SF百科図鑑

ロバート・シルヴァーバーグ『内死』サンリオSF文庫

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September 12, 2005

ロバート・シルヴァーバーグ『内死』サンリオSF文庫

72年長編
受動テレパシー能力を持つ男の告白録。『アルジャーノンに花束を』『キャンプ・コンセントレーション』を足して2で割ったような作品。高い知能とテレパシーを併せ持つこの男は子供のころから異能を発揮するが、大学卒業後、いろいろな職を転々とするが、最終的には大学生の論文の代筆で食いつなぐ。その過程で、自分と同じ能力を持つ男と知り合うが、恋人を奪われ袂をわかつ。そして、加齢に従って、超能力が次第に衰えて来たのを知り、苦悩するが、最終的には他人の心の声が何も聞こえない頭の中の静寂を受け入れる心境になる。意思疎通と断絶、異能力者の自意識と能力の喪失、老いなど、様々なテーマを詰め込んだSF手法による純文学作品として、インパクトは強いが、ラストはびっくりするぐらい普通すぎる。とはいえ、傑作である。

テーマ性 ★★★★
奇想性  ★★
物語性  ★★★
一般性  ★★★
平均   3
文体   ★★★★
意外な結末★★★
感情移入 ★★★
主観評価 ★★★(31/50)
silvering at 00:17 │Comments(0)読書
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