国会質疑 > 少子高齢化2007 > 03

○会長(田名部匡省君) 次は、紙智子君。

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 もうたくさんのことがあるんですけれども、母子家庭の支援の問題に絞って質問をしたいと思います。
 それで、副大臣の先ほどの報告の中で、子育て支援、就業支援、それから養育費の確保、経済支援という四本柱という話がありました。実際のその施策の中では、給付依存型から自立支援、就労支援にということで重点を移動してきているわけです。ところが、それが実際、現実には母子家庭の生活苦や将来の不安を一層大きくしているという現実があるんじゃないかと。
 それで、母子家庭などの就業・自立支援センターで見ると、制度が始まったのが二〇〇三年の四月からですけれども、就業でいいますと、延べ一万三千人弱ですよね。それから、そのうち常勤ということだと五千人、そして七千人以上は非常勤、パートというふうになっていると。それから、常用雇用の転換の奨励金ということでいうと、制度開始以来三年八か月でその件数というのが九十二件だけなんですね。ですから、母子世帯のうちで、この制度を利用できたというのはごく一部ということになってしまうわけです。
 就労支援に力を入れるというのは確かにこれ大事なことだというふうに思うんですけれども、しかし、現実こういう状況で、就労支援というふうに、それと引換えに経済支援を取ってしまうということになると、これが果たして妥当なのかというふうにも思うわけですね。この就労支援策がどれだけ有効なのかということについては、やっぱり経済支援を取っても実際に成り立つのかどうかということについては検証すべきでないかということがまず一点です。
 三つ全部で聞きたいんですが、それで併せてもう一つ聞きますと、自立促進ということで、生活保護の母子加算は既に段階的削除、廃止を決めているわけです。今年から削減が始まっていると思うんですね。
 それで、先日、私は北海道でその母子家庭のお母さんから話を聞いたんですけど、いろんなケースがあると思うんですけど、例えばその方の場合は子供さん三人が障害を持っているんですね。上の子二人は知的障害の厚生施設に入所しているんですけど、三番目の子供さんは重度の身体障害で全部介助が必要だと。お母さんはその介護のために働きに行けないと。ですから、生活保護受けなきゃいけない、いろんな手当取れるものは取ってということでやっているんですけれども、それでも非常にせっぱ詰まった状況になっていて、自分の食べるものとか着るものはもう一切削って、それでもまだ足りないという状況になっているということなんです。
 それで、これまでの議論の中でも政府は保護を受けていない母子家庭とのバランスということが言われたんですけれども、実際、二〇〇六年の七月のOECDの発表している対日経済審査報告書の中では、我が国で働いている母子世帯の貧困率というのは五〇%以上で、ほかの国と比較してももう際立ってやっぱり大変な状況になっているということがあるわけで、そういう中で、やはり母子家庭全体の生活を貧困により一層させているんじゃないかという問題あるんじゃないかということが二つ目です。
 それからもう一つ、三点目は、自立のための就労支援の強化を名目として来年四月から児童扶養手当の削減が予定されているわけですけれども、この削減対象となる受給、五年間ですよね。五年間でこれは切れることになるわけだけれども、五年が過ぎたら、じゃ状況が良くなるのかというと、そういうふうには考えにくいわけですよね。
 国立社会保障・人口問題研究所で研究されている阿部彩さんという方の調査によりますと、正規雇用、継続雇用の場合の時間がたつにつれて勤労所得が増加していくんですけれども、ところがパートなんかはほとんど変わらないということがあるわけです。児童扶養手当の所得制限三百六十五万円に五年間で到達することができるのはもう例外的なケースだというふうにこの方は指摘しているわけですね。
 母子世帯の今平均の所得でいうと、〇五年の調査で二百三十三万円、世帯一人当たりにすると八十三万ということで極めて大変な状況にあるわけで、この母子家庭の母親の八割以上が仕事に就いているけれども、しかしパートなどの低賃金で働いていると。まさしくワーキングプアの状況から抜け出せないということがあるわけで、そういう中で、五年間でこれ削減することが妥当なのかどうかと。
 この三点についてのお答えを願いたいと思います。

○副大臣(岸宏一君) 母子家庭の自立支援策につきましては、紙先生も御承知のように、福祉から自立へという方向で四本の柱を中心にして新しい施策を取り組もうと、こういうことを進めてきたわけでございます。それによってどれほどの母子家庭の所得や収入が変わったか、良くなったかと、こういう調査もしなきゃならないわけですが、たまたま十七年で、母子家庭は十七年の収入でいうと二百十三万円であって、平成十四年よりも、二百十二万ですから、ちょっと増加しているんですよね。でも、決してこれは増加した、立派になったというふうな状況ではなかろうと思います、率直に言って。
 ですから、この問題につきましては、与党として今後この問題をどう扱うかということでPTをつくって検討をいたしておりますから、そういう動きと相まって母子家庭対策の万全を期していくべきだと、こういうふうに考えております。

○会長(田名部匡省君) いいですか。

○紙智子君 三点。

○副大臣(岸宏一君) トータルとして、あとは何でしたっけ。

○紙智子君 平均ということで、母子家庭の生活保護の母子加算の削減で均衡を取るというふうに言ってきたんですけれども、母子家庭全体の生活がより一層これによって困窮させることになるんじゃないのかと。段階的に母子加算を削っていくことなんですけどね、が一つと、最後は、実際には児童扶養手当の削減が予定されていて、このことが与える影響ということで、これについてということで、三つお聞きしました。

○副大臣(岸宏一君) そのことについては与党PTで検討して、それを待ってやりますけれども……

○会長(田名部匡省君) 発言は求めてからやってくださいよ。

○副大臣(岸宏一君) 会長、済みません。
 そのことについては今与党PTでやることになっていますが、生活保護よりも下になるなんということをやっちゃいけない、これはそのとおりです。

○会長(田名部匡省君) いいですか。
 渕上貞雄君。

○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。大変御苦労さんでございます。
 少子化対策についてお伺いしますが、先ほどの報告でもございましたように、少子化傾向というのは依然として続いている。今お話ありましたように、いろんな少子化問題について対策を練られておりますけれども、なお減少傾向にあることについての認識と、その原因がどこら辺にあるというふうに思っておられるのか、そして少子化対策に対する予算はこれでいいのかどうか、もう少し増やせば何とかなるかどうかというようなことについてどう認識されているか、お伺いをいたします。
 それから二つ目は、今もお話ありましたけど、やはり母子家庭における児童扶養手当の削減というのが二〇〇八年から行われるようになっていますね。これはやはり対策としては逆行しているんじゃないかと思うのでありますが、与党PTで検討しているんじゃなくて、これはもうしないのならしないと明確にやはり打ち出すべきではないかというふうに思うんですが、その点いかがでございましょうか。
 それから、三つ目の問題としては、厚生労働大臣が先ほど母子福祉団体からいろんなお話を聞いたと思うのでありますが、四つの団体から受けましたヒアリングの問題についてどのような感想を持っておられるのか、感想をお聞きしておきたいと思います。
 それから、外国人労働者の問題について、これは研修制度、技能実習制度の問題ですけれども、結局、日本の技術、技能、知識を開発途上国に移転をして、その国の経済発展のために協力するというような目的がうたわれていると思うのでありますが、その制度を、一部日本の事業者によって、人手不足から来る問題かもしれませんが、労働力として使い、劣悪な条件や犯罪が多発していることなどを考えておりますが、労働者供給制度に対する問題点についてどのように認識されておるのか、お伺いをしたいと思います。
 その次は、やはり国際化社会になるに従って外国人労働者を受け入れざるを得ない。その場合起きてくる問題として定住化の問題があり、定住すればおのずとそこには家族ができ上がるわけですから、そうすると子供たちの教育の問題、先ほども同僚の議員が質問されておりましたけれども、それらの対策についてどのようにしようとしておられるのか。
 一応、先ほどではそれぞれのお話があったようでございますけれども、いわゆる我が国の中における外国人労働者の地域社会がもう既に存在しているということを考えると、そこの中における基本的な権利についての状況についてどのようなことを考えられておるのか、また、今後対策としてどうやろうとしておるのか、お伺いいたします。
 以上でございます。

