ファン葉集

森鷗外

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匿名ユーザー

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133 :マンセー名無しさん :2005/12/24(土) 16:42:31 ID:S3iBaJSC
ES細胞をば早や棄て果てつ。
江南の自宅の卓のほとりはいと靜にて、窓外のフラッシュの 光の晴れがましきも徒なり。
今宵は夜毎にこゝに集ひ來る研究室の弟子どもも「保身」に走りて、 偽装問題に殘れるは余一人のみなれば。
半年前の事なりしが、平生の望足りて、BIO研究の官命を蒙り、 ノーベル賞候補まで來し頃は、目に見せるもの、耳に聞かすもの、 一つとして新ならぬはなく、筆に任せて書き記しつる論文ごとに幾千言 をかなしけむ、當時の新聞に載せられて、世の人にもてはやされしかど、 今日になりておもへば、穉き思想、身の程知らぬ放言、さらぬも尋常 ならぬ卵子、さては捏造などをさへ珍しげにしるしゝを、心ある人は いかにか見けむ。
※『舞姫』

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