜辺の情景 生ハムメロン 1
37 群集 - 2
38-41 砂の詩 快楽童子 2
42 黄砂楼 - -
43 すな - -

【審査員】
  • まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk
  • ◆OPBYKkBBNQ
  • ナナシー ◆zMYfgmhp9w

【採点レス】

55 名前:まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk [] 投稿日:2007/04/14(土) 06:13:19 ID:ZmBzTBdH
採点結果。

>>11  2点
>>19  1点
>>20  2点
>>23  3点
>>26  1点
>>29  2点
>>30  3点
>>32  1点
>>35  1点
>>37  2点

58 名前: ◆OPBYKkBBNQ [] 投稿日:2007/04/16(月) 23:59:43 ID:cc3qF9ir
>>38-41砂の詩:2点
>>35さらさらら:1点

67 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [age] 投稿日:2007/04/19(木) 01:30:55 ID:9AWEr/b8
2点 >>35
1点 >>19 >20 >>23 >>30 >>36

(審査の結果、3人同点で決選投票になりました)

No. タイトル 作者 点数
23 寂漠ランチ - 8
30 - 4
35 さらさらら - 9

【審査員(決選投票)】
  • やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ
  • ナナシー ◆zMYfgmhp9w
  • ◆notePDkbPQ
  • 長介ジュニア ◆kuJg2yitX6

【採点レス】

72 名前:やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 23:22:34 ID:hr3LSwWK
>>23「さらさらら」/3点

73 名前:やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 22:25:37 ID:2anZ0Zg3
>>30「微」/1点
>>23「寂漠ランチ」/1点

79 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [age] 投稿日:2007/04/21(土) 01:53:42 ID:d0jtZ5sj
>>23 「寂漠ランチ」
3点

>>35 「さらさらら」
3点

80 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [age] 投稿日:2007/04/21(土) 01:56:13 ID:d0jtZ5sj
ごめん、>>30は1点です。

84 名前: ◆notePDkbPQ [sage] 投稿日:2007/04/21(土) 19:09:54 ID:LvGoHd34
>>23
  2点

>>30
  1点

>>35
  2点

86 名前:長介ジュニア ◆kuJg2yitX6 [sage] 投稿日:2007/04/21(土) 20:46:59 ID:HZX9mecF
>>23
2点

>>30
1点

>>35
1点


作品





初めてのルネサンス



きれいな砂をかき集め
少し水を混ぜる
だけど
水が多いと崩れちゃうし
水が少ないと固まらない
微妙なバランスを見極め
その幼く小さい手のひらで
細心の注意を払い
丸めていく
手にこめる微妙な力加減
強すぎず弱すぎず
まるで赤子をあやすかのように
優しくあり頼もしく
そして、美しい球体を作り上げた
後は一日乾かすだけだ
例え服が汚れようと
例えつめが真っ黒になろうと
かならず完成させると誓った
彼の目は輝いていた
何回も失敗した
しかし、そのたびに成長していった
そして次の日
ついに完成させた
彼の初めての芸術品

ただの球体のように見えて
微妙に完全ではなく
どこかに幼い心の純粋さを隠し
まだ世を知らない夢と希望があふれ
見た目以上に意外と硬い球体
初めて一から自分の手で創造した芸術作品
その名も「泥ダンゴ」!!!


5 名前:続き再掲 ◆34law0hz56 [sage] 投稿日:2007/04/04(水) 23:13:38 ID:fsLcsb0V


【コメント】

47 名前:まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk [] 投稿日:2007/04/14(土) 00:34:07 ID:ZmBzTBdH
>>5
砂と水で作った泥団子。小さな子供が作り上げたのを親御さんが見守ってるような絵でしょうか。
当のお子様にとっては芸術品という意識などあるはずもなく、単なる粘土遊びに過ぎないものを
親馬鹿の目は「芸術品」と形容してしまう。微妙に完全ではなく幼い心の純粋さを隠しているから
こそ、大人の目には邪気がないという意味で「芸術作品」に映る。わからなくはないのですが、
私としてはピカソの晩年の絵とそのへんの子供の絵に同じ価値があるとは思えない。それは子供
に邪気がないのは当たり前で、大人が邪気を捨て去る瞬間が芸術なのではないかというような、
ありふれた考え方に私が染まっているだけかもしれないのですが。芸術という単語に引っかかって
しまったため、書き手の親のような視線が逆に芸術とかけ離れているように感じてしまいました。

