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その21

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匿名ユーザー

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彼らが止まるのには、その叫び声だけで十分だった
車が走っていても、前が行き止まりになれば当然止まる
(;'A`)「お、おい・・どうしたんだよ・・・・・長岡さん・・・・・」
まず毒男が、不安そうな声で尋ねた
すぐに、長岡から返事が来る
        叫び声で
長岡「どうしたって?あなたたちが、どうかしてるからです!!」
   「退院退院って・・浮かれてばかりで・・・・・目の見えない方や耳の聞こえない方が退院してから・・・」
   「それからが、どれだけ大変なのか、わかってるんですか!?」

―――――・・もう・・・・・止まれない・・・・・・・・
なぜだか人間は、一言どうしても伝えたいことを喋ると、止めることができない
もしかしたら、形は違うが「やっちゃった」、と言う気持ちで、開き直ってしまってるのかもしれない

長岡「たしかに内藤さんはリハビリをたくさんこなしていて・・すこしは安心できますよ?」
   「でも!自宅でも外でも、困ったときに呼べばすぐに来てくれる人、協力してくれる人は、いないんですよ!?」

止めることは出来ない、モーターのような何かが、フルスピードで回り続ける

長岡「困っていてもみんながみんな助けてくれるわけじゃないんですよ!」
   「それに、近くに何があるのか、何が接近しているかとかは、把握できないから、ほとんどいつも危険な状態・・」

そこまで言って、すこし、落ち着いた口調になる

長岡「看護師は、患者の世話をするのが仕事で、絶望させるのは仕事ではありません」
   「なので、今のは看護師としての意見ではなく、看護師をしている人間の意見だと思ってください」

病室が、また沈黙で埋まる
今の話と、長岡の言い方だ、沈黙にならないほうが、無理かもしれない
おそらく、次長岡が口を開くまで、誰も口を開けないだろう
そんなときだった

コツコツ、と言う、歩いてくる音が聞こえた
そして
やまじゅん「そんなキツク言わなくてもいいだろ?長岡くん」
やまじゅんの声がブーンの耳に聞こえた
ハッと顔を上げるが、見えるはずもない
だけど、確かにそこに、いる
長岡「先生・・」
やまじゅん「とりあえず、な、落ち着こうよみんな」
       「コレは大事な話だから内藤くんだけに・・と思ったが、君らはいつも協力してくれた『協力者』だ」

言わないのは失敗だったな、と、恥ずかしそうに笑いながら、ポリポリと頭を掻いた


('A`)「なぁ・・・」
(´・ω・`)「んー・・・・・?」
・・・・・・・・
('A`)「いや、やっぱりなんでもない・・・・・」
そう言って、毒男は持っている缶コーヒーをズズッとすする
やまじゅん先生はあのあと、2分間の休憩だ、とみんなに時間をくれた
何をするための時間なのかわからないが、僕らはここに来て缶コーヒーを飲んでいる
そして、さっきから今みたい無意味なやり取りを、無気力な声で、続けていた
(´・ω・`)「ねぇ・・・・・・」
('A`)「んー・・・?」
(´・ω・`)「やっぱり・・僕たちは甘いのかなァ・・・・・」
フゥー・・と息を吐いて、落ち着こうとした
のだが、なぜだか落ち込む
('A`)「そりゃ・・医学とかの知識がある人から見れば・・オレらは甘いんじゃないか・・・・・?」
その言葉を聞いて、さらに落ち込んだ

(´・ω・`)「僕らみたいな一般人じゃ・・ブーンのことは理解してあげられないのかな・・・・・」
('A`)「・・・・・・」

長椅子に座りながら、二人で肩を落とした


ハァ・・と、さっきからため息が聞こえる
長岡「私・・・やっちゃいましたか・・・・・?」
私の隣で、彼女はそんな事を聞いてくる
やまじゅん「さぁ・・・?どうだろうねぇ・・・・・」
すこし笑って、答えてあげた
彼女はまだ、若い
なんだか、彼女には答えを教えずに、自分で見つけてもらいたい
そんな考えが私の中にあった
そんなことを言って彼女を見ると、隣でうつむいていた
すこし・・かわいそうだな・・・・・
やまじゅん「ひとつだけ、アドバイス・・?をしようかな・・・・・」
       「この仕事で、間違いを犯さないことなんてないと思うよ・・・」
私の顔を見上げて、首を傾げてくる
やまじゅん「たとえば、治療のために・・・とはいえ刃物で人を傷付ける・・」
       「希望を持ってもらうために・・相手の不安の気持ちを殺して、相手が死ぬということに・・ウソをつかなければならない」
       「『アナタは癌じゃないですよ』とか・・コレも命に関わることだ・・・・・それなのにウソをつく・・間違ってないか?」
だからといって、開き直るのも、ダメ・・・
やまじゅん「ならば、どうするか?そこからは、自分で考る」
       「ちなみに私の場合は・・それを全て・・受け止めて生きているよ」
長岡・・・・・「ツラく・・ないんですか・・・・・?」
そうきかれ、苦笑いをして、すこし顔を反らす
やまじゅん「ツライよ・・今だって心臓が潰れそうだよ・・・・・・・・」
       「だけど、患者の方がもっとツライのに・・私たち医者の言うことを全て受け止めているから・・・・・」
間違っていても、患者のタメに全てを受け入れて進まなきゃ、と、作り笑いをしながら答えた

おそらく、上手く笑えていなかった
今だって逃げ出したいのに、また、ウソをついて自分を殺した―――――


ツン「・・・で、アンタはどうするの・・・・・?」
病室には、アタシとブーンだけが残っていた
( ^ω^)「どうするって・・退院するお」
      「っていうか、退院しなきゃ、何も進まないお」
そうよね・・、と、納得はしていても、なぜだか顔がうつむく
( ^ω^)「ツンは・・ボクが退院するのがいやなのかお?」
そんなことはない、ブンブンと頭を横に振り、ブーンを見る
相変わらず、緊張感のない顔だ・・・・・元々この顔だから仕方ないけど・・・・・・
ツン「そんなことはないわよ・・・・・ただ、アンタのこれからのことを考えると・・・心配で・・えぇええ、違う」
  「アンタが!まわりの人に、迷惑をかけることが心配なの、勘違いしないでね」
あぁ・・ダメだ、またウソをつく・・ホントは心配で仕方がないのに・・・・・
ブーンは、アタシの顔を見ながら黙っていた
そして
( ^ω^)「ボクも・・心配だし・・・・・不安だお・・・・・・・」
でも!と、急にニッコリ笑って、優しく言った
( ^ω^)「毒男やショボン、それにツンがいれば、何とかなりそうな気がするお」
それに、ツンはボクに光を分けてくれるんでしょ?と、子供のような笑顔を見せて、最後に言った
胸の奥にあった、黒い煙のようなものが、一瞬にして消えた気がした
ツン「あら?頭の悪いアンタがまだ覚えてたw」
  「その通りよ、アタシがいくらでも光を分けてあげるから、アンタは安心して生きていけばいいの」

自然と、笑えた
きちんと、自分の本音を伝えながら―――――


でも・・・・・
ショボンの言ってることは間違ってないか・・?
('A`)「・・・・・でもよぉ・・・・・・・・」
思わず、口を開いてしまう
ここで言わなかったら・・オレらはブーンのタメに何も出来ない、役立たずになる・・・
それは、いやだった
('A`)「オレらよぉ・・少なくとも一般人じゃネーよな・・・・・」
がっくりとうなだれていたショボンが、首の向きを変えオレに目を向ける
(´・ω・`)「・・・・・何がだい・・・・・・・・・・・?」
('A`)「だってそうだろ?少なくても、中学、高校と一緒だったんだぜ?」
それに関しては、医者ドモよりよっぽど知識あるだろ
と、自信満々で言ったところで、ショボンがクスリと笑ってくれた

(´・ω・`)('A`)「ブーンのことに関しては」

二人の声が、重なって、気づけば二人で笑っていた

(´・ω・`)「そうと決まれば、ブーンの病室に戻らなくちゃね」
('A`)「あぁ、コレでいいんだ、オレらはアイツのことをよく知ってる」
それだけでアイツの光になる権利はある、と、言い切ったところで
オレは恥ずかしくなって、顔をすこし薄い赤色で塗りつぶした

ショボンは、フフと笑ってきた


多分今、先生はウソをついた
困ったように笑っていたけど、多分アレは、作っている
本当に、苦しそうな笑顔だったから
長岡「先生は・・強いんですね・・・・・」
やまじゅん「そんなことないよ」
悲しい目をして、呟いた
確かに、強くはないのかもしれない
けど、今まで自分を殺してきて、全てを受け入れて
コレが強くなければ、自分は・・・・・・
けど先生は結局・・・・・
長岡「先生は・・それでも結局・・・・・・自分のこと責めてばっかで・・もう少し前向きに考えませんか?」
   「全てを受け入れながら・・受け入れた自分を責めて・・・・・」
   「結局、何も受け入れてないじゃないですか・・・・・もっと楽に考えませんか?」
   「先生だって若いんだから・・どうするかなんて・・まだ決める時間はありますよ」
あれ?でも・・
コレって開き直ってるんですかね?と、私は先生に尋ねた
なぜだか、ビックリした顔をして先生が私を見ていたけど、おそらく呆れたんだろう
ボソッと、先生の口が動いて、ニッコリ笑顔になった
長岡「え?なんですか?」
聞き取れず、聞き返した私になんでもない、とやさしく答えてくれた
やまじゅん「それじゃ、そろそろ内藤くんの病室に戻ろうか・・時間だ」
私は覚悟を決めて、ハイ、と答えた
           内藤さんの答えを聞く時がきた・・おそらく、答えは決まっている・・・・・


―――――また、助けられたなぁ・・・・・
病室へ向かう途中、やまじゅんは心の中で呟いた
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