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その19another~クリスマス番外~

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匿名ユーザー

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>コレは別のお話
>簡単に言うとここまでの物語の路線は同じだけど、ここから路線が1と2にわかれて、1が本編、2が番外、って風になります
>なので本編では『視力が戻った事実はない』っつーことになります




12月25日―――――――
入院して、しばらく経った

ずっとそこにいたのに、始めてそれがどんなものか、知ることができた
( ^ω^)「・・・・・・・・あれ?どこだお・・・・・ここ・・・・・・・・」
最初は、何も思わなかった
べつに普通だと思っていた
そんなわけ、なかった
すこしたって気づくと、今の状態が、異常な状態だと言うことがわかった


(;^ω^)「・・・・・・・・あれ?」

     「目が・・・・・・・見える・・・・・・・・・・・・・?」


窓の外は雪が降り、部屋の中に日が差し込んでいた

しばらく、その事実に戸惑っていた
ベッドの隣には、机があり、その上に屎尿瓶、きれいな花の入った、花瓶
頭の方には壁があり、足のほうにはベッドからすこし離れたところに大きな棚があった
(;^ω^)「え?え?なんだお?コレ・・・・・・何で・・・・・・・・・目が見えるお・・・・・・・?」
扉は、しまっている
その扉についているガラスに、人影が見えた

ガラッ、と開ける音とともに、男性が二人、女性が一人、入ってきた
みんなきちんとした格好で、すこし変わった気がