SF百科図鑑 ロジャー・ゼラズニイ『ドリームマスター』


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2001年

8/28
ゼラズニイ「ドリームマスター」★★★★1/2
ゼラズニイでも最もSFらしいSF。筒井の「パプリカ」と似たネタで、患者の精神に働きかけてイメージ形成しトラウマ除去する精神分析医の話。神話の引用やイメージ借用などが多く、表面的な平易さとは裏腹に極めて難解な作品である。カール・ヨークによる作品分析が巻末についているが、これが出色の出来で、これを読まなければよく理解できなかったと思う。一読しただけではラストの意味すらしかと把握することが難しい。要するに、三角関係によるアイリーンの情緒面の過負荷を見抜けず安易に形成介入してしまったために、アイリーンの形成したイメージに逆に飲み込まれて閉じ込められてしまう、という「ミイラ取りがミイラ」の結末と思われるのだが、最後の「トリスタンとイゾルテ」の引用も原典を知らない身ではよく意味がわからない。恐らく、ゼラズニイ中最も知的で思弁的な最高作と客観的には思うのだが、よく理解もできないものを満点にするのもかえって失礼と思い、敬意を表して半点引きとしたものである。