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お題
開催期間 2004/10/27~2004/11/06
参加作品数 27
審査員 4人
本スレ 12の537-13の9
議論スレ 8の905-935


【チャンプ】

【準チャンプ】

作品一覧


No. タイトル 作者 点数
540 あぜ道にて - -
541-542 道子さん イタチ小僧 1
543 特撰キンバエ ◆yuQ9t.UD8o - -
545 普遍草原 - 1
546 危ない道 てるあき -
547-548 突堤 - 10
549-550 そら開拓史 - 1
551 道化 心霊写真 1
552-553 むかしの言葉 MUJINA 2
554-555 milky way - -
556 フロントガラスに霜が降りるころ ヒヨッコ -
557 地の果て 心霊写真 4
558 - 1
559-561 海を渡る Canopus 5
562 道々しい - -
563 海上の道 - 1
564 未知行く際に - 1
565-568 夕暮れの道 - -
569 想いは道 - -
570 街灯 - -
571-573 EVERYDAY EVERYDAY - -
574-581,583 夢の住人 心霊写真 2
584 十一月の追憶 - 1
585 夕陽の中で - -
586-588,591-592 591-592 固有値 - -
589-590 お宝 - -
593 つじうら - -

【審査員】
  • ななほし ◆lYiSp4aok.
  • MUJINA ◆iXws.WGCLY
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.
  • C ◆7sqafLs07s

【採点レス】

598 名前:名前はいらない [] 投稿日:04/11/05(金) 04:26:47 ID:DtJw8NJV
3点 >>557 :地の果て :
2点 >>552-553 :むかしの言葉 :
2点 >>559-561 :海を渡る:1 :
1点 >>545 :普遍草原 :
1点 >>547-548 :突堤 :
1点 >>549-550 :そら開拓史ー1 :

599 名前:ななほし ◆lYiSp4aok.  [] 投稿日:04/11/05(金) 04:30:31 ID:DtJw8NJV
  あぉ!! トリップ入れるのを忘れた!!  >598の続きです。
1点 >>551 :道化 :
1点 >>558 :道 :
1点 >>563 :海上の道 :04/11/02 21:12:52 ID:iSgxoUek
1点 >>564 :未知行く際に :
1点 574-581 :夢の住人(1/8) :
1点 >>586-592 :固有値 1 :

601 名前:名前はいらない [] 投稿日:04/11/05(金) 12:33:26 ID:DtJw8NJV
  すいません、採点間違えていました。
3点 >>547-548 :突堤 :に、変更おねがいします。
   プラス二点で、今回3点が二作品です。

605 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY  [catwalk7@nifty.ne.jp] 投稿日:04/11/06(土) 02:30:09 ID:3UNtEVKK
【3点】>547-548 突堤
【2点】>586-588/591-592 固有値
【1点】>559-561 海を渡る

611 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e.  [ ] 投稿日:04/11/06(土) 18:55:32 ID:BuIcr8Tt
2点 >586-588>591-592 固有値
1点 >541-542 道子さん
  >547-548 突堤
>557 地の果て
>584 十一月の追憶

4 名前:C ◆7sqafLs07s  [sage] 投稿日:04/11/06(土) 19:58:07 ID:l9N+m/jw

3 突堤
2 海を渡る
1 夢の住人


作品





あぜ道にて



わたくしを繋ぎ止めるのは脆く、細い二本の足
傷まみれの手ですこしづつ軽くなる荷物を運ぶのです
ポロポロとこぼれる荷物があなたの道を塞いでしまうなら
その時は優しく踏みつけて下さい 大切な物だから

わたくしが倒れたときは振り返ることなく先に進んで下さい
わたくしに出来ることはあなたのために祈る事だけです
雨風や日照りで荒れた道にあなたが歩みを止めないように

道に迷い、袋小路に出会った時は 自ら道を耕して下さい
きっと誰かがその道を踏み あなたに感謝することでしょう
光りが見えない時もけして焦らず、ゆっくりと確かに進んでいって下さい
朝も夜も繰り返すのが自然なのですから

