ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

HEROES

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HEROES ◆DiyZPZG5M6


 電車の座席に佇む一人の少女。
 彼女の表情は険しく神妙な面持ちで流れる風景を見つめていた。
 電車は彼女――源千華留に渦巻く様々な感情をよそに、時刻通りにレールの上を走る。

 がたんごとん。
 がたんごとん。

 電車の窓から射し込む西の紅い陽光。
 太陽は地平線の向こうに沈もうとしている。
 間もなく日没が訪れる。再び島が闇に覆われるまで一時間といったところだろうか。
 やがて千華留を乗せた電車は終点のF-2地点の駅に到着した。
 粗暴な男の車内アナウンスに見送られ彼女は駅のプラットホームに降り立つと彼女は大きく深呼吸をした。

 明るくさんさんと照らしだす日光が支配する昼の世界。
 全てが闇に覆われ青白く輝く月光が支配する夜の世界。
 その二つの世界が交差する今の時刻――黄昏時。
 まだ完全に闇が訪れず人々が活動できる時間であるが、
 ところどころに息を潜ませる闇が人を不安にかき立てる逢魔ヶ時。

 古来より異界と交わる時間である夕方の島に再び大きな声が響き渡る。
 どこかに設置されたスピーカーより響き渡るひび割れた音声。
 黙示録の天使が第三のラッパを吹き鳴らした。


『やあ、参加者の皆さん、気分はどうだい?』


 三番目の天使は少年だった。
 言峰とも神崎とも異にする新たな人物の声。
 神崎よりもまだ若い少年の声。
 彼は飄々とした口調で死者の名を告げていった。

「…………っ」
 つい数時間前まで行動を共にした仲間の名を告げられる。
 他の仲間も散り散りになってしまった。
 だけどまだ彼らは生きている、希望は潰えていない、あきらめるのはまだ早い。
 彼の意志を継ぐために。
 大切な仲間達を失いながらもこの殺し合いから懸命に抗い、
 志半ばで斃れた直枝理樹との約束を果たすために。

「リトルバスターズ……」
 千華留は彼の最期の言葉を今一度口に出す。
 理樹が結成したリトルバスターズは今や半壊状態になってしまった。
 だけどそのメンバーに刻み込まれた決意は壊れない。
 意志を継ぐ者がいる限り決して終わらない。
 バトンは託された。
 再びリトルバスターズの結成を、円卓に集う英雄を求めて千華留は起つ。


「新生リトルバスターズ、ミッション・スタートよ!!」


 ◆ ◆ ◆


「とは言ったものの……これからどうしようかしら」
 駅のホームで千華留はぽつりと呟く。
 高らかに新生リトルバスターズの結成を宣言したのはいいが、方針はほとんど白紙同然である。
 白いマントを翻し、決めポーズまでとったのが少し気恥ずかしい。
 気のせいか吹く風がすごく冷たかった。
 とりあえずは離れ離れになった仲間を見つけるのと、新たな仲間を見つけることが優先されるべきだが……
(とりあえずこの辺り一帯の探索……かな)
 放送によると22時からG-4地点が禁止エリアに指定される。
 そこはちょうど駅がある線路上。
 つまりは電車による移動が不可になってしまうのだ。
 電車に乗るのなら最低でも一時間前、21時には駅に戻っておいたほうが良い。
 今の時間は18時過ぎ、三時間近くはこの辺りの探索に時間を費やせる計算になる。

 千華留は装備している拳銃の残弾数を確認する。
 残り14発。一人で行動するには少し心もとない弾数だ。
 近接用武器には傘を模ったカンフュールがあるが、
 千華留本来の身体能力が平均的な女子高生と変わらないので、大立ち回りを演じられそうにない。
 見た目は傘そのものなので万が一の場合奇襲に使えそうではある。
 出来る限り闇に紛れ、殺し合いに乗った者への交戦は避けるのが上策だ。

 千華留は駅を離れ街を歩く。
 石畳に覆われた中世ヨーロッパ風の街並み。
 テーマパークにすればそれなりに客入りが見込まれそうなほど見事な街並みである。
 メインストリート的な道は両サイドに街頭が立てられており、ぼんやりと明かりが灯っている。
 完全に夜になってしまうとこの通りはそれなりの明るさになるだろう。

 人っ子一人いない静寂の街、空はほどなくして深い藍色に覆われ闇が訪れた。
 字を読めるぐらいに明るい通りとは対照的に街灯の光が届かない路地裏には漆黒の闇が広がっている。
 最初の夜はりのと行動していたためさほど気にならなかった闇。
 だが今は千華留一人。人の本能が無意識に闇への不安、恐れを煽り立てる。
 闇の中から手がにゅうっと飛び出し自分を引きずり込むかもしれない。
 そんな余計な想像ばかりが千華留の脳裏に浮かんでは消えていく。
 自然と拳銃のグリップを握りしめる手の握力が強まってしまう。

 ごくりと生唾を飲み込む音。
 高まる心臓の鼓動。
 なぜ闇は人の恐怖をこれほどにまでかき立てるのだろう。
 千華留は道を端ぎりぎりを歩いている。
 建物の壁を背にするようにゆっくりと薄暗がりの中を歩む。
 脇の小道に差し掛かる交差点にやって来たとき――――

「少し――話を聞いてくれないか?」

 背後の闇に覆われた小道から突然女の声が発せられた。


 ◆ ◆ ◆


 亡霊の名を持つ暗殺者と仮初の停戦協定を結ぶこととなった烏月とこのみ。
 あれから彼女達はさしたる障害もなく、森を抜け出し街にやってきた。
「きれいな街だね……」
「ああ……」
 夕日の赤い光に染め上げられた西洋風の街並みがとても美しい。
 二人はその光景にしばしの間足を止め、その景色に見とれていた。

 烏月はツヴァイとの会話を思い出す。
 桂はまだ生きている。同行者と共にこの島で行われている殺し合いを止めるべく動いているのだと。
 ツヴァイの証言がどこまで本当かは分からない、もしかしたら完全に騙されているのかもしれない。
 だが今は彼の言葉を信じて行動するより他はない。
「烏月さん……ツヴァイさんの言ったことが気になるの?」
「やっと桂さんの手がかりが見つかったんだ。だけど……彼が嘘を吐いているかもしれないと思ったら、ね」
「大丈夫だよ烏月さん、あの人はたぶん嘘を吐くような人じゃない。このみの勝手な思い込みだけど……」
 このみは微笑を浮かべ烏月に話しかける。
 このみは彼の――ツヴァイの悲しみに満ちた瞳を見ると、どうしても彼が嘘を吐いていると思えなかった。

「わたしの大好きな人たちはみんな死んじゃったけど……烏月さんには桂さんがいる。だから頑張ろう!」
「ああ……その通りだ」
「あの……ひとつだけ約束してほしいな」
 このみは少し悲しげな色を湛えた紅い瞳を烏月に向け言った。
「もし……烏月さんの大切な人がいなくなってしまっても、このみのようにはならないって」
「このみさん……」
「このみはもう鬼になってしまったけど……烏月さんは人間だよ。
 それに鬼退治が仕事の鬼切りが鬼になっちゃったらカッコ悪すぎるもん……」

 泣き笑いのような表情のこのみ。
 烏月には彼女の心情が痛いほど理解できた。
 大切な人を次々と失ったこのみ。
 彼女の悲しみ、絶望、憎悪は彼女を鬼へと変えてしまった。
 だからこそこのみは烏月に自らと同じ過ちを犯してほしくなかったのだ。
「…………」
 烏月は素直に頷けなかった。
 もし桂を失ってしまって時、自分は自分でいられるのだろうか?
 絶望と憎悪に囚われず人でいられることができるのだろうか?
 烏月は――――


『やあ、参加者の皆さん、気分はどうだい?』


 彼女の言葉を遮るように三回目の放送が島全体に響き渡った。


 ◆ ◆ ◆


「誠……君……」
 呼ばれた名前にこのみはがっくりとうな垂れる。
 なぜあの時誠と一緒に行かなかったのだろう。いや行けなかった。
 絶望と憎悪で悪鬼と化した自分は誠と一緒に行く資格なんてなかった。
 鬼となってしまったことで誠に拒絶されるのが怖かった。
 だからこのみは誠に自らのリボンを託して彼の下から去った。
 結局それがこのみの見た誠の最後の姿となってしまったのだ。
「このみさん……」
「誠君はこのみに優しくしてくれた。誰一人このみの味方がいないこの島で見つけたたった一人の友達
 でも自分が鬼になっちゃって、人でなくなって誠君に嫌われるのが怖くて逃げだして。
 このみにほんのちょっぴり勇気があれば誠君は死なずに済んだかもしれないのに……」
「……………」
 烏月は何も言えなかった。何を言ったところでこのみの心の傷を癒すことができないのだから。
 だから烏月は無言でこのみの震える小さな身体を抱きしめた。
「烏月さん……?」
「君は決して一人じゃない、私がいる」
 たった一言だけ発した烏月の言葉。
 幾千の言葉よりもたった一つの真言。それが彼女にかけられる言葉の全て。
「うっ……えぐっ……」
 涙が溢れすすり泣くこのみ。烏月は優しく微笑みながら語りかけた。

「ほら、君は今泣いている。人の死を悼み泣くことができる。紛れもなくこのみさん……あなたは人間だよ」
「うぐっ……うあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ……」
 烏月の温もりを肌で感じ、ただひたすら泣き続けるこのみ。
 烏月は彼女を優しく抱きしめ続けていた。


 ◆ ◆ ◆


「どうだい、少しは楽になったかな?」
「うん……わたし、もう少し頑張ってみるよ」
「私も出来うる限り君の手助けをするよ」

 烏月とこのみは再び歩を進める。
 気が付けば太陽はすでに没しており夜の帳がすでに降りていた。
「また長い夜の始まりだね……」
「だけど明けない夜はない。私達は前に進むのみさ」
「うん!」


 烏月は地図を広げ何かを書き記していた。
 このみはそれが気になり彼女を覗き込む。
「烏月さん、何をしているの?」
「いや、新しい禁止エリアを書き込んでいるんだが……少しまずいね」
「何がなの?」
「22時でG-4地点が禁止エリアに入る。ちょうどこのエリアには駅があるんだ」
「ということは電車が使えなくなるんだね……」
「そうだね、私達はツヴァイの情報を元に歓楽街に行くつもりだけど、電車を使うのが最も早い。
 彼との協定が第四回放送までを考えると迅速に行動しないといけないからね。
 できる限り最寄のF-2の駅に移動したほうがいい」
「なら急ごう!」
「ああ」
 そうして烏月とこのみは駅を目指して再び歩き出した。


「烏月さん……ちょっと待って!」
 駅へ向かう二人、だがこのみが突然足を止める。
「どうしたんだい?」
「誰か……いる。足音がする……」
 烏月には何の音も聞こえない。が、このみは鬼の超感覚は確かに二人以外の足音を捉えていた。
「人数は……一人だよ。方向は――あっち」
 このみの指差す方向、そこは開けた大通りだった。
 二人が立つ脇道よりも街灯が多く立ち並んでいるため他の場所に比べると一際明るい。
 そこを何者かが歩いているのだというのだ。

 烏月とこのみは建物の影から顔を覗かせ辺りの様子を探る。
 すると駅の方角から人影がこちらに向かっているのがはっきりと見えた。
 年の頃は十代後半の少女。
 制服の上に白いマントを羽織り、白い帽子を被った何とも奇妙な出で立ちの少女だった。
 そして手に握られた拳銃―――

二人の緊張が高まる。
(銃を持ってるね……)
(だけど見た感じでは素人の動きだ。ツヴァイのように銃器に扱いなれた者の動きではないようだね)
(どうする?)
(まずは声を掛けるしか無さそうだね……私が声を掛ける。
 このみさんは相手が不穏な行動を取ったらすぐに飛び出せるように待機していてくれ)
(了解であります!)

 烏月は少女が通り過ぎるのを見計らい、彼女の背後から声を掛けた。


 ◆ ◆ ◆


「――――――――――!!!」
 突如発せられた背後の声に千華留は声にならない声を上げる。
 とっさに銃を構え後ろを振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。
 闇に溶け込むような漆黒の学生服を纏った少女。その手には鞘に納まった刀を携えていた。
(まずいわね……)
 見るからに手練れの者と分かる雰囲気。
 一方こちらは銃を持っているとはいえ戦闘に関しては全くの素人同然だ。
 一触即発の空気が辺りを包む。

「驚かせてすまない、少し聞きたいことがあるんだ。まずはその手の銃を下ろしてして欲しい」
 ややハスキーな声が見た目をさらに凛々しく印象付ける黒の少女。
 千華留はその雰囲気に気圧されないように口を開く。
「あなたが何者か分からない以上、おいそれと銃を下ろすわけにはいかないわ。この銃は私の命綱よ、
 銃を下ろした途端、その刀でバッサリやられてしまうかもしれないもの」
「確かにそうだね……ならこれでいいかい?」
 少女は手から刀を離す。手から滑り落ちた刀が石畳に落ちて転がった。
「あら、そんな簡単に武器を手放していいのかしら? 銃を持ってる相手に対してあまりにも無防備よ」
「そんなことは無いさ――なぜなら」

「このみも一緒にいるであります!」
「!!」

 急に背後から声がした。
 千華留はおもわぬ伏兵に思考を乱されるも、すぐに落ち着きを取り戻し背後を振り返る。
 そこには意外な人物が立っていた。
「あなたは――柚原……柚原このみちゃん!?」
 見間違えるはずがない、この島に連れて来られた時に出会った少女。
 一瞬のうちに幼馴染の首を吹き飛ばされる光景を目に焼き付けてしまった少女。
 柚原このみがそこにいた。

「やれやれ……簡単に武器を手放すなんてと思ったら、こういうことね。まんまと孔明の罠に引っ掛かってしまったわ」
「ああ、だから素直に銃を下ろして欲しい」
「ええ、そうするわ。二人相手なんて私じゃどうすることもできないしね。捕虜は丁重に扱ってね♪」
 そう言って千華留は銃を地面に落として両手を上に伸ばし無抵抗の意を示す。
 見たところ彼女達は自分に危害を加えるつもりは無いらしい。
 ならば素直に彼女達の要求に応じるのが得策というものだ。
 千華留は彼女達に従うことにした。


 ◆ ◆ ◆


「新生リトルバスターズ結成の為に行動する源千華留。だが、それは美少女二人の巧妙な罠だった」


 千華留達はその場を離れ近くの建物で話し合いを行うことにした。
 建物内は暗いが完全に真っ暗ではなく、窓から差し込む街灯の光が室内を仄かに照らしていた。
 立ち並ぶマネキン人形、それらに着せられたブランド物の洋服。
 どうやらここは洋服店のようだ。

「何を言ってるんだあなたは……」
「この後『こんな奴らに……くやしい……!』となるわけよ」
「言ってることが良くわからないんだが……」
「もうっノリが悪いわねえ~。まあいいわ、あなた達は私に話があるんでしょ? 私の名前は源千華留よ」
 軽い冗談はこれまでにして千華留は自分の名前を名乗る。
 千華留に続いて二人の少女が名を名乗った。
「千羽烏月だ」
「柚原このみです」

 このみは言うまでもなく烏月の名に千華留は聞き覚えがあった。
 確か棗恭介と情報を交換した時に彼の口から出た名前。
 彼は一時的に彼女と行動を共にしていたようであった。
 そして彼女は浅間サクヤ、ユメイと同じく羽藤桂を探す者の一人だった。

「そう……あなたが烏月さんだったのね。あなたの事は棗恭介から聞いてるわ」
「ああ……彼と出会ったのか」
「にしてもこれで三人目。桂ちゃんたらほんとモテモテね♪」
「なっ……!? あなたは桂さんを知っているのかい!?」
 意外な人物が桂の名前を知っていたことに驚きを隠せない烏月。
「いえ、私も直接会ったことはないの。サクヤさんとユメイさんから頼まれてね……」
「君は二人ととも出会っていたのか……。ふふふ、人の縁とはどこで交わるかわからないものだね」

 千華留と烏月はお互いのいきさつを掻い摘んで説明し情報交換を行った。
 千華留は恭介との出会い、ユメイや理樹との出会い、そして理樹の死と離れ離れになってしまったことを。
 烏月は恭介と協力しティトゥスと戦ったこと、ドクター・ウェストやこのみとの出会い、
 そしてツヴァイと名乗る暗殺者との一時的な協定……それらを簡潔に説明した。
 もっとも――烏月自身当初は桂を守るために参加者を皆殺しにしようと動いていたことと、
 このみが悪鬼であるというのは伏せてなのだが――

 千華留と烏月の情報を照らし合わせた結果、まず味方と思われるのが。

 大十字九郎
 アル・アジフ
 ドクター・ウェスト
 蘭堂りの
 神宮寺奏
 山辺美希
 杉浦碧
 井ノ原真人
 来ヶ谷唯湖

 現在の所味方かどうかは保留。

 棗恭介
 トルティニタ=フィーネ
 クリス・ヴェルティン
 玖我なつき
 藤乃静留

 危険人物。

 深優・グリーア
 蛆虫の少女(名前不明)
 ファルシータ=フォーセット
 ツヴァイ(第四回放送まで停戦協定)
 鮫氷新一(戦闘能力はほぼ皆無)


「こんなところかしら……恭介さんの思惑が分からないのが悩みのタネなのよねぇ
 そしてトルタさんの知り合いのファルシータ=フォーセット……烏月さんの情報ではかなりの危険人物らしいけど……」
「あの人は……ファルさんは……このみを……」

 このみがぽつりとファルの名を呟いた。
 千華留は改めてこのみの容姿を確認する。
 赤く可愛らしい制服は血と泥でかなり汚れている。だがその割には目立った外傷は見当たらない。
 それに――最初の時に比べるとどこか雰囲気が違う。
 見た目は確かに何ら変わりは無いのだが……どこか禍々しい気配を千華留は肌で感じていた。

「……さない……許さない……して……殺し――――!? ぐっ……ぅあああ!」
「このみちゃん!?」
 突然このみが苦しみだした。自らの体を両腕で抱え何かを押さえ込むような仕草で苦しむこのみの姿。
 千華留はこのみを介抱しようと駆け寄るが……
「ダメ! 来ないで千華留さん! このみに近寄らないで! くぅぅ……やだ……やだよ……嫌われたくない……
 やっと……やっと……このみの事を覚えてくれた人に出会ったのに……静まって……お願い……!」

 近寄ろうとする千華留を静止する烏月。
 このみはよろよろとおぼつかない足取りで二人から遠ざかるように店内のカウンターに手をついた。
 すると、みるみるうちにヒビが入り、まるで積み木を崩すようにカウンターは真っ二つに砕け散ったのだった。
「はあ……はあ……ぁぐ、ぅぁ」
 顔を手で覆うこのみ。
 千華留は烏月を振り切りこのみの肩を抱きとめる。
「このみちゃん! しっかり!」
「こ……ないで……! 千華留……さん!」

 ふと千華留の視界にこのみの顔が入る。
 片手で覆われた顔の指の隙間から彼女の目が除き千華留と視線が合う。

 爛々と鮮血のように赤く輝く瞳。
 爬虫類のように縦に割れた瞳孔。
 視線を合わせただけで殺されそうになるおぞましい殺気。
 だが千華留はそれに臆せずこのみの体を抱きしめる。
「―――――っ!!」
 焼けるような痛みが千華留の首筋に走る。
 このみはその歯を千華留に突き立てていた。
「千華留さん!」
 烏月が叫ぶ。
 千華留は首筋の痛みに堪えながらもその腕を離さずこのみを抱きしめていた。
 破れた皮膚から滲み出る血液をこのみは啜る。
 千華留は血液と共に自らの生命力も失われていくような錯覚に陥っていた。
 だがそれでもなお千華留はこのみを抱きしめたままだった。


 ◆ ◆ ◆


 しばらくしてこのみは落ち着きを取り戻す。
 だが千華留を傷つけてしまったことにショックを受け泣きじゃくるこのみ。
「千華留さん……傷は……」
「少し痛むけど大丈夫。もうっ烏月さんたら大げさね」
 千華留は首筋を押さえながら微笑んでいた。
「烏月さん……このみちゃんに何があったの……?」
「それは――――」
 口ごもる烏月。このみの身に起きた出来事を話して良い物なのだろうか?
 だがこのみは千華留の首に歯を突き立てその血を啜ってしまっている。
 これ以上隠すことは出来そうに無かった。

「このみさんは――――」
「待って烏月さん……わたしから説明するよ……」
 泣きはらし、目の周りを真っ赤にしたこのみが顔を上げ言った。
「でも……」
「誠君の時のように後悔したくないの。だから――お願い」
「わかった。専門的な事は私から補足説明しよう」
「ありがとう……烏月さん」

 このみは涙を拭いて立ち上がる。
 その表情は緊張の色が見えるも決意を秘めた力強い眼差しだった。

「千華留さん……今のわたしは人じゃなく鬼になっちゃったの」
「鬼……虎の毛皮のパンツに金棒のあれかしら?」
 このみは無言で頷く。
 そして烏月が言葉を続けた。

「千華留さん、人が鬼に成るという話を聞いたことがあるかい?」
「まあ物語……民話、説話などで聞いたことがあるわ。
 有名なところでは保元の乱で後白河天皇に破れ流罪となった崇徳上皇がそれにあたるかしら。
 生きたまま天狗となって『日本国の大魔縁となり、皇を取って民となし、民を皇となさん』と
 凄まじい呪詛を残して死んだと本で読んだことがあるわ」
「まあそういうことになる。この世界に対する憎悪・絶望が積もり積もった結果、
 悪鬼羅刹とその身を転化させる。後に残るは破壊衝動と人を喰らう食欲のみ」

 絶望、憤怒、憎悪。
 幼馴染を一瞬に奪われ、信じた者に裏切られ、理不尽な暴力で傷つけられる。
 それが千華留が知ったこのみに起きた出来事だった。
「でもこのみちゃんはまだそこまで行ってないように見えるわ」
「そう、このみさんのケースはまさに奇跡と言ってもいい。かろうじて彼女は人の心を保っている。
 だけど……さっき見たように湧き上がる破壊衝動と殺人衝動と必死に戦っているんだ」

 にわかには信じがたい話である。
 だがカウンターを真っ二つにした怪力と蛇に睨まれた蛙のようになる眼力を経験した千華留にとって、
 それらは十分に納得できるものだった。

「私が……一番懸念していることはこのみさんが桂さんと出会った時だ」
「わたしと桂さんが……」
「まだこのみさんには説明していなかったんだが……私が探している桂さんは極めて強力な贄の血を宿している」
「それって……わたしが拾った瓶にその名前が――」
「贄の血……確かユメイさんがそんな事を言っていたわね……」
 人にあらざるものを強化する特殊な血――贄の血。
 普通の人間数千人分の血を摂取した分量に相当する化物にとって最高のご馳走。
 たった数滴がこびり付いた瓶の中身にこのみはむしゃぶりついていた。
「桂さんを前にした時、このみさんが自我を保っていられるかどうか私には検討がつかない。もしこのみさんが――」
 言葉に詰まり、伏目がちにこのみを見る烏月。
「わかってる……その時はこのみを殺して。それが約束だから……」
「そんな……このみちゃん……烏月さん何とかならないの!? このみちゃんを人間に戻すことは出来ないの!?」

「あるよ……このみを人に戻す方法、鬼になった人間を元に戻す技を烏月さんは使えるの」
「私は千羽党と言う古来より鬼を切る事を生業とする一族の出身なんだ。
 そして千羽党には鬼と化した人間の鬼のみを切る奥義が伝えられている。
「だったらどうしてそれを使わないの!?」
 千華留の言葉は当然のものだった。
 しかしこのみは首を振って千華留の問いに答える。
「だめなの千華留さん……今、人に戻るとタマお姉ちゃんとの約束を果たせなくなっちゃう」
 あの暗い場所で千華留も見ていた光景。
 自分の命と引き換えにこのみの命を救った向坂環。
 彼女の最期の言葉は千華留の耳にもはっきりと聞こえていた。

「この力が間違った力なのはわかってる……だけど……!
 それでもこのみが生きるために手に入れた力なの! 今この力を手放したら最初のように
 タマお姉ちゃんもタカくんもユウくんも死んで泣くことしか出来なかったわたしに戻っちゃう!」
「…………!!!」

 千華留は何も言い返せなかった。
 彼女の悲壮な決意が痛いほど心に伝わってくる。
 こんな悲劇があっていいのだろうか?
 一体彼女は何をしたと言うのだろうか?
 なぜ彼女はこんな仕打ちを受けねばならないのか?

「このみちゃん……」
 千華留はこのみの小さな身体を静かに抱きしめた。
 彼女の長い黒髪がふわりとこのみの鼻をくすぐる。
「千……華留さん……?」
「悔しいわ……こんなにこのみちゃんが辛い目に遭って来たというのに、私は何一つできやしない……
 あなたの苦しみを肩代わりすることも出来ない。自分の無力さがすごく悔しい……」

 震える千華留の声。
 このみをこんな目に会わせた理不尽な世界への怒り。
 そして何よりもこのみに対して無力な自分に対する怒り。
「ねえ、このみちゃん約束して」
「約束……?」
「どんなことがあっても人でいて、あなたは私達が鬼にさせない。だから、最後まで人であり続けて」
「うん……どこまでできるかわからないけど……わたしがんばる……!」
「そう……いい子ね」

 千華留はこのみから身体を離すと「ちょっと待っててね」と言って、何かを捜し求め店内を歩き始めた。
「ここは服屋だから多分あると思うけど……」
「千華留さん?」
「おっ……あったあった。じゃ~ん♪」
「あっ……これは……」
 ふわりとこのみの首に柔らかい布が巻かれる。
 燃えるように赤い深紅のマフラーだった。
「ふっふっふ……ヒーローの証――その名も『赤いマフラー』! そして私との約束の証」
「ヒーロー……」
「望まずして強大な力を手に入れてしまい戦いに巻き込まれた者、
 その身を異形と化してしまっても愛する人守るべき人のため戦いに身を投じた者、
 それは哀しみを力と変えたヒーローの証よ」
「でも……このみはヒーローなんかになれないよ……わたしの好きな人守るべき人はもう――――」
「なら私達を守るヒーローになりなさい。その呪われた力をみんなを守る力に変えなさい」
「呪われた力をみんなを守る力に……だけどわたしは……鬼の衝動を抜いても……
 このみを酷い目に遭わせた人に憎しみ、怒り、そして殺してやりたいと思ってる……
 そんなこのみにヒーローの資格なんてないよ……」
「憎しみも怒りも人であることの一部よ。それらが存在しない人間なんて人間じゃない。
 人間誰しも抑圧された感情、自分でも気がつかない無意識の奥底に、
 とても他人に見せることなんてできない醜い心を持っているわ。
 目を背けずきちんと向き合いなさい。それらも自分の一部であることに変わりはないのだから」

 千華留は優しくも力強くこのみに語り掛ける。
 絶望の淵に瀕したこのみが掴んだ希望のひとかけら。

「このみは……」
「一つだけお願いがあるの。私や烏月さんにすがり、依存することだけはしないで。
 それで得られる安らぎなんて所詮仮初の物よ。私達が死ねば儚く消える存在。
 再びあなたは絶望に囚われる。あなたに必要なものはそんなものじゃない。
 どんな困難にも挫けない不屈の心と、一歩を踏み出す勇気こそあなたに必要な物よ」
「不屈の心と勇気……」
「私達の死を乗り越えられる不屈の心を手にした時、その時こそあなたが真のヒーローよ!」

 力強く頷くこのみ、二人のやりとりを見ていた烏月は思う。
 千華留の全てを受け入れる包容力と、時には突き放す厳しさ。
 これこそ人が有史以来人の心に刻み込まれてきた『母』の姿なのだと――

(一歩を踏み出す勇気、か……)
 烏月の心に落とす影。
 千華留はおろかこのみにも話していない真実の一端。
 かつて自分は桂のために悪鬼と化そうとしていた事を。
 最初に出会い、そして殺そうとした少年の名――向坂雄二。
 結局彼は殺せなかった。だが彼は自分が去った後で死んでしまった。
 あの時、邪魔に入った女に殺されたのだろうか?
 それとも他の誰かによってなのだろうか? もはや知る術は無い。
 どちらにせよ自分は彼の死に関わった。彼を見捨てた事には変わらない。
 もしあの時、彼と共に行動していたならこのみは鬼と成らずに済んだかもしれないのに……

(私は―――――)


 ◆ ◆ ◆


「千華留さん……あなたは本当に強い人だね……」
「あら? 私は烏月さんやこのみちゃんのような力を持っていないただの女子高生よ」
「そういう意味じゃないよ。あなたの持ってる強さは心の強さ。私には到底真似できない
 もし桂さんが死んでしまったら私は……」
「私もね、大切な人がいたの。でも彼女はこの島で死んでしまった。哀しみと絶望で自暴自棄になるのはすごく簡単。
 でも私は生憎素直な正確じゃないの。そして私と同じく大切な人や仲間を失いながらも、
 決して自分を見失わなかった彼の意志を継ぐためにも」
「彼?」
「理樹……直枝理樹。女の子みたいに可愛らしい顔をしてるけど……その信念はまさしく『漢』だったわ」
 直枝理樹……その名は烏月も聞き覚えがある。
 棗恭介の探し人の一人だったはず。
 そして三回目の放送で名前を呼ばれた人間――

「リトルバスターズ」
「リトルバスターズ?」
「そ、リトルバスターズ。理樹さんの願いの結晶、この島で困っている人を助ける正義の味方の集まり。
 彼はそれの創設者。だけど理樹さんは志半ばで斃れた……私の目の前で。
 そして他の仲間達も離れ離れになってしまったわ……」
「そうだったのか……」
「だから私は彼の最期を看取った者として、自分の意思で彼の願ったリトルバスターズを再結成する。
 かつての仲間と合流して、新しい仲間を見つけて新たなリトルバスターズを……」

「千華留さん……一つ聞いてもいいかい? 多分すごく嫌な質問だと思う」
「何かしら?」
「話し合いで解決できない……自分を殺そうと、仲間を殺そうと迫る者を殺す覚悟はあるかい?」
「……………」
 烏月はそれ以上何も言わず千華留の返事を待つ。
 ややあって千華留は口を開いた。

「ほんと、嫌な質問ね。世の中綺麗事ではうまくいかない。こちらの説得も通じない人間だっている。
 それで私の大切な人仲間が死んだ。自分を守るため、仲間を守るため……私はその手を汚す覚悟はあるわ。
 血に染まった自らの手から決して目を逸らさずに生きていく。でもね……」
「でも?」

「そういう状況こそ、あの陰険神父が愉快で愉快で堪らない展開だと思うと癪なのよね~
 仲間を集め、島を脱出しようとする私がその手を血で汚す。
 『お前の信念とはその程度の物とは何たる愉悦』ふははははーって大笑いするでしょうね」
「確かに……あの男の言葉は危険だ。聞いた者の心の闇を暴き、傷口に塩を塗りこむ。
 聞きたくなくても聞き逃せないその言葉はまさに呪いと言えるかもしれない」
「あれは喋り方からして真性のサドよ。
 参加者の苦痛、呪い、慟哭の声を聞くのが三度の飯より好きなド変態よ。
 そう……このみちゃんが人と鬼の狭間で揺れ苦しんでる様なんて格好の好物でしょうね」
「……………」
「ああいうタイプは論破しようとしても無駄よ、一方的に勝利宣言されて言い負かせられないのがオチ
 あの神父みたいに詭弁を弄する相手にはこれが一番効果的よ」

 千華留は右手を握り締めて拳を作り烏月の前にかざす。

「右ストレートでぶっとばす、真っすぐいってぶっとばす。これよ!」
 相手が何を言おうとも問答無用で張り倒す」
「ははは……確かに単純明快な答えだね」
「だから――烏月さん、このみちゃん。あなた達の力を私に貸して欲しい。変態神父をぶん殴るための力を」

 千華留の真摯な眼差しが烏月とこのみの二人を捉える。
 どこまでも真っ直ぐで曇り一つ無い意志の強さの表れがそこにあった。

「ふふふ……断る理由がどこにある? 私はあなたに力を貸そう」
「えへへ、変態さんはおしおきするでありますよ~!」
「ありがとう……二人とも……」


 ――強敵があらわれたんだ! きみの力がひつようなんだ!

 少年の意志は受け継がれる。
 不屈の心と勇気がある限り永遠に。


【F-2中世西洋風の街・洋服店/一日目 夜】


【源千華留@StrawberryPanic!】
【装備】:能美クドリャフカの帽子とマント@リトルバスターズ!、スプリングフィールドXD(9mm14/16)
【所持品】:カンフュール@あやかしびと-幻妖異聞録-、理樹の制服トランシーバー、支給品一式×2、ハサンの髑髏面、女物の下着数枚、木彫りのヒトデ6/64@CLANNAD聖ミアトル女学院制服@StrawberryPanic!
【状態】:首筋に浅い噛み傷、強い決意
【思考・行動】
 基本:理樹の意志を継ぎ、新生リトルバスターズを結成する。
 0:リーダーとして進む。
 1:新たな仲間の確保。とりあえずクリス、唯湖を探してみる。
 2:元の仲間との合流。
 3:脱出の為の具体的な作戦を練りこむ。
 4:恭介とトルタに若干の違和感。
 5:神宮司奏に妙な共感。
 6:深優を許さない。なつきについては保留。
 7:りの無事を祈る。
【備考】
 ※理樹たち、深優と情報を交換しました。
  深優からの情報は、電車を破壊した犯人(衛宮士郎)、神崎の性癖?についてのみです。
 ※千羽烏月と情報交換しました。それによりファル・蛆虫の少女(世界)・フカヒレ・ツヴァイを危険人物と認識しました。
 ※G-4の民家に千華留とりのがF-2の駅に向かう、というメモが残されています。
 ※次の目的地は後の書き手氏に任せます。


【千羽烏月@アカイイト】
【装備】:地獄蝶々@つよきす-MightyHeart-
【所持品】:支給品一式×2、我埋葬にあたわず@機神咆哮デモンベイン、Love&Spanner@CLANNAD、
 アルのページ断片(シャンタク)@機神咆哮デモンベイン
【状態】:中程度の体力消費、身体の節々に打撲跡、背中に重度の打撲、脇腹に軽傷、右足に浅い切り傷(応急処置済み)
【思考・行動】
 基本方針:羽藤桂に会う。守り通す。
 0:歓楽街の周辺を捜索して、桂を探す
 1:新生リトルバスターズの一員として千華留と行動を共にする。
 2:このみの鬼を斬ってやりたい。
 3:このみが完全に鬼になれば殺す。
 4:キャル(ドライ)を見付けたら保護、第四回放送までに刑務所へと連れて行く
 5:恭介、トルタに対する態度は保留。
 6:なつきを探す。
 7:ウェストからの伝言を大十字九郎に伝える。
【備考】
 ※自分の身体能力が弱まっている事に気付いています。
 ※烏月の登場時期は、烏月ルートのTrueend以降です。
 ※クリス・ヴェルティン、棗鈴、直枝理樹の細かい特徴を認識しています。
 ※恭介・トルタが殺し合いに乗っている事を知りません。
 ※ドクター・ウェストと情報を交換しました。
 ※千華留との情報交換により深優を危険人物と認識しました。
 ※蛆虫の少女(世界)、ツヴァイを警戒しています。


【柚原このみ@ToHeart2】
【装備】:赤いマフラー、包丁、イタクァ(3/6)@機神咆哮デモンベイン、防弾チョッキ@現実
【所持品】:支給品一式、銃弾(イタクァ用)×12、銃の取り扱い説明書、草壁優季のくずかごノート@ToHeart2、鎮痛剤(白い粉が瓶に入っている)
【状態】:悪鬼侵食率20%、リボン喪失、小程度の体力消費、右のおさげ部分が不ぞろいに切り裂かれている、左肩に銃創(腕は動かせるが、痛みを伴う
【思考・行動】
基本行動方針:貴明と環の仇を討つ。
 0:柚原このみのまま、絶対に生き残り、主催者に復讐を遂げる。
 1:ファルと世界に"復讐"をする。
 2:新生リトルバスターズの一員として千華留と行動を共にする。
 3:烏月と共に行動し、羽藤桂を捜索。その後に人間に戻してもらう。
 4:ドライに会いたい
【備考】
※制服は土埃と血で汚れています。
※世界が使う“清浦刹那”という名前を偽名だと知りました。
※第一回放送内容は、向坂雄二の名前が呼ばれたこと以外ほとんど覚えていません。
※悪鬼に侵食されつつあります。侵食されればされるほど、身体能力と五感が高くなっていきます。
※制限有りの再生能力があります。大怪我であるほど治療に時間を必要とします。
 また、大怪我の治療をしたり、精神を揺さぶられると悪鬼侵食率が低下する時があります。
※フカヒレのここまでの経緯と知り合いや出会った人物について把握済み。
※精神状態はかなり安定しています。
※くずかごノートには様々な情報が書かれています。現在判明している文は、
  『みんなの知ってる博物館。そこには昔の道具さん達がいっぱい住んでいて、夜に人がいなくなると使って欲しいなあと呟いているのです』
  『今にも政略結婚が行われようとしたその時、秘密の抜け穴を通って王子様は大聖堂からお姫様を連れ出すことに成功したのでした


189:ζ*'ヮ')ζ<Okey-dokey! 投下順 191:踊り狂う道化達/それでも生きていて欲しいから (前編)
184:大天使の息吹 時系列順 191:踊り狂う道化達/それでも生きていて欲しいから (前編)
174:Little Busters! (後編) 源千華留 202:Phantom /ありがとう
162:すれ違うイト 千羽烏月
柚原このみ

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