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お題 よしこ
開催期間 06/11/17~06/12/09
参加作品数 12
審査員 3人
本スレ 17の779-822
議論スレ 14


【チャンプ】

【準チャンプ】

作品一覧


No. タイトル 作者 点数
781-784 ヨシコ - 1
785 よしこと言えば - 1
786 よしこ -
787-789 11月の雨 鍵盤 1
790 すさみわざ - 1
791 晩酌 - -
792 よしこさん - -
793 よし子さん、曰く - -
807 夕焼けよしこ - -
808 都々逸 - -
809 You're sick of sun, gat all napplez 2
810 じょうだんはよしこちゃん - -

【審査員】
  • 長介ジュニア ◆kuJg2yitX6
  • ◆LeafL/oiO.
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.

【採点レス】

813 名前:長介ジュニア ◆kuJg2yitX6 [sage] 投稿日:2006/12/04(月) 13:49:30 ID:fiJeX0Gt
>>809 You're sick of sun, gat all 1点

817 名前: ◆LeafL/oiO. [sage] 投稿日:2006/12/08(金) 16:03:05 ID:HXUfexSW
>>781-784 ヨシコ 1点
>>809 You're sick of sun, gat all  1点
>>790 すさみわざ  1点

818 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:2006/12/09(土) 00:05:16 ID:ydi6ptU+
1点
>>785 よしこと言えば
>>787-789 11月の雨


作品





ヨシコ



ミーツ(蜜)な豆の痼りの上で踊る伝説のジャイアントパンダとヨシコと俺
姫君の圧倒的な肉体の前にひざまずき、肩甲骨の裏をザラザラした猫舌で舐められる夢を見た
核を保有する隣国に実験中止を求めるクレイジーキャッツと谷ハジメ(一)が実はヨシコの父だった
という設定で僕の中のオンラインゲーム好きもどきが肉の裂ける音に反応してShiftボタンを連打する
究極を言えばヨシコの肉体は熱を帯びた鉛のように艶かしく官能的で、ゴージャスな硫黄臭に満ちた完璧なフェロモンボディで、
合体する度に熊と野良柴と健脚の剛と裕二と郭通いにハマった下駄屋の若旦那の従兄弟のアーノルドの体液を混ぜた匂いに似た匂いがする
とくに襞のすぐ横にある直径1cm程のおできが僕のライオンサーベルの嶺の部分を軽めに刺激するとき、
本当にもう、それは辛抱できないくらい気持ちよくて、あ、あ、あ、あ、あ、あって声が出ちゃうんです。(「エヘ♪」と言って笑顔をつくる)
はははは恥ずかしいいいいいいいいいいいいいいいいい、なんちゃって♪(舌べろペロッ)
あのとき全力で生きた君は今何をしていますかとうちのヨシコが訊けと申しております故、何卒お早めのお返事を下さいますよう
 ーお願いしたい所存でございますすすすすすすすすすすすす。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
学生服と機関銃、14歳の父、目玉カンタービレ、もうひとつの甥……甥?蠅?、え?甥?蠅?どっち?
君は今の公立校の肉体性の無い肉便器ヨシコの状況を憂い、ポマードで固めたレオンラッセルの左の耳の形を変だと言い、
アジアンビューティだか何だか知らないけど結局アジア人はみんな色素が濃くてびろびろの色がどギツイから舐める前に見てしまうと
 ーその色が5歳のときに見た冷蔵庫の奥でカチカチに干涸びたクリスマスケーキのスポンジの部分に発生したカビと同じ色をしていて
 ーそれを思い出す度にその歳の大晦日にお母さんが母子家庭の我が家の経済状態では考えられないほど豪華な料理を作ってくれて、
七面鳥の丸焼きから、グラタン、ラザニヤ、パエリア、トマトソースの子牛の煮込み、貝のスパゲッティ、ルッコラとセロリと緑黄色野菜のサラダ、
三ツ矢サイダーを使ったフルーツポンチ、ワイングラスに入れられたポッキー、GODIVAのショコラなんかもあって、
いったい総額で幾ら掛かってるんだって言うくらいの料理をバーッてテーブルに一気に並べて、
俺はその時はそんなことは考えられないから無茶苦茶喜んでくって食って吐きそうになったけどそれでも無理矢理全部の料理を口の中に押し込んで
 ーそれでやっと一息ついたらお母さんがプレゼントだって言ってファミコンとマリオとか田宮のラジコンとかガンダムのプラモとか
 ーボードゲームやパーティゲームなんかも全部あって、
とにかく夢中で一通り全部開けてやって気づいたら除夜の鐘が聞こえてて、お母さんが最後に外へ行こうって言って、
玄関を開けたら真っ赤なピカピカの25インチのマウンテンバイクが停めてあって、大きくなったらこれに乗ってどこへでも行けるわよって言われて、
俺は嬉しくてピョンピョン跳ねて股がったり空ペダルを思いっきり漕いだりして、お母さんありがとうって言ったらお母さんがワーッて泣き出して、
幸ちゃんちょっとだけこの自転車貸してくれる?って言って、玄関の外に知らないおじさんが緑のマウンテンバイクに股がってて
 ーお母さんは俺の赤いマウンテンバイクに乗ってその緑のマウンテンバイクのおじさんと一緒に除夜の鐘が聞こえる中どっかへ行ってしまって、
俺は30分くらい外でずっとお母さんの帰りを待ってたんだけど、さすがに寒さに耐えられなくなって家の中に入って、
部屋中の電気とテレビを付けて、CDプレーヤーもかけて、掛かってきたのはどこか知らない外国のたぶんジプシーかなんかの女の人の声で、
その声は直接的ですごく強くて、テレビでN響の第九が結構でかい音で掛かってたんだけど、そんなものよりもずっと強くて、耳から脳の奥の裏側の部分に
 ー直接引っ付くような感じで俺の中に留まって、それで俺はなぜかわからないけどお母さんは必ず帰ってくるって気持ちになって、
朝までベッドに入らず待ってたんだけど結局お母さんは帰ってこなくて、お腹が空いて冷蔵庫開けたらカチカチのカビの生えたクリスマスケーキがひとつあって、
そのカビの部分の赤黒い色がアジア人のびろびろの色と同じに見えてしまうから、それを見るとその時のことを克明に思い出してしまって
必ず泣いてしまうから、俺はアジア人の女にクンニリングスをすることが出来ないんだ。
と片腕を先週末に在日朝鮮人の男たち5人にリンチに遭った時に折られた君が半分冗談だよという風な言い方でマジな顔をして話しているのを
 ー隣の席でヨシコが泣きべそをかきながら聞いていたことを思い出すのですうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。。。。。。。。。。。。


781 名前:ヨシコ 1/2[] 投稿日:2006/11/17(金) 10:16:34 ID:Zw7P5gg9
782 名前:ヨシコ 2/4[] 投稿日:2006/11/17(金) 10:17:07 ID:Zw7P5gg9
783 名前:ヨシコ 3/4[] 投稿日:2006/11/17(金) 10:18:26 ID:Zw7P5gg9
784 名前:ヨシコ 4/4[] 投稿日:2006/11/17(金) 10:19:01 ID:Zw7P5gg9


【コメント】

817 名前: ◆LeafL/oiO. [sage] 投稿日:2006/12/08(金) 16:03:05 ID:HXUfexSW
>>781-784 ヨシコ 1点
中盤のお母さんがでてくとこが記憶に残って1点
全体には整合性のない文脈が(つまり手紙?あの枕はサービス?)
整合性のないというところが味なのだろうなあと思いつつ。味にするには
中途半端に辻褄があってて微妙な気分。

107 名前:長介ジュニア ◆kuJg2yitX6 [sage] 投稿日:2006/12/04(月) 13:47:19 ID:fiJeX0Gt
>>781-784 ヨシコ
勢いよく一気呵成にしゃべり倒しておる作品でござるな。
書き手が気持ちよさそうなので読むこちらにも爽快感がござるよ。
具体的な響きを持つ名詞がぶんぶん飛び交う面白さを
虚心坦懐に味わう作品でござろう。
ただ、最終部分で少し息切れしている気もいたす。


【得点】 1点(準チャンプ作品)
  • ◆LeafL/oiO.:1点





よしこと言えば



いつだったかな
小学校の2年生の頃だったと思います
僕はあまり頭の良い方では無かったので
学校のテストとかどうでもいいと思っていましたので
それこそそんなことよりも牛栓を使ったメンコで
どの牛乳が一番硬くて強いのかを
むしろそのようなことを脳みその半分は使っていたころの事だったと思います

それはまさに事件でした
僕よりも頭の悪いそれこそガキ大将という言葉が
ぴったりとあてはまる隣の席の男です
彼がまあいつものようにテスト返しの場面で
「俺2点やったわ。(10点満点の漢字テストでした)またおかんに怒られるわ」
と僕に答案を見せてきましたのでパッと見てみましたら
×は8つもちろんのこと並んでおりましたが
○が3つ打たれていたのです
名前の欄に花丸がそしてコメントも「よくかけました」と

私はその日駆け足で家に帰って行き
お母さんに自分の名前の漢字を教わり
何度も何度も練習して
さらには名前の由来にまで興味が湧き
お母さんとお父さんの馴れ初めを聞いたのでした

昭和63年12月
第二の人生が始まった思い出の漢字テストは
今でも実家の思い出箱(お道具箱)に
大切にしまってあります
先生のコメント
「良く書けました」
勝ったと思いました


785 名前:よしこと言えば[] 投稿日:2006/11/17(金) 22:10:14 ID:cJtG7SSL


【コメント】

818 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:2006/12/09(土) 00:05:16 ID:ydi6ptU+
1点
>>785 よしこと言えば
何が気に入ったって、よしこのカケラもはいってないとこ。即興っぽい。


【得点】 1点(準チャンプ作品)
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点





よしこ



パラダイス銀河で半透明のヒップ
放屁を促す視線にアクメ
1×2×3×孤児=よしこ
生まれたガキンチョ、めないめないバァ
さいきょうの後方差しは4角先の天国
思い出を追い込め寝台列車
愚れたまんまの窃盗団、仕送り東京ネオン街
乳首総立ちショーウィンドゥ
逃げるなよしこ時計がリンドン狂ってる
フラッシュの嵐で紙ふぶき
夢が回るよ回転木馬
死んでもともと東北生まれの訛りん子
帰りの切符がうまく買えません
カモメの嘘吐き財布の小銭
不幸を数える片手間人生
春の見舞いを待てないままに
よしこは源氏名グラスの紅を拭き取らないで
本名:奥喜久子



786 名前:よしこ[] 投稿日:2006/11/18(土) 00:47:08 ID:vztdDMRY


【コメント】

817 名前: ◆LeafL/oiO. [sage] 投稿日:2006/12/08(金) 16:03:05 ID:HXUfexSW
>>786 よしこ
ストリップショーっぽい。が、源氏名とグラスがあるので水商売?
言いきりのイメージの羅列で続けられた詩行がきもちいい。
最後がレトロ。少々ありきたり。

107 名前:長介ジュニア ◆kuJg2yitX6 [sage] 投稿日:2006/12/04(月) 13:47:19 ID:fiJeX0Gt
>>786 よしこ
これも、ひねった表現と軽快なリズムが楽しい作品でござる。
そういう詩としてよく出来ていると感心いたす。
ここに出てくる「よしこ」の人物イメージは
ややステロタイプにすぎる気もするのでござるが…
ステロタイプだから面白い、という部分もござるな。

117 名前:北 ◆FUCKcjokcg [] 投稿日:2006/12/10(日) 00:03:14 ID:6WJ2rW3S

こんばんは
よしこを書きました。みなさんおつかれさまでした。

ところでお題について、よしこに特定のイメージはありません。
それぞれの中でのよしこを書いて欲しいと思ったからよしこにしました。
例えば「林檎」ならば、みんなが知っている林檎に容易に接近することができるけど、
「よしこ」ならみんなが知ってる一人の共通する「よしこ」はいないので、
「お題よしこ」という名の白いキャンバスに自由に書けると思ったのです。
それはそのキャンバスの名が既に「よしこ」なので例えば魚を書いても緑を書いても
よしこから完全に離脱することはできないという意味です。
よしこに対しての一般的な共通点を模索するのではなく、どんどんよしこから
離れていってもらっても、オレ的には面白かったと思います。

嗚呼、よしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこ
     よしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこ
     よしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこよしこ

    よしこ、貴女は今どこにいますか?