途切れざる道にキラキラ光る落とし物 いつか目差した夢のように

涙はこの道の果てに置きましょう 今はまだ道の途中ですから
言葉や感情は全てを乗り越えた後に放ちましょう
今は只、前を向いていて下さい
さぁ行きましょう


540 名前:あぜ道にて [sage] 投稿日:04/10/27(水) 23:53:34 ID:v8Mo2KM2


【コメント】

596 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e.  [ ] 投稿日:04/11/04(木) 20:51:07 ID:PGEl5y3V
>>540 誠実そうな人柄が垣間見えるんだけど、惜しむらくは「顔」の欠落です。
登場人物の描写がステロタイプになってて、顔が見えてこないかな。

606 名前:C ◆7sqafLs07s  [] 投稿日:04/11/06(土) 17:47:21 ID:l9N+m/jw
>>540 あぜ道にて
ごく親しい人間への遺志としてこの詩を読むのでなければ、
多少の偽善と傲慢を感じてしまう。
それは自身が「言葉や感情」で伝えようとしているにも関わらず
受け取る側にはその伝え方を禁絶しているからだろう。
そして人間が選び得る無数の道のうち「前」が果たしていずれなのか、
詩の作者だけが規定できると思っているようだからでもある。
ではその偽善と傲慢こそが作者の「意図」だと仮定してこの詩を読み直してみよう。
すると「優しく踏みつけて」「いつか目差した夢」などの
一見そぐわない言葉が不思議に輝いてくる。





道子さん



北をみれば山があるし
南をみれば海があるし
どっちへ行っても壁だと思っていたら
道子さんが下から足を掴んできた

歩けぇ
歩けよぉゥ
走ってもいいからぁァ
止まっていることは止まること
動いていることは生きること
わたしはある
わたしはここにあるから
わたしの上をお前は歩きなさい

道子さんの長い黒髪の上
艶やかだけどすべらないね
東をみればビルだよ
西をみれば防風林だよ
どっちへ行っても壁だね
ぼくはどこへも着けはしないね

それじゃァわたしが
お前を気持ちよくしてあげよぉ
白いこの指でさァ
お前のペニスを擦ってあげよぉ
テンゴクのユメをみて
たっぷり黄金をお注ぎ
ユメから醒めても黄金で
道子はとっても気持よいだろう?


ごめん道子さんあんたばからしい
ころすよ道子さんあんたいやらしい
サルの歯を剥いてぴょんと脇へ飛びのいたら
道子さんはぼくの頭のなかの静止画だった

そしてぼくは死ぬまでオナニーするための道子さんを失ったんだ

                                (終)


541 名前:道子さん(1) [] 投稿日:04/10/28(木) 23:42:08 ID:n/7dNBfa
542 名前:道子さん(2) [] 投稿日:04/10/28(木) 23:42:39 ID:n/7dNBfa


【コメント】

596 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e.  [ ] 投稿日:04/11/04(木) 20:51:07 ID:PGEl5y3V
>>541-542 後半で、何でそっちに話もってくかなあ。壁の設定がものすごく面
白いのに、途中で放り投げちゃってる。道から足を外したら道子さん死んじゃ
ったり、語り口とか、面白く読めたけどね。随所にユニークさを感じた。

606 名前:C ◆7sqafLs07s  [] 投稿日:04/11/06(土) 17:47:21 ID:l9N+m/jw
>>541-542 道子さん
猿に自慰を教えると死ぬまでそれを続けるという。
という真偽不明の有名な話をベースにして人間の進化を茶化している。
そのひねくれた発想は大好きだ。
しかし僕個人の趣味において唯一不満だったのはせっかく象徴的に「黒髪」を出すなら
自慰に「絡めて」欲しかった、という部分。
むりやり(作者に対抗しようとする虚栄から)もう少しひねくれた見方をすれば
人間はそれでも結局死ぬまでオナニーしているようなものじゃないか、
という考えも浮かんでくる。

931 名前:イタチ小僧 ◆8rr1u/54T2  [sage] 投稿日:04/11/08(月) 01:04:22 ID:WHRlr46b
今回、俺は「道子さん」一作のみでした。


【得点】 1点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点





特撰キンバエ



無明の夜行く人間は
無数のざわめき聞くと言う
ぼうと光るは月夜茸
蛆虫の群れ照らし出す

山をうずめる赤躑躅
吹き出る鮮血映ゆと言う
人の灯火に誘われて
蛆虫の蠢き足元へ

人食いの蟲棲む地獄谷
しゃぶりしゃぶりと人肉を
啜る音聞く供養地蔵
南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏と呟く声
鬼火をまとって里まで響く

人の骨も一夜に谷の石となりて
やがて風に舞い散り跡形もなし


543 名前:特撰キンバエ ◆yuQ9t.UD8o  [ ∞ ~] 投稿日:04/10/29(金) 00:03:00 ID:cqNcDn6H


【コメント】

603 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY  [catwalk7@nifty.ne.jp] 投稿日:04/11/06(土) 00:50:12 ID:goCZLDPA
寸評、行ってみよう。
>>543 特選キンバエ
  仏教の無常観をベースにして、怪奇趣味とグロテスク風味で味つけたスープですなあ。
ただ、具材(単語)に頼りすぎて、じっくりコトコト煮込んでいない。味わいが既製品の
カップスープの域を出ていないなあ。「無数のざわめき」「吹き出る鮮血」「鬼火をまとって」
など、説明風になってしまい、詩語にまで到達していない。どうせ七語調をとるなら、文体も
擬古文でいったら、もっとオドロオドロしさが出るのに。たとえば、添削するなら、
「無数のざわめき」→「五月蝿(さばえ)の声明(しょうみょう)」、
「人の骨も」→「骨(かわら)の一片(ひとかけ)」など、古語や仏語を多用すれば
もっと雰囲気がでるはず。

608 名前:C ◆7sqafLs07s  [sage] 投稿日:04/11/06(土) 18:15:08 ID:l9N+m/jw
>>543 特撰キンバエ
出だしの七五調が描写の過酷化とあいまって少しずつ崩れていき、
最後に無常観を打ち出すときにはそのリズムもまた無常になっている。
やや古めかしい語調に対してこの構成は作者の心意気を充分に感じさせる。
ただしこの詩は物語のエピソードとして(特に付記のように)
つけくわえられるべきものではないだろうか。
このようなスタイルの詩が想像の世界へ人を導くためのものであって、
なおかつそこから読む側の世界が広がっていくものだとすれば
この詩のイマージュは作者の内側で完結してしまっている。





普遍草原



ドンキホーテも進んだそこを
ゆっくり歩くだけでどんどんと狂気の沙汰に成り得る
自己悦に浸りながら

何処の誰か知らないけれど
切り開かれた道を
どんどんと進むだけで
何処の誰か知らないけれど
此処の俺に成り代わっていく

嗚呼 全部自分に成っていく

裏返った香車はもう真っ直ぐに走れない
用意された道は沢山在る
ゆっくりと歩く事しか出来ないけれど

何れ龍に辿り着く事が出来る
其れが例え風車で在っても
信頼する馬は居ないけれど

常に誰かの道を歩いて居るのだろうか


545 名前:普遍草原 [sage] 投稿日:04/10/29(金) 19:16:49 ID:rD0AYggW


【コメント】

596 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e.  [ ] 投稿日:04/11/04(木) 20:51:07 ID:PGEl5y3V
>>545 ドン・キホーテと将棋盤をフレーバーにして、みんなの歩いた道が普遍
草原なのかな。タイトルは魅力的なんだけど、内容に意外性がないかなあ。

598 名前:名前はいらない [] 投稿日:04/11/05(金) 04:26:47 ID:DtJw8NJV
1点 >>545 :普遍草原 :
  ドンキホーテを借りて、ドンキホーテしか飛び込んでこないかなぁ……

