SF百科図鑑 ジョン・クロウリー『エンジン・サマー』ベネッセ


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January 18, 2005

ジョン・クロウリー『エンジン・サマー』ベネッセ

エンジンサマープリングル100冊容赦なくがんがんいく、待っている暇はない。何度も挫折したクロウリー処女長編。***何度投稿しようとしても「ただ今、大変混み合っております。しばらくたってからお越しください。」だ。むかつく。今4回目。5回目いく。失敗。6回目。
silvering at 03:14 │Comments(5)TrackBack(0)読書

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この記事へのコメント

1. Posted by SLG   January 18, 2005 09:38
56ページ、第6の切り子面まで読んだ。
最初、独特のファンタシイ的な文体に戸惑うが、少し読むとこれが壮大なポストホロコーストSFなのだということが明らかになり、止まらなくなる。どうもここは、文明崩壊後の退化して全てが神話と化した地球らしいのだ。語り手が住んでいるリトルビレアという村から父にあたると思われる七つの手とともに川を渡り、初めて道路を見る場面、ペンキの赤と呼ばれる昔語りの老婆?が語る、崩壊前の<天使>(=文明人を指すらしい)の巨大ビルや電話、貨幣などを魔法のような言葉で語る場面など、もやの中から突然姿を表す宝石のように美しく、魅惑的だ。
<嵐>と呼ばれる大災厄が世界中を襲い、<天使>たちの文明は滅びた。女たちの<連盟>が文明の保全のために努力するが、大半の文明は崩壊し、人々は放浪生活を始める。語り手の先祖たちはやがて放浪生活をやめて、リトルビレアという村を作り定住生活を始める。そこでは独特のファイリングシステムで村を運営し、人々はその職能に応じていくつかの<系>に分かれて生活している。語り手たちの先祖と<連盟>はかつて敵対関係にあったらしいが、やがて、<連盟>のオリーブという女性が小聖ロイを訪れ、連盟の崩壊を伝え、保護を求める&&。
というところまでのくだりを、語り手である<しゃべる投心草>が、<天使>の女性に物語るというスタイル。そして物語全体が水晶に、個々のエピソードが切り子面に喩えられている。
2. Posted by slg   January 18, 2005 12:23
イイ。読み進むのがもったいないぐらい。
クロウリーは短編集「ナイチンゲールは夜に歌う」が絶品だったけど、代表作「リトル、ビッグ」は第1巻しか持ってなくて未読。こりゃあ全部読んだ方がいいな。
邦訳はあと「リトル、ビッグ」の第2巻買えば全部揃うが、原書も全部読んだ方がいい、バラードと一緒で。
ちなみに第1、第2長編と本書(処女長編というのは間違いでした)の合本が出ているのでこれはお得。あとは、エジプト4部作中の第3部まで出ているが、第2部の「愛と眠り」だげ原書を持っている。他に単独長編(最新作)が1冊あり。短編集は他に2冊ほどあるようだ。全部買え。はまれ。
3. Posted by slg   January 18, 2005 12:45
第一の水晶読了。
リトルビレアには、帰還した宇宙船の着陸地があり、宇宙から持ち帰った「パンノキ」という植物用生命体のカブがある。その「泡」はドラッグとして用いられ、交易の対象とされている。時は、初霜のあと短期間戻ってくる夏、「機械の夏」。
翌年、交易商人の一隊、<ドクター・ブーツのリスト>が訪れる。語り手が淡い恋心を寄せる少女、ワンスアデイは、商人の一人と良い仲になり、語り手が止めるのもきかず、連れられて去ってしまう。
ここまで語ったところで、第1の水晶が「いっぱいになる」。

第2の水晶、「片脚のない男の笑い」。
4. Posted by slg   January 18, 2005 18:53
もう少しで読み終わる。

これ、めちゃめちゃいいよ。大森氏が惚れ込んだのも分る。
5. Posted by slg   January 18, 2005 20:21
読了。すげえ、叙述トリックも入ってた。

原始化した遠未来の地球上の原住民が神話の言葉で語る、滅び去った文明の数々&&。とにかく、語り手が語ろうとしているのが果たしてなんであるのかを推理するのが、実に難しく、そして楽しい。電話とかパラシュートといった、今あるものだけでなく、空気より軽い物質から成る空中都市とか、人の精神を転写する水晶球のような帽子のような装置、といったSF的装置も区別なく語られるため、非常に難解で曖昧に見えるのだが、その正体が焦点を結んだときの驚きは他の比でない。
語り手は「4人の死者」の神話を追い、初恋の少女ワンスアデイを追って、交易者の都市に行き、少女と再会、人格を蓄積した球を体験する(それは実は猫の球だったことがあとで分かる)、ところが少女はこのことで語り手が別人になったと思い置き去りにしてしまう、語り手は都市を出て、<複讐者>(連盟に楯突き、<天使>の遺物をかき集めてそれで生計を立てている人々)の1人と出会う。そしてついに、残された一つの球と銀の手袋を手に入れる、そこへ、天上の浮遊都市からモンゴルフィエという男が降りてくる、そして、語り手に人格転写を申し出る&&
そして、この話の語り手は、実は&&という驚くべきオチだった。
非常にしっかりしたディテール構築がされた本格未来SFなのであるが、終始一貫して神話、ファンタシイの文体で語られているため、上記したストーリーのディテールが必ずしも明瞭な客観的言葉で語られるわけではない。読みながら、考えて考えて、推理しなければならない。それこそが、この本を読む楽しみである。しかも語られている言葉が、非常に美しい。読み応えのある本格SFの内容でありながら、宝石のように美しいファンタシイの言葉で紡ぎ出される世界を味わえる。
それぞれの物語が水晶と切り子面に喩えられている通り、まさしく宝石のような物語である。
***
なお、本書を読んで、バンクスの「フィアサム・エンジン」のスタイル(本格SFの内容をファンタシイの文体でカモフラージュし、ラストで真相カミングアウトする)は、本書のパクリであることを確信した。題名からして怪しいじゃん。

テーマ性   ★★★★★
奇想性    ★★★★★
物語性    ★★★★★
一般性    ★★
平均     4点
文体     ★★★★★
意外な結末  ★★★★★
感情移入力  ★★★★★
主観評価   ★★★★★(50/50点)

初の満点ですた。完璧ですね。