SF百科図鑑 J・R・R・トールキン『王の帰還(上・下)』(評論社文庫)


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

November 13, 2004

J・R・R・トールキン『王の帰還(上・下)』(評論社文庫)

王の帰還いよいよ完結編です。
今度は恥も外聞もなく、ファイナルファンタジー絵柄を想像しながら読みます。
silvering at 11:31 │Comments(18)TrackBack(0)読書

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by silvering   November 13, 2004 11:37
絵柄だけでなく、時々RPGの戦闘シーンを想像し、頭の中で各キャラクターの経験値を稼いで強くしながら、読みます。
2. Posted by silvering   November 13, 2004 21:41
うー、ヤッパリ面白くないぞ。
やっと60ページ。
読み終わるのがこんなに待ち遠しい本も珍しい。
無理やり気分を出すためにRPGやろうかな。そしたらもう少しはまれるかも。
3. Posted by 手下X22   November 14, 2004 00:51
銅鑼食えがでるからやったらどう?
4. Posted by silvering   November 14, 2004 05:58
まじでやろうかな。といっても、ドら食えは、前前作だかを持っているのだが、絵柄がファミコン時代のままで乗り切れずに、10分程度で放置しちゃったこともあるのだが&&(笑い)。
5. Posted by silvering   November 14, 2004 06:24
http://www.square-enix.co.jp/dragonquest/eight/

これか。
あっ、絵が少し大人っぽくなっているっ。これぐらいならはまれるかも。ただ、値段がさすが高ぇなぁ。赤貧の私にはキツい値段だ。多分、中古屋に出るまで待つかも。それまで前作をやっとこうかな。PSソフトもPS2でできるというのは有り難い。
しかし、調べてみたら私が持っているのって前作の「7」でしたわ。事実上、実に5年ぶりの新作? こんだけじらされたらみんな買っちゃうよなあ。今回もバカ売れするんだろうな。
6. Posted by silvering   November 14, 2004 06:28
そういえば、他にも途中でぶん投げてるRPGけっこうあるんだよなあ。何よりも「ロードオブザリング」を、冒頭で難しくて挫折したままほったらかしている。普通のRPGと違ってアクションRPGというのがミソだけど。アクションゲームは反射神経がとろくて苦手なもんで。あれやるか。苦手な物を避けてたら人は成長しないもんな。
7. Posted by silvering   November 14, 2004 14:10
上巻100ページ突破。
やっつけ仕事のように読んでいます。
8. Posted by silvering   November 15, 2004 19:39
やっと上巻160ページ。
青息吐息。
9. Posted by silvering   November 15, 2004 19:41
1日かけて60ページかYO、日本語の本なのに原書以下のスピードだなww>をれ
10. Posted by silvering   November 16, 2004 19:24
上巻読了。

なぜこんなにつまらないのかをいろいろ分析してみた(読了時にアップ予定)が、結論としては、一番はやはり訳文のせいだろうと思う。血なまぐさい戦争歴史小説の内容と、メルヘン風の敬体文が全く合っていないのだ。

今読んでいる下巻50ページを常体文に直してみる。

「さあ降りよう、サム」フロドが囁く。「急いで谷まで降りて行くんだ。それから、できるだけ早く北へ向かおう」
外世界には、再び朝が訪れようとしている。薄闇に覆われたモルドールの遥か彼方、中つ国の東端に日が昇ろうとしているのだ。だが、ここはまだ辺り一帯が夜のごとく暗い。火の山は煙を放ってはいるが、火は消えていた。断崖を照らしていたぎらつく光も薄れ去った。彼らホビットたちがイシリエンを出た時から吹き続いていた東風は、すっかりやんだようだ。二人はゆっくり苦労しながら下に降りて行った。見通しの悪い闇の中を手探りし、躓きながら、岩や茨や枯れ木の間を這い降り、ついにこれ以上下へは行けない地点に達した。
漸く二人は立ち止まり、大きな丸石を背に、並んで座った。二人とも汗をかいている。「もし今、水をくれるというなら、相手がシャグラトでも手を握るかも知れませんな」サムが言った。
「そんなことをいうな!」フロドが言う。「余計に喉が渇くだけだ」フロドは、眩暈と疲労から、体を伸ばして横になり、しばらく黙っていた。漸くの思いで体を起こしてみると、呆れたことに、サムは眠っていた。「起きろ、サム!」フロドは言った。「またひと頑張りする時間だ」
サムはふらふらと立ち上がる。「そんなはずはありません!」サムは言った。「ついうとうとしてしまったようです。旦那さま、私はもう長いこときちんと眠ったことがないので、瞼が勝手に閉じてしまったようですわ」
そこで今度はフロドが先に立った。大峡谷の底にある入り組んだ岩や丸石を縫って、できるだけ北へ北へと見当をつけながら進んだが、再び足を止めた。
「こりゃだめだ、サム」フロドは言った。「ぼくには使いこなせない。この鎖帷子のことだが&&。今のぼくの状態じゃ、無理だ。あのミスリルの鎖帷子ですら、疲れたときには重く感じたぐらいだからな。こいつはあれよりも断然重い。だいたい、これは何の役に立つんだ? 闘って敵陣を切り抜けられるものでもなかろうに」
「いえ、多少は闘うことがあるかも知れませぬ」サムは言った。「それに、短剣やら流れ矢なんぞを食らう可能性もありますぞ。だいいち、あのゴクリのやつだって死んじゃおりませんし。闇夜にぐさりとやられても、旦那さまに革一枚のほかにそれを防ぐものがないと思うと、心配で仕方がありません」
「なあ、サム」フロドが言った。「ぼくはもうくたくたなんだ。何の望みもないよ。だが、動ける限りは、火の山にたどり着けるまで動き続けなければならない。ぼくには指輪だけでせいいっぱいだよ。この余分の重さのせいでぼくは命を落としかねない。今すぐ脱がないと。でもぼくのことを恩知らずなんて思わないでくれ。これを見つけるために、きみがどんなに嫌な思いをこらえて、死体の間を探し回ってくれたのか、本当にすまないと思うんだが」
「それはおっしゃらないでください、旦那さま。お気の毒です! できればおぶって差し上げたいぐらいなんですが。とにかく、お脱ぎください!」
フロドは外套を脇に寄せると、オークの鎖帷子を脱ぎ、投げ捨てた。少し震えていた。「ぼくに本当に必要なのは、何か暖かいものだな」フロドは言った。「寒くなったね。それとも、寒気がするだけかな?」
『私の外套をお貸ししましょう」サムは言った。そして荷物を肩から下ろし、エルフの外套を取り出した。「いい考えがありますよ、旦那さま」サムは言った。「そのオークの服でぴっちり体をくるみ、その外にベルトをはめるのです。その上から、これを羽織ってはいかがですか。まるっきりオーク風に見えるとまではいきませんが、そのほうがあったかいでしょう。それに多分他のどんな道具よりもいい危難よけになります。奥様が手ずからお作りになられたのですから」

こうして常体文で読んでみると、意外に面白いかも知れん。
11. Posted by silvering   November 16, 2004 19:33
このサムの台詞が、翻訳では、「~ですだ」「おら」といった口調なのも辛い。

「おらのマントをお貸ししますだ。」と。サムはいいました。かれは荷物を肩からおろして、エルフのマントを取り出しました。「こうされたらどうですか、フロドの旦那?」と、かれはいいました。「そのオークの服できっちり体を包み、その外にベルトをはめなさるのです。&&」

おまえは「21エモン」のゴンスケか、ボケが。
12. Posted by silvering   November 16, 2004 19:37
真犯人が翻訳者らしいことが徐々に明らかになってきた。
今後も敬体文がいかに内容に合っていないかを証明するため、特に戦闘殺戮シーンが出てきたら、文体比較をまたやってみたいと思う。
13. Posted by 弟子X22   November 17, 2004 02:31
> このサムの台詞が、翻訳では、「~ですだ」「おら」といった口調なのも辛い。
> おまえは「21エモン」のゴンスケか、ボケが。

そうらしいねぇ、どっかのサイトで読んだがサムだけ特別にゴンスケ扱いらしいね。他のホビットは普通らしいからいわれのない差別を一身に背負っているのかも知れないが、実は単なる芋掘りロボットかも知れない。

