ファン葉集

太宰治

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
531名前:<丶`∀´>(´・ω・`)(`ハ´ )さん投稿日:2005/12/22(木)17:42:45ID:jeg/4o1x
PD手帳は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の教授を
除かなければならぬと決意した。
PD手帳には政治がわからぬ。
PD手帳は、韓国のTV番組である。
キムチを食べ、犬と遊んで暮して来た。
けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
※「走れメロス」

175 :マンセー名無しさん :2005/12/25(日) 03:33:59 ID:PJQ3yzgS
 第一の手記

 嘘の多い生涯を送って来ました。

 自分には、研究者の生活というものが、見当つかないのです。自分は東北の田舎に生れま したので、研究現場をはじめて見たのは、よほど大きくなってからでした。自分は実験室の培地を、細胞を作って、育てて、そうしてそれが示す興味深い現象を観察するために造られたものだという事には全然気づかず、ただそれは実験室を外国の遊戯場みたいに、 複雑に楽しく、ハイカラにするためにのみ、設備せられてあるものだとばかり思っていました。 しかも、かなり永い間そう思っていたのです。細胞を作ったり育てたりだのといったことは、 自分にはむしろ、ずいぶん垢抜(あかぬ)けのした遊戯で、それは研究室のサーヴィスの中でも、 最も気のきいたサーヴィスの一つだと思っていたのですが、のちにそれはただ研究者がデータを 得るための頗る実利的な道具に過ぎないのを発見して、にわかに興が覚めました。

また、自分は子供の頃、テレビで人クローン技術というものを見て、これもやはり、実利的な必要から案出せられたものではなく、犬の細胞を取ってきて培養するよりは、若い女性から卵細胞を採取するほうが風がわりで面白い遊びだから、とばかり思っていました。

176 :マンセー名無しさん :2005/12/25(日) 03:37:51 ID:PJQ3yzgS
自分は若い頃から捏造に熱心で、よく捏造をしましたが、形ばかりの実験をしながら、滅菌装置、シャーレのカヴァを、 つくづく、つまらない装飾だと思い、それが案外に実用品だった事を、53歳ちかくになってわかって、 培地の黴びやすさに暗然とし、悲しい思いをしました。

 また、自分は、「データがなかなか出ない」という事を知りませんでした。ええ、それは、 自分がデータに困らないほどに実験を成功させていたという意味ではなく、そんな馬鹿な意味ではなく、 自分には「データが出ない」という感覚はどんなものだか、さっぱりわからなかったのです。へんな言いかたですが、実験が失敗していても、自分で簡単にデータを作れてしまうのです。自分が研究室から帰って来ると、周囲の人たちが、それ、データがないだろう、自分たちにも覚えがある、 培地が黴びた時のデータ不足は全くひどいからな、クローン犬はどう? BSE耐性牛も、ES細胞もあるよ、 などと言って騒ぎますので、自分は持ち前のおべっか精神を発揮して、データがない、と呟きながらも、 でっちあげたデータで書いた論文を十本ばかりScience 誌にほうりこむのですが、研究とは、どんなものだか、 ちっともわかっていやしなかったのです。

ーー中略ーー

研究者、失格。
もはや、自分は、完全に、研究者でなくなりました。
※『人間失格』

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー