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割賦販売法について

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割賦販売法とは

割賦販売とは,分割払いによる販売のことである。
購入者
手元にあるわずかな資金で高額な商品を購入可能
販売業者
高額な商品が売りやすい
 しかし,販売対象となる商品が高額になるため,トラブルが発生した場合の被害額が高額になる。そこで,割賦販売法により,消費者の保護が図られている。



割賦販売法2条について

 割賦販売法2条は,以下のように分類される。
 1項…割賦販売
 2項…ローン提携販売
 3項…割賦購入あっせん
 4項…指定商品
 5項…前払式特定取引

 いろいろややこしいが,とりあえず,以下の用語だけ整理しておく。

割賦販売(割賦販売法2条1項)
割賦販売法の適用を受ける割賦販売とは,分割払いのうち,2か月以上にわたり,3回以上に分割して支払うものである。
 逆に言うと,2か月未満であったり,2回以下の分割の支払いであれば,割賦販売法の適用は受けない。

ローン提携販売(割賦販売法2条2項)
販売業者が保証人となり,購入者が金融機関からお金を借りて,販売業者に代金を支払うこと。

割賦購入あっせん(割賦販売法2条3項)
購入者が商品を購入した際に、信販会社等が商品を購入した者に代わって販売業者に代金を一括して立替払いし、消費者は信販会社等に対して分割で支払うこと。

指定商品,指定役務(割賦販売法2条4項)
割賦販売法による規制は,原則として指定商品・指定役務に限定される。

前払式特定取引(割賦販売法2条5項)
毎月一定額の会費等を支払うことで、サービスや商品の提供などを受けるもの。


割賦販売法が適用されると,どうなるのか?

 割賦販売法の適用を受けると,以下のような規制がなされる。

 割賦販売法3条で定められた割賦販売条件を記載した書面 を交付しなければならない(割賦販売法4条,同29条の  3,同30の2等)。

 いわゆるクーリング・オフ制度の適用がある(割賦販売法 4条の4,同29条の4など)。

 割賦購入あっせんの場合,支払停止の抗弁権が認められる割賦販売法30条の4)。これにより,購入者が販売業者に対して有する抗弁により,購入者は,信販会社等に対する求償金の支払いを拒むことができる。

 購入者が分割払いを怠っても,20日以上の相当な期間を定めてその支払を書面で催告し,その期間内にその義務が履行されないときでなければ,契約を解除できず,また,期限の利益も喪失しない(割賦販売法5条,同29条の4,同30条の6)。

 購入者に対し,法定利率による遅延損害金(年6パーセント)しか,請求できない(割賦販売法6条,同29条の4,同30条の6)。

 所有権は,割賦金の全部の支払いが履行されるまで,販売業者に留保される(割賦販売法7条,同29条の4,同30条の6)。



その他

 支払方法がリボルビング式の場合,契約解除の制限は適用があるが,遅延損害金の制限は適用されなくなる(割賦販売法6条1項,同29条の4,同30条の6)。

 割賦販売法2条2項のローン提携販売で,購入者が代金支払いのために,販売業者の保証のもとに金融機関から割賦払いの約束で借り受けた金員を,販売業者が代位弁済した売主に対する求償債務の支払いを遅滞し,販売業者が,留保所有権を行使して商品を取り戻した場合,購入者が求償債務を一括して支払わなければならないときは,その求償債務の遅延損害金について,割賦販売法6条の遅延損害金の制限が準用される(最判昭51・11・4民集30-10-915〔33〕)

 割賦販売法の適用を受けない分割払いの契約である場合は,2回払いなど,割賦販売法が適用されない契約であることを明示する必要がある。その記載がなく,単に分割して支払うという記載だけであれば,割賦販売法の適用を受ける契約だと考えることになる。

 割賦販売法の手数料は附帯請求に当たらず,訴額に算入される(訴額算定に関する書記官事務の研究・改訂版・230頁)。
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