607 名前:C ◆7sqafLs07s  [sage] 投稿日:04/11/06(土) 18:02:24 ID:l9N+m/jw
>>545 普遍草原
どんどんと進む「俺」は猪突猛進の印象だ。一方「俺」はその道に対してある種の疑いを持っている。
この矛盾に対しドンキホーテを持ってきたとすれば説明的すぎるような気もする。
さらに盤上「香車」を動かしたのは今回のテーマにおいて「歩」の次にありがちな選択ではある。
しかし偶然だろうがイラクで人質になった「香田」氏のことも連想させて
危険で無意味な「自分探しの旅」を想起させもした。
砂漠生まれの宗教に生きる人々と僕達との差に関連して、取ってしまえば相手の駒はもう使えないチェスと
それを自分の駒として活用できる将棋との差、そんなことも考えたくなる。


【得点】 1点
  • ななほし ◆lYiSp4aok.:1点





危ない道



どうせ
悲しくなるんだったら
耳も
目も
邪魔なものかもしれない
でも
それと引き換えに
楽しさを得るのだろう

人生はまるで道のようなもの
平坦じゃつまらない
たまには山の鎖場のような
危ない道を歩きたくなる

きつい坂道や
息の切れる峠も
終わったあとの感激のために
苦しみがあるのだから

時には人は危険な道を
あえて選ぶときもある
危険のおまけの
激しい胸の緊張の
鼓動を求めようとする


546 名前:危ない道 [sage] 投稿日:04/10/30(土) 08:11:06 ID:tiyz2bL1


【コメント】

607 名前:C ◆7sqafLs07s  [sage] 投稿日:04/11/06(土) 18:02:24 ID:l9N+m/jw
>>546 危ない道
どんな事態が人生を空虚にするだろうかと考えたとき、個人的にはこう思う。
「それは意外な失望や予期せぬ絶望ではなく、むしろ予想どおりもたらされ続ける希望なのではないか」
もう少し押し進めればこうなる。「予想がつく人生ほど空虚なものはないのじゃないか」
「ありとあらゆる災いのつまった箱」の底にあったのは「希望」だったことをどう解釈するかの問題だ。
この詩を読んだとき気になったのは「それと引き換えに/楽しさを得るのだろう」とか
「終わったあとの感激」「危険のおまけ」などの予定調和的な感じ方だ。
これは幸福のみならず「危険」の範囲までもが予想済みだからこそ出てくる所感なのだろうか。

917 名前:てるあき ◆DDfwggPC..  [sage] 投稿日:04/11/07(日) 19:12:43 ID:45o5oBlu
危ない道を書きました

このごろスランプ発生中
早く抜けたい今日この頃





突堤



この道は
夕暮れの港湾へと続き
また拡張する大樹へと続く
静まり返った工場に沿っては
常夜灯が雪に浮かぶ駅前へと入り込む
寒村の児童公園の小さなブランコを臨み
山に分け入れば廃線のひび割れた枕木を踏む
あばた面の野球少年と彼が想う一人の少女の家を繋ぎ
あるいはまたその少年を産んだ女の墓にも繋がっている
死んだ女がその昔に とある男と出会った広場へとも いまもまだ繋がっている
エントランスの雑踏は雨に濡れ
線路沿いに野球場の歓声が聞こえる
倒れた老婆を横たえるあぜ道に続き
彼女を探す家族の呼び声が聞こえる
車のライトに照らされた獣は足が竦んでいて
土産物屋の軒先から落ちた人形が日を受けている


