SF百科図鑑 フレデリック・ポール『ゲイトウエイ』ハヤカワ文庫SF


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2000年


9/23

「ゲイトウエイ」に入る。2年程前に半分ぐらいでやめていたので途中から。まだ筋が思い出せず難航している。主人公ロビネットの精神分析の話とゲイトウエイ探索の話が交互に語られるが、筋よりもロビネットと女の痴話話が冗長に続き、けっこうかったるい(しかも女がクララとか、シェリとか、いろいろ出てきて、どれもあまり面白みのない人物なのでなかなか覚えられない)。野心は買うけど意余って力足りず?のイメージだ、今のところ。ゲイトウエイ探索も行った先の話ではなく、戻ってきた人々の人間関係とかの話ばかりなので、退屈だし。素直に冒険SFにしたら面白い小説になると思うんだけど。このネタで、なぜこういうことをやらねばならんのか、それも巧ければいいけど、実力不足で空回りの感じ。同じネタでルグィンとかが書いていれば、もっと読むにたえるものになっていたはず。まあしかし、そういわずもう少し読んでみよう。
ん、そういえばこれも矢野徹訳だ。月は無慈悲もそうだったし、矢野訳と相性が悪いのかな? 宇宙の戦士はよかったのに。

9/24
「ゲイトウエイ」★★★★1/2。途中かったるかったが、このかったるさ自体が終盤への伏線であった。精神分析と組み合わせた野心は買うが空回りしていると上に書いたが、終盤で挽回。最後まで読んでよかった。ニーヴンとディレーニイを足して2で割った感じというか。ハード面のアイデアは明らかにニーヴンの影響が顕著で、ちょっとクラークを拝借しているが、最後の探索でブラックホールに捕まり脱出するくだりはニーヴンの「中性子星」あたりを思わせる。他方、ゲイトウエイを舞台に展開される、外宇宙に乗り出すか、地球に戻って平凡な人生を生きるかに逡巡するモラトリアム人間たちの描写は、ディレイニーの「スターピット」あたりの影響が感じられる。主人公もアンチヒーローのモラトリアム人間で、外宇宙に出ていく勇気が持てずに、女やドラッグに溺れて自分をごまかしながら生きている。性的側面でも70年代作品らしく、不特定の相手との行きずりの関係、同性愛、乱交といったネタが自然に折り込まれている。主人公の精神分析をするコンピュータは、ハインラインの「マイク」の変型だろう。要するに分析してみるといろんな作家のネタをミクスチュアした代物で、ポール独自のものがあるわけではないのだが(このあたりが編集者出身の作家らしいところ)、このごった煮ぶりがニューポールの特徴として不思議と際立つ。正直いって小説としては荒削りだし、文章がうまくもないし、アイデアが際立っているわけでもないのだが、総合力というか。最後まで読んで続編を読む気になった。BGMはアレックス・ゴファーが合います(独断)。