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衆議院・法務委員会(1999/05/14)/保坂展人議員(社民党所属)

保坂議員についてのWikipediaの解説
○杉浦委員長 次に、保坂展人君。

○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 きょうは、主に政府に、本法案成立後に何から始めるべきなのかという点について質問を用意しております。
 一昨日のやりとりの中で、一点だけなんですけれども、買春を規定していく質疑の中で、これは清水議員に伺いたいのですけれども、実は私、長いことジャーナリストとして、特に学校の中で起きている、なかなか大人に言えない子供の声を聞いてまいりました。もちろん、これは日本じゅうどこの学校でもある問題ではないのですが、しかし、思い返すだけでも十以上のケースを知り得ているのです。
 要するに、学校の先生が生徒に対して、例えば試験の合格あるいは単位の取得あるいは入学なり卒業なりの、いわば資格付与などを条件にして性交ないし性交類似行為をする、あるいはそれを強要する。これは、子供に優越的地位を利用して、いわば断りにくい、要するに金銭や物品を対償として出してどうするんだと誘うのとかなり違う、断りにくいという状態の中で、非常に重たい問題であると思います。
 この点について、今回の法案では経済的利益ということに限定をしているので除外されているというように聞こえる御答弁もあったのですけれども、やはり子供の権利、まして子供買春ということを突き詰めて考えていくと、もう少しここの点について、御議論もあったようでございますから、お考えをお聞かせいただければと思います。

○清水(澄)参議院議員 先ほど、優越的地位を利用した性的虐待の問題につきましては、自社さのときにはいろいろ議論をしていたという経過は堂本議員の方からも説明したと思います。しかし、今回は、そこに対償を払ったという行為を取り締まっているわけです。
 児童の性的搾取、性的虐待にはさまざまな形のものがありまして、御指摘の優越的地位を利用した性的虐待というのは、一昨日も枝野議員も提起されておられました。ですから、これはさらに緊急に取り組みを必要とする課題であると考えております。
 この法案の作成過程でも、そういう意味では、これは議論をしたわけですけれども、今回は、まず早く皆さんで一致する点から法律を通そうということで、こういう児童買春、児童ポルノ及びこれらの目的で児童の人身売買を対象とすることになったわけでございます。
 私は、この法案が、第一条において、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することを明確にして、そして、児童の権利の擁護を目的とすることにしたということはとても大きな意味を持っていると思います。ですから、今後、優越的地位を利用したそういう性的虐待の問題も含めて、児童虐待問題全般にわたる議論と合わせた具体的な取り組みにつながることを期待しておきたいと思います。

○保坂委員 その優越的地位を利用すると言うと、少し言葉上はソフトな表現に聞こえるのですけれども、子供にとってみれば、何万円かの金銭や物品の供与ということよりもはるかにこれは、推薦入学の枠に入れてやるからということで迫られる、こういうケースは実際に過去あるいは今後も起き得ることなので、これはもっと悪質だということを指摘しておきたいと思います。
 それで、続いて政府の方にいろいろ聞いていきたいと思います。
 先ほど木島委員からの質問にもありましたけれども、まず警察庁に伺いたいと思うのですが、子供買春、子供だけに限りませんけれども、子供をも買うという日本人男性の、私も、タイのホテルで隣り合わせたグループの皆さんのしている会話を聞いて、本当に驚いたという経験があります。目に余る振る舞いが国際的な非難を受けた。事実でございます。これは本法案成立に向けた原動力になって、関係の皆さんの努力があったわけですけれども、現状はどうなのか。つまり、大型バスでどんとホテルに来て、衆人環視のもとに、目に余るわけです、よく見えるわけですね。そうならなくて、例えば個別化、分散化、あるいは巧妙になっているというふうな指摘もあるのですが、こういった現状把握はどうされていらっしゃいますか。

○小林(奉)政府委員 警察におきましては、現在、児童買春、児童ポルノが法で禁止されていないために、こういったものにつきまして件数的に把握するということは大変困難でございますけれども、そういった中におきましても、私どもといたしましては、先生御指摘のような問題意識に基づきまして、いろいろと関係の国の捜査機関等から情報を得ているところでございます。
 そういった中で、若干先ほど説明させていただこうと思ったので、今説明したいと思うのですけれども、例えば、ICPOのドイツの中央国家事務局から情報提供を受けまして、日本人が海外で撮影した児童のわいせつ写真、わいせつ画像、これをインターネットのホームページに掲載していたという事件がございまして、こういったものを検挙しているわけでございますが、そういった意味で、私どもは、そういうふうな外国政府との連携の中でやっていくということでございます。
 ただ、私どもは特に感じますのは、最近私どももそういう観点で諸外国の、あるいは国際機関の会議に出席しておるわけでございますが、そういった中で、いろいろと我が国からの発信の情報あるいは国外での買春の状況について指摘を受けて、大変つらい思いをしているということでございます。先ほど発議者の方からもそういう話がございましたが、そういったふうな実態であるということだと私は認識しております。
 ただ、それが具体的に件数でどうかと言われますと、大変難しい面があるので、御了承願いたいと思います。

○保坂委員 必ずしもその件数ではなくて、目に余る振る舞いが目に入らない振る舞いになったところで本質は変わらないということで、いよいよ本法案成立後に、施行後の話になるのですけれども、外務省に伺いたいのです。
 この法案成立後、効力を持ってからの話なんですが、例えば、在外公館で購読している雑誌あるいは新聞等に、日本人男性が今言った巧妙な手口で子供買春をしていますよという記事が、本人を特定し得る写真なり何か情報によってそうした記事を在外公館で確認したという場合には、具体的にどうされますか。

○内藤説明員 今のようなケースは、これは捜査活動の一環として行われるということになりますので、在外公館の任務としては認められないというのが国際ルールでございます。

○保坂委員 ではもう一点、外務省に伺いますが、東南アジアにもたくさんの日本人が住んでいるわけですね。その日本人から、例えばあの町のあの店に行くと明らかな子供買春を目的にした日本人観光旅行者やあるいは定住者が出入りをしている、この店である、あるいはこういう人を介してそういうことが行われているという情報が在外公館に寄せられたときにはどうするのですか。

○小林(奉)政府委員 我が国におきましてこの法律が成立しますれば、私どもといたしまして、外国政府にこういう法律があるということを周知徹底いたしまして、そういった情報が我が国の捜査機関に入るようになろうか、このように思っております。

○保坂委員 外務省の方は特段の対応はしないというふうに聞こえるのですけれども、やはりもう少しそういうことが、これは日本人の、海外で、特に経済的な格差があるアジアで子供買春についての批判が強いわけですから、それについてもうちょっときちんと対応すべきではないかと思うのですが、いかがですか。

○内藤説明員 一般的な注意といったことについては先ほども、ポスターを大使館に張ったりして、やります。ただ、犯罪を捜査するという段階に入りますと、これは日本の国内の捜査当局が捜査案件として取り上げて、それを相手国の捜査当局に捜査共助を依頼するということになります。外務省の仕事は、その際の取り次ぎをするということになります。

○保坂委員 ちょっと答弁が不親切なので、つまり、取り次ぎはするというわけですか。先ほどの答弁だとはっきりしなかったので……。

○内藤説明員 犯罪事件は、海外で起きた場合は海外の当局が権限を持って行うわけですから、そこに日本の当局は介入できないわけでございます、それは大使館も含めて。したがいまして、海外の捜査当局の協力を依頼するという立場に立つわけでございますから、その依頼する発議は日本の捜査当局が行う。それを外務省は受けて、取り次ぎを相手国政府にする。その相手国政府の返事をまた外務省が日本の捜査当局に取り次ぐ。これが捜査共助の手続でございます。

○保坂委員 そうすると、では、そういう情報が寄せられても特に具体的な行動は起こさないわけですか。
 要するに、今言いましたね、例を挙げましたね。この店で日本人のツーリストや定住者が子供買春をしている、在留邦人として恥ずかしいということがもし寄せられた場合にはどうするのですか。それは行動はできないということですか。

○小林(奉)政府委員 外国の捜査機関がそのような情報を入手した場合には、日本の国外犯に該当するということを認識しているならば、我が国の警察機関に対して連絡してくれるものと考えております。そういったものを踏まえまして、私どもはやると。
 また、具体的にそういう情報があるのであるならば、我が国の捜査機関に対して、外交ルートあるいはICPOルートを通じて積極的に連絡するようにしてもらうように我々としてはやってまいりたい、このように考えております。

○保坂委員 もう少し政府内できちっと姿勢を正していただきたいと思うんですね。これは、こういうことをなくすために立法しているわけですから、そういうことがまさにあるよという情報があったときに、本当にあるのかどうか、もちろんそれはにせものの情報もあるでしょうけれども、これらにきちっと対応するようにしていただきたいという要望をしておきます。
 もう一つ、この十五条、十六条で、心身に有害な影響を受けた児童の保護及び体制の整備という箇所があります。
 私も、先ほどタイの話をしましたけれども、タイにCPCR、タイ・子供の権利センターというNGOがあります。このNGOは長いことすさまじい活動をしているんですね。タイの東北部から誘拐、あるいは東部の場合は大体安い金銭で売られた子供たちが売春宿に幽閉をされる。もう一つは、ビルマあるいは中国雲南省、その辺からは、誘拐されて少女たちが売春宿に囲われるのですね。行っても、鉄のおりの中で、中にはすごい話で、クマがいたりとか、ピストルで武装したガードマンがいて、逃げ出さないように監視している。終始もう外に出られないという形で、命からがら逃げ出して通報している。そこにCPCRというNGOはマスコミや国家警察とともに踏み込む、そして命かけながら救出をしていくという活動をしているわけです。
 さて、そうやって救出された子供たちの大半は、私が行った当時でも、五年前でしたけれども、HIVに半数以上の子供たちはもう感染をしていました。そしてまた、その余りにも衝撃的な、自分の身の上に起こった激変に、この傷をいやすケア、リハビリのハウスをそのCPCRというNGOではつくっています。そして、三カ月から半年かけて心の傷を治しながら、もとの生活に戻していくという努力をしているわけですが、これは大変な経費と努力がかかっているわけです。
 これは関係省庁で、例えばこういう子供買春であり、売春させられるという両面あるわけですけれども、こういった被害者をも命がけで救っている海外のNGOについて、調査やあるいは認識というのはございますでしょうか。政府で御答弁、どうでしょう。

○上田政府委員 お答えいたします。
 今先生がお挙げになりましたように、各地で、特にタイとかあるいはまたコロンビアとか、そういうところでこういうケース、すなわち性的搾取に遭った児童のケアを行う、あるいはリハビリを行うようなNGOが活躍しておられます。そういうNGOの活躍、全貌を必ずしも全部把握しているかどうかということはもちろん言えませんけれども、そういうNGOの活動に対して、日本の経済協力の中の一つのスキームでございますけれども、草の根無償とか、そういうことを使って支援はしているところでございます。

○保坂委員 それで、厚生省に伺いたいと思うのですが、日本の国内の買春の状況、そしてまた児童ポルノ、こういった被害者となった子供たちのケアやリハビリの活動実績というのは、日本国内の場合はまだまだこれからだと思います。専門家がそう多くいるわけではないし、これから始まるところだと思いますけれども、どのような準備をされておるでしょうか。そしてまた、先ほど指摘したような海外のNGOなどの経験に学んだり、あるいは交流をしたり、調査をしたり、そういうことも含めて始められているでしょうか。厚生省、簡単にお願いします。

○横田政府委員 心身に有害な影響を受けました児童の保護についてでございますけれども、私どもといたしましては、基本的には、児童相談所というのが全国に百七十四カ所ございます。そこにおきまして、相談、指導、あるいは一時保護、必要に応じまして心理判定士による判定なり養護施設、あるいは情緒障害児短期治療施設というのがございますが、そういったところへの入所あるいは心理療法やケースワーク等によります在宅指導等を行うことになろうかと思っております。
 また、人材の養成につきましても、こういった職員に対しまして各種研修を行っておりますけれども、この法案の成立を機といたしまして、さらにそういった人材養成についても充実をさせていきたいというふうに考えております。
 また、国内、さまざまな民間の虐待防止センター等がございますので、そういった団体との連携も強化してまいりたいというふうに考えております。

○保坂委員 それでは、文部省の方に伺いますけれども、日本の子供たちが、児童買春やポルノの被害者にならないために、嫌なものは嫌だというふうに拒否をする、今、日本の子供たちは、はいと言うことが多いので、そういうふうに言いなさいというふうに育てられているので、余り自分の意思を明快に表明できないという傾向はあります。
 既によく紹介されているところですけれども、CAP、子供虐待防止プログラム、これは学校で主にお母さんたちのボランティア活動などによっていろいろなところで始まっていると思いますが、さらに、学校教育にこれをもっと大胆に導入するべきではないかと思いますが、文部省、いかがでしょう。

○辻村政府委員 子供が、ただ一緒に行ってはいけないとか、知らない人についていってはいけないとかというような、そういう規制をかけるだけではなくて、みずからの行動をもってこうした問題に対応する、そういう行動を伴った力を培うということは大変重要だと思います。
 今先生の紹介されたCAPでございますけれども、これにつきましては、既に我が国におきましても幾つかの学校で取り入れられております。文部省でも、昨年開催いたしました教育委員会関係者の研究協議会等の場におきまして、そうした取り組みをしておる学校から具体的な実践例を紹介していただくというような取り組みをいたしておるところでございます。大変重要なプログラムだと思いますので、私ども、これは最終的には個々の学校の判断によりますけれども、これからもそうした事例紹介等をさらに行って、こうした面の取り組みを充実させていきたい、こんなふうに思っております。

○保坂委員 それでは、警察庁と法務省に、時間がないので簡潔にお答えいただきたいのですが、大きく振り返ると、これまで、青少年保護育成条例で国内の子供買春は取り締まる、こういう状況がありました。しかし、この法案の目的は、繰り返し提案者の議員の皆さんから言われているように、児童の権利の擁護である、子供の権利をきちっと守り抜いていくんだ、こういう趣旨であるということを何度も繰り返されたと思うので、このために、警察庁あるいは法務省において、子供の権利擁護という点でもう一回きちっと意識転換をする必要があると思うのですが、そういう準備をされているかどうか、簡潔にお願いします。

○松尾政府委員 大変重要な法案でございます。
 成立いたしましたら、全検察官に早急に周知徹底させるということで準備をしております。

○小林(奉)政府委員 警察におきましては、既にこの法律案が国会において審議されているということを全国会議で指示しておりまして、その概要、考え方についても説明しております。
 また、この法案が成立すれば、この法案の趣旨、運用の内容等について、その趣旨が徹底するように、あらゆる機会を設けてやってまいりたいと思います。

○保坂委員 それでは、ちょっと簡単な質問で、運輸省に伺いますが、本日の質問でも出ましたけれども、具体的な努力として、例えばブラジルでは、航空チケットに児童買春撲滅というメッセージを載せて旅行者を啓発しているというような取り組みをしているそうですが、具体的に何かそういう踏み込む努力を考えられておりますか。

○大黒説明員 旅行者に対する啓発につきまして、関係の旅行業協会あるいは旅行関係の団体、業界、大変広うございますので、こうしたところと協力してあるいは連携して、既存の広報機能というものも相当持っておりますので、これらを活用し、多様な方法によって旅行者に対する啓発に努めてまいりたいと思っております。

○保坂委員 この法案では、児童ポルノの単純所持ということについてはこれを削除するということで合意が成立をした。その背景には、やはり単純所持そのものをめぐる、多角的にいろいろ見解を重ねていった結果だと思って、それを十分に受けとめたいと思います。
 法務省に一点だけ伺いたいのですけれども、そこを踏まえた上で、児童ポルノが持っている特徴として、例えば製造者を処罰しても、そのポルノが市場に流通をしている、あるいは大量に出てしまっているということ、まあ全面的に回収廃棄というのが理想的なんですけれども、これらに対する対応の知恵といいますか、その辺はどう考えられているでしょうか。

○松尾政府委員 確かに、単純所持は今度の法案には盛り込まれておらないわけですが、そのほか、製造、その後の頒布、つまりそういう児童ポルノが流布する過程のいろいろな段階についての処罰規定が設けられているわけでございますから、そうした本法案の趣旨を十分に尊重しながら、積極的に対応していきたいと思っております。

○保坂委員 もう一度外務省に伺いますが、国内行動計画についてなのですが、ストックホルム会議で、この問題に取り組むための国内行動計画を二〇〇〇年までに策定するという合意がございました。ところが、まだ検討が十分行われていない、これを早く日本政府にやるようにという国連子どもの権利委員会からの勧告もあるのですが、NGOなどと協議してこれを一刻も早く進めるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○上田政府委員 先ほど来、政府の担当のそれぞれの省庁の方から御答弁ございますように、この問題に関しまして、関係省庁間で緊密な連絡をとりつつ、それぞれの所管のところで対処しているわけでございます。今後とも、この法律の成立もございますれば、それがまた大変な契機となりまして、それぞれのところでさらに検討、対処が進むものと考えております。
 それから、NGOの活動はこの分野で大変御活発でございまして、その皆様方と政府のそれぞれの部局が既にいろいろと意見交換をしたりしているところでございます。今後とも、特に児童の権利の分野につきまして、NGOの皆さんとの意見交換等も行ってまいりたいと思っております。

○保坂委員 三年前にストックホルムでこの問題の大きな会議があって、日本社会は一体どういう社会なのか、国際的に大変大きな非難を受けたし、また恥ずかしい思いだったということを聞いております。
 これで最後の質問になりますけれども、その当時から幾多の経緯があって、本日、振り返って、今どういうお考えかということを最後に清水議員に伺いたいと思います。

○清水(澄)参議院議員 ストックホルム会議は一九九六年でございましたが、先ほど森山議員からもお話がありましたように、一九九四年に、日本では子どもの権利条約を批准したわけです。そのときに、この権利条約の中の三十四条というのは、まさにきょうこの法律をつくりましたこの問題があったわけです。やはり国内法の立法化をやらなきゃいけないということを大変主張いたしましたけれども、日本では理解をされなかった。そういうことから考えますと、私は、この国会での今回の審議に非常に感無量でございます。
 そして、九六年の子供の商業的性的搾取に反対するストックホルムの世界会議には日本の代表として参りました。そのときに、これは外務省の方にも報告してあるはずですが、日本は二十年おくれている、国際的な基準、それからそれぞれの国がどれだけ努力しているか、法改正とか急がなければならないという報告を送ったということなども考えますと、本当に、こうして皆さん方が、今回、子供の人権を保障するという立場から、この児童買春、児童ポルノ、人身売買を犯罪として、そして子供の人権をあくまで守っていくのだ、こういう法律を、これは政府からは出せなかった、それを議員立法として、議会人がこうして法律をつくることができた、それも各政党の皆さんがこれは必要だということで一致をしているということについて、本当に感激をしております。
 そして同時に、日本もようやくこれで子供を権利の主体として認める第一歩、スタートに入った。日本はいつでも、アジアの中で子供に対する加害者である、女性に対する加害者である、そして子供を搾取している加害国である、そういう立場にありましたけれども、これでもって、私は、国際社会の中での責任を果たす一端をきょうは開いていけるということを非常に心強く思っております。
 しかし、法律だけができてもこの問題は解決しないと思うのですね。ですから、子供買春、子供ポルノというのはまず大人自身の問題であるわけでございます。アジアの子供買春は、チャイルドポルノとか援助交際等の話もありましたけれども、そういう問題を引き起こしている原因というのは、やはり男性の性を中心にして、社会で許容されている、売春を認めている。売春というのは、お金で、人の人格とは切り離した性を買い取るということが当たり前になっている。特に、子供に対しては大人が加害者であるというところをきちんと認識していくという意味で、今後とも、この法の達成のために、そしてより実効性を上げるために、そして国際社会でむしろモデルになるような、そういう役割を私たちは果たしていかなきゃいけないということをつくづく実感しております。
 そして、皆さんの真剣な討論に本当に心から感謝申し上げたいと思います。

○保坂委員 ここまでこぎつけていただいた提案者の皆さんの御努力に感謝をするとともに、また質問する側も、党派を超えて、あらゆる点から努力をして審議ができたことを大変うれしく思います。
 これで質問を終わります。ありがとうございました。

○杉浦委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――

○杉浦委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。
 参議院提出、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○杉浦委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○杉浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――

○杉浦委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十九分散会

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最終更新:2008年12月25日 11:58
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