SF百科図鑑 ロイス・マクマスター・ビジョルド『無限の境界』創元SF文庫


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2001年

1/7
「喪の山」★★★★1/2
「迷宮」★★★★1/2
「無限の境界」から中編2編。
前者は完全に「推理小説」(笑)。名探偵マイルズの推理が楽しめる。ノリは完全に時代劇で、「水戸黄門」に似ている。SFの舞台設定ながら、内容は完全に普通小説であり、SFではないだろう。但し、小説としての練度、書き込みの密度は認める。「SF作家」としては大したことはないが、「作家」としての力量は認めざるを得ない。
「迷宮」は、よりSFらしい内容になっているが、やはり基本的には冒険小説の域を出ない。クローンや遺伝子操作の扱いにはSF作家らしい批判精神も垣間見えるものの、結局あまり深みはなく、わかりやすいヒューマニズムに落ち着いてしまう。但し、やはり小説としての書き込みの能力には目を見張るものがある。特に狼少女の造型力には驚嘆した。マイルズとの絡みがやや安易に流れたうらみはあるが・・・。なお、動物遺伝子を混入して兵士を作る話は、「知性化」の裏返しで、自分で書こうと思っていたネタを先にやられてしまった。
いずれも、「これでSFといえるのか?」の疑問から割り引いたものの、小説としてはよくできているためかなりの高評価となった。

1/8
「無限の境界」★★★★1/2
今度は脱獄もの。ドーム型捕虜収容所の描写は面白い。上2編よりSFとしての面白さは上。内容はリバーワールドも連想させる。但し基本は冒険小説。身体的ハンデのあるヒーローのマイルズが頭を使って活躍する様を描く点で共通している。それに友情と愛と別れを絡ませて読ませるというもの。しかし、まあ、この手のものは面白ければそれでよいでしょう。
本全体の評価★★★★1/2
ワームホールネクサスもの、熱狂はできないが、小説づくりのうまさは安心して読める。50年後には忘れ去られる作品だろうと思うが、固定ファンを掴んでいるのにはそれなりの理由があるということだろう。