説明及び注意事項(最終更新日:2009/04/05)
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諸外国での司法への市民参加の制度(陪審制・参審制)との比較
国民が裁判に参加する制度には、大きく分けて陪審制・参審制の2種類があります。
陪審制は、無作為に選ばれた複数の国民が審理に立ち会い裁判官から独立して評決し、裁判官はそれを受けて量刑などを決める制度で、参審制は裁判所が任命した少数の国民が基本的に裁判官と参審員が1つの合議体を形成して、犯罪事実の認定や量刑のほか、法律問題についても判断を行う制度です。
日本の司法への市民参加の制度の場合、これらを折衷した独自の「裁判員制度」を導入する予定であり、各種制度の違いは以下の通りになります。
制度 |
判断への裁判官関与 |
有罪無罪の判断 |
量刑の判断 |
陪審員等の任期 |
選任方法 |
上訴の理由 |
陪審制度 |
陪審員のみで判断 |
判断する |
判断しない |
事件ごと |
無作為 |
×事実誤認○法律的判断 |
参審制度 |
裁判官と共同で判断 |
判断する |
判断する |
任期制 |
団体等の推薦など |
○事実誤認○法適用の誤り○量刑不当 |
裁判員制度 |
裁判官と共同で判断 |
判断する |
判断する |
事件ごと |
無作為 |
○事実誤認○法適用の誤り○量刑不当 |
各国での制度の実施状況は、以下の通りになります。
国名 |
制度 |
対象 |
裁判官 |
陪審員 |
採用場所 |
年齢 |
表決方法 |
アメリカ |
陪審員 |
民事・刑事 |
1名 |
無作為12名 |
州地裁及び連邦地裁 |
18歳以上 |
全員一致(一部の州では10票で可) |
カナダ |
陪審員 |
|
1名 |
無作為12名 |
高等法院 |
18歳以上 |
全員一致(注釈①参照) |
イギリス |
陪審員 |
|
1名 |
無作為12名 |
刑事法院、高等法院 |
18歳以上 |
原則として全員一致(注釈②参照) |
ロシア |
陪審員 |
|
1名 |
無作為12名 |
州裁判所 |
25歳以上 |
原則として全員一致(注釈③参照) |
フランス |
参審制 |
|
3名 |
無作為9名 |
重罪法院 |
23歳以上 |
有罪には8票、量刑は過半数の7票必要 |
イタリア |
参審制 |
重罪刑事事件 |
2名 |
無作為6名 |
重罪院、重罪控訴院 |
30歳以上 |
単純過半数 |
ドイツ |
参審制 |
|
3名 |
推薦2名 |
区裁判所、地方裁判所 |
25歳以上 |
有罪には3分の2の多数が必要(その他は単純多数決) |
日本 |
裁判員 |
重罪刑事事件 |
3名 |
無作為6名 |
地方裁判所 |
20歳以上 |
単純過半数 |
注釈①:民事事件では6人中5人の多数で決することができる
注釈②:2時間以上評議した後は、12人中10人の多数決で決定できる
注釈③:3時間経過しても全員一致の結論が得られない場合は7名以上の多数決によることができる
関連項目
国民が刑事裁判に参加する主な国の制度の詳細比較
アメリカ(陪審制)
対象事件:法定刑6月以上の重大犯罪について無罪答弁をする場合に、陪審裁判を受ける権利が保障されている
選任方法:選挙人名簿から無作為抽出された候補者の中から、当事者が質問手続きにより選出
任期:事件ごと
評決方法:全員一致が必要
年間利用件数:軽罪を含めた件数3,071人(連邦地裁・1999-2000)9,128人(カリフォルニア州・2001-2002)謀殺、故殺、強姦などの重罪に限定した全国の州一審裁判所の推定件数29,300件(1999-2000)
フランス(参審制)
対象事件:法定刑が無期又は下限10年以上の事件が重罪院(参審裁判所)で審理される
選任方法:選挙人名簿に基づき抽選で参審員候補者の開廷期名簿を作成。候補者は開廷期間中の出頭を義務づけられる。具体的な事件の参審員は、事件毎に理由無しの忌避手続等を経た上で、開廷期名簿から抽選で選出される。
任期:開廷期(数週間)
評決方法:被告人に不利益な判断をするためには、裁判官と参審員を併せた3分の2以上の特別多数決
年間利用件数:2,979件(全国)
イタリア(参審制)
対象事件:重罪院の管轄する①故意による「血の犯罪」(殺人等)②国家の存立や基礎に関する犯罪
