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―八―

気付けばそこは部屋の外だった。さっきまで部屋にいた筈なのに。さっきまで布団の中で寝ていた筈なのに。俺を呼ぶのは・・誰?誰かが・・・俺を操ってるみたいだ。なんで・・皆血を流して倒れているんだろう?どうして俺を見て逃げていくのだろう。なんか手がぬるぬるする。なんだこれ・・・紅?両手が真っ赤。・・・あぁ、そうか。これ、俺がやったんだ。だから両手が血だらけなんだ。でもなんなんだろう。いつもなら迷わず駆け寄って治療するのに。誰か助けを求めるのに。ふと前を見れば恐怖に引きつった付き人の顔。なんでそんな顔すんだ?ねぇ、大丈夫だよ? 別に怖くないよ?俺はにこりと笑みを浮かべる。

 「っば、化物・・・!!」

震える唇から零れた音にならない叫び。俺が・・・化物?一体何の事だよ。気付いた時には目の前に一つの屍。惨殺されて顔を失った・・・生々しいモノ。
 『また派手にやってくれたねぇ?』
誰かの声が聞こえる。口笛が聞こえる。なんて楽しそうな――――声音。

 『何も考えなくていいよ? 俺に全部委ねなよ』

優しく唄うように囁く声。ふわふわ何かに浮かんでるみたいなこの気持ちはなんだ?

『そうすれば 気付いた時には全部この悪夢は――――終わってるんだから』

とっても使いやすい君の身体は俺が大切に使ってあげるからね。そう笑ったあの笑顔はどこかで見た事のある顔だったけど、結局俺がそれを思い出す事はなかった。ぼやける視界をそのままに、俺は辺りに転がっているモノを踏みつけて前へと進んでいく。


・・・俺は――――何をしているのだろう。



「・・・・・・っつ・・!!」
またか。俺はそっと今しがた痛みの走った指先を開いた。・・・ぬるりと滴る命の色。俺はそれを何事もなかったかのように口に含み不敵に唇の端を歪めた。
 (まだだ、俺はまだ・・いける)
こんなの、強がり以外の何者でもない。乱暴に煽られる髪を気にも止めず、俺は数珠を握りなおして再び瞳を閉じた。これ以上何の反応も見せない儀式に、ふと挫けそうになる自分を叱咤して一心に祈り続ける。・・・幼馴染を、戒斗を・・助けたい。


 「――――応え・・・応えろ・・」


俺もあまり長くは保たない。この儀式の命を啜る凄まじい速さに、さすがに俺ももう立っているのもやっとになってきている。いつの間にか身体中に走るいくつもの切り傷から血がじわりと滲んでくる。・・・・・っ頼む・・・応えてくれ・・!!


 『―――――こんなに一生懸命になるなんて・・・』
 「え・・・?」


突如結界内に響いてきた声に、俺ははっとして瞳を開け、辺りを見渡す。


『そんなに失くしたくない人なの・・?』


声が、聞こえる。俺に問うてくる何処までも優しい、暖かく、澄んだ声音。

 「・・・・んなの・・決まってるだろ・・?」

つきそうになる膝に力を入れ、俺は込み上げてくる笑みをそのままに最後の言葉を口にする。


 「―――――っ応えろ 鬼刻よ・・!!」


天が、割れる。次の瞬間、結界が弾け飛び空から無数の光が舞い降りて。
 「成功・・しただと・・・!!?」
ありえないとばかりに辺りをざわめきが満たす。良かった・・これで戒斗を救える。ほっと息を吐いて俺は張り詰めていた糸が切れたかのように片膝をついた。・・・が、


 「――――喜ぶのはまだ早いよ? 神鬼刻主殿? 」


禍々しいほどの気と共に聞きたくなかった声音が耳朶を掠める。
 「っ摩綺羅・・!!」
 「まったく 呑気なもんだよねぇ?せーっかく俺が待っててあげたのに」
風が・・・一瞬だけ凪ぐ。安心するのも早すぎるよ?と妖艶な笑みを浮かべて、それは散った桜の花弁を白い指先で弄ぶ。どういう意味だと問えばそのまんまだと言わんばかりにすっと瞳を細めた。

 「俺もいくら楽しいからって自分が不利になるのをわざわざ黙って見過ごす筈ないって事だよ」

それくらいちょっと考えれば分かるだろ?つぅ・・・っとその長い爪で俺の頬をなぞる色鮮やかな紅。手近にあった薙刀を手に俺は一気にそれを薙ぎ払う。・・・が、

 「何・・!!?」

それは 何者かの手によって阻まれた。こつり・・と聞きなれた足音がする。目を凝らして見てみれば、色鮮やかな紅を庇うようにして立つ海色の瞳。

 「・・・かい、と・・?」
 「おやおや またこんなに汚して」

一体どんな殺り方をしてきたんだい?そう微笑って目の覚めるような朱を拭うようにしてその額に口付けを落とす・・・暗き紅。ぼんやりとして焦点の定まらない海の瞳。微かにふらつく足元。それでも真っ直ぐに俺へと向けられた―――刃。


 「貴様・・っ」
 「ふふっ さぁ・・・どうするんだい?」


お手並み拝見といこうか。そう楽しげに細められた瞳。意識を支配されたらしい戒斗。刃を向けられた・・・俺。そして・・・

 「・・・くくっ・・なめんなよ・・?一体この俺を誰だと思っている・・?」

まだ鬼刻が天から地に降り立つまで時間がある。俺は先程使った薙刀を捨て、静かに拳をぱきぱきと鳴らした。

 「・・お前如き、これで十分だ」
 「・・・。」
「おら かかってこいよ」

相手してやる。そう挑発的に嘲笑って、俺は構えた。その瞬間に駆け出してくる幼馴染を見つめながら。


 「・・・三分で片付けるぞ」


利用した事も・・・まして利用された事もたっぷり後悔させてやる。不敵に笑って俺はそのまま戒斗を迎え撃った・・―――――


あとがきという名の言い訳。

はぅっなんなんだこの話っ!!鬼刻全く出てないじゃん!!(爆)しかも無駄にでろでろ長くていきなり葵依&戒斗大ピーンチ!!(殴)なんだかいきなり幼馴染の直接対決になってしまい・・・・。・・・始めはこんな風にはならん筈だったのになぁ・・(遠い目)なんで某月はキャラが一人歩きしてる上更に暴走してお話変えていっちゃうんですかね・・?(知らんて)私・・何処で育て方間違ったのかしら・・(だから知らんわ)