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重国籍に関するQ&A

「重国籍を悪用した重婚」というのは、どういったケースなのでしょうか?

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重国籍者への催告は一度も行われていないと聞いたのですが、重国籍は認められているのではないでしょうか?

国籍法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO147.html
第十五条  法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第一項に定める期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる。
2  前項に規定する催告は、これを受けるべき者の所在を知ることができないときその他書面によつてすることができないやむを得ない事情があるときは、催告すべき事項を官報に掲載してすることができる。この場合における催告は、官報に掲載された日の翌日に到達したものとみなす。
3  前二項の規定による催告を受けた者は、催告を受けた日から一月以内に日本の国籍の選択をしなければ、その期間が経過した時に日本の国籍を失う。ただし、その者が天災その他その責めに帰することができない事由によつてその期間内に日本の国籍の選択をすることができない場合において、その選択をすることができるに至つた時から二週間以内にこれをしたときは、この限りでない。
国籍法15条に定められた「催告」は、「催告を受けた者は、催告を受けた日から一月以内に日本の国籍の選択をしなければ、その期間が経過した時に日本の国籍を失う」と法文にある強制力を持つ手段です。
そのため、催告を出すと、外国籍の権利などは使用せずに、ただ届出を懈怠しただけや手続きミスという理由だけでも日本国籍を喪失してしまうため、そこまでの強硬手段はとらないという事で一度も「催告」という手続きがなされた事はありませんが、違法に外国籍の権利を使用している事が発覚した場合は、「催告」ではない国籍選択を迫る通知は戸籍役場から来ますし、海外在住者にも来た事があるというケースも報告されています。
韓国の重国籍者の場合は、22歳までに韓国籍を選択するという届出を出さないと、自動的に韓国籍が剥奪されます。

国際法的な観点からは、無国籍削減条約というものがあり、単国籍者からの国籍剥奪は条約違反の人権問題になりますが、重国籍の場合は重国籍防止の「国籍唯一の原則」が国際立法の理想とされていた事もあり、国側は重国籍を認める必要はありませんので余り問題にはならないようです。
韓国の場合は、重国籍者が期間内に自国籍を選択しなかった場合は自動的に国籍剥奪する制度を導入していたようですし、日本の場合は(22歳以降の)重国籍は元々違法なので、重国籍者からの違法に保持している日本国籍剥奪等もしてきたようです。
但し、一旦重国籍を「権利」として認めてしまうと、それが既得権益となって、問題が起こった際の国籍剥奪や、弊害が発生した場合の国籍選択制度の導入も難しくなるようです。

フランスでは、民法に「国家の基本的利害にかかわる罪やテロ行為を犯した二重国籍者に対し、仏国籍を奪うことができる」とあり、オランダでは「国家に対する犯罪で有罪となった人物が二重国籍である場合、オランダ国籍を剥奪する」法案が通ったようです。
これらはいずれも「重国籍者からの国籍剥奪」であり、単国籍者からの国籍剥奪の場合は、国籍剥奪によって無国籍者が発生して国際条約違反になるので、法案の対象は重国籍者のみになります。

上記のような整理から、おおざっぱに「国籍剥奪」を分類すると、以下のようになります。
  • ○ 元々違法に保持している重国籍者の自国籍を無効にする(日本の場合で、法改正不要)
  • ○ 重国籍者が定められた期間内に自国籍を選択しなかった場合は自動的に国籍剥奪する(韓国のケース)
  • ○ 死文化していた重大犯罪を犯した者やテロリストの「重国籍者」から国籍剥奪できるという規定を適用する(フランスのケース)
  • ○ 重大犯罪を犯した者やテロリストの「重国籍者」から国籍剥奪できるように法改正する(オランダのケース)
  • ○ 合法だった重国籍者から、片方の国籍を選ばせるように法改正する(オランダのケース)
  • × 重大犯罪を犯した者やテロリストの「単国籍者」から国籍剥奪できるように法改正する(国際条約違反)

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重国籍の子供に片方の親の国籍を捨てさせるのは非人道的だと思うのですが?

結論からいえば、各種のケースを混同してしまっていているので、「子供に」親の国籍を捨てさせるという前提自体が間違っています。
国籍選択制度によって重国籍者が片方の外国籍を放棄する場合、以下の2つのケースに分かれます。
①出生によって自動的に重国籍になった一般重国籍者
②届出による国籍取得

このうち、①出生によって自動的に重国籍になった一般重国籍者に関しては、22歳までは国籍選択の必要はなく、合法的に重国籍を維持できます。
22歳を「子供」というのはおかしいので、問題となってくるのは、国籍法3条1項改正によって発生する「②届出による国籍取得」のケースだと思います。

「届出による国籍取得」により日本国籍を取得した子供の場合、以下の2種類の解釈があります。
(1)「自己の志望による外国国籍の取得」と同様に扱われて旧国籍を失う
(2)一般重国籍者同様に22歳までは国籍選択の義務はない
国籍法は以下のように定めてあります。
国籍法改正 附則(平成二〇年一二月一二日法律第八八号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO147.html
(国籍の選択に関する特例)
第七条  外国の国籍を有する者が附則第二条第一項の規定により日本の国籍を取得した場合(同条第三項ただし書の規定の適用がある場合に限る。)における国籍法第十四条第一項の規定の適用については、附則第二条第一項の規定による届出の時(附則第三条第一項の規定により当該届出をしたものとみなされる場合にあっては、施行日)に外国及び日本の国籍を有することとなったものとみなす。
(国籍を取得した者の子に係る国籍の留保に関する特例)
これは「(2)一般重国籍者同様に22歳までは国籍選択の義務はない」と解釈するのが妥当であり、こちらも22歳を「子供」といわない限りは成り立たない主張になります。

それでも、このケースにおいては、日本国籍を取得した子供が22歳までの猶予を与えられずに外国籍を失う場合もあります。
但し、その原因となっているのは、日本政府及び日本の法制度ではなく、外国政府及び外国の法制度にあります。
日本の国籍法は、「自己の志望による外国国籍の取得」を日本国籍の喪失原因としていますが、これと同様の規定は諸外国にもあり、日本国籍を取得した子供の母親の国がそういった解釈を採用している国だった場合、その子供は日本国籍取得と同時に外国籍を失うというのが、このケースです。

参議院法務委員会での奥田安弘中央大学教授の国会答弁によれば、そういった解釈を採用している国としては韓国やフィリピンなどがあり、このケースで子供の日本国籍取得時に外国籍のパスポートの返還を要求した場合は、その原因は日本の法務省や法制度にあるのではなく、外国の法制度にあります。

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重国籍に関する海外の事例への見解

重国籍を合法化した場合、現行の幹部公務員への「国籍条項」への影響はあるのでしょうか?

現在、外国人(永住者)と日本国籍保有者の違いは参政権と幹部公務員への就任資格があるかないかが主なものになっています。
外国人の公職への制限に関する運用は、内閣法制局の法解釈である「当然の法理(「公権力の行使または国家意思の形成への参画にたずさわる公務員となるためには、日本国籍を必要とするものと解すべきである」という解釈)」に制約されるので、現在は一部の公務員任用・昇進試験の受験資格には「国籍条項」が存在します。

この「当然の法理」は、明文規定ではなく解釈なので、明文規定に基づいた違った運用がされるようになれば、有名無実化される可能性もあります。
河野太郎議員の座長私案のような無制限の重国籍容認の運用を想定した場合、以下のような変化が生じます。
①現在
重国籍者=外国籍の権利は使わず、日本国籍の権利を使うとみなされるため幹部公務員になれる
日本国籍取得者(元外国人)=外国籍の権利は放棄して日本国籍の権利を取得しているので幹部公務員になれる
重国籍者への公職制限:無し(外国籍の権利は使わず、日本国籍の権利を使うとみなされる)
外国人への公職制限:自治体によって様々だが、一定以上の公務員へは制限有り
②重国籍合法化後
重国籍者=外国籍の権利を使えるし、日本国籍の権利を使って幹部公務員になれる
日本国籍取得者(外国籍も保有した外国人)=外国籍の権利を使えるし、日本国籍の権利を使って幹部公務員になれる
重国籍者への公職制限:皇族、国会議員、大臣、外交官、自衛隊の士官、判事のみ

この場合、外国籍の権利を使用している重国籍者がほとんどの公職に就ける事から、便宜的な日本国籍取得と合わせた公務員の国籍条項の大幅削減としての機能を果たしますし、「外国籍の権利を使用している重国籍者がほとんどの公職に就けるのに、外国人への「国籍条項」を残しておくのはおかしい」として、権利獲得のための訴訟が起こされるといった事も想定されます。
もちろん、具体的な法解釈や運用は実際の法文が出てくるまでは判明しませんが、議員立法の場合は内閣法制局の審査を経ないため、既存の法制度・法解釈・法運用との整合性は余り問われず、弊害や矛盾を考えていない法案でも通ってしまう傾向もあります。

そのため、重国籍者の権利使用に何も制限を加えない場合、法務省が重国籍を認めない理由で挙げられている「(5)我が国に帰属意識を有しない形骸化した又は便宜的な日本国籍が増加する」「(6)二重国籍者が属する各国の権利・特権を行使し得ることは、日本の国籍のみを有する通常の日本国民との間に、法律上の不公平を生ずる」という点も論点になってくると思います。

なお、諸外国での外国人の公職制限に関しては、オーストリア・韓国では全ての公職に国籍条項があり、米国では連邦政府関係の雇用は原則的に国籍制限があり、州政府関係の雇用でも国籍制限がある場合があるなどになっています。

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「成人の重国籍を容認すれば頭脳流出が防げるため、韓国などでも重国籍容認の方向に向かっている」というのは本当でしょうか?

各国とも、重国籍容認の背景は違っています。
「国内の研究環境や待遇の問題」という、本質的ながらも別分野の問題を除けば、国籍離脱の原因となるのは以下の2点になります。
①徴兵の義務の回避
②属人主義課税による納税の義務の回避

このうち②は米国等で見られる現象であり、脱税目的による国籍離脱者が後を絶たないそうです。
「韓国が頭脳流出を防ぐために重国籍を容認した件」に関しては、背景事情は「①兵役の義務の回避」のために重国籍を利用する人が続出したので、その対策をしたというものです。韓国籍を放棄する重国籍者の95%は男性で、子供の兵役回避のために母親が米国で遠征出産して重国籍を取得した男性、米国に帰化する研究者や留学生などが増え続けて「兵役の義務の回避問題」が浮上して、その問題の解決のために紆余曲折を経て決まったのが重国籍容認だそうです。

日本の場合、「①徴兵の義務の回避」に関しては、日本には兵役の義務はありませんし、仮に憲法を改正するにしても、「近代戦では徴兵制はむしろ非効率なため、将来的に導入される可能性も低く、憲法に徴兵制の禁止を明記しても問題はない」というのが防衛問題に詳しい方の一般的な見解ですので、今後とも問題は発生しないと思われます。
問題となってくるのは、「②重国籍に伴う納税の義務」の関係で、現在の日本は重国籍を容認していないので「属人主義課税」は採用していません。
そのため、重国籍を容認して、権利と義務のバランスを取るために「属人主義課税」を採用すれば日本国籍を放棄するであろう人も多く、逆に頭脳流出を加速させるだけの結果を導く可能性が高いと思います。

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最終更新:2009年07月25日 08:44
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