49 名前:螺旋┘竹輪 ◆FCwxSNTwx2 [] 投稿日:2007/04/14(土) 01:41:16 ID:yJsJdKx9
>>5 (629) 初めてのルネサンス
  子供の目線から見た泥団子を作る過程ではなくそれを見届けている“大人”の目線(主観)から捉えた
  作品ですね 安心して読み進めることができます 文章にある安定感は泥団子を芸術作品と認識する
  子供の意味を持たない創造また感覚 に対し丁寧に意味づけて作品とした部分にあると思いました
  この泥団子を作る子供と 眼差しをくれ見届けている大人との間にある 行為に対する価値付けの
  隔たりと 創作というものは 客観とある主観によって芸術として位置づけされるものであるということ
  そして “砂” という主題に着眼すれば確かに創造という“芸術”に無意識に触れ 意図もなく初めて
  人が形作る発端は思い起こせば 砂遊びという 幼い心が無心に欲する割と自然な欲求であったのだと
  大人になって初めて気がつくのかもしれないなと 再確認しました
  ですので この作品にある芸術性は子供の行為自体である それを捉える大人には主観を当て
  照らし得るのみで 芸術というものごとからはかけ離れた意味づけの思考のなかにいるなどとも感じました


63 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:22:07 ID:9AWEr/b8
>>5 ここまで平凡な作品をコンペに一番乗りで投稿してくるとは勇気あるね。泥だんごよりももっと練るべき物があったんじゃない?

74 名前:やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 22:31:56 ID:2anZ0Zg3
>>5「初めてのルネサンス」/

泥だんごかぁー。ラストまでもったいぶらずともわかってしまうのが悲しい。

81 名前: ◆notePDkbPQ [sage] 投稿日:2007/04/21(土) 10:36:07 ID:X+nZTgnc
>5 芸術、純粋、夢、希望。これらをもっとさり気無く入れたら良かったと思います。
大人は泥団子ひとつに執念込められませんから、テーマ良かったです。「詩」も泥団子ですね。





乾葬



街をセピア色した死が通り抜けていった
始めはひび割れだった
次は零れて落ちてった
最後は無音が辺り一面に響くだけだった
そして大きな欠伸をしながら目覚めたのは不毛だった

どうやらその死は口さびしいらしい
鼓動も呼吸も傷痕も全てが〈何も無い〉で出来ているから
だから今その大きな口を開けて
青い蒼い飴玉を一つ頬張ろうとしているのさ


11 名前:乾葬[] 投稿日:2007/04/05(木) 09:18:34 ID:L2rwpykp


【コメント】

47 名前:まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk [] 投稿日:2007/04/14(土) 00:34:07 ID:ZmBzTBdH
>>11
小品ながらイメージは色鮮やかです。もちろんセピアから灰色、そして何もない世界の無色まで、
どんどん色は失われていくのですが、最後の青い飴玉が再生への希望と共に強烈な色彩感を
感じさせてくれます。青い空を取り戻すまでの時間さえも止まった永遠の静寂の中で、実は何かが
動き出している。タイトルもある種の破滅のイメージを的確に表しています。もちろん破滅だけで
終わっていないところが私としては好みでもあり、普遍的な美しさも内包していると見ます。

49 名前:螺旋┘竹輪 ◆FCwxSNTwx2 [] 投稿日:2007/04/14(土) 01:41:16 ID:yJsJdKx9
>>11乾葬
  風化と時の流れを感じました 瓦礫や地層など壁として蓄積し時間の中で押し固められた砂の層
  ぱらぱらと誰に気づかれもせず また砂に舞い戻る瞬間の匂いとか 地割れ地層の出現 また亀裂は
  空や海などにさらされて打ち砕け 解け流れる 描写の加減と風合いが素敵な作品と思いました


