「ジョン・ヴァーリイ『へびつかい座ホットライン』ハヤカワ文庫SF」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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<h2 class="date">January 27, 2005</h2>
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ジョン・ヴァーリイ『へびつかい座ホットライン』ハヤカワ文庫SF</h3>
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"へびつかい座ホットライン" hspace="5" src=
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"0"></a>プリングル100冊。ヴァーリイの長編は初めて。短編はかなり好みだが長編は『ティーターン』途中で挫折、さてこれはどうか。<br clear="all"></div>
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<div class="posted">silvering at 12:14 │<a href=
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<h3 class="commenthead">この記事へのコメント</h3>
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<div class="commentttl">1. Posted by slg <span>January 28, 2005
10:57</span></div>
<div class="commenttext">次はこの本にする。<br>
現代風スペオペで垢抜けている。キャラクターのものの考え方がクールで現代人に近く、すんなり入って行けるので非常に読みやすい。世界設定がオリジナルでよくできているにかかわらず、物語性を損なわない、物語に信憑性を与えるのに必要十分な程度のディテール描写で、バランスがいい。そして、ストーリーは、クーンツの本が指摘したような物語の基本要素をきっちり押さえている。主人公らしき女性、リロがいきなり遺伝子改変研究の罪で死刑宣告を受ける。かつ、この死刑宣告をした法が正当性があるのかどうか不可解なものなので、主人公が死刑囚となったことが読者の感情移入を妨げることがない。この主人公がトイードなるおえらいさんの訪問を受け、クローンを身代わりに生かす代わりに何らかの任務を頼まれる。他方で、主人公の仲間が中断した研究を続けるべく土星の輪のどこかにいる──。この仲間は人間と植物の共生者だったりする。<br>
こう言った感じで、SF的に魅力的なアイデアを豊富に詰め込みながらも、それを小難しくせず理解しやすい形に咀嚼して提供する能力は生粋のエンターティナーという感じだ。キャラ、ストーリー、設定とすべて、とてもいい。読書にも相性というものがあるが、私とヴァーリイは非常に相性がいいようだ。マニアには「残像」に入っている初期短編が最も評判がいいのだが、やや生硬な作品が多かったように思う。俗に流れ過ぎたといわれる「ブルー・シャンペン」に入っている諸作の方がエンターテインメントとしての出来は優れていて、私好みだ。本作も謎ありサスペンスありの典型的エンターテインメントの書き出しで、期待させてくれる。<br>
オールディスやパングボーンを読んだ後だけに、余計に自分がSFに求めるものが文学じゃなくて娯楽なんだということを再認識させられた気がする。</div>
<div class="commentttl">2. Posted by slg <span>January 28, 2005
15:36</span></div>
<div class="commenttext">
体調不良のためベッドに伏したまま読み続ける。面白い。154ページ。未読消化には病気が一番いいかも。ただし鼻をほじり過ぎて腫れた鼻に鼻水が固まって伴う激痛と、微熱に伴う目眩には閉口するが。頭すっきり状態ならもっと面白いのにと悔しい。来週前半に仕事の山があるので明日までには治さないと。その他にもあの件やこの件が&&。</div>
<div class="commentttl">3. Posted by slg <span>January 28, 2005
22:47</span></div>
<div class="commenttext">面白かった。<br>
主人公の三人のクローンが入り乱れる複雑なプロット、どれがだれやら頭がこんぐらかって来るが、最後は綺麗にまとまる。ディックならクローンがアイデンティティに悩むところだが、ヴァーリイのキャラクターは実にあっけらかんとしている。ポストホロコースト小説にして、(再度の)人類破滅ものなのだが、暗さなど微塵もなく、むしろそれを所与として、意気揚々と宇宙に飛び出していくラストはあまりにも清清しい。「宇宙のランデヴー」を思わせる最初の接触小説でもあり、「幼年期の終り」を思わせる進化SFでもあるのだが、クラークのように神秘めかしも深刻ぶりもしない。実にクールで軽快であっけらかんとしている。<br>
また、エンターテインメントとしての筋立てもよく工夫されている。三人のクローンそれぞれのサブプロットが、それぞれ小さな危難を乗り越えては次の危難にぶつかり、様々な小さな謎とその解決を繰り返しながら、最終的に、へびつかい座の方向から送られてくる情報の正体解明という作品全体の大きな謎の解明へとなだれ込んでいく。友人の用語法を借りるなら、個々のサブプロットが、連続して発生する対立概念の解消(あるいは弁証法的な統合の過程と言い換えてもいい)を繰り返しながら、より全体的な対立概念の止揚へと向かう構造をとっているとでもいおうか。このアウフヘーベンの振幅の大きさやリズムのパターンが、私のバイオリズムに偶々よく合っているのだろう(因みに、音楽の好き嫌いと、心理学的な根っこは同じという気がする)。<br>
本作のラストには、訳者の解説にあるとおり「やや弱い」という意見もあろう。だが、このあっさりした終わり方がいかにもヴァーリイらしいという気がする。この三人のクローンがアルファケンタウリで再会を果たした後の物語をたまらなく読んでみたい。彼らが当たり前のこととして受け入れているとおり、人類が一番である必要はないし、太陽系を所有する必要もない、このヴァーリイの世界観はひどく常識的なのに、この程度のものがやけに衝撃的に感ぜられていた30年前のアメリカや日本のSF界は、何と古風だったのだろうと今更ながらに驚かされる。<br>
テーマ性 ★★★<br>
奇想性 ★★★<br>
物語性 ★★★★<br>
一般性 ★★<br>
平均 3点<br>
文体 ★★★<br>
意外な結末★★★★<br>
感情移入力★★★★<br>
主観評価 ★★★1/2 (35/50点)</div>
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