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ITIL
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ITIL
Information Technology Infrastructure Libraryの略です。
これがそもそも何であるかは既にあちこちで語り尽くされているので、ここでは自分との関りという点から所感を書き留めておこうと思います。
これがそもそも何であるかは既にあちこちで語り尽くされているので、ここでは自分との関りという点から所感を書き留めておこうと思います。
頭の中の整理
IT技術が進み、複雑化する中で、業界に入って以来、「生涯一プログラマ」を気取ってひたすらコードをごりごり書き続けてきた自分は、いつの間にか若い頃には普通に働かせていたバランス感覚やグローバルな視野も失い、目の前の問題をいかにして解決するか、のみに心を奪われる状態が続く様になっていました。PMの勉強をした事もありましたが、PMは普段やってる作業と余りにもかけ離れた世界の事を書いているようで、今ひとつ馴染めず、それよりは小手先のデバッグTipsをひとつ覚える方がはるかにましに感じていました。
転機
こうした中で、エンドユーザに直接モノを納める仕事があり、「設計資料やテスト報告などはどうでもいいから動くモノを早く欲しい」というお客様のスタンスに、かなり戸惑ってしまいました。それまでは、自分達のお客様もまたプロで、プロ同士のやりとりしかしてこなかったので、技術的な話や開発手法上のドキュメンテーションなど、作り手の常識の中で仕事をしてきたのですが、エンドユーザはそのような事には関心はなく、ただ「安定して動くものが早く欲しい」だけなのです。
さて、これをきっかけに、私は、直接エンドユーザに対面する仕事というのは、これからの時代に避けては通れない道であると思う様になり、この方面の勉強をするために色々と調べた結果、ITILに行き当たりました。
ベストプラックティス戦略
ITILでは、ベストプラックティスという言葉がしばしば出てきます。私は、他社でうまくいっても自社でもうまくいくとは限らないのに、何故そんなものを推奨するのか、と思っていたのですが、この考えを変える事になった出来事がありました。とある本を読むと、欧米で「ベストプラックティス」が重宝がられるのは、主として以下の理由に依るという指摘がされていました。
- 既に良いものが存在し、実績があるのに別なものを発明する必要はない。
- 自社のみで頑張って、それ以上のノウハウを構築するのは困難でコストもかかる。
- 他社の多くが導入しているのであれば、自社導入により同じ土俵に立てる。
- ベストプラックティスに自社を適合させるが、自社に合わせたオプティマイズもするので差別化は出来る。
つまり、欧米企業にはベストな方法に合わせて自社も柔軟に適合させればいいじゃないか、という思いが根底にあるのです。これに対し、日本企業の多くは「自社の事情や商慣習に合わない」の理由から、こうしたものへの関心は低く、自社独自の道を模索する、という選択をしている、というのです。この種のものに対して、私は自社で使えそうな部分だけ使ったらいい、と考えていましたが、欧米の企業は、適合する(運用出来る様に自社を変える)、というのです。
「そうか、自分も変わらなければだめなんだ」
という考えに漸く至り、じゃ、まず自分を適合させてみよう、という事を目標に、ITILの学習がスタートしたのです。
目的と手段の転換
「サービスの提供」「サービス提供者としての体制づくり」という視点から、今の自分の仕事や立場を見直してみると、今まで自分が「目的」として行なってきたことは、エンドユーザの視点では、全て「手段」である事がわかっります。ソフトウエアは、エンドユーザの目的のために存在し、機能しなければなりません。そこにあるのはエンドユーザの意図であり、開発者の意図ではありません。今までの「こういうソフトなんだからこう使ってください」は「こういう使い方をしたいからこう作ってください」への転換が、そこにはあります。