58 名前: ◆OPBYKkBBNQ [] 投稿日:2007/04/16(月) 23:59:43 ID:cc3qF9ir
>>11乾葬
加点作品ではないのですが。
いまいちよくわからんのだけど、二連目は地球に広がる砂漠の様子と受け取りました。
で、そうなると、一連目が私的にはひじょーに勿体ない書き方ではないか、と思うわけです。
とにかく、二連目に惚れました。

63 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:22:07 ID:9AWEr/b8
>>11 最後の飴玉が地球だとしたら作品は宇宙のメタファーなのかな?だとしたらスケールの大きさが伝わらないなぁ。他の解釈は浮かばないし。

74 名前:やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 22:31:56 ID:2anZ0Zg3
>>11「乾葬」/
飴玉は虚無に関わる暗喩だ。
「青い蒼い」にしたわけは、暗示的にでもいいから少し明らかでありたいなと思った。
何もないよりは何か残したい、そこがいいと思いました。

81 名前: ◆notePDkbPQ [sage] 投稿日:2007/04/21(土) 10:36:07 ID:X+nZTgnc
>11 個人的には、凝り過ぎて変則的になった日本語は好きではありません。こういうのに
馴染みが無いせいもあります。乾き→砂を詩全体使って表現したのは良いです。


【得点】 2点
  • まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk:2点





砂流



ぬめぬめとうねり申し恋歌を詠むに相応しき陽気に誘われて
陽光は水面を明に映し出し流れに足をとられた私はただ
"人の世おぼろげなり"と嘆くのでございます

湿ったマンホールに気をつけなって
直角同士が幾重にも交わったこのビルの裏 人の裏を
這い回る俺らは鼠かはたまた社会排水
知ってるか いくら上等な香水でもな他の臭いと混ざっちまったら
複合臭と言ってヘドロみたいな嗅ぎ心地になるわけだ
ましてやくせぇもん同士を混ぜたらどうなると思う カオスだよ混沌臭
要するに起き抜けのちぢれパーマだ 覚えておけ

さらさらと渇き申し空風は勝手放題に塵屑どもを転がし
神はこの灰砂漠に色付けを怠りなさったのか阿呆めが
砂粒の氾濫に目を奪われた私はいま
"人の心もまたおぼろげなり"とつぶやくのであります


17 名前:「砂流」[sage] 投稿日:2007/04/08(日) 12:52:16 ID:t5PcoBBA


【コメント】

47 名前:まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk [] 投稿日:2007/04/14(土) 00:34:07 ID:ZmBzTBdH
>>17
芥川調の古典物語風の文章にサンドイッチされた、べらんめえ調の毒吐き。その箇所に現れる
「湿ったマンホール」や「社会排水」、「香水」、「ヘドロ」という「水系」の単語の羅列がこの作品を
紐解く鍵となるようでもあり、タイトルを重視すればわかりにくくなっている面もあり、非常に悩ましい
読後感をもたらします。「水系」の「ぬめぬめ」を世の儚さのように読むならば、渇いた突風にこそ
希望を託すのかと思いきや、砂粒の氾濫が今度は人心の儚さを象徴しているらしい。整合性を
探るならば「砂流」もまた液体のような「流れ」を産み出す「水系」の鬱陶しさなのであり、湿度の
有無は関係なく「流れ行く」ものとして同義語なのかもしれません。

49 名前:螺旋┘竹輪 ◆FCwxSNTwx2 [] 投稿日:2007/04/14(土) 01:41:16 ID:yJsJdKx9
>>17砂流
  形を成したものというものは 他の認識があってもなくても 形状を持った瞬間から 
  移ろうことが約束されたもので 物事であっても一端たりとも変容しないものなどないのです と読後
  このような言葉がわいてきました 入り混じり 攪拌も微塵というものの根本があるからこその混沌で
  変化と流動の全ては 砂の如く 砂の様相で きっと砂に帰りつくものかなと 
  文体と内容がマッチしていて 匂いと 湿度の妙は 生身のものであるがゆえの何れ流動は免れないのだ
  と有機物から無機質への変貌を感じ取れる部分でもありました 

63 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:22:07 ID:9AWEr/b8
>>12>>13 ルール云々以前にさ、コンペという場所をあまりなめるなよ。誰でも自由に投稿できるのはただ入場無料という事。入場する資格は自分で判断しなよ。
前回もこんなのがあったけど、下手でも良いから本気でコンペに参加して来いよ。

63 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:22:07 ID:9AWEr/b8
>>17 1,3連目は良いと思う。けど挟まれた2連目が冗長で雰囲気も異質で何だか別の作品を貼りつけたみたい。なぜこんな2連目にしたのか分からないな。

81 名前: ◆notePDkbPQ [sage] 投稿日:2007/04/21(土) 10:36:07 ID:X+nZTgnc
>17 イメージは良かったです。弁当箱にぎゅうぎゅうに詰め込んだみたいで、ちょっと
詩に余裕がないです。





砂時計




石を砕いてさらされて
鳴き声からした一握の
砂を封じたダルマ型
幾たび時を刻もうと
もはやどこにも行けはせず
天地忘れた囚われの
そよがぬ空に願わくば
来世は黄砂と夢に見て
誰がためにか身を削り
ただいたずらに渦を巻く



19 名前:砂時計[sage] 投稿日:2007/04/08(日) 21:04:19 ID:0iX2Vp9m


【コメント】

48 名前:まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk [] 投稿日:2007/04/14(土) 01:33:45 ID:ZmBzTBdH
>>19
砂時計の中の砂粒たちの悲痛な叫び声が聞こえてきます。「来世は黄砂と夢に見る」とは、
ささやか過ぎるような願望ではありますが、ダルマ型のまさに手も足も出ないガラス瓶の閉じた
世界ではそのように考えるのも理解できます。しかしこれが砂時計の描写だけでなく、心理描写
も重ねているとしたら、あまりにも救いがない印象です。わざと渦を作らず詰まってみせて、
外の世界の誰かに乱暴に振ってもらって、手を滑らせた拍子に床に落ちてガシャンと割れて、
そこで脱出を謀るというような企みを砂粒たちに託してみたら、奥行きも出たように思います。

51 名前:螺旋┘竹輪 ◆FCwxSNTwx2 [] 投稿日:2007/04/14(土) 02:49:00 ID:yJsJdKx9
>>19砂時計
  七(八)五調の定型で音読リズムが良いなと思いました 大きな砂時計という中に生きている私たちといったような
  情感 結局姿を持ったとしても地に返り一つの循環の中で生かされているに過ぎないのだということ
  それををシンプルに伝えているのではないでしょうか 物質というものは姿かたちを変えながら砂時計の
  中という限定された空間内 微粒の流れとして時間そのものでもあり 小さな小さな単位の集合体にしか
  過ぎない しかしこの完全な形状世界観という硝子の中でしかあきらかに存在は出来ないということも
  言えるんだ 喩えの砂時計を小さな域で捉えてはいない 巧いなと思いました


63 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:22:07 ID:9AWEr/b8
>>19 文字数がなんとなく揃ってるんでとりあえず縦読みしてみたが残念ながら違うらしい。連歌的な古典のリズムでつらつらと文字が泰然と流れていく。作品の雰囲気は良いと思う。
ただ擬人化された砂時計にあまり感情移入できないかな。正直創り込みすぎて嘘っぽさを感じてしまった。大仰なスケール感に敬意。 1点

74 名前:やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 22:31:56 ID:2anZ0Zg3
>>19「砂時計」/
砂時計の砂の叫び。
いい感じにまとまっていて、終わりのない展開となっています。
砂時計についての描写は無駄なく突き詰めていますが、そこから飛躍も展開も求めないあたりが、
作品として小さくまとまってしまったと思います。とはいえ、悪くはないし、>>30くらいいい作品ではあります。
参加が遅かったので言ってもしょうがないですが、一点の加点対象でした。

81 名前: ◆notePDkbPQ [sage] 投稿日:2007/04/21(土) 10:36:07 ID:X+nZTgnc
>19 定型詩のようであります。「もはやどこにも行けはせず」がゆるいですかね。
「砂時計の砂」か「砂時計」かどちらか曖昧でもあります。砂時計の遣りきれなさが
良く伝わってきました。