コスモスが咲いている
マンホールから音がする
入浴剤の香りがたちこめ
子供らの声が響き渡っている
半裸の女がベランダに立っていて
葬式の花輪が並んでいる
この道は目の前を続き
その向こうへなおも続いている
誰もが行けるこの道に全てはあり
それはこの道を行けば分かる
アスファルトが途切れ砂利が空を指差し黒土が波打っては海岸へとひらけ
道は街路樹の花を静かに見上げ
道は月明かりに粛々と照らされ
道のどれもが未知でありしかしここで今確かにただの道であり
伸び広がって交わって重なりどこまでもどこまでも続いている
誰もがこの道を行ける日は続きこの道はその向こうへなおも続く
お前よ 今夜胸を張り世界の突堤たる地面に丁寧に新たなる一歩を捧げよ
雑草が伸び街灯に照らされ
風が吹いている


547 名前:突堤 [sage] 投稿日:04/10/30(土) 16:38:00 ID:+c8Kov8Y
548 名前:突堤 [sage] 投稿日:04/10/30(土) 16:38:38 ID:+c8Kov8Y


【コメント】

596 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e.  [ ] 投稿日:04/11/04(木) 20:51:07 ID:PGEl5y3V
>>547-548 イタリア映画みたいな、静かで明るい情景描写。ワンテイクでじー
っと撮影してるようで、生活感もあって、味わい深い。詩の終わらせ方には、
一工夫いるのかも。

598 名前:名前はいらない [] 投稿日:04/11/05(金) 04:26:47 ID:DtJw8NJV
1点 >>547-548 :突堤 :
  なんかきらっとするフレーズが有る。突堤という突き出した黒っぽい一物の
イメージ?? ……なら、読み取れないフレーズも黒さの象徴??

601 名前:名前はいらない [] 投稿日:04/11/05(金) 12:33:26 ID:DtJw8NJV
3点 >>547-548 :突堤 :に、変更おねがいします。(読んではいけない、絵画的な詩だと思いました)

604 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY  [catwalk7@nifty.ne.jp] 投稿日:04/11/06(土) 01:28:24 ID:goCZLDPA
>>547-548 突堤
  パンチパンチパンチ。ポエジーのラッシュ。すべて胸にクリーンヒットする。人の生死、一生の
場面場面をフラッシュして、一本の道に収斂させるとは。お手際、見事。すべての道はすべてに
繋がるリゾーム。全編、海のにおいがする。最終行の「風が吹いている」は海からの風だろう。
人間の来し方、行く末を暗示させる海の気配まで感じ取らせる作者の詩世界の奥行きの深さは
計り知れない。
  ホントにうまくて頭きちゃうから、あえて揚げ足取りしましょ。マンホールは表の現れないカネ、
モノ、ヒト、情報などの地下世界を暗示しているんだろうけど、ちょっと見え見え。詩は計算して
書くもんじゃない、と一言いじわる言っときます。

607 名前:C ◆7sqafLs07s  [sage] 投稿日:04/11/06(土) 18:02:24 ID:l9N+m/jw
>>547-548 突堤
寂しさ侘しさ多少の不気味さの中に見える絶対的な「生」の意思もしくは定め。
小説ではあるが中上健二の『岬』を連想した。あれほど暴力的でも泥臭くもないけれど、
そのかわりに全てを風景のように語る視線がより過酷でなおかつとても効果的だと思った。
……思ったのだが、「誰もが行けるこの道に全てはあり/それはこの道を行けば分かる」
「道のどれもが未知でありしかしここで今確かにただの道であり」
これらの部分だけ作者の物思う姿が見えてしまった。豊かに構築されていた世界が一瞬、見えなくなった。
充分に描写された世界は思想を含包すると思うので世界を描ける人は思想を持ち込む必要がないと思う。
読者へのサービス精神かもしれないが、この詩の描写は充分に思想を浮かび上がらせていると感じた。

9 名前:GON ◆rOo2fYBBKk  [] 投稿日:04/11/07(日) 03:13:26 ID:iY+I3FrU
「突堤」書きました
Alniteさん議論スレでの言葉耳が痛いですスイマセン
急に忙しくなってポエム大会審査は頑張ったけどこっちはやれなかったです
次々回あたりから審査も頑張りたいと思っとります

道というものの人に対する過酷さ、みたいなもの書きたかったんでCさんの評、嬉しかったです。
海、回帰がムジナさんに伝わってたことも嬉しかった。

うだうだすいません。
次のお題は「1」。一でも①でもNo1でもとにかく「1」なら、ってことで。


【得点】 10点
  • ななほし ◆lYiSp4aok.:3点
  • MUJINA ◆iXws.WGCLY:3点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点
  • C ◆7sqafLs07s:3点





そら開拓史



 ーーーーそれはどこ?

猫がよこぎります

 ーーーーそれはどこ?

ここは西暦3×××年
人類もついに空を飛べるようになりました
正確に言うと反重力装置 それが発明されたわけです
というわけで車も家も野球球場も全て空
地上がいっぱいになってからはすべて空に作られます
空の土地の値段 矛盾しますが 
つまり空の空間の値段は 地上のなんと100倍 
お金持ちしか買えません 普通の人は国の公共の空間を使います
さぁ 少したってみなが空を利用しはじめてからは
地上と同じように規則が作られます
そう交通ルール 空にも道ができ町並みが作られていきます

だから最初にだした問いの答えは 「道」もしくは「空の道」

どこにだって道はひらくーー  誰の言葉でしたっけ?

ここは西暦4×××年

プルルルルルルル プルルルルルルル
あー空にはもう空いてる空間がありません
無限にあるように思えますがもうないんですってば 

いったい誰だ 反重力装置なんて作ったやつは
地上で暮らしてたほうが よかったじゃねぇか
雲の上に 町をつくると雨がふらないし
雲の下に つくると 地上の住民が文句をいいやがる
なんだ日照権っていうやつか それがあるからいけねぇんだ
こんだけ科学が進んだんだから 人口太陽でも買えってんだ
たしかにあれは高いけどよ 500年前には 地上vs空で 戦争したんだろ
なにか学ばなかったんか 俺らのご先祖様は まったく 

プルルルルルルル っち なんだまた電話か 俺の仕事は空の開拓工事だっての
もう用済みだからって 事務にまわらせやがって 
はい はい こちら 「そら管理局」  え なんだって
反重力装置が壊れた 予備はーー ぜんぶ 壊れたぁ おい どうするんだ
こりゃ やべぇな 空にあるもの全て地上へまっさかさまだ
これが「テンペイチイ」ってやつか ちょっと違うか
ってそんなこと考えてる場合じゃないな オレも地上の藻屑かーーー
ってことは 地上のやつらも死ぬんだよな ん 人類滅亡ってことか
うわぁぁぁぁあぁーーーーー


ひらいた道は必ず閉ざされるーー こんな言葉ありましたっけ?


549 名前:そら開拓史ー1 [sage] 投稿日:04/10/30(土) 19:22:49 ID:HWgmzQlg
550 名前:そら開拓史ー2 [sage] 投稿日:04/10/30(土) 19:23:32 ID:HWgmzQlg


【コメント】

596 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e.  [ ] 投稿日:04/11/04(木) 20:51:07 ID:PGEl5y3V
>>549-550 構成に妙あり。時々コメントのように挟まれることば、電話の音、
猫がよこぎったり、それらがいちいち効果的です。他愛ない話といってしまえ
ばそれまでですが、明るめのテイストが詩全体を包んでいます。

598 名前:名前はいらない [] 投稿日:04/11/05(金) 04:26:47 ID:DtJw8NJV
1点 >>549-550 :そら開拓史ー1 :
  面白い。……けど、ナンセンスでもないし、ストーリーでもない。破綻するが、
もともと、成立していない……とも感じる。まあ、おもしろいから……いいっか?

