※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

明るさは 夜独特の闇に犯され、空には静々と帳が降ろされた。

今宵は満月。庭の澄んだ池には、掴めそうで掴めない月が色鮮やかに舞い降りている。

 

 「―――…今宵は望月、なんだ…」

 

俺は一人、縁側に腰掛けて夜空を見上げた。

きっと、今の俺はいつも以上に情けない顔をしているだろう。

こんな顔は朔には…ましてや彼女には絶対に見られたくないななどとぼんやりと思う。

こんなこと 俺が言う資格なんてないけど――正直、満月の夜は辛い。元の世界へ帰ってしまった彼女を思い出してしまうから。

苦笑をもらして、俺は自嘲気味に空から視線を逸らした。

 

 『 景時さん 』

 

あの声が笑顔が、脳裏に甦る。

くるくると目まぐるしく変わる表情は、いつも忙しなく周りへと向けられていた。―――でも、

 

 『……ありがとう、ございます…』

 

あの…照れたような笑顔は。頬を真っ赤に染め、はにかむように俺を呼ぶ君だけは。

今となっては自惚れかも知れないけれど、

 

 「俺だけのものだって…思ってたのに」

 

痛いね。今でもこんなにも―――君のことを想ってる。

ぽつりと呟いた言葉は もう誰にも届かない。

焦がれた月は行ってしまった。腕を伸ばしても、届かないものは必ずあるのだ。だから…

 

 「――――好きだよ」

 

せめてこれだけは、この気持ちだけは 誰にも譲らない。

君に逢えた。

それだけで、十分だった。

【届かぬ祈りの果て】

 

 

 

…果てしなく 景時さんじゃない気がする(汗)

久々に書くと危険だ・・(滅)