【得点】 2点
  • まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk:1点
  • ナナシー ◆zMYfgmhp9w:1点





砂葬



誰もいない砂漠には 僕一人を埋めました


穴は掘っても掘っても中身を崩してゆきました
それでも僕は掘りつづけます
恐らくは自分のためでしょうが
何もない砂漠の一輪の花にでもなってやりたかったのです
太陽がカンカンに照り付け 僕を粉砕しようとしている
なだらかな砂の丘は自然な凹凸に不自然な凹みを勝手に作られている
ときどき砂が風に吹かれながらキラと太陽に反射するのです
それまで 焼かれ続けて熱くはないですかと思っていたから

―― いいえ 太陽はわたくしたちにキラリと光る一瞬を
   たくさん与えてくださるのです

と 素敵に思わせてくれました

風景はこれ以上ないくらいにシンプルな作りとなっています
絵の具を用意するなら 空の青と砂漠の黄色
僕はそれを邪魔する黒点なのでしょうか

風はサラサラと埋もれかけの僕を露出させていきました
ここに偽物はいらないよ と誰かがつぶやいて
じゃあ僕はどこに存在するのが自然なのかと
自分に問いてみたら

久しぶりに家族に会って 友達にもあって
頭のなかの独り言を語る場所があったということが
僕が存在する 1番不自然じゃないところなのだと
気付いてから
首元を狙う蠍の固い足に身は凍り付き
今から戻れるだろうかと不安になってゆくのです


20 名前:砂葬[sage] 投稿日:2007/04/09(月) 00:35:17 ID:3l5BL1Y/


【コメント】

48 名前:まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk [] 投稿日:2007/04/14(土) 01:33:45 ID:ZmBzTBdH
>>20
どうしても詩を書こうとする人は自らの孤独感や疎外感を出発点にしてしまう傾向があるので、
この作品も例に漏れずテーマとしては見飽きたものでしかないのですが、構成力とイメージ力で
読み手側の不快感を排除することに成功していると言えます。しかし文章的に「不自然な凹凸」の
ような描写の箇所など、削っても構わない不必要なものも多く、そのことがリズムの面でぎくしゃく
した感じをもたらしているのも確かなようです。最終連に唐突に「家族」や「友達」といった現実に
引き戻される感覚はよくわかるし、実際構成としては効果的なのですが、その前に伏線を用意して
おいた方が「唐突」ではなく「起承転結」の「転」のような作用をもたらしたはずです。あるいは「家族」
や「友達」もすべて比喩にしてしまった方が違和感は少なかったように思います。ただ、最後の改心
してから蠍に怯えるオチは秀逸で、一気に深みが増しております。この構成力に見合った文章上の
工夫にもっと気を配れば、更に完成度も寓話性も高まったはずと思えば兎に角、惜しい作品です。

51 名前:螺旋┘竹輪 ◆FCwxSNTwx2 [] 投稿日:2007/04/14(土) 02:49:00 ID:yJsJdKx9
>>20砂葬
  不安が流砂のように流れている作品と思いました 環境に協調するばかりが存在する意味となっては
  疲れるばかりだと思う 照りつける日差しの中 砂に埋もれるという気持ち(感覚)を書こうとしたのでしょう
  これは社会という人が生きも死にもする環境上で感じる気分に似ている
  砂漠という環境に適応して花咲く そんな希望を持ちつつ その渇きに順応した機能なり思考なりを
  もっていなければ花となるどころか 砂漠の餌食 砂は環境と取れて心情が伝わりやすいです
  ただ 色を用いた“絵の具”などの行は情景の輪郭をぼやかしてしまっているように思え 一行一行の
  イメージは素敵であるのですが イメージしながら読み進めると画像的にぶつぶつと尻切れトンボで
  もったいない 最終2行にはっとする分 中だるみが気になってしまったのですが内面で繰り広げられている
  思い と 現実に接する思考が交差している部分の連結または 突き放し加減が不鮮明だからではないのかと
  感じましたが いいなと思った作品であります


63 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:22:07 ID:9AWEr/b8
>>20 作品の流れはとても良いと思う。ただラストは内容が良い割に弱く感じた。砂漠の持つ二面性を風景に交えてもっと書き込んで欲しかった。少なくとも色だけでイメージを固定化するのはちょっと安直に過ぎるのでは。 1点

81 名前: ◆notePDkbPQ [sage] 投稿日:2007/04/21(土) 10:36:07 ID:X+nZTgnc
>20 心象をこれだけ鮮やかに描けるのは見事です。しかも動きのあるイメージです。
世を拗ねるみたいな感じなのでしょうけど、詩で描いたほうが粋ですね。

348 名前:やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ [] 投稿日:2007/04/22(日) 06:34:32 ID:TIftOPCk
僕は>>20砂葬書きました。4番目ですが、準チャンピオンってだけでもうれしい。
点入れてくださった皆様ありがとうございます。
将軍さん、竹輪さん、ナナシーさん、noteさん名無しさん、長介さん評価ありがとうございました。


【得点】 3点
  • まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk:2点
  • ナナシー ◆zMYfgmhp9w:1点





寂漠ランチ



あたたかいというただそれだけで
ひとは幸せな気分になれるのだ

春がきた
ひかりをのせて春がきた
歩きはじめたみいちゃんが
おんもで空を見あげてる

わたしもおんもへ
桜ならぶ河川敷の公園で
寂漠のランチを口にはこぶ
からっぽなわたしのからっぽに
さらさらと砂が満たされてゆく

ああ
桜は夢のように咲くのだなあ

なんのことはなく
すべてはあるがまま
歩きはじめたみいちゃんは
こけて泣いては立ちあがり
そのうち上手にスキップで
遠くの空を追いかけるだろう

風に桜の花びらながれ
寂漠の砂にひらひらと舞いおちる
大河にくだかれ打ちよせられた砂つぶが
ひかりにつつまれてゆく

ああ
あたたかいなあ

もういちど何かを追いかけたい
いずれ朽ちゆくとしても
世界にひろがりたい

寂漠のランチはにがくて癖になるけれど
桜は夢のように咲いていて
わたしはさらさらと鳴るからっぽに
おおきく春を吸いこんでみた


23 名前:寂漠ランチ[] 投稿日:2007/04/09(月) 17:44:34 ID:VtPCXZRq


【コメント】

48 名前:まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk [] 投稿日:2007/04/14(土) 01:33:45 ID:ZmBzTBdH
>>23
まず題名が素晴らしいと思います。寂莫とした感情と砂漠のイメージを重ねつつ、食べてしまう。
そしてそれがただの無常感で終わることなく、無常という諦念から一歩踏み出した「受け入れる」と
いう受動を突き詰めた上に反転した能動といった感じの積極性を醸し出しています。このことは、
「桜は夢のように咲くのだなあ」の一文にすべて篭められていて、儚さというよりは夢という非現実性
にこそ真理が隠されていたことを見破ったような発見の喜びが全編に満ち溢れております。

51 名前:螺旋┘竹輪 ◆FCwxSNTwx2 [] 投稿日:2007/04/14(土) 02:49:00 ID:yJsJdKx9
>>23 寂漠ランチ
  漠とした不安 寂寞という言葉と似てる 寂 漠 一読でひどく気に入った作品です
  春の小さな竜巻を見ている気分にもなれたし ひっそりとしている様と 寂漠ランチ この初めて触れる
  言葉と もどかしさを呑み込むような雰囲気が良いと思いました
  砂を噛む この喩えよりももっと鮮やかな新語でもあると思うし 趣は季節感と相乗して乾いた風に舞う
  桜色の余韻と 砂を飲むような現実を引き立てている 

64 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:22:51 ID:9AWEr/b8
>>23 子供の成長を見守る母親という単純な図式ではあるけどなんとなく目新しさも感じる。自分の子供を特別な存在として扱わず、風や桜や空や春と同じ視線で見ているからだろう。
それにより読み手もすんなりと風景に溶け込み語り手の感情に同調する事ができる。ただ作品内の砂はさすがにちょっとこじつけというかあざとさが否めず。 1点