○副大臣(岸宏一君) まず最初の、少子化対策に対する認識という御質問でございました。
 これは非常に言わばお話しすれば長くなる話でございまして、会長の意に沿わないかもしれませんが、少しお話しいたします。
   〔会長退席、理事岡崎トミ子君着席〕
 現在、先生御承知のように、特殊出生率が一・二六と下がっているわけです。なぜなのかと、こうしていろいろ研究をしてみますと、調査をしてみますと、決して国民が子供を産みたくないということではないようなんですね。いろんな、出産を、子供を産みたいけれども、それを阻んでいる壁があると。本当は産みたいんだというその産みたい人が産みたいように産んだ場合は一・七五まで上がると、こういうふうに調査の結果は出ているようです。
 ですから、政府、これは厚生労働省だけじゃありません、政府全体がこの少子化対策に乗り出しているわけでございますから、国民と一緒になってその壁を取り払うあらゆる方面から努力をする、施策を講じる、こういうことで、若い人たちが壁を感じなくなるような施策というものは、予算を付ける、そういうことの仕事と相まって進むだろうと、こういうふうに認識しております。余り時間が長くなるとなんですので、この程度で一応申し上げておきたいと、こういうふうに思っております。
 それから、福祉の四団体のお話、大臣とお会いになったというお話でございますが、大臣としても皆様方のお話を直接お聞きして大変納得すべき点があった、今後それを十分前向きに対応したいと、こういうふうに考えているというところだそうでございます。
 それから、児童扶養手当については、前にも、さきにも紙先生でしたか、申し上げましたが、これは与党の結論を待ってと、先生のおっしゃる気持ちも十分分かりますが、取りあえず副大臣という立場でございますから、ここまでにさせていただきたいと思います。
 最後に、技能実習の問題でございますが、これは一部の受入れ企業等において不適切な研修が行われたり実習生に対する賃金未払等の事案が発生している、そういうことがありますから、国際研修協力機構、これJITCOというんですか、これを通じた全受入れ機関に対する自主点検及び受入れ団体に対する巡回指導の強化をやっていかなきゃならないと。さらに、入国管理局や労働基準監督機関との連携を通じて、この制度そのものが適正に運営されていくよう努力いたしたいと、こう思っております。

○副大臣(中川義雄君) 少子化の要因についてですが、これはいろんなたくさんの問題があると思いますが、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議というものの中で基本認識として大きく取り上げたのは、就業継続希望とそれから結婚・出産・育児の希望との二者択一を迫られている、この事実。それから、多様な働き方を選択できないことや非正規労働者の増大、長時間労働など、働き方をめぐるこういった様々なことが要因になっているということが大きく言われております。
 以上であります。

○副大臣(池坊保子君) 外国人の子弟の教育問題につきましては先ほど述べましたので、重複する部分は割愛させていただきます。
 ただ、一点、公立学校や外国人学校に就学しております者が八一・四%ですが、義務教育の学齢の外国人登録者の中で、転居、出国などにより居住不明の者が一七・五%、千七百三十二人おりますことと、学校に行っておりません者が百十二人、一・一%おります。
 なぜ学校に行かないかというのは、学校に行くためのお金がないからが一番多く、次に日本語が分からないから、すぐに母国に帰るからというふうになっておりますので、これは文部科学省だけではなく他省庁とも連携を取りながら、一番いい方法を考えていきたいと思っております。
 それから、先ほどの義家さんの年金制度についてですが、私、小学校と申し上げましたが、あれは中学校の社会科でございました。また、中学校と申し上げましたのは、高等学校の公民でございまして、私が申し上げたとおり指導すると指導が早くなりますので、これは訂正させていただきます。

○理事(岡崎トミ子君) それでは、質問、発言の御希望の方、挙手を願います。
 前川清成君。

○前川清成君 前川清成ですが、今の岸副大臣の御答弁に少し不満がございます。出生率が一・二六で、子供を産むことに阻む幾つかの壁があると、こういうふうにおっしゃいました。もちろん、時間の制約の問題もあって、すべてを具体的に語っていただくことができないのかもしれませんが、もう少し科学的に、客観的に分析していただいたらどうなのかなと、こう思っています。
 その点で私は、二十代後半から三十代前半にかけてのいわゆる子供を産み育てる、そういう世代の女性が結婚が遅くなっている、晩婚化している、これが少子化の原因の大きな一つではないかなと思っていますが、お手元の統計でそれを裏付けるような数字はございますでしょうか。
   〔理事岡崎トミ子君退席、会長着席〕

