568名前:<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん投稿日:2005/12/22(木)18:15:54ID:IaOxgXLp
京城の黄は博学才穎、二十世紀の末年、若くして名を京城大に連ね、
ついで教授に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところすこぶる厚く、
無名に甘んずるを潔しとしなかった。
学者としての名を死後百年に遣そうとしたのである。
しかし、成果は容易に揚がらず、研究は日を逐うて苦しくなる。
黄はようやく焦燥に駆られてきた。
このころからその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼光のみいたずらに炯々として、
かつて北大に留学したころの豊頬の美少年の俤は、どこに求めようもない
572名前:<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん[sage]投稿日:2005/12/22(木)18:19:36 ID:jeg/4o1x
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、
先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の犬が草の茂みから
道の上に躍り出たのを彼等は見た。犬は、既に白く光を失った
月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に
躍り入って、再びその姿を見なかった。
795 名前:<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん 投稿日:2005/12/23(金) 18:28:56 ID:4q8Iu6dQ
こんなあさましい身と成り果てた今でも、己は、
己の論文が欧米風学者人士の机の上に置かれている様を、
夢に見ることがあるのだ。牢屋の中に横たわって見る夢にだよ。
嗤ってくれ。ノーベル賞を獲りそこなって火病になった哀れな男を
※『山月記』