国会質疑 > 児童ポルノ法 > 2004-02

国会での審議の中継


参議院・法務委員会(2004/06/10)/会議での案件一覧

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  本日の会議に付した案件
○知的財産高等裁判所設置法案(内閣提出、衆議院送付)
○裁判所法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
○不動産登記法案(内閣提出、衆議院送付)
○不動産登記法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)
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○委員長(山本保君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨九日、江田五月君及び中川義雄君が委員を辞任され、その補欠として平野貞夫君及び小林温君が選任されました。

○委員長(山本保君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(山本保君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁長官官房審議官吉田英法君、法務省刑事局長樋渡利秋君及び法務省人権擁護局長吉戒修一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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参議院・法務委員会(2004/06/10)/武山百合子議員(民主党所属)

○委員長(山本保君) 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院青少年問題に関する特別委員長武山百合子君から趣旨説明を聴取いたします。武山衆議院青少年問題に関する特別委員長。どうぞ。

○衆議院議員(武山百合子君) ただいま議題となりました児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律は、国内における援助交際や東南アジアにおける買春ツアー等が社会問題となっていた中、児童買春、児童ポルノに係る行為を処罰し、児童を保護するため、平成十一年に議員立法により制定されたもので、同法附則においては、施行後三年を目途として検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものと規定されております。
 同法の施行状況を見ますと、児童買春に係る事件が大幅に増加しているほか、児童ポルノに係る事件も後を絶ちません。
 また、同法の施行後、国連において児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書が、欧州評議会においてサイバー犯罪に関する条約がそれぞれ採択されるなど、児童の権利の擁護に関する国際的取組がより一層進展しております。
 本案は、このような状況を勘案し、これらの行為について、厳格な処罰を行うことができるように法定刑を引き上げる等の措置を講じようとするもので、その主な内容は、第一は、児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえた立法であることを明示するとともに、児童の権利の擁護を目的とすることをより直接的に表現することとしております。
 第二は、児童買春及び児童ポルノに係る犯罪の法定刑を見直し、懲役刑及び罰金刑の上限を引き上げるとともに、新たに一定の類型について懲役刑と罰金刑を併せて科すことを可能にすることとしております。
 第三は、条約上の義務に対応し、電気通信回線を通じて児童のポルノを記録した電磁的記録等を提供する行為及び特定かつ少数の者に対して児童ポルノを提供する行為並びにこれらを目的として児童ポルノを製造、所持等し又は児童のポルノを記録した電磁的記録を保管する行為、児童に姿態を取らせて児童ポルノを製造する行為等を新たに処罰することとしております。
 第四は、この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行することとしております。
 第五は、この法律の施行後三年を目途として、改正後の法律の施行状況、児童の権利の擁護に関する国際的動向等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすることとしております。
 以上がこの法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

○委員長(山本保君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 この際、お諮りいたします。
 委員外議員吉川春子君から児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案についての質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

参議院・法務委員会(2004/06/10)/吉川春子議員(日本共産党所属)

○委員長(山本保君) 御異議ないと認めます。
 それでは、吉川春子君に発言を許します。吉川春子君。

○委員以外の議員(吉川春子君) 日本共産党の吉川春子です。
 法務委員会の委員長、理事、委員の皆様のお許しをいただきまして、質問の機会を与えていただき、本当にありがとうございます。
 児童買春・ポルノ処罰、児童保護法改正案について質問をいたします。
 この法改正に取り組みました衆議院の皆様方に敬意を表したいと思います。そして、過日、参議院の方からもドメスティック・バイオレンスの改正案が送られて成立いたしましたが、子供や女性の人権について国会が審議するという、こういう傾向は大変歓迎したいと思います。
 まず最初に、警察庁にお伺いいたしますけれども、平成十一年、議員立法により本法が成立いたしましたが、それ以降の児童買春事件及び児童ポルノ事件の検挙の状況を御報告いただきたいと思います。

