SF百科図鑑

デイヴィッド・ブリン『知性化戦争(上下)』ハヤカワ文庫SF

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brunner

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1999年

10/15
ブリン「知性化戦争」読み始めるものの、造語が何の説明もなくいきなり出てくるので読みにくい。巻頭に登場種族や言語のリストがあるのだが、いちいち参照するのもめんどくさく、また、ややこしい。しかも、「サンダイバー」「スタータイドライジング」を読まずいきなり3部作完結編(それぞれ話としては独立しているらしいけど)から読み始めているので、ますます分かりにくい。訳者によれば「一読、巻をおくあたわざる」なんていってるけど我ぼめしすぎなんじゃねえの。おれ、しょっちゅう投げ出してるよ。特にサルや異星人の視点から語られる章で、その種族について何の説明もせずいきなり心理描写(しかも、浅い)をされるのには参った。やはり、訳文は分かりやすいのが一番だと思った(最近の訳者は、横着して、横文字を横文字のままカタカナ表記する輩が多いから困る)。あと、擬音語が多いのもいやだな。--ゾオォォン&&って、何だよそれ。擬音語をやたら使う作家にろくな作家はいない。
てなわけで、ブリン長編の第一印象は甚だ悪いのであった。下巻にかけて面白くなるのか? つまらなかったら、怒るぞほんと。
前のホールドマンが、オールタイムベスト級だっただけにねぇ&&比べるのは可哀想な気もするけど。

10/16
「知性化戦争」、読めない! そこに書かれていることに全く興味が持てない。何のために戦争をしているのかさっぱり分からないし、そういう戦争の不条理を描写しようという意図も見えない。つまり単なる娯楽のための戦争描写と思われるところ、致命的なことには、ちっとも面白くなく娯楽になっていない。このブリンという作家とはどうも相性が悪いようである。だいたいこの、やたら出てくる「ウサカルシン」というやつは何者だ? 人間じゃないやつを主人公にするなら、その分、読者は入りにくいのだから、そいつの生活背景や心理の動き(人間のそれとの違い)を克明に描写しないと駄目だよ。そこが浅いから、一覧表まで作ってティンプリー語の造語まで作ってもくだらない戯言にしか見えない。ほんとにこれがヒューゴー賞? っていいたくなる。前のがよかったための御祝儀票が入っているんじゃないのか?
いずれにしてもやっぱり、前の2作を読まずにいきなりこの本は、きついようなので、横着をせず順番に読むことにしよう、あまりにも辛すぎる。多分前のを読んでないためにこの本の描写が不十分で浅く見え、くだらない三流スペースオペラにしか見えないのだ。そう思うことにしよう。(しかし、大体、「知性化」っていうアイデア自体、陳腐だよなぁ&&読んでて、周りの目が気になる(笑)&&こんなくだらないアイデアを表に出してきて、「知性化」シリーズなんて言っていること自体、阿呆さをさらけだしているようなもんじゃないか? それに、「知性化」された種族は、した種族の奴隷みたいなものになるっていう部分がまた、古臭い発想なんだよなぁ&&これって、ほとんど30、40年代の作品の発想なんじゃない、頭古すぎない? それにブリンのは短編もいまいちだったしなぁ&&「益病」だってさあ&&アイデア重視派のくせにアイデアがくだらないんだもん&&)
あかん、ブリンが嫌いになりそう&&人間が主人公のやつから先に読むかな、「ポストマン」とか&&しかしこれもなんか話が陳腐そうだしなぁ&&ううむ。

しょうがないので、短編集「別異」から読もうと思っているんですが。ただ、小説としてはおそらくくだらないものが大半だと思うので、英語の語彙を増やすのに使おうと。
翻訳ソフトや辞書ソフト買ったけど、未知語のリスト/データベース化といういちばんやりたい作業がまだできないんだよなあ。それさえできれば別に機械翻訳しなくてもいいんだけど。小説の場合は手入力のほうがいいに決まっているし。
何かいい方法はないだろうか。方法として考えられるのは、
(1)本そのものにマーカーで線を引き、いちいち辞書で引いてデータベースに入れて行く(最もアナログなやり方。本が汚れる)
(2)スキャナで読み込みOCRでテキスト化、機械翻訳の上、未知語だけコピーアンドペーストで単語データベースにコピーする。(結構アナログ)
(3)クリックするだけでリスト化できるソフト(あるいはそのような機能のついた辞書ソフト)を入手する。
私の希望は(3)なんですけど、ないのかなぁ。(略)かといって自分でプログラム書くのもおれの知識では時間かかるだろうし。店に行って市販のソフトを探すのも面倒だし。やはり、インターネットでフリーウェアを漁るしきゃないか。
ちょっと覗いてくるので、中断。

*          *          *

10/17
競馬全敗。
京都新聞杯、トウカイテイオー産駒より総流しもアドマイヤ/ナリタの一番人気決着。府中牝馬も、マルカコマチから流すもエリモエクセル順当がち。
結局、春G1シーズン終わってから、秋G1開幕まで、一勝もできなかった(笑)。非道すぎる。

ブリン「アザーネス」より「益病」単語整理。この本は完璧に英単語増強のためだけに使うつもり。
ブリン「知性化」やはりつらく、中野でヴィンジ「雪の女王」チェリイ「ダウンビロウステーション」ゲーム「ペルソナ2」買ったついでに「スタータイドライジング」買う。しかし、やはり「サンダイバー」から読むのが順序なので、まだ読まずにおこう。
「ダウンビロウ」「雪」のほうが面白そうなので多分先に読んでしまうと思う。
あと、通販のイーガン「ディストレス」シルヴァーバーグ「レジェンド」届く。


10/20
今週は仕事が圧していてヘヴィーだった(頭が容量オーバー寸前で白痴化)ためか、読む本をいろいろ変えても集中できなかった。ブリンは「知性化」が読めず「スタータイド」に手を出したものの、やはり前作が気になって読めない。結局「サンダイバー」まで遡ってしまうのだろう(笑)。


 

(略)


 

2000年

12/25
「知性化戦争」面白いじゃないの!
やはり、「スタータイドライジング」で予備知識が身についた成果があったか。しかも、「スタータイド」の前半の一本調子と比べると、こちらは最初から変な鳥型エイリアンは出てくるわ、ネオチンプやティンブリーミーの行動は面白いわ、彼等から見た人間の描写は面白いわ、ストーリーもメインの戦争ネタに、舞台となる植民星の原住種族の謎解きも加わり、アクションSFとミステリーの面白さが加わって、飽きさせない。年末に向けて楽しめそうだわいとほくそ笑んでいる。ストリーカー号の話はちらりと背景に出てくるだけだが、「スタータイド」で楽しんだ分、こういった細かい言及も嬉しい。
「スタータイド」も先に「サンダイバー」を読んでいれば、イルカとの掛け合いがもっと楽しめたのではなかったかという気もする。ストリーカー号のその後についての「知性化の嵐」新三部作も原書を注文しちゃったぜえ。

あう、(略)のカレー食いたい。

(略)

12/27
「知性化戦争」面白いっす。

マーティン「ナイトフライヤー」★★★★
まあまあだね。いろんなアイデアをぶち込んであるけど(テレキネシスで宇宙を航行する生命体、船のコンピュータに入り込んでテレキネシスを使う意識等)どれも甘い。また、ホラー色が極めて濃い。それなりに面白いが、いささか紋切り型の感じがする。やはり、マーティンは早熟作家なのか、初期の名作(これは認める)「ライアへの賛歌」を超える作品にいまだお目にかかったことがない。思弁性も乏しく、本作を読んでももともとホラー作家の資質だったのではという印象がある。SFマガジンに載った作品も、読者賞の投票では上位に入っていたけど、はっきりいっていまいちだったし。
なお、短編集版は雑誌掲載版に加筆されているので読み比べるのも一興。

ホーガン「かくて光あり」★★★
神々の天地創造を科学者の実験のごとく描いた小品。何のひねりもなく、はっきりいってあまり面白くない。アイデアの奇抜さとストーリイの平板さのギャップが何ともホーガンらしい。

12/28
クリス・モリス「隠密天使」★★★★
「地獄の反逆者」冒頭の編者夫作品。単なるテーマアンソロジーというより、作品の設定まで似通っている(=いわゆる「シェアードワールドもの」)のは「ワイルドカード」あたりに近いノリ。天国から、地獄に「希望」をもたらすために隠密行動を行う天使の話。地獄のサタンがまるでお役人のようなキャラなのが笑える。地獄社会にもいろいろな統治機構がありそれなりに秩序があるというわけだ。で、「悪が善」で法廷が「injustice hall」。天使アルは「希望」をもたらそうとしたかどで逮捕され投獄される(笑)。隣の房にはヒットラーがいるわ、ラムセス二世が助けにくるわ。正直言って神話や歴史の予備知識があればもっと楽しめると思うのだが、特にラムセス二世のネタのところはいまいち分からなかった。再読ないし訳するときにはインターネット検索で調べた方がいいだろう。
さて、この設定でいろんな作家が競演するこの本、目当てはシルヴァーバーグなのだが、実質共作のノリであり、他の作品も一通り目を通さないことにはシルヴァーバーグの作品も十二分に楽しめない。次はビル・カービーなる、またもや知らない作家。知っているのはシルヴァーバーグとチェリイだけ。さて、どうだろうか。

12/30
「地獄」、結局シルヴァーバーグを先に読むことにする(リレー小説ではなく、各独立した作品のため)。ジャネットモリスのこの地獄シリーズは大半がチェリイとの共作で、彼女のビブリオグラフィの大部分を占めるらしい。アンソロジーとしてはこれが二冊目。同時発売の長篇もあるらしい。ただ、「エンサイクロペディア」によると今いちストーリー展開が型にはまっているらしい。
で、その長篇シリーズの方は特に読む気もしないので、この本に入っている短編だけで十分と思う。
シルヴァーバーグは、彼自身の「王ギルガメシュ」という歴史小説(!)の直接の続編である、と書いてあった。ただ続編とはいってもこちらは完全に死後の話であるので、毛色が異なる。
で、内容も、何とロバート・E・ハワードとラヴクラフトがローヴァーに乗って登場(笑)、しかも、ハワードの代表作「コナン・ザ・グレート」のコナンまで登場(爆)。メタ・フィクション的な色彩を帯びてきた(というかパロディというか)。すぁて、当然ラヴクラフトの作中キャラとかも登場するんだろうな、面白くなってきたなり。

バッグジャックバロン、知性化新3部作、心の子ら届く、アマゾンジャパンは早いっす。

さあて、年賀状書きと背広のシミ取りをしないと。


 

2001年

1/3
ぎゃはははははははは。
この正月のヒットは宮本武蔵とチンパンジーだったぜ。
(略)で、テレ東のめちゃくちゃなドラマを結局全部見てしまい、あまりに面白いので帰ってからインターネットで検索してみたら、いやあ面白いのなんの(笑)。中学生だかの女の子が作ったホームページまで出てくる始末で大爆笑。佐々木小次郎がほとんど吉川英治ら作家の創作だということもわかったし。しかし、面白いわ。吉川英治のと五輪の書ぐらいは読まんといかんな。
宮本武蔵SF版! 絶対書いてみたいぞ。
あと「知性化戦争」もストーリーより描かれているネオチンプの生態の方が面白くなってきて、「チンパンジー」で検索してみたら、あるわあるわ、くだらないホームページがいっぱい(笑)。いやあ、動物の方もはまってしまいそうだわい。
しかし、「知性化戦争」読んでたら「動物の知性化」だけでは物足りなくなって、「人間の動物化」をしたらどうかと思っている。チンプとイルカとゴリラだけでは物足りない。いっそのこと世界中のいろんな動物の遺伝子をヒト遺伝子に組み込んでヒトの習性を動物化するというのはどうかね。で、動物ごとに集団に分かれてそれぞれ別の社会を形成するというネタは。短編でやると筒井っぽくなってしまいそうだが(「私説博物誌」というのがあったなあ)、それをあえて長篇でやってみようかと思っている。もっともらしく技術のディテールまで構築し、各動物ごとに統治機構、法律、経済、文化、家族、学校、性風俗まで綿密に構築する。「猫人」「犬人」「猿人」「狼人」「ゴキブリ人」「鼠人」「蜂人」「鶏人」「馬人」等など。「猫」「鳥」「馬」を擬人化して描いたものは過去あるが、「猫」「犬」等の精神的特性を人に植え込むことにより人の精神能力の特定の要素を強めるという技術は、それなりにもっともらしく構築できそうであり、ハードSFの体裁をとって描く作品は多分、結構珍しい。まあ、「知性化戦争」の裏バージョンではあるが、人と同じように思考しながら行動や心理に動物の名残りを残す類族を面白おかしく描く「知性化戦争」もいいけど、動物のように行動する見た目はふつうの人間というのはもっと面白そうで、読みたいし書きたくてしょうがない。自分の知っている人間とかを登場させればもっと面白いかも。例によって、名前とキャラクターはくじ引きで決める。「山田五郎」�疣猪人、とか(笑)。で、当然その行動とか、性交の特徴とかは動物学の本で綿密に調べて構築する。
で、このネタ、ギャグ小説として書くのは易しい(筒井っぽく書く)と思うが、シリアスな社会学/ハードSFとしてあくまでも描くところに稀少価値がある。さっそく準備を始めよう。題名は・・・最後に決めようっと。
さて、(略)。

1/4
「知性化戦争」読み進む。しかし、長いのでだんだんだれてくる。ストーリーそのものは普通の活劇なので、ティンブリーミーとネオチンプの描写が浅くなるとやや食傷する。なんとか明日中には読み終わりたいが・・・。
「ギルガメシュ」読む暇がない。
今年は競馬、G1以外はなるべく買わないことにする。去年のあまりのつまらなさに、面白くなるまではやらない。いちおうレースはリサーチするが、ダイジェストで。いちいちつきあってらんないので、昼間は他のことをする。好きな馬が全然現役でいないので、全く良心が痛まない。今年も売り上げ激減だぜざまーみろ。悔しかったら海外遠征しろ! 以上。

1/6
「知性化戦争」★★★★1/2
終盤はほとんど時代劇のノリ。ファイベンと鉄の爪の果たし合いシーンなんか、ほとんどこないだの「宮本武蔵」を連想した(笑)。前作よりはプロットが複雑になり、テーマも深化して<知性化>の思想的側面が語られたりはするが、基本的には戦争/政治SF。ここまで長いと、好みの問題もあろうがさすがにだれる。また、異種族間の恋愛/コミュニケーションの面白さ(アサクレーナ/ロバート、ウサカルシン/コールト)も読みどころではあるが、それ自体は特に真新しいものではない。やはり、作者の特徴の一つであるオヤジギャグ寸前の悪趣味なユーモアが、ティンブリーミーという恰好の媒体を得たことで全面開花したことがこの作品の最大のセールスポイントだろうと個人的には思う。ゴリラとゲリラのだじゃれをひっぱるところといい、ウサカルシンのおおげさな悪戯の数々といい。特に、ウサカルシンの魅力的なキャラクターは、これ一作で終らせるには惜しい。新三部作はストリーカー号の話だそうだが、ウサカルシンの続編もぜひ書いてほしいところだ。

ということで、次は、なるべく未読作家を優先させることにし、ビジョルド「無限の境界」に入る。中編集。
 

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