11月の雨



11月の雨が細く降りました
僕は自転車のチェーンが錆びるのを待っています
膝を抱えて 団地の薄暗い電灯からも隠れるように
無造作に並べられた自転車置き場で
チェーンが錆びるのを待っています
でこぼこコンクリートは雨の色に染まり
黒いマジックテープのスニーカーだけが
僕の唯一のトモダチで
左より右の靴のほうが汚れていて
所々擦り切れていて
そこに運動場の土や砂場の砂や
夕焼けに焼かれる土手道の草の汁なんかが
染み付いてこびり付いて
取れやしない

学校の先生は
僕が風邪をひいて学校に行けない事を知れば
歯ブラシみたいに綺麗に揃えた胡麻塩ヒゲから
青み掛かった歯茎をちらりと見せて
笑うに違いない
モリシタ特有の嫌味な笑い方で
そして顔はまだ笑ったまま声だけは残念そうに
「お大事に」なんて言うんだ 僕の母に向かって
母は申し訳なさそうに「すみません」と謝るんだ
僕はその電話を熱にうなされながら聞いているんだ
きっとそうだ
市営団地の4階で
シールを剥がした跡でいっぱいの冷蔵庫の隣で
母が仕事の支度と僕の昼ごはんのおかゆを用意したその後に

ヨシコは車に轢かれて死にました
チコちゃんに給食のパンを届けに行った帰りに
内臓が滅茶苦茶に壊れて死にました
雨でした
お葬式の時ばぁちゃんが
「綺麗な顔してるさかいタクもヨシコにさよなら言い」と
僕を棺へ連れて行き僕が覗き込んだら
ヨシコは生きている時よりも小さくて
何かを吐き出しそうな感じに口の下が膨らんでいて
でも目は寝てる時と同じうっすら閉じたまま
白くて 小さくて 眉毛がすらりとして 
母は泣いてばかりで 僕も2・3滴泣いて
誰もが皆泣いていて
チコちゃんもチコちゃんのママも
ヘイジもヘイジのお父さんもみんな
ヨシコの担任のカジ先生も校長先生も教頭先生も
みんなみんなみんな
泣いてないのはヨシコだけ

雨でした
僕はひとりでテレビを観ていて
暗いから電気を点けてヨシコを待っていて
車を運転していたのはペンキ塗りの男で26才の男で
お酒を飲んでヨシコを轢いて
そいつは
そのまま逃げてイズミヤの交差点で違う車とぶつかって
頭の骨を折って入院してそのまま刑務所
作文に「刑務所から出てきたらナカオカジュンイチを絶対殺す」と書いたら
モリシタが「こういう事を書いてはいけません」
モリシタもヨシコが死んだの知ってるくせして
ナカオカジュンイチがヨシコを殺したの知ってるくせして
悔しくて唇が震えてこんな顔をモリシタに見られたくなくて
下を向いてゴミ箱があってその中に明治チョコレートの紙くずが入ってて
ゴミ箱を蹴って「うるさい」とモリシタに怒鳴って
廊下を走って

――――――――――――――――――――――

なぁヨシコ
雨なんて降らなきゃいいのにな
雨なんて降らなきゃいいのにな

――――――――――――――――――――――

僕は待っています
自転車のチェーンが錆びるのを
雨が降らない日が来るのを


787 名前:11月の雨 1/3[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 00:25:52 ID:yYeybLzr
788 名前:11月の雨 2/3[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 00:27:11 ID:yYeybLzr
789 名前:11月の雨 3/3[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 00:28:13 ID:yYeybLzr