○政府参考人(吉田英法君) 児童買春、児童ポルノの事件の検挙状況についてのお尋ねにお答えいたします。
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律に基づき検挙した者のうち、同法第四条、第五条及び第六条の児童買春事件につきましては、法施行から平成十五年末までに合計で六千四十八件、三千九百十四人を検挙しております。その年次別検挙件数は、平成十一年が十一月及び十二月の二か月間で二十件、平成十二年が九百八十五件、平成十三年が一千四百十件、平成十四年が一千九百二件、平成十五年が一千七百三十一件となっております。
 また、同法第七条の児童ポルノ事件については、法施行から平成十五年十二月末までに合計で七百四十三件、六百七十一人を検挙しております。その年次別検挙件数は、平成十一年が十一月及び十二月の二か月間で十八件、平成十二年が百七十件、平成十三年が百五十二件、平成十四年が百八十九件、平成十五年が二百十四件となっております。

○委員以外の議員(吉川春子君) 引き続きまして、法務省にお伺いいたしますけれども、この事件の起訴、有罪の統計を取っておられたら御報告いただきたいと思います。

○政府参考人(樋渡利秋君) まず、起訴件数について申し上げますと、平成十一年は児童買春に係る事件が十八件、児童ポルノに係る事件が二十五件、平成十二年は児童買春に係る事件が五百十一件、児童ポルノに係る事件が百四十六件、平成十三年は児童買春に係る事件が八百八件、児童ポルノに係る事件が百三十一件、平成十四年は児童買春に係る事件が千二百十三件、児童ポルノに係る事件が百七十一件、平成十五年は児童買春に係る事件が千百五十六件、児童ポルノに係る事件が二百十四件であったと承知しております。
 また、全国の第一審裁判所において有罪とされた人員につきまして当省で把握しているところを申し上げますと、平成十一年は児童買春に係る事件が七件、児童ポルノに係る事件が二名、平成十二年は児童買春に係る事件が三百四十一件、児童ポルノに係る事件が七十三名、平成十三年は児童買春に係る事件が四百七十八名、児童ポルノに係る事件が六十二名、平成十四年は児童買春に係る事件が八百八十七名、児童ポルノに係る事件が九十三名、平成十五年は児童買春に係る事件が九百四名、児童ポルノに係る事件が八十九名でございました。

○委員以外の議員(吉川春子君) 法務大臣にお伺いいたします。
 私も、この立法がなされた当初、こんなにもたくさん犯罪が起きる、そして検挙されるということは予想できませんでしたけれども、毎日、新聞を見まして、社会面に連日のようにこの事件が報道されております。
 大臣は、この犯罪件数の多さというものの原因はどこにあるとお考えでしょうか。そして、子供の人権を尊重することとかあるいは条約に沿って政府として行うべきことがもっとあるのではないかと思いますが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。

○国務大臣(野沢太三君) 委員御指摘のとおり、児童買春や児童ポルノに係る事件の防止という観点からも子供の権利に対する認識を深める啓発を行うことは極めて重要であると考えております。事件の数が特に最近累増しているという状況にかんがみまして、やはりこれに対しての取組については、もちろん政府もしかるべく対応せねばなりませんが、大人がやはり子供たちに対してどう向き合うかという基本的なところからやはり考えていかなければならない大きな課題と考えております。
 私も、法務大臣就任のときに小泉総理から特命をちょうだいした一つが、犯罪をとにかく減らす世の中にしてほしい、安全、安心な国に戻してくれという特命をちょうだいしておりますが、その中でも少年犯罪とかあるいはこういった児童ポルノの問題、あるいは外国人犯罪、こういったものが大変重要な役割を占めているということから関心を持ってまいりましたが、今般このような形で、議員立法の姿で御提言がございましたことについては、私どもも大変これは有り難いことと受け止めまして、この法律の趣旨に沿いましてしっかり取り組んでまいるつもりでございます。
 法務省といたしましては、特に人権擁護という立場から子供の人権を守ろうということを掲げまして、全国におきましてポスターの掲出やパンフレットの配布、あるいは講演会、座談会、映画等を開催いたしまして啓発に努めておりますが、さらにテレビ、ラジオなどの各種のマスメディアを活用した啓発活動も大事なことと考えております。
 いずれにいたしましても、このような対策に対しましては、何としてもこれを減少させるべく努力をしていかなければならないという認識でございます。

○委員以外の議員(吉川春子君) それでは、提案者の方にお伺いしたいと思いますが、児童買春、同勧誘罪など法定刑が懲役三年から五年に引き上げられましたけれども、その意味についてお伺いいたします。

○衆議院議員(武山百合子君) それではお答えいたします。
 先ほど警察庁の方からも、年々大変数が増加しているということは、今お聞きしたとおりだと思います。
 それで、まず法定刑の引上げですけれども、児童買春に係る事件がどんどん増加していると、それで児童ポルノに係る事件も後を絶たない、こういう現実があるということをまずきちっと把握しなければいけないと思います。そして、この現実の悪質な事案に対してはより厳しい刑罰を科すことを可能にするということですね。それとともに、社会に対しても児童の権利を著しく損なうこれらの犯罪が強い非難に値することを明らかにするということも大変法定刑を上げたという理由でもあります。
 それから、その効果についても答えたいと思います。
 まず児童買春、児童買春の周旋ですね、それから勧誘、これらについて法定刑の上限が三年から五年に引き上げられました。これによって三年を超える宣告刑というものが可能となって、その場合は法的に執行猶予が付けられないということになります。そして、このことによって公訴の時効期間についても三年から五年に引き上げられるということになります。
 以上です。

○委員以外の議員(吉川春子君) ほかの刑とのバランスが崩れるほどの重い処罰はすべきでないという意見が日弁連等からも出されておりまして、ここはなかなか難しい問題であろうかと思いますが、私としては、非常にこういう犯罪が増える中、ある程度の法定刑の引上げはバランスを失しない範囲において必要だったのかなというふうに受け止めております。
 続きまして、単純所持の禁止処罰が見送られたわけですけれども、これについても立法当初から議論をしてまいりましたが、今回見送った意味はどういうところにあるんでしょうか、お伺いします。

○衆議院議員(葉梨康弘君) いわゆる単純所持の問題についてお答えいたします。
 国連の例えば児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利条約の選択議定書などの国際約束でも、各国に単純所持の犯罪化を義務付けるまでには踏み込んではいないんですけれども、諸外国によっては単純所持をしっかり処罰している国ということを承知しております。
 ただ、児童ポルノについては、実は国によって、例えばコミックですとか、あるいは大人が児童に成り済ましたポルノの問題、これに対しても厳しいといったように、運用の在り方、あるいは社会悪である児童ポルノに対する接し方が多少違いがあるのは事実です。やはり、私どもの国においても、しっかりと運用を積み重ねて、国民意識の高揚を図りながら処罰化の是非の議論を詰めるべきと判断して、今回は罰則なしの禁止規定については法文化はしなかったわけです。
 しかしながら、児童ポルノの所持が児童に悪影響を与えることは明白です。そして、今回の法律案でも、提供目的の所持を禁止するなど要件の拡大を図っています。児童ポルノが大きく児童の権利を侵害するものであること、これをしっかりと教育、啓発することに努めて、そしてその中で議論を詰めながら、例えば三年後には必要な見直しを図っていきたいというふうに考えております。

○委員以外の議員(吉川春子君) 児童買春・ポルノの処罰・保護法は国外犯も規定しているわけですけれども、日本人がアジア諸国に出掛けていって少女買春を行い、また児童ポルノの提供などの犯罪を犯すことも多いと報告をされています。こうしたことを減少させていかなくてはならないことはもちろんです。
 そこで、法務大臣にお伺いいたしますが、国際的な捜査共助について今回の法律の改正案には盛り込まれていないわけですけれども、国際会議などでは特に捜査共助の要求が外国のNGOから出ることも多いのですが、この点について大臣はどのように取り組んでいかれようとされておるんでしょうか。

○国務大臣(野沢太三君) 海外で本法に違反する行為を行った日本人の処罰を行うに当たりましては、外国の捜査機関との連携を深めながら、外交ルートを通じた捜査共助や国際刑事警察機構、いわゆるICPOでございますが、これを通じた情報提供を活用していくことが重要であると考えております。
 現在までにも、児童買春、児童ポルノに係る国外犯につきまして、犯罪他国との連携を図りながら捜査を進められた結果、我が国において起訴され、有罪判決まで至った例が五件ほど既に出ておりますが、今後も外国の捜査機関等との連携が密となるよう努めていくものと承知をいたしております。

○委員以外の議員(吉川春子君) 以上で質問を終わります。
 どうもありがとうございました。

○委員長(山本保君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(山本保君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十三分散会

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最終更新:2008年12月03日 22:50
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