73 名前:やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ [sage] 投稿日:2007/04/20(金) 22:25:37 ID:2anZ0Zg3
>>23「寂漠ランチ」/1点

3作読んで、みんな構成がしっかりしているので評価が楽だと思いました。
タイトルが良いです。
「みいちゃん」と「私」は親子ですが、母親の目線で追うと、どうしても親と子が離れすぎていて、
他人っぽかった。
テーマはどちらかというと、春や桜で、「寂漠ランチ」とはでてくるけど、アイテムや表現の一部てきな使い方しかされていないと思った。
でもそんなことより、この詩がいいかどうかなんだよね。という判断で評価させていただきます。
わかりやすい描写に春らしい柔らかさを感じました。
みいちゃんと自分、さりげない対比の中にみいだす成長と自己の感情の流れ。
6連の満ちていく感覚がわかる。
でも展開としては、テーマが弱く、そのため8連9連はまとまっているが物足りない感じを受けた。

79 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [age] 投稿日:2007/04/21(土) 01:53:42 ID:d0jtZ5sj
>>23 「寂漠ランチ」

読み返すとこれは良い詩だなぁ。なんで1点しかあげなかったんだろう。
美しく残酷な春の日差しの中で、矛盾する、けれど自然なる二つの感情が優しく織り交ざり、
希望と絶望が親密に溶け混じりながら暖かくだけど悲しい感傷が薄いシールみたいに心に貼り付いてしまう。
時間の大河なる流れに疑問もなくゆるゆると押し流されてきた日常にはっと突然訪れる「気付き」。
だけどそれは砂のようにまた時の風にさらさらと消えていく儚い感情である。
希望の余韻に満ちたラストながら、その先にある夢物語ではない日常の続きが分かっているだけに切ない気持ちになる。
3点

84 名前: ◆notePDkbPQ [sage] 投稿日:2007/04/21(土) 19:09:54 ID:LvGoHd34
>>23 ぱっと見た瞬間、これ、前回に出し損ねたのかなと思いました。童謡の一節が
出てきますが、これは、作者の遊びでしょう。ほのぼのとした雰囲気の中で、なぜ、寂しい
きもちになるのか。共感できます。でも、自分は説明できない。この詩は、説明できないもの
を詩として描いています。いい作品です。ただ、これは「砂」ではなく「春」の詩でしょうね。
  2点

86 名前:長介ジュニア ◆kuJg2yitX6 [sage] 投稿日:2007/04/21(土) 20:46:59 ID:HZX9mecF
>>23
ふっくらした、柔らかい言葉の使い方が素敵でござるな。
そこに「寂漠」という苦みが加わって、たいへん美味でござる。
見方によってはやや工夫が足りぬ、素直すぎる作品と言われるかもしれぬが
拙者は、このストレートな暖かさを愛する者でござる。
2点

351 名前:あぶく ◆OPBYKkBBNQ [sage] 投稿日:2007/04/22(日) 23:05:52 ID:YLUcorUh
審査員の皆さん、お疲れ&ありがとうございました。
『寂漠ランチ』書きました。
評いっぱいいただけて嬉しいです。
えー、これ、母と娘の情景なんだー、と落ち込みもしましたが、noteさんの評で少し持ち直しました。
いやー、人様に読んでもらうのって大事ですね。
《みいちゃん》と《おんも》でわかるだろうと踏んだ甘さを思い知らされました。はは。
どの評も嬉しかったのですが、とりわけまんこ将軍とナナシーさんの評は、自分でもよくわからない心情を明確にしてもらったようでした。
で、「テーマは春ではないのか疑惑」についてですが、そのとーり!
てゆーか、前回どーにもまとまらなくて脳内保存のイメージの断片が、プラス砂でなんとか形になりました。リーフレインさん、ありがとう。
長介さんの言われるように、自分でも、なんかただの独白ぽいなぁと思いつつ投稿したのですが、思いのほか好評でよかったです。
ありがとうございました。
cレールさん、チャンプおめでとうございます。

