ファン葉集

西条八十

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
206 :セイラ・マス・大山:2005/12/25(日) 19:48:36 ID:HKMdVvFv
ファンタン、ウリのあの細胞、どうしたんでせうね?
ええ、夏、ソウル大からサイエンスへゆくみちで、
谷底へ落としたあのES細胞ですよ。

ファンタン、あれは好きな細胞でしたよ、
ウリはあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。

ファンタン、あのとき、向こうからノムヒョン大統領が来ましたっけね、
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。

ファンタン、ほんとにあの細胞どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていたムクゲの花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの細胞の下で毎晩韓国人が啼いたかも知れませんよ。

ファンタン、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの捏造写真と、
その裏に僕が書いた
E.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。
※「ぼくの帽子」 (幼児雑誌 『コドモノクニ』 に寄稿)
角川映画 「人間の証明」 で使われたことでも有名。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー