村上佳菜子へ - 白い巨塔 「財前コピペ」 まとめ

村上佳菜子へ

この手紙をもって、私のフィギュアスケーターとしての最後の仕事とする。
まず、私の重度のエラージャンプを解明するために、山田コーチに解析をお願いしたい。
以下に、ジャンプについての愚見を述べる。
ジャンプを考える際、第一選択はあくまでトリプルアクセルであるという考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には私自身の場合がそうであるように、
トリプルアクセルの成功率が3割ほどでしかなく
他の3回転ジャンプのうちまともに飛べるのはフリップとループの2種だけでは
4種類6トリプル飛んでくるキム・ヨナらには到底太刀打ちできない現実がしばしば見受けられた。
その場合には、ジャンプコーチに師事しての複数種類のジャンプの習得が必要となるが、
長久保コーチをあっさりと解任したため、残念ながら満足のいく成果には至らなかった。
これからの日本女子の飛躍は、複数の3回転ジャンプの習得にかかっている。
私は、君がその一翼を担える数少ないスケーターであると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。
君には日本女子シングルの発展に挑んでもらいたい。
遠くない未来に、私のような3種類4トリプルというショボい五輪銀メダリストが、この世からなくなることを信じている。
ひいては、私のプロトコルを検証し、君のソチ五輪での金メダル獲得に向けての課題として役立てて欲しい。
屍は生ける反面教師なり。

なお、ジャンプの矯正をバンクーバー五輪後までサボり続け
今になってメディアを通して「見直し」などという曖昧な表現を繰り返すことを、心より恥じる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　浅田真央