【コメント】

818 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. [ ] 投稿日:2006/12/09(土) 00:05:16 ID:ydi6ptU+
>>787-789 11月の雨
冗長だし粗も目立つけどね。細かいディテールが光彩を放つ。

107 名前:長介ジュニア ◆kuJg2yitX6 [sage] 投稿日:2006/12/04(月) 13:47:19 ID:fiJeX0Gt
>>787-789 11月の雨
力作でござる。ストレートでござる。言葉にも力があるでござる。
しかしながら、こういう主題の作品では
もう少し言葉を抑えた描き方がよいのでは、と拙者は思うでござる。
これは、拙者の好みの問題やもしれぬ。

114 名前:鍵盤 ◆ztekc0mEGk [sage] 投稿日:2006/12/09(土) 12:18:16 ID:BiUlfamu
あ・・・・。「十一月の雨」を書きました・・。ちょっと風邪気味の鍵盤です。
久しぶりに読み返すとひどい作品を書いたもんだ、とちょっと反省してます。
もちろんフィクションです。登場人物は全て架空の存在です。はい。

「よしこ」ってやっぱ薄幸の少女のイメージがありますねぇ。
「蛍の墓」の「セツコ」とどこか似てるからでしょうかねぇ。
まぁ、そのままのイメージであえて冒険もせずに書いてしまいました。はい。


【得点】 1点(準チャンプ作品)
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点





すさみわざ



萎えごとをもらしてはひえ溜まり
布団はしめり重くかかる
なさけ古い女のつかれことばに
あさい流れわく
ゆめは葦はらをめぐりてはれ
みちゆきて、きえて青 
醒めてくらがり、そぼふる音のみ
におい濡れてつめたく なめ肌のぬくきをたより
こごえつつ なきわらいなく身をよせる


790 名前:すさみわざ[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 14:39:25 ID:VgSuGwBH


【コメント】

817 名前: ◆LeafL/oiO. [sage] 投稿日:2006/12/08(金) 16:03:05 ID:HXUfexSW
>>790 すさみわざ  1点
なさけ古い女 というとこでやや狙いすぎか、ちょっと立ち止まってしまった。。


【得点】 1点(準チャンプ作品)
  • ◆LeafL/oiO.:1点





晩酌



三軒隣の田村のおじいちゃんは背筋のぴんとしたひとで
俺らみたいな近所の悪がきをちゃんと叱ってくれる珍しい大人だった
だけど愛犬にはベタぼれで犬に「よしこ」って名づけて可愛がっていた
普通犬っていったらポチとかコロとかなのになぜか「よしこ」で
「よしこ」も嬉しそうに尻尾振って「わん!」って返事してた
雑種みたいだけど躾も行き届いてて賢そうな犬だった

夜、塾の帰り道に田村のおじいちゃんちの前を通るといつも
おじいちゃんはお酒を片手にお酒持ってないほうの手は「よしこ」の頭を撫でて
縁側で「よしこ」に話しかけてた
頭を撫でられた「よしこ」は返事をするようにゆっくり尻尾を振っていた
俺が塾をやめるまでいつもおじいちゃんと「よしこ」のいる縁側を通り過ぎていた

しばらくして夜の縁側のことなんて忘れてたころ
田村のおじいちゃんは肺炎をこじらせてあっけなく死んでしまった
お葬式は立派に行われて近所だったからうちの親もふつうに参列した
そのときに聞いてきた話によると「よしこ」は6年前に他界した奥さんの名前だったらしい
犬になった「よしこ」は毎晩、おじいちゃんの晩酌の相手をしていたんだ
そう思うと夜の縁側は特別な場所だったような気がしてきた

この前のl日曜日の昼間に田村のうちの前を通ると「よしこ」のとなりにもう一匹犬がいた
茶色い耳のピンと尖った犬で名前は「きいちろう」というらしい
2匹は夫婦みたいに寄り添ってその縁側にいた

きっと夜になるとこの縁側で2匹は晩酌をしているのかもしれないと思った


791 名前:晩酌[sage] 投稿日:2006/11/21(火) 16:06:19 ID:Im1anfj9



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最終更新:2006年12月12日 00:18