○副大臣(岸宏一君) 確かに、結婚年齢は男性がたしか三十歳、女性が二十八歳じゃなかったですか、初婚の。それから、未婚率も二三%だったか、かなり高くなっておりますよね、たしか。(発言する者あり)生涯未婚率二三%。

○前川清成君 もう少し具体的な数字の御説明が欲しいんですが、その点で、晩婚化の理由の一つとして、価値観の多様化ですとかあるいは女性の社会進出が顕著になっていることが挙げられると思うんです。
 そういうコンテクストで法務副大臣にお尋ねしたいんですが、私は副大臣が御結婚されているかされていないかも存じませんし、仮に奥さんの名前がユウコであろうと、ユミコであろうと、トミコであろうと、全然私にはかかわりのないことなので、いいんです。同じように、私の妻の名前がユウコであろうが、ユミコであろうが、トミコであろうが、全然御迷惑をお掛けすることではないと思いますが、副大臣、その点はそれで間違いないですよね。──副大臣、法務副大臣。

○副大臣(河井克行君) 私の妻の名前は、河井であります。名字は河井であります。

○前川清成君 聞いてないよ、そんなこと。
 会長、質問に答えてもらってください。

○会長(田名部匡省君) 質問に答えてください。

○副大臣(河井克行君) 済みません。確認のため、もう一度お尋ねをいただきたいと存じます。

○前川清成君 じゃ、副大臣、今のはサボっておられて私の質問は聞いてなかったということですか。

○副大臣(河井克行君) もう一度お尋ねをいただきたいと存じます。

○前川清成君 だから、それは聞いてなかったという意味ですか。

○会長(田名部匡省君) 質問を聞いてなかったか、というわけです。

○副大臣(河井克行君) いえいえ、もう一度質問の趣旨をいただきたいと存じます。

○前川清成君 他の配偶者の名前がどうであろうと、大臣、あなたに迷惑掛かることではないですねという質問です。

○副大臣(河井克行君) 他の配偶者の……

○前川清成君 他人の。

○副大臣(河井克行君) 他人の配偶者の名前がどうであっても私に迷惑掛かるものではない、質問の趣旨がよく分からないんですが。

○前川清成君 これが、副大臣、どこが御理解いただけない質問なのかが僕、分からないんですけれども。例えば、藤谷さんの奥さんの名前が何という名前であろうと、僕は藤谷さんとお付き合いすること、全然関係のないことだし、同様に、河井さんの奥さんがいらっしゃるのかいらっしゃらないのか、奥さんの名字がどうなのか、僕にとっては全然かかわりのないことで、僕に迷惑が掛かることでもなければ、僕に利益があることでもないと思うんです。この当たり前のことを間違いないですねとお尋ねしているんですが、どうして質問の趣旨が分からないんですか。

○副大臣(河井克行君) 法務副大臣に御質問をしていただいているわけでございますが、どういう意味合いをお持ちなのかについて考えがなかなか浮かんできません。

○前川清成君 会長、答えてもらってください。こんなの、質問続けられません。

○副大臣(岸宏一君) ちょっとその前に、その前に私答えていいですか。

○前川清成君 先生、また後で。時間あれば、また。

○副大臣(岸宏一君) はい。

○前川清成君 済みません。

○会長(田名部匡省君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○会長(田名部匡省君) 速記を起こしてください。

○副大臣(河井克行君) 確認のためにもう一度、恐れ入りますが質問をしていただきたいと思います。

○前川清成君 もう、しません。同じこと何回やらすねん。

○会長(田名部匡省君) 質問聞いてなかったの。

○副大臣(河井克行君) いえ、聞いております。

○会長(田名部匡省君) 聞いていたら答えなさい。

○副大臣(河井克行君) 名字、名字が何であっても関係ないと思います。

○前川清成君 ちょっと河井副大臣の資質そのものにかかわることですのではっきりお答えいただきたいんですが、なぜこの程度の質問を十分も十五分も掛からないと答弁できないんですか。すべて法務省のカンニングペーパーがなかったら答えられないと、そういうことですか。

