Royal Guard

ロイヤルガード喫茶店5

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ロイヤルガード喫茶店・5


「・・・・・・・・・・」

赤く熟したリンゴを水で洗いながらゆっくりと皮をむき、包丁を入れて均等な大きさに切り分ける。
イーノさんが手伝ってくれたこともあってすでに袋の中の果物は殆ど切りまとめることができた。
あとはこのリンゴを切って皆の元へと持っていくだけなのだが・・・

「・・・何か嫌な予感がする・・・」

第六感というのであろうか・・・
それとも普段からの経験で勘が鋭くなっているのか。
まぁどちらでもいいとして僕は今皆の元へ戻ってはいけないような感覚にとらわれていた。
戻ったら大変なことになる・・・そんな声がどこからか聞こえてくる・・・

「せんせー、疑心暗鬼になりすぎだって」

僕の呟きが聞こえてたのか隣で同じようにリンゴを切っているイーノさんが笑顔を向けながらそう言ってきた。
喋りながらもリンゴを切る手は止めない・・・中々の実力・・・

「うーん・・・まぁ予感がしてもしなくても戻らなきゃならないのは確かなんですけどね」

流石にこの量の果物の山を一人で運ぶのは辛いというものだ。
大皿二枚に色取り取りの果物が山のように積まれているからね・・・
よくここまでたくさん買ってきたものだ。

「大丈夫、お酒も結構悪くないよ」

いや味云々の問題じゃなくて・・・
そもそも貴方未成年でしょうが・・・・・
何堂々と仮にも教師(?)の前でお酒の味を語ってますか・・・

「よし、終了!じゃあ持ってこうか」

そう言ってイーノさんは大皿を一枚手に持ち、皆のいる部屋に運んでいった。
・・・さて、僕も覚悟を決めていくしかないか・・・





「あ、おかへり~」

「テンさん・・・もう飲んでるんですか」

僕らがキッチンから休憩室に戻ると、すでに顔を真っ赤にしたテンさんが間延びした声で迎えてくれた。
まったく、飲むの早すぎです・・・
僕はこの匂いでもダメだっていうのに・・・

「ふぁ・・・ふいふんひっはいはね・・・」

大きな飴を頬張りながらも熱暴走さんは持ってきた果物に興味津々のようである。
てか飴を口から出して喋ってください・・・何言ってるかわかりません。

「うわ・・・随分一杯だね・・・・・これでいい?レヴィさん」

「人の心を読まないでください・・・」

相変わらず何でもありな人だ・・・
まぁいちいち気にしててもしょうがないか。

「お二人とも、お疲れ様です」

「あ、どうも」

ふんわりですのさんから差し出されたシュークリームを受け取って一口食べてみる。
・・・うん、甘さが控えめで美味しいな、このシュークリーム。

「ありがとふーちゃ」

そう言いながらイーノさんも嬉しそうにシュークリームを食べている。
ふむ・・・この様子なら僕の心配は杞憂だったかな。

「さて・・・それじゃあレヴィさんも一杯」

・・・前言撤回・・・
どうやら何があっても僕にお酒を飲ましたいらしい・・・この人たちは。
目の前に置かれたグラスにはすでにアルコールの匂いを放つ真紅の液体が注いである。

「・・・僕は飲まないって言ったでしょう」

「えー・・・」

そんな不満そうに言われても飲めないものは飲めません・・・
未成年でしかもお酒に弱い僕が何故飲まなきゃならんのですか。

「まぁまぁせんせーはお酒ダメらしいから、無理して飲ませちゃいけないよ」

そう言ってイーノさんは僕の目の前にあるグラスを回収してくれた。
その言葉に流石に熱暴走さんも諦めてくれたようで。
酒瓶を持ちながら少し残念そうに席に戻っていった。
イーノさん、感謝します。

「ちぇ・・・レヴィさんが酒飲んだらどうなるか見てみたかったんだけどな」

熱暴走さんはまだそんなことを言っていた。
僕がお酒を飲んでもただぶっ倒れるだけだというのに・・・

まぁ・・・喉が渇いているのは事実なので僕はそこにある水でも飲むとしよう。

「・・・・・あッ!?」

僕がコップに入った水を飲もうとした瞬間イーノさんがいきなり大声をあげる。
これイーノさんの持ってきた水だったのかな・・・
けどそう思ってももう遅くコップの中の水はもう口に入れてしまって・・・
そして喉に熱いものが流れて・・・・・

「・・・!ゴホ・・・!!これ・・・まさか」

お酒だったのか・・・と確認する前にもう僕の視界は180反転していた。
そして・・・

バタン!!

頭を襲う浮遊感と体を襲う衝突感・・・そして皆が何か口々に叫んでいる中で僕の意識はゆっくりと闇に消えていった。

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