今泉慎太郎君へ - 白い巨塔 「財前コピペ」 まとめ

今泉慎太郎君へ

この手紙をもって僕の刑事としての最後の仕事とする。
まず、僕の生活を実りあるものにするために、引退後も毎日魚肉ソーセージの配達とセリーヌ自転車の管理をお願いしたい。
以下に、今後の君の刑事としての活動についての愚見を述べる。
刑事としての君の成長を考える際、第一選択はあくまで厳しく教えることであるという考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には君自身の場合がそうであるように、刑事になった時点で髪の毛の後退をきたした進行症例がしばしば見受けられる。
その場合には、ﾌﾗﾜｰｱﾚﾝｼﾞﾒﾝﾄを含む自律神経失調症の治療が必要となるが、家元が逮捕されたため未だ満足のいく成果には至っていない。
これからの君の刑事としての飛躍は、私以外の有能な刑事の指導にかかっている。
僕は、西園寺君がその一翼を担える数少ない刑事であると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。
君には西園寺君の指導に従って貰いたい。
遠くない未来に、君の髪の毛がこの世から完全になくなることを信じている。
ひいては、向島巡査を3度目の離婚の後、西園寺君の研究材料の一石として役立てさせて欲しい。
言い忘れたが君と同期の芳賀君は今警視正だそうだ。
なお、捜査の第一線にある者が無能な刑事を駆逐できず、西園寺君に押し付けて去っていくことを心より恥じる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　古畑任三郎