田島へ - 白い巨塔 「財前コピペ」 まとめ

田島へ

この手紙をもって僕のセットアッパーとしての最後の仕事とする。
まず、僕の病態を解明するために、今中一軍投手コーチに病理解剖をお願いしたい。
以下に、中継ぎ起用についての愚見を述べる。
セットアッパーの起用法を考える際、第一選択はあくまで僅差リード時の試合終盤であるという考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には僕自身の場合がそうであるように、
先発早期降板時や終盤ビハインド時での登板がしばしば見受けられる。
その場合には、回跨ぎの回避が必要となるが、
残念ながら、未だ満足のいく成果には至っていない。
これからの中継ぎの飛躍は、連投以外の起用法の発展にかかっている。
僕は、君がその一翼を担える数少ない中継ぎであると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。
君には中継ぎの地位の発展に挑んでもらいたい。
遠くない未来に、酷使による中継ぎの死がこの世からなくなることを信じている。
ひいては、僕の屍を病理解剖の後、君の研究材料の一石として役立てて欲しい。
「屍は生ける師なり」。

なお、自ら中継ぎ酷使の第一線にある者が早期発見できず、
手術不能の故障で死すことを、心より恥じる。

浅尾拓也