それはそうと敬体でなくすだけで印象が変わるとしたら個人的に文体の扱いが難しくなる。主観から客観評価への理屈をこさえないと&&
14. Posted by silvering   November 17, 2004 06:30
翻訳物にはつきものの悩みですな。
結局、文体の印象が酷いと、その余波でテーマ性、物語性まで影響しかねない。「テーマはあるのだが、書き方が下手っぴ」「物語の基本構造に合っているのだが書き方がだらしない」となってしまうから。本作の最終評価時点では、この2点に関し、極力訳文の印象をさっ引いた評価にするつもりだが&&。
「文体」に関しては私の場合、主観評価指標なので好みでなければ0点にするだけだが、もし客観指標として考えるなら、文章の巧拙や美文度に加え、伝える内容と文体が合っているか(あるいは意図的に違えている場合、その意図をどれぐらい達しているか。例えば筒井のでエロ小説を知恵おくれ青年の手記の形で幼児文体で描いた叙述トリック小説「陰悩録」などがその好例)も加えるべきだと思う。
15. Posted by silvering   November 17, 2004 06:39
それはそうと、「頭の中で常体文に変換」作業をしながら読むようにしたら、面白くなってきた。今下巻の80ページ。
脳内文体変換のせいか、それとも本当に面白くなってきたせいなのかは分からないが。
16. Posted by silvering   November 17, 2004 09:03
指輪は火口に落ち、旅は終わった。小さなどんでん返しがあったが、結末は予定通りだった。
だが話はそこで終わりではなく、指輪消滅後の世界構築に筆が割かれる。驚くべきことに、この部分は面白い。正直、あの冗長な『二つの塔』の部分さえもっと簡潔でスピーディであったなら、こんなに退屈な印象にはならなかったろうという気がする。それに訳文の文体が拍車をかけていたようだ。
せっかく名作と称される作品なのだから、せめて残りの部分ぐらいは精一杯楽しまないと元が取れない。
今164ページ。今日中に読み終わりそうだ。
17. Posted by silvering   November 17, 2004 12:20
王の帰還読了。この下巻は見違えるように面白く、ラストには感動した。
もちろん、何事も中盤で興味を失うという私のクレペリン検査の結果にも表れた、物事への興味が中だるみしがち(=飽きっぽく新し物好き)な私自身の性格にも負うところが大きいだろうが、やはり中盤の「二つの塔」が中だるみしがちだったことも否定できないように思う。

本書の画期的な凄さは、全くの想像上の異世界を現実に存在するものであるかのごとく実在感を持ってディテール構築し、それを舞台に壮大な(=長ったらしい)歴史絵巻を展開してみてたところにあるだろう。その常軌を逸した緻密さは、巻末に付せられた「追補編」の病的なまでに精密な歴史構築を見れば一目瞭然だ。流石本職の学者である。それ自体が1巻本になるほどの緻密な歴史構築をした架空物語は少なくとも空前であったろう。絶後とまではいえなかろうが、仮に表れたとしても本作のエピゴーネンの誹りを免れまい。正直、この追補編を見て、この世界設定に基づく物語を自分も書いてみたいという気持ちに抗するのは難しいほどである。クトゥルー神話など他のシリーズは多くのフォロアーを生み、シェアードワールドともいいうるべき存在となったりもしているが、本シリーズに関し、パスティーシュや同様の作品が雨後の筍のごとく氾濫したのはもちろんとしても、全く同じ世界設定での作品があまりかかれていないようであるのはふしぎとしか言いようがない。恐らく、世界設定があまりに緻密すぎて、それを汚してしまうのではないかとみな恐れをなしてしまうのではなかろうか。

何にせよ、本作のつぼはこの追補編にある。私の持っている旧文庫は一部省略されているようであるので、そのうち、1巻本で出た新装文庫の第10巻を買ってこよう。

さて、本作の最大の特徴である『異常に緻密な異世界・歴史構築」を度外視し、純粋に本作の物語としての出来を見ると、やはり、中盤の「二つの塔」が余計に思える。だらだらした敬体文の訳文によってその冗長さが強調されたことを差し引いても、不必要に長いことは否めない。やはり、結末の見えていることには少なくとも私は興味をそれほど長いこと持続は出来ないのだ。だから私は歴史小説は嫌いである。しかし、歴史小説好きには、結末が分かっていてもその過程を楽しむ傾向があるようだし、本作の中盤の展開もむしろ歴史読者にはたまらないのかもしれないという可能性は一応認識している。
で、私の冗長な印象は、「王の帰還」の後半でかなり払拭された。いくつかのどんでん返し、何気ない伏線が効果を上げていること、指輪消滅後も気を抜かずサブストーリーを一つ一つ丁寧に〆め、物語全体が指輪のようにいったん閉じた後、再びガルボとフロドが船で中つ国を去っていくという、世界に広がりを感じさせるようなラスト(追補版もこれによって第三紀が終わったとされ、その後はフロドらの動向は全く記されておらず読者の想像に委ねられる。それどころか中つ国以外の地球上の歴史がどうなっているのかはさっぱり書かれていない)、などは流石だと思った。何より、前作『ホビットの冒険」(未読)を含めた全体の書き手が明らかになるというメタフィクション的なくだりには唸らされた。
この終わり方から見る限り、物語作者としての才能はあると思うから、もっと短い前作「ホビットの冒険」はもっと面白いのではなかろうか、そのうち読んでみたいと思っている。

なおジョルナダに、『王の帰還」上巻を読んでいる時点での「指輪物語はなぜつまらないか」という考察を記していた。全体の印象はエンディングでだいぶ改善したものの、中盤までの退屈な印象が払拭されたわけでもないのであそこで書いたことは依然生きていると思う。後で参考までにアップする。

さて、評価をする。
テーマ性   ★★★★★
奇想性    ★
物語性    ★★★★
一般性    ★★★★★
平均     3.75点
文体     ─
結末の意外性 ★
感情移入力  ★★(終盤でやや持ち直した)
主観評価   ★1/2 (17/50点)
18. Posted by silvering   November 17, 2004 12:39
「王の帰還」上巻段階で書いた物

つまらない理由
1 文体 のっぺりとした敬体文で、緊張感がない。メルヘンならこれでよいだろうが、むしろ血生ぐさい歴史小説に近い本書の内容にあわない。
2 キャラクター 感情移入できる対象がいない。多視点的で描写が巨視的である上、キャラクターも類型的で、複雑な厚みを持ったリアリティに乏しい。性格の描きわけとこれは別の問題である。人間以外の種族やモンスターに近い動物も登場するが、通常の人間や動物との相違があまり描写上感じられない。ファンタシイというよりも歴史小説に近い。想像上の種族や怪物の新奇さがほとんど感じられず、むしろ人間の種族の一種、熊やライオンといった獰猛な動物の誇張されたものとしてしか描かれていない。このため万人に理解されやすい反面、非常に陳腐に感じられる。恐らく幻想文学の読者よりも、歴史、時代小説の読者によりアピールするであろう。
3 世界設定 上述したところが同様にあてはまる。想像上の古代ではあるが、人類史からの類推の域を超えない。それは理解しやすさという点で万人向けである反面、新しさがなく、人によっては退屈に感じられる。
4 ストーリー 指輪という強力な武器、支配手段をめぐる権力抗争、戦争と諸勢力とあらがいながら指輪を葬り平和をもたらそうという絶望的戦い。非常に単純な善悪の対立の構図がある。それは物語の基本構造に忠実ではあるが、反面、意外性がなく単純で、陳腐に感じられる。それをただ引き伸ばしているだけであるので、好きな人には最高だろうが、嫌いな人には冗長で退屈この上なく感じられる。本作へのオマージュといわれる諸作にも同様のことがいえるだろう。
5 奇想性 上述したところから奇想性は極めて乏しい。
6 テーマ性 善悪の対立と克服、支配への意志と絶対兵器、戦争と平和といったテーマは普遍的である。その反面、陳腐(平凡)である。テーマ性は高いが、その巧拙に関しては主観的好みにより正反対の評価になりうる。
7 結末の意外性 ない。読者の期待(予想)を裏切らない予定調和である。好きな人には最高だろうが、嫌いな人には時間の大いなる無駄、無間地獄であろう。ただし、主要キャラの節目節目での死亡は、辛うじて意外性を付加している。
以上見てきたが、映画やゲームが抜群に面白いこととの比較で考えるに、本書がつまらない最大の理由は、文体(翻訳)にあると思われる。のっぺり、もわーんとした、童話的な敬体文。これでは原作の持つ緊張感やかっこよさが台無しであり、原作の持つ欠点である冗長さや陳腐さ、平板さが強調されるだけの結果に終わっている。表紙絵の陳腐さがそれを更に強調している。
結論、指輪物語は映画とゲームで済ませろ。どうしても読むなら、原書以外読むな。以上。