選任方法:各自治体が2年おきに作成する候補者名簿(無作為抽出された者に、少数の希望者を登載)の中から各開廷期間ごとに無作為抽出。任期中に開始されるすべての事件の審理に当たる。
任期:3ヶ月間
評決方法:有罪無罪については多数決で決する。量刑については過半数になるまで最も重い意見数を順次軽い意見の数に加えて決める。
年間利用件数:461件(全国・2001-2002)
ドイツ(参審制)
対象事件:4年を超える自由刑→地方裁判所、2年~4年の自由刑→区裁判所
選任方法:市町村が作成した候補者名簿に基づき、区裁判所の選考委員会が選任。
任期:4年間
評決方法:被告人に不利益な判断をするためには、裁判官と参審員を合わせた3分の2以上の特別多数決。
年間利用件数:49,150件(全国・2001)※区裁判所及び地方裁判所における刑事事件で、少年事件を除いた数字
日本(裁判員制度)
対象事件:地方裁判所で審理する死刑又は無期の懲役もしくは禁錮にあたる罪にかかる事件
選任方法:衆議院議員の選挙人名簿の中から、無作為抽出された候補者の中から、裁判所での選任手続きを経て選任される。
任期:事件ごと
評決方法:多数決(但し、裁判官、裁判員のそれぞれ1人以上の賛成が必要)
年間利用件数:3,308件(平成16年の裁判員裁判対象事件)
最高裁判所「裁判員制度 ブックレット」p.79
関連項目
「裁判員制度」に関するQ&A
裁判員制度は、なぜ導入されたのでしょうか?
一般国民の目線から見た場合、何か事件が起きる度、裁判官の常識感覚の無さを批判する番組などもありますし、そういった声に応えて国民の司法参加を促すといったものもあります。
弁護士等の法曹関係者の視点からは、「現行の刑事裁判の問題点や弊害は大きなものがあり、それを解消するためには国民の司法参加によって透明性を高めていくしかない」といった見解が主張される事もあります。
これまでの裁判は,検察官や弁護士,裁判官という法律の専門家が中心となって行われてきました。丁寧で慎重な検討がされ,またその結果詳しい判決が書かれることによって高い評価を受けてきたと思っています。
しかし,その反面,専門的な正確さを重視する余り審理や判決が国民にとって理解しにくいものであったり,一部の事件とはいえ,審理に長期間を要する事件があったりして,そのため,刑事裁判は近寄りがたいという印象を与えてきた面もあったと考えられます。また,現在,多くの国では刑事裁判に直接国民が関わる制度が設けられており,国民の司法への理解を深める上で大きな役割を果たしています。
そこで,この度の司法制度改革の中で,国民の司法参加の制度の導入が検討され,裁判官と国民から選ばれた裁判員が,それぞれの知識経験を生かしつつ一緒に判断すること(これを「裁判員と裁判官の協働」と呼んでいます。)により,より国民の理解しやすい裁判を実現することができるとの考えのもとに裁判員制度が提案されたのです。
また、「司法は、国民のための司法でなければならない。裁判は、国民のためのものであり、国民にしっかりと基盤をおいたものでなければならない」といった理念から、「他人任せの司法、形骸化した司法を、国民のための司法、活き活きとした司法」に変えるため、司法関係者と国民の側の双方の意識改革を促すためのツールとしての期待もされて、導入されたという側面もあるようです。
陪審制や参審制ではなく、日本独自の裁判員制度というものを導入したのは何故でしょうか?
裁判員制度が導入される基となった「司法への国民参加」をテーマにした司法制度改革審議会では、陪審制を導入して刑事裁判の改善を図りたいという見解の委員と陪審制自体に懐疑的な見解の委員に分かれていました。
そのため、妥協案として審議会の会長が「陪審制でも参審制でもない独自のより良い制度を導入しよう」という事で意見をまとめ、日本独自の新しい制度である「裁判員制度」が導入される事になったというのが、新制度導入の経緯です。
裁判員制度の具体案に関しては、陪審制導入派と陪審制懐疑派が、出来るだけ陪審制に近づけようとする見解の委員と、なるべく参審制に近い所に留めようという見解の委員にスライドして各種の論点について議論した結果、現在のような裁判員制度になりました。
関連項目
刑事裁判の重大事件(殺人事件等)だけに限定して導入したのは何故でしょうか?
平成16年05月11日参議院法務委員会
○松村龍二(自民党)
次に、裁判員制度の対象となる事件の範囲について法務大臣にお伺いしますが、法案においては、裁判員制度の対象事件は死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件と、裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件、すなわち法律上合議体で取り扱わなければならない事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るものとされております。
裁判員制度の対象事件をこのように法案に規定された範囲のものとした理由は何でしょうか。
○野沢太三法務大臣
まず、裁判員制度の円滑な導入のためには対象事件を限定する必要があると考えております。
そして、その範囲につきましては、国民の関心が高く、社会的にも影響の大きい重大事件とすることが相当であると考えたものであります。
そのような観点から、まず、最も重い法定刑が定められている罪として死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件を対象とするとともに、特に国民の関心の高いものとして、法定合議事件であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件を対象としたものであります。
ちなみに、これに相当する事件の数としては、平成十三年度の統計では約二千八百件程度の事件が起こっております。
日弁連 - 陪審制度の実現に向けての提言
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/2000_10.html
(1) 民事事件・行政事件
国が一方当事者となる国家賠償など市民参加が相当と考えられる一定の民事事件への、一方当事者が選択した場合に陪審制度で審判する選択的民事陪審制の導入。
市民参加が相当と考えられる一定の行政事件への、陪審制もしくは参審制の導入。
(2) 刑事軽罪事件
刑事軽罪事件(単独事件)の否認事件について、重罪事件での実績のある選択的刑事陪審制の拡大、
あるいはコスト等も検討しての参審制の導入。
(3) 少年事件
少年審判事件への参審制の導入。
裁判員裁判の対象を限定する理由は財政,国民の負担,そして表に出ない本音は裁判官,検察官,弁護士の負担だと思います。
重大事件からやる理由は国民の関心が高いからというあまり大したことない理由のようです。
別の意味で国民の関心が高い迷惑防止条例違反(電車の痴漢)のような軽いものから導入しても良かったのではないかと思います。
関連項目
裁判員制度を導入すると、莫大な予算が使われてしまうのではないでしょうか?
この点は誤解があるようですが、裁判員制度の対象となるのは年間で3000件程度に過ぎません(全国の地方裁判所における刑事事件の事件数は、年間約10万件です)。
http://www.saibanin.courts.go.jp/shiryo/pdf/03.pdf
裁判員制度の対象となるのは地方裁判所で行われている刑事裁判全体の3%以下の事件であり、
裁判員らの日当は最高裁規則で、裁判員が最大1万円、選ばれなかった裁判員候補者が最大8000円というのが現行の規定ですが、想定される予算は年間に直すと33億円程度です。
「裁判員の日当を1日3万円に」という主張に関しても、財務省の立場から考えて絶対に無理な主張という話ではなく、年間3000件の規模で想定予算額が33億円程度の制度を想定予算額100億円程度の制度に変更するかどうかといった話です。
平成21年5月からスタートする裁判員制度で、各地裁に呼び出す裁判員や裁判員候補者らの日当や旅費計22億円が21年度予算の財務省原案に盛り込まれた。21年度の裁判員裁判対象事件(殺人、強盗致傷など)を約2000件とみて算出した。
裁判員らの日当は最高裁規則で、裁判員が最大1万円、選ばれなかった裁判員候補者が同8000円と定めている。
一般国民が裁判員の候補に当たる確立はどの位でしょうか?
平成19年の統計を前提にすると,実際に裁判員又は補充裁判員として刑事裁判に参加していただくのは約5,000人に1人程度(0.02%)となります。
「裁判員候補者名簿」に記載されるのは毎年約29万5000人(全国平均で352人に1人の確率)で、実際に裁判員または補充裁判員として刑事裁判に参加する事になる確率は更に低く、約5,000人に1人程度(0.02%)です。
賛成派・反対派共に、過大評価して「裁判員制度」をとらえて議論するため誤ったイメージが拡散してしまうのだと思いますが、一般国民の立場で実際に参加するかどうかといった視点で見ると、おおよそ83人に1人が(20歳から平均寿命の80歳までの60年間で考えた)生涯で1度裁判員になるかならないかといったような確立です。
裁判員辞退が認められた例には、どのようなものがあるのでしょうか?
仕事の事情
大学の大事な授業がある
客に車を納車しなければならない
百貨店の化粧品売り場に勤め、職場を空けられない
介護用品の販売のため、急な納品がある
漁に出なければいけない
従業員に人事制度改定の説明をできる人がほかにいない
夫婦で床屋を経営しており、お客さんへの癒やしを大事にしているので、アルバイトには頼めない
経営している八百屋の特売日
家庭の事情
直前に迫った結婚式の打ち合わせがある
その他
ママさんバレーのエース選手で、重要な大会が裁判と重なる
裁判員辞退が認められなかった例には、どのようなものがあるのでしょうか?
仕事の事情
仕事が忙しい
社内会議の予定を変更できない
他の人に仕事をまかせたが、やはり不安
交代制の勤務で、自分が休むと同僚に負担がかかる
ノルマ達成が厳しい
専門学校で授業を教えなければいけない
家庭の事情
学校の運動会の打ち合わせが裁判と重なる
その他
何となく、嫌だ
出来れば出たい会合がある
語学留学の準備で多忙
裁判員裁判に関するQ&A
裁判員制度の裁判はどのような流れですすむのですか?
最高裁が発行した「よくわかる裁判員制度Q&A」によると、以下のような流れになるようです。
①冒頭手続(法廷)
- 被告人の確認(人定質問)
- 検察官が起訴状を朗読
- 被告人と弁護人から起訴状に対する言い分を聞く(意見陳述)
②審理(法廷)
1、証拠調べ手続き
- 検察官・弁護人が証拠による証明しようとする事実を説明(冒頭陳述)
- 検察官や弁護人が提出した凶器などの物や書類を取調べ、証人や被告人に対する質問を行う(証拠調べ)
2、弁論手続き
- 検察官が事実関係や法律的問題などの意見を述べる(論告)
- 検察官が被告人に与えるべきと考える刑を述べる(求刑)
- 弁護人が事実関係や法律的問題などの意見を述べる(弁論)
- 被告人が意見を述べる(最終陳述)
③評議(評議室)
裁判員と裁判官が話し合い、有罪か無罪か、有罪の場合にはどのような刑にするか決める
④判決手続き(法廷)
裁判官が評議の結果に基づき、被告人に判決を言い渡す
裁判員裁判の場合、裁判が終わるまでには何日くらいかかるのでしょうか?
○ 新聞に出ているような何か月,何年も裁判が続いている事件も裁判員が担当するのですか。(最高裁公式サイト)
http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/c2_2.html
裁判員裁判では,多くの事件は数日で終わると見込まれています。つまり,これまでの裁判は,約1か月おきに間隔をあけて行われていたため,裁判員制度の対象となる事件についてみると,平均して約8か月かかっていましたが,実際に法廷で審理が行われる日数は6日前後でした。これからは,
裁判員の負担も考慮され,できる限り毎日開廷されるようになるため,同じ事件でも,仮に平日に毎日開廷されれば,1週間程度で審理が終わる計算となります。しかも,ポイントを絞ったスピーディーな裁判が行われるよう,裁判官,検察官,弁護人の三者であらかじめ事件の争点や証拠の整理を行う(公判前整理手続)ことになるため,審理期間はさらに短縮されることが期待できるのです。
裁判員制度の対象となる事件にかかった具体的な回数(裁判員制度の場合、この回数が日数になります)は以下の通りですが、この日数から公判前整理手続きで短縮できる分を割引いた日数になるのではないかと思います。
裁判員制度対象事件開廷回数一覧
回数 |
件数 |
割合 |
3回以内 |
1,374件 |
41% |
6回以内 |
1,120件 |
34% |
10回以内 |
517件 |
16% |
20回以内 |
211件 |
6% |
20回超 |
86件 |
3% |
合計 |
3,308件 |
100% |
地裁刑事事件及び裁判員制度の対象となる事件の平均開廷回数(平成16年)
区分 |
全地裁刑事事件 |
|
裁判員制度対象事件 |
|
自白・否認別 |
終局人員数 |
平均開廷回数 |
終局人員数 |
平均開廷回数 |
終局人員全体 |
81,251人 |
2.7回 |
3,308人 |
6.0回 |
自白 |
74,071人 |
2.3回 |
2,114人 |
4.1回 |
否認 |
5,472人 |
7.6回 |
1,047人 |
9.9回 |
出展:最高裁「裁判員制度 ブックレット」p.76
裁判員裁判の対象は重大事件(殺人事件等)ですが、事件の性質によっては後々裁判員に危害が加えられるおそれはないのでしょうか?
具体的にどのような事件を除外するかは個別の裁判所が判断することですが,考えられるのは公安事件と広域暴力団事件です。
革マル派,中核派などの極左過激派,オウム真理教などの宗教団体,広域法力団の抗争事件など組織的な暴力事件で暴力組織が壊滅せずに残ってる場合裁判員が報復される危険がありますので,そういう事件は裁判員裁判の対象から外されます。
「被害者参加制度」に関するQ&A
「被害者参加制度」というのは、どういう制度なのですか?
裁判には大きく分けて民事裁判と刑事裁判があります。
民事裁判は,一般人や法人が,自分の権利を証拠により裁判所に認めてもらって,別の一般人や法人に対して「金を払え」とか「建物を明け渡せ」などの判決を出してもらう裁判です。
自分の私的な権利実現のための裁判なので基本的に自分でやらなければならず,自分で法的論理的に主張を組み立て自分で証拠を集めなければなりません。
そのため,素人は弁護士に頼まないと医療訴訟のような難しい裁判をやることは困難です。ですが,自分の私的な権利実現のための裁判なので弁護士報酬は全て自分で払わなければならず,最低でも最初に払う着手金は30万円程度取られます。
刑事裁判は,国家が悪いことをした人を処罰するための裁判です。
警察が捜査し,国の代理人の検事が,犯罪者と疑われる人を起訴します。
そして証拠を判断して有罪なら被告人に死刑,懲役,罰金等の刑罰が科されます。
国がやることなので刑事裁判の費用は税金でまかなわれます。警察が税金を使って捜査して証拠を集めます。検事の給料も裁判官の給料も税金です。被告人が自分で弁護人を選べないときは税金から報酬をもらう国選弁護人が付きます。
この刑事裁判には被害者は加われず,傍聴することしかできませんでした。
この民事・刑事の区別は法律を勉強する者の頭に叩き込まれます。ですが,民事・刑事の形式的区別は被害者から見たら変に見えます。
加害者は税金で弁護士付けてもらえるのに何で被害者は自分で金払って弁護士頼まなきゃいけないんだ?
何で被害者は自分でお金を払って裁判起こさないと加害者を直接問いつめられないんだ?
という疑問に答えるのが新設の被害者参加制度です。
こうして刑事裁判で被害者・被害者の遺族は被告人に質問したり,量刑に関する意見を述べたりできるようになりました。
それに続く損害賠償命令は刑事裁判と民事裁判を一体化するようなものです。
有罪判決が出た後,刑事裁判を行った裁判所が,刑事裁判で出た証拠に基づいて,有罪になった加害者に損害賠償を命令する制度です。
今までの刑事裁判での賠償金に関する実態はどうなっていたのでしょうか?
いろいろな多数のケースがあり,要領よくまとめて答えるのは難しいです。
被害者が自分で民事訴訟を起こさない場合でも,刑事裁判で加害者が刑を軽くするため,自主的に被害者に賠償することはよくあります。
加害者本人が一文無しでも,加害者の親や雇主が代わりに賠償金を支払うこともあります。
交通事故の業務上過失致死傷,強制わいせつ・強姦,詐欺などの刑事裁判では,被害者をなだめ,加害者・加害者の親族に損害賠償させて,執行猶予判決を取るのが,弁護人の腕の見せ所になります。
もちろん犯罪被害者給付金しかもらえないケースも多いでしょう。
損害賠償命令が認められた場合、「犯罪被害者給付金」との整合性はどうやって取るのですか?
損害賠償金が被害者に現実に支払われれば,(損害賠償命令が出ても現実に入金しない場合は含まない)支払われた金額だけ犯罪被害者給付金は減らされます。
犯罪被害者給付金を被害者がもらった後は,国が加害者に対して損害賠償請求します。
国が加害者に代わって損害賠償金を立て替えるような感じです。
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最終更新:2009年06月30日 21:01