○副大臣(河井克行君) 念のために確認を申し上げたかっただけであります。

○前川清成君 余りにも国会審議をばかにしていると思いますよ、こんなことで時間の空費をするなんて。もっと国会答弁は質問をよく聞いて誠実にお答えしていただく必要があると思いますが、いかがですか。どうですか、副大臣。

○副大臣(河井克行君) 以後気を付けたいと存じます。

○前川清成君 そういう意味でお尋ねしたいんですが、価値観が多様化していて、あるいは女性の社会的進出が顕著になっている。晩婚化の理由として、選択的な夫婦別姓が認められていないということが私は一つあると思います。
 その点で、今副大臣もおっしゃったように、あるいは私も、あるいはここにいるだれもが感じているように、他人の配偶者の名前がどうであろうと世間に迷惑掛けることは一切ない。そうであれば、公益を害することがないのである以上、法制審の答申にある以上、一日も早く選択的夫婦別姓の採用に踏み切るべきではないかと私は思いますが、いかがですか。

○副大臣(河井克行君) 選択的夫婦別姓制度の導入については、平成八年の法制審議会の答申以降、婚姻制度や家族の在り方と関連して各方面で様々な議論がされてきたと承知をしております。

○前川清成君 それで。

○副大臣(河井克行君) この問題は婚姻制度や家族の在り方と関連する重要な問題でありますから、大方の国民の御理解を得ることができるような状況で法改正を行うことが相当であると考えており、したがって、法務省としては、国民一般に様々に意見を聴きながら、関係各方面に調査結果を報告することにより民法改正についての国民の議論が深まるよう引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
 なお、平成十八年の世論調査の結果では、選択的夫婦別氏制度の導入について、夫婦同氏制度を採用する現在の法律を改める必要はないと答えた者の割合が三五・〇%で、平成八年調査の三九・八%から平成十三年調査で二九・九%にいったん低下した割合が上昇に転じたのに対し、逆に選択的夫婦別姓制度に賛成の、法律を改めても構わないと答えた者の割合は三六・六%で、平成八年調査の三二・五%から平成十三年調査で四二・一%に上昇した割合が低下に転じており、現在、積極、消極の割合はほぼ同じとなっており、今回の世論調査においては、この制度の導入の問題について国民各層の意見が大きく分かれていることが示されたものだと受け止めております。

○前川清成君 私は、少子高齢化の原因ですとか社会にもたらす害悪等々、具体的に指摘をして現場での議論をさせていただいたつもりです。それに対して、今の答えは余りにも表面的というか、上辺の御答弁だなと思って失望をいたしました。
 もう結構ですが、岸副大臣にお尋ねしたいんですが、資料の九ページで、母子家庭の収入が二百十三万円とあります。これは収入ですから、例えば各種手当や、あるいはその横にありますが、養育費等々も含めた合計額ということでよろしいんでしょうか。母子家庭のお母さんが働いて得ておられる就労所得ということであると、この二百十三万円と数字は異なってくるのでしょうか。ちょっとこの点、まず確認でお尋ねをいたしたいと思います。

○副大臣(岸宏一君) 合わせた額だそうでございます。
 それで、先生、ちょっと訂正とお話をさせてください。

○前川清成君 はい、どうぞ。

○副大臣(岸宏一君) 未婚率等の問題、お話ししましたが、あれは推計値でございまして、一九九〇年生まれの方々の推計値でありました。おわびして訂正します。
 それからもう一つ、壁の問題ですけれども、結婚の壁、これは科学的でないということでもなくて、例えば低収入であるとか、出産後の継続就業が困難でありますとか、育休が利用しにくいとか、そういう大勢の壁という意味で申し上げたことでございまして、ひとつ、会長から簡単な答弁と言われたものですから、そういう答弁を申し上げたことをお許しいただきたいと思います。

○前川清成君 それで、ちょっとその母子家庭の点で最後の質問をさせていただきたいんですが、副大臣の御説明の中にも、児童扶養手当中心の支援から就業、自立に向けた総合的な支援への転換というのがあります。私、方向としてはそれは正しいのではないかと思っています。
 ただ、具体的にお教えいただきたいのは、例えばこの九ページの中にもあります職業訓練とか能力開発のための給付金等とありますが、具体的にお尋ねしたいのは、母子家庭のお母さんが働きながら子供も育てている、かつ職業訓練を受けて、よりステップアップして今よりも高い収入を得られる、そういう職業として、あるいはそういう職業訓練として一体どのようなものがあるのか。本当にそれはもうお題目だけであって、実際この世の中には存在しないんじゃないかなというような疑問があるんですが、いかがですか。

○会長(田名部匡省君) 答弁は簡明に願います。

○副大臣(岸宏一君) はい。
 例えば、看護師さんとか介護士さんとか、そういう資格を取るために子供さんを預けて勉強する、そして資格を取る、そして就職すると、こういう方法があるというように思います。

○前川清成君 最後です。
 その母子家庭のお母さんが例えば看護師さんになるために何年間学校に行って、そのために授業料が一体どれぐらい掛かって、看護師さんの資格を取って初任給がどれぐらいになるのか。その結果、差額、どれぐらいの収入増になるのか。この点、検証した上でお答えいただいているんでしょうか。

○副大臣(岸宏一君) ちょっとこの点まで勉強不足なので、この次に調べて報告いたします。

○前川清成君 ありがとうございました。

○会長(田名部匡省君) 次に、石井みどり君。

○石井みどり君 自由民主党の石井みどりと申します。
 先ほど義家委員の方からも児童虐待に関して御質問ありましたが、違う切り口からちょっと伺わせていただきたいと思います。
 法改正によって児相だけでなく市町村もその通告にかかわるという、これは非常に児童虐待のケース発掘になって、大変そのこと自体は前向きになった、進んだというふうに思っているんですが、本日お示しいただいた資料の中で、地域における児童虐待防止のシステムができて、これ市町村に設置されたと。そして、その設置率が約八四%だというふうなことがお示しされておりますが、よくあるのは、こういう機関をつくっただけで実行していないということがよくあります。
 児相は県の所属です。そして、ここで例えばお示ししていただいている生後四か月までの全戸訪問事業、これも実施主体は市町村であります。それから、一・六、三歳児の健診もすべて母子保健事業は市町村事業であります。やはり市町村と県との連携、これ県によって非常にうまくいっているところといっていないところがあるんですね。
 私が申し上げたいのは、虐待に関しては非常にその要因、原因も多様なんですね。ですから、その対応も非常に柔軟性が求められますし、それから即時性も非常に求められるんです。そういうときに、じゃ、このネットワークを設置したから、様々な関係機関、関係職種がかかわるから、本当にこれが機能するか、そこが問題だと思っています。
 一義的にはやはり児相が一番動くんですね、真っ先に。通報は市町村からということも多いです、あるいは医療機関も多いです。
 私は歯科医師ですけど、皆さん方は小児科からの通報ということは十分御理解いただくと思うんですが、実は小児歯科からというか、歯科からの通報もあるんですね。一番多いのはネグレクトが、非常に今は日本の子供たち虫歯少ないんですけど、ネグレクトの子供たちは非常に重症で多数虫歯があったりという、これもう都道府県の歯科医師会で調査が出ています。非常に歯科からの通報の件数も出ています。もちろん外傷ということもありますが。ですから、様々な職種がかかわらなきゃいけないんですね。
 私が伺いたいのは、このネットワークはこれは市町村に設置されるんだと思うんですけれども、ただ、それよりももっと機能的に、機動的に児相の中に多職種がかかわって、今児相の中でもチームで動かれていますね、児童虐待に関しては。その児相の中にいろんな職種がかかわるという、そういう仕組みになっているのかどうか。そして、このせっかく設置されたネットワークが実行できるような方策を、どういうふうに国として県、市町村への支援という方策をお立てになっておられるのかが一点。
 それと、もちろん今申し上げた市町村のかかわりは大きいんですが、これは生後四か月までは全戸訪問して一応洗い出そうということですが、一歳半健診、三歳児健診にも来ないんです、こういう方々は。こういう方々をどう、じゃ拾い出そうとしているのか。四か月だけでいいんですか、そうじゃないと思うんですね。そういうところもどういうふうに今後、厚生労働省として支援というか指導していかれるのか伺いたいというのが二点目です。
 そしてもう一つ、三番目として、ほとんどこの虐待の、まあ若年の親が多いんですけれども、大体、無職か非正規雇用が多いんですね。そうすると、かかわりとして、厚生労働省ですからやはり就労というか労働行政のかかわりは大きいと思うんですが、残念ながらこのネットワークの中にも労働機関、関係機関ないんですね。親への対応ということがやはり非常に大事なんですね。だから、その辺の労働支援というか、そういうところもどうこれから、現在かかわっていないんであれば今後どういうふうに考えていかれるのか、そういうところもお聞かせいただきたいと思います。

○政府参考人(村木厚子君) お答え申し上げます。
 まず一点目の御質問ですが、正に先生が御指摘をされたとおり、要保護児童対策地域協議会、形だけの会議になってはこれはもう意味がないということで、今スタートアップマニュアルのような形で、本当にその実務が動くような仕組みでこの協議会を運営していただくためのそのノウハウ提供をいたしております。それから、身近な市町村とそれから専門性を持った児童相談所がやはり協力をし合うということが大事だと思いますので、まず身近な相談の入口としての市町村の役割を強化をするということと、専門機関としての児童相談所の役割の強化を同時にやりたいと思っております。
 児童相談所の方は児童福祉司が中心でございますけれども、児童心理司の方ですとかお医者様ですとか、たくさんの専門職の方のネットワークでやりたいと思っております。特に、御指摘がありました小児歯科につきましては、全国の中央の連絡協議会に初めて代表の方に来ていただきまして、一緒に小児歯科の方々のお力もかりることになったところでございます。
 それから二つ目ですが、一歳半健診や三歳児健診にやってこないお母さん、お父さんの方がむしろ問題というのはおっしゃるとおりでございまして、そのためにも生まれてとにかく早く、できれば四か月以内にまずこちらから一軒一軒出向いていくというのは今回これ初めてでございまして、そこでつかまえて、その後は、ここは課題を抱えているとか、ここは相談を欲しがっているとか手助けが要るというところには、その後継続的にフォローがしていけるこのきっかけに四か月の訪問をしたいというふうに考えているところでございます。
 それから、虐待は特に若い親御さんが多いというのもそのとおりでございますし、親とのかかわり、特に経済的に基盤が弱いとこういう問題が起こりやすいというのはそのとおりでございますので、私どもちょっとその辺、十分意識が足りなかったところもあると思いますので、ハローワーク等の労働関係の機関ともこれからしっかり連携を取っていきたいと存じます。

○石井みどり君 会長、よろしいですか。

○会長(田名部匡省君) もう予定の時間大分過ぎていますので、簡潔にお願いします。

○石井みどり君 済みません、一点だけ追加。
 四か月で拾ってその後を追跡するということなんですが、実は非常に、四か月のときに問題がなくても、その後の、いわゆる継父というか血のつながらない親子関係が出てきたりして、その後発覚するケースも大変多いんですね。だから、やはり四か月でかかわったからその後を追跡するというだけでは非常にラフだと思います。本当にきめ細かく対応していかないと、結局、取り返しが付かない、死んでしまったというようなケースは幾らでもマスコミでニュースに流れています。
 これからも、どんどん今児童虐待のケースは増えていますので、省の中でもきちんと連携を取っていただいて、決して縦割りじゃなくて、子供の命にかかわってくることですので、是非、今後ともしっかり対応していただきたいと思います。
 ありがとうございました。

○副大臣(岸宏一君) しっかり対応します。

○会長(田名部匡省君) 質疑も尽きないようでございますが、予定の時間も参りましたので、本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時十一分散会

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2009年08月06日 16:09
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。