355 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [sage] 投稿日:2007/04/23(月) 09:15:26 ID:L6xmCWGk
>>351
こっちがあぶくさんか。リーフレインさんだと思ってた。う~ん、みんな芸風が広いなぁ・・・。
一回目の評は少しずれていましたね。一度に大量に審査するのって本当に良くないな。
決選投票の時の評は僕なりに真剣に読み込み、そこから感じた言葉を載せる事が出来たと思うけど。
最初の審査の時に僕の最高点である2点上げてれば勝負は決まっていたんだけど(そして上げるべきだった)、
決選投票にもつれ込む事でより多くの人に評を書かせる事が出来たのでお許しください。


【得点】 4点
  • まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk:3点
  • ナナシー ◆zMYfgmhp9w:1点

【得点(決選投票)】 8点
  • やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ:1点
  • ナナシー ◆zMYfgmhp9w:3点
  • ◆notePDkbPQ:2点
  • 長介ジュニア ◆kuJg2yitX6:2点





砂漠の眼病



さらさらと泡沫の色は蒼く
陽光にあてられ反射する
神の鉄槌を期待しながら倒れゆく
バベルの塔のようなまぼろしか
それとも私の喉の乾いた粘膜が
息をとうとうつまらせたせいか

粉末は目の水分をすいとり
ひかりはより、強く強く
それらに耐えかね神経を結ぶ
ひとつの線が干し切れた-

まわりにみえる唯一の黒み
わたしの影はゆっくりと変化し

ついには枝葉を帯びて
色を、プリズム的に分裂
してゆく原色がやがて
変化していった、妖艶な葉は
きらびやかに 呼応し 大きく揺れ動き
ざわめく音は 優しい雑踏の音

涼やかな風が吹き
細枝は今にも折れんとばかりに
豊満に実った果実は完熟となり
黒く湿潤たる大地に 落ちて
それを握り、甘露なる果汁を
齧りほそうとした刹那

私の口は砂を包み
喉は予想もせなんだ攻撃に
痛めつけられ
さらに粉は奥へ、肺へと進み
それを排除しようとする気管の
躍動がさらに私をまいらせた!

わたしの干されゆく精神よ
一体どうしたのだおまえは
消耗の果ての安寧に身を任せ
朽ち果てるのを待つ気か?

すべての計画された運行に
抵抗しようと

幻覚を駆使しろ、
弱った神経よ!消耗しきった脳よ!
ゆけ、走れ、叩け、殴れ
そうして
幻聴はどうした、幻臭は、
幻触はどこだ、ありもしないものを
味わうおまえの能力は!

おまえにはあるではないか、精神よ
おまえを苛みつづける、おまえ自身の世界が


24 名前:砂漠の眼病[sage] 投稿日:2007/04/09(月) 21:58:09 ID:o75Z57fB


【コメント】

50 名前:まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk [] 投稿日:2007/04/14(土) 02:30:24 ID:ZmBzTBdH
>>24
眼病というよりは目や気管を砂で潰されたが故に見えてきて、実感することができた、自身を
鼓舞する応援歌のように読める点において、これは病ではなく神秘体験のような趣きです。
ところどころ、倒置法や言葉遣いに不自然さやリズムを失う箇所が散見されるのが残念で、
書きたいことのシンプルさと較べて、冗長な分量のように思えてしまうのもそのせいだと感じます。

64 名前:ナナシー ◆zMYfgmhp9w [sage] 投稿日:2007/04/19(木) 01:22:51 ID:9AWEr/b8
>>24 多分砂漠のような場所で行き倒れて幻覚と戦っているのかな。下手では無いけど人に読ませるにはちょっと独り善がりでは。あと海外の訳詩によく見かける言葉遣いだね。特にラストの辺り。

81 名前: ◆notePDkbPQ [sage] 投稿日:2007/04/21(土) 10:36:07 ID:X+nZTgnc
>24 難しくてシンドイですけど、これぐらいならまだなんとか。丁寧ですね。想像力を広げて
力こもってます。「砂を噛む」ってまさにこんな感じでしょうか。クライマックスの砂に苦しめられる
ところの分量と迫力が不足した感じです。



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最終更新:2007年04月27日 02:42