SF百科図鑑 ジョーン・D・ヴィンジ『雪の女王(上・下)』ハヤカワ


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2001年

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「雪の女王」相変わらずストーリーに動きがなく、退屈。どうしてこんな本を読まされなければならないのか、ほとんど拷問に等しい。チェリイもストーリーに動きがなくやたら心理描写などが綿密で辟易したが、まだしも興味を持って追える要素があったので何とかなった。しかし、ヴィンジのこの作品は、興味を持てる部分が全くない。登場人物は魅力がないし、SFアイデアは陳腐だし、世界像や政治思想も真新しいものでなく、思弁性にも乏しいし、ストーリーも単調でセンスオブワンダーは皆無。しかもチェリイと同じく女尊男卑の匂いもする。それは、例えばスパークスを手篭めにして情夫にするアリエンロードのくだりに表れている。今気づいたのだが、チェリイの「サイティーン」は盗作とまでは言えないものの、テーマといい登場人物の性格設定や相互関係等といい、この作品に酷似している。しかも、どちらも今いち(こちらは全く)面白くないという点まで似ている。
あまりに面白くないので、1日かけて10ページも進まない(30分電車に乗っていて1ページもページをめくれない)なんてのもざら。面白くない箇所は無理に読まないで適当に斜め読みするようにしないと、読み終わるのに平気で1か月はかかってしまうだろう。
上巻の残り20ページというところで難航している。今日は頑張って40ページぐらい(面白い本なら1冊読み終わってしまうのに。しかし、いくら面白くないといってもいちおう受賞作であり、それを避けていてはいつまでたっても全作読破に至らない。それに貶すにしても読まないで貶してはならないというのが僕の中の最低のモラルだ。)読んだが、相変わらず全然面白くない。
渾身の博愛精神を振り絞って、この作品の長所を無理に探すとすれば、<夏>と<冬>、<祭り>といったイメージの詩的な美しさぐらいだろう。だから、これが徹頭徹尾ファンタジーとして書かれたのであればまだしも読む気になれたのである。しかしこの作品はファンタジーにも徹しきれずなまじSF的設定や小道具を持ち込んでいるだけに、その詩的イマジネーションもどこか中途半端である。
この作品が駄作だとはいわない。いわゆる<サイエンスファンタジー>の代表作品であり、その手の作品が好きな人には、かなり魅力的にも見えるのだろう。そのことは下巻巻末解説で紹介されるクラーク、マキャフリイ、ゼラズニイ、マッキンタイアといった人たちの賛辞からも明かである。しかし、この誉めている顔ぶれを見ても「こいつらが誉めるんなら、おれが読んで面白くないわけだ」と納得するラインナップ。クラークとゼラズニイはいちおう、主要作ぐらいは一通り読んでみたいとは思うものの、決して好きなタイプの作家というわけでもない。クラークはストーリーが今いちだし、ゼラズニイは神話の再利用が何だか安易な気がする(自分でゼロから作れないの、といいたくなる)。こいつらがほめる作品なんだから、世界が違うというか接点がないというか(笑)。いちおう受賞作だから我慢して読んで「やっぱり面白くなかった」との感想を抱いて2度とこの作者の本には手を出さない、というスタンスで十分でしょう。
この作品の場合、下巻での大逆転の芽は、まずないでしょう。とっとと読み終わって、忘れてしまいたいよ。頑張ろう、明日。

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「雪の女王」上巻が終わるあたりからやっと少し面白くなって来た。鬼畜なキャラと戦闘/サバイバルシーンが出て来て、ストーリーに動きが出て来たからだ。この作者は絶対に、鬼畜なキャラを描く方がいいと思う(あの「琥珀のひとみ」の異星人婆さんみたいなキャラを描かせたら天才なんだよね、この作品にもやっと出て来た)。どうして最初からそうしないの。さて、グンダリヌが奴隷にされ、ムーンがティアマットに戻って遭難し助けられる。この後下巻でどうなるのか? スパークスはアリエンロードに手ごめにされて骨抜き状態(笑)。アンデルセン童話のストーリーを忠実になぞったそうだが、例えばゼラズニイが神話キャラをそのまま借用するのと違い、ヴィンジの場合はかなりアレンジを加えてそれと分からないようになっている。だいいち、アンデルセン童話なんてたいていの日本読者は知らないので、解説を読まないと分からない。だから、アンデルセンの本歌取りだということは知らなくてもいっこうに差し支えない。もちろん知っていた方が楽しめるのだろうが。
とにかく、この雲行きなら少なくとも「サイティーン」程度までは印象が持ち直すことも期待できる。根気強く下巻を読もう。やはりあの短編の力量と、ヒューゴー賞という読者の評価からしても、このままで終わるはずはない。なめて失礼しました。

さあて、もうすぐ20世紀SFの・、60年代が出る。ウィルヘルム、シルヴァーバーグ、ディクスンはネビュラ賞受賞作が収録されないかと期待している。もし入れば、後はマッケナ「秘密の遊び場」とウィルスンの「世界の母」だ。

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「雪の女王」読み進む。下巻面白くなって来た。


2/2

「20世紀SF・」、アシモフ誌3月号購入。
60年代は、期待したネビュラ賞受賞作(ディクスン「彼の名は王」、シルヴァーバーグ「憑きもの」、ウィルヘルム「計画する人」)は入っておらず3人とも別の作品で残念だったが、いずれも入手困難な作品で、特にシルヴァーバーグの「太陽踊り」は有名な作品だけに嬉しい。

「雪の女王」あと100ページ、下巻は面白い。ムーンがついに「夏の女王」になった。あとは、スパークスを救えるのかどうかだけが気掛かり。SFとしての面白さというより、サスペンス/冒険小説の面白さで、<竪穴>や<巫女>の描写はファンタジー色が濃い(<巫女>は一種のテレパスと思われるものの)が、賛否両論あるにせよ、この手の作品の嚆矢である。それなりの評価はせざるを得ない。個人的にはあまり読みたいタイプの作品ではないが。しかし、それにしても、「サイティーン」はこの作品に似ている、何度もいうが。

2/3

ヴィンジ「雪の女王」★★★★1/2
奇跡の大逆転。下巻の後半はほとんど完璧な出来。各登場人物もおさまるべきところにおさまり、美しく力強いハッピーエンド。前半のだらだらがなければ満点でも良かったのに、と惜しまれる。ブリンやカードの「エンダーのゲーム」も同様の印象で後半逆転しただけに、やはり最後まで読んでみるものだ。しかしこの作者、やはり短編のほうがより力を発揮できるようだ。未訳の「ファイアシップ」もぜひ読んでみたいところ。ただこの雪の女王シリーズも、この終わり方なら続編「この世の果て」「夏の女王」にも多少期待が持てる。
アマゾンコムUSから本届く。アンダースン「土星ゲーム」(ベンフォード「アイスボーン」とカップリング)、マーティン「子供達の肖像」の2つの受賞作の他、ウォルドロップ「12の困難な仕事」プリースト「確信」「無限の夏」バドリス「無頼の月」を入手。
さて、次は「20世紀SF・」に入るよん。