603 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY  [catwalk7@nifty.ne.jp] 投稿日:04/11/06(土) 00:50:12 ID:goCZLDPA
>>549-550 そら開拓史
  起承転結がしっかりしている。難を言うなら、もう少し冒頭のクイズを工夫する余地がある。
学生時代、スペースオペラにはまって、ペリー・ローダンシリーズを読んでいた。その中に
反重力装置が出てきたっけ。ネタ自体に目新しさはないやね。挿入しているアフォリズムは
軽くてまずまず面白い。もっといくつかアイディアを詰め込むとオリジナリティーが出て
好感度UPだった。

608 名前:C ◆7sqafLs07s  [sage] 投稿日:04/11/06(土) 18:15:08 ID:l9N+m/jw
>>549-550 そら開拓史
SF(に限らずジャンル文学、カテゴリ表現)的な用語を持ち込んで表現をするときには、
そっち方面のマニアの目を気にするべきだと思う。
反重力装置というタームを見ただけでどうしても集中力が切れてしまう。
詩の運び方はビートルズのマジカルミステリーツアーを思い起こさせ
ユーモアもリズム感もあって良いと思うがどうもいかん。
イメージが反重力装置にまつわるエトセトラを巡って勝手に動き出し
反重力装置が壊れた?そりゃ壊れるだろうさ。なんて感じで収拾がつかないのだ。
……SFマニアではない人の評を読んでみたいと思った。


【得点】 1点
  • ななほし ◆lYiSp4aok.:1点





道化



さあさ
寄ってらっしゃい
見てらっしゃい

目の無い獅子の悪夢
耳の無い兎の空耳
舌の無い猫の巻舌
足の無い象の地団駄

ワタクシ
進行役の道化者でございます
背負ったこぶは永久なる保存食でございます

よくぞお集まりの皆々様
あなた方こそどうかしているのでございます(爆笑)

さあ 最後が今から始まります


551 名前:道化 [sage] 投稿日:04/10/31(日) 05:13:18 ID:Sz1CZWly


【コメント】

599 名前:ななほし ◆lYiSp4aok.  [] 投稿日:04/11/05(金) 04:30:31 ID:DtJw8NJV
1点 >>551 :道化 :
  ちょっとぞくっくっと、した。一気に読み終わる。

608 名前:C ◆7sqafLs07s  [sage] 投稿日:04/11/06(土) 18:15:08 ID:l9N+m/jw
>>551 道化
単純に、夢を見るのは「目」なのだろうか、という疑問が浮かんでしまった。
それと(爆笑)はこのような詩の表現として不適切じゃないだろうか。()が読む側の心にクッションを置く。
で澁澤的もしくは乱歩的もしくは寺山的な怪しい見世物小屋の雰囲気に対して精神が拒絶の動きを始めてしまう。
アングラと呼ばれるような芝居を愛する人間としてこの詩の雰囲気には愛着を感じるのだが、
「見世物を見ているようで実は道化に嘲笑されている自分」を演じ続けることが出来なくなってしまって残念だった。
道というテーマに道化を持ってきたその着眼点だけでも評価したいのだが
好きな方向性のものにはやはり完璧を期してしまう。

926 名前:心霊写真 [sage] 投稿日:04/11/08(月) 00:13:23 ID:9qz31Ji1
失礼します。
審査の方々、ありがとう&お疲れ様です。参考になります。

ごめんなさい。三つ投稿してました。題出した手前、
投稿の少なさにびびって思わず奮起の気持ちで(言い訳)
もうしません。ほんまごめんなさい。

ななほしさんへ >>557「地の果て」書く方もするっと一気書きでした。 
Canopus さんへ >>574->>581「夢の住人」どうにもまとまらず無念です。
Cさんへ    >>551「道化」にわかアングラ好きの甘さが詩にも出たようです。
MUJINAさんへ  難しい題出して後悔。一本道」って曲聴いてて皆の道を読みたくなり。

GONさん、Canopusさん、固有値の作者さん、おめでとうございます。
誰がどれを書いたかって結構楽しみ。全員後書きしたらなあ。。。


【得点】 1点
  • ななほし ◆lYiSp4aok.:1点





むかしの言葉



むかしの言葉には形があった
むかし――
と言っても
いつのことだろうか
わたしがまだ子供の頃
夕焼け空が血の色をしていた頃
道がアスファルトで被われる前
土埃の呼吸をしていた頃
言葉は確かに手にとることができた
手にとれば触感が直に伝わってきた
丸い言葉
尖った言葉
四角い言葉
ゴム鞠のように飛び跳ねて
投げればまた手許に返ってくる言葉

