梅雨のある一日

梅雨のある一日のこと -- 393 2006-06-20 05:16:30


今日も長い一日が終わった。
最後の平日。明日からは暫くぶりの休みだ。
そういうわけで放課後、気が緩んだ男衆で教室をにぎわしていると・・・。
突然、雨が降ってきた。それも大雨だ。
大慌てで帰る友人一同。俺も・・・と思いきや、珍しく鞄の中には傘が。
これはラッキー。ゆっくり帰ることにしよう・・・。

しかし、いきなりザバーっと降り出してきたな。傘忘れた連中は大丈夫だろうか?
そう思いながら歩いてると・・・
「あれっ、今帰りなの?」
声のした方を見ると、ルキアがいた。
「うわ、○○がカサ持ってる!めっずらし~」
『そういうお前はずぶ濡れで雨宿り中みたいだなw』
「うぅ~っ、今日に限って忘れちゃうんだもん><」
『仕方ないなぁ、入って・・・って、うわっ』
言い終わらないうちに、こちらへ走って傘の中へ滑り込んできた。
「へへー、ありがと!」

傘の中で、ルキアは震えていた。
『大丈夫?』
「うん、大丈夫だよ☆ただ・・・寒くて」
相当濡れている状態。髪も制服も、体にぺったり張り付いていて本当に寒そうだった。
『結構早くに帰ってたもんなぁ。あれからずっとか』
「うん・・・すぐ止むと思ったのに・・・ふぇ、ふぇくちっ!」
『ここからなら、俺ん家の方が近いかな・・・風邪引くから、寄れよ』

『ほいとうちゃーく・・・っておいおい、上がれよ』
といっても、ルキアは玄関に突っ立って上がろうとしない。
「だって、家の中が濡れちゃうよ・・・」
『そんなこと気にするなって。あとで拭いておけば良いんだから』
「でっ、でもぉ」
『~~しょうがないなぁ・・・』
急いで風呂場へ向かう俺。できるだけ柔らかいバスタオルを選んで、また玄関へ戻る。
『ほら、これ使いな』
「ん、ありがと・・・ふぇくちっ
・・・うぅ~、体がベトベトだぁ><」
『うーん・・・風呂使う?』
「うん・・・お願い」

ということで、風呂を炊いた。
「これ、干しといて」
って言われて服を渡されたけど・・・おいおい下着もかよ。制服だけでも気が狂いそうだってのorz
室内につるす。ドライヤーをあてる。・・・本性押し殺すのが大変だった。
「ありがと~、良いお湯だったよ」
『ういうい~って、うは!』
タオル一枚だけ体に巻き付けたルキア登場。着替えがないからそういう格好しかないとはいえ・・・。
『ちょ、ちょっと待ってて!服貸すから!』
「えっ、これでも十分なのにー」
『湯冷めするだろ!w』
とツッコミながら箪笥へ急ぐ。
適当なシャツとズボンを拾って、とんぼ返り!
「あ、ありがとー。でもこれでいいや」
といってルキアが着ていたのは、さっき俺が脱ぎ捨てたカッターシャツだった・・・それは破壊力が!w
「ちょ・・・!やっ、やだ・・・(///)」
元気な彼に気づかれた。もう終わりだ・・・orz
『・・・ホットミルク作ってくる!』
「・・・うん」

とりあえず、目に毒だったので薄い布団を掛けてやった。
ソファの上で丸くなって、ミルクをすすっている。
・・・ついお気に入りのマグカップに注いでしまったんだよな。しまったな・・・
「ん、おいし・・・色々ありがとね、○○・・・あれ?」
『Zzz...』
「あらら、寝ちゃったんだ・・・ごめんね、世話かけちゃって」
(ぱさっ・・・)
「服、乾いてるかな・・・?」

―――――

・・・気がつくと、さっきまでルキアが羽織っていた布団がかかっていた。
しまった、寝ちまったorz
そうだ、ルキアは・・・
「あ、おっはよーw」
ふぇ?
「もうこんな時間だしさ・・・お礼にって、ちょっとキッチン借りたよ」
目の前には豪華な料理が並んでいた。
『こ、これ・・・』
「ごめんね、勝手に使わせて貰っちゃった。でも、おいしいと思うから・・・」
『えっ、いや・・・あれだけの中身で・・・えと』
なんだか自分でも何言ってんだかわからなくなってたw
『あ、ありがとう・・・』
「ううん、こちらこそ。・・・あれっ、ひょっとして泣いてる?」(にやにや
『な、泣いてない!・・・これは、こ、心の汗だ!』
「ぶは!何それ~w」
『ちっ、ちくしょぉ~』
男泣きしながら料理を食べる俺。美味かった・・・ちょっとしょっぱかった。

「雨、止まないね・・・」
止むどころか、どんどん激しくなっていく雨。そのうち屋根を突き破ってしまいそうなくらいに。
『・・・家まで、送っていこうか?』
「えっ、でも・・・」
『良いよ別に。やることないしw』
「うん・・・じゃあ」

そして、すっかり日が沈んだ暗い夜道を二人で歩く。
やはり濡れていないと暑いのだろう。ルキアの額が、今度は汗で濡れている。
『この辺だったよな、ルキアん家』
「・・・・・」
『・・・違った?』
「えっ、いや・・・大丈夫だよ」
なんだか様子がおかしいけど、かまわず先へ行く。そして・・・

『よーし、着いたな。じゃあ、俺は・・・』
「ちょ、ちょっと待って!
・・・暫く、中で待っててもらえるかな・・・」
といわれて、家に上げられた俺。仕方なしに待っていると・・・
「ごめんごめん、お待たせ!」
『おぉー・・・って、何、その荷物?』
涼しげな私服に着替えたルキアが、ちっちゃなボストンバッグをパンパンにしてやってきた。
「へへへ~、準備完了☆さっ、帰ろ!」
『帰ろって、お前ん家ここ・・・』
「ちがうよ~、○○の家!」
・・・なるほど、お泊まりをしたいということですか。
「休みの間、ウチには誰にもいないし・・・。
ずっと雨がふるって言ってたもん。一人っきりは寂しいよ・・・。
ねっ、お掃除とかあたしがやるからさ、お願いっ!」
『・・・まぁ良いけど』
「やったぁ!」(はぐっ
『うわっ、ちょ、苦しい!』
「えへへ・・・じゃあ、ご厄介になりまーす」

そして帰路。
この雨の中なのに、ルキアは自宅から持ち出した傘を差さず、俺のデカい(笑)傘の中に入っている。
『おい・・・ひっつきすぎだって・・・』
「いーじゃない、どーせ誰も通らないもん」
『ま、そうだけどさ・・・』
「ほらほら、そこおっきな水たまりがあるよ!気をつけなきゃー」
歩きにくいことこの上なかったけど、まぁいっか、たまには。
さて、この休みは果たしてどうなる事やら・・・。

名前:
コメント:
最終更新:2006年08月26日 10:55
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。