  青森のりんごは
  赤いりんごがたくさんとれて
  一個とれて
  二個とれて
  三個とれて――

道の真ん中で
女の子たちとむかし歌ったこの歌は
縄を飛んで地面に手をつくと
真っ赤に熟した津軽りんごの
甘い芳香と一緒に
ゴロゴロとした
りんごの丸い手触りが
返ってきたものだった


言葉からこうした手触りが失われて久しい
いまの言葉は
つるんとしていて
まっ平らで
触るとベトつく
いまの言葉に触れるたび
わたしは
ナメクジでも触ったような心地かして
急いで手を引っ込める
こういうときに使う
ぴったりの言葉がむかしあった
えんがちょ カギ閉めた


552 名前:むかしの言葉 [] 投稿日:04/10/31(日) 09:50:30 ID:IYbHdMXQ
553 名前:むかしの言葉(続き) [] 投稿日:04/10/31(日) 09:56:34 ID:IYbHdMXQ


【コメント】

598 名前:名前はいらない [] 投稿日:04/11/05(金) 04:26:47 ID:DtJw8NJV
2点 >>552-553 :むかしの言葉 :
  昔の言葉は形があったのかぁ……だから良く目に飛び込んでくるのかぁ……

610 名前:C ◆7sqafLs07s  [sage] 投稿日:04/11/06(土) 18:53:53 ID:l9N+m/jw
>>552 むかしの言葉
言葉はそのままではただの記号なのであって、感情や記憶やその他あれこれ捏造されたものが附加されて
ようやく「触感」を得るものだと思う。その点で「いまの言葉」にもそれぞれ特有の感覚がある筈だし
その手触りに違和感を覚えたとして、それを「えんがちょ」してしまうことは
それこそ言葉達が敷設してきた「道」を自ら終焉させてしまう行為ではないだろうか。
ある言葉が別のある言葉を拒絶した時こそ、繋がっていたはずのすべての言葉は分散し、
それぞれの記憶の中で死に絶える。そうやって言葉を殺すくことは、ナメクジに触ることよりも危険だ。
不意にナメクジに触ってしまったときのあの素っ頓狂な声だって、やっぱり大切な「言葉」だろう。
むかしを知る者が今との接触を拒んだら本当に「失われて」しまう。今しか知らない者に手段は無い。

907 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY  [catwalk7@nifty.ne.jp] 投稿日:04/11/07(日) 12:29:31 ID:hsiL4W56
やはりGONさんでしたか。すっかりチャンプの常連となりましたね。おめ、です。
準チャプの両人もおめ、です。そして、みなさん、お疲れ~。
今回「むかしの言葉」を書きました。ななほしさん、サンクスです。
Cさん。本格派の速球投手……じゃなかった、
強肩捕手の登場を歓迎します。私の詩への評は的を射た冷静沈着なものでした。
一言いわせてください。「いまの言葉」の全否定は確かに狭い独善や「むかしの言葉」
への引き篭もりという現逃避しか生まない。それはその通りです。私のやっていることは
現在の制度としてのことばの言語状況に対する批判であって、個々人の思い出、記憶、感情
は詰まった言語行為まで否定するつもりはありません(もちろん、この二つのことばを厳密に
分けるのも難しい、というのも承知の上)。わたしがとるのは弁証法です。「いまの言葉」を
徹底焼尽して、そこから立ち上がってくる火の鳥を求める、というのが私の願いです。
もちろん、そんなことは一編の詩の中では語り尽くすことはできようもなく、読み手も
そこまでわかりようもない。つまり、これからの詩作を通して徐徐に全体像を明らかに
していけたら、と思っています。


【得点】 2点
  • ななほし ◆lYiSp4aok.:2点



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最終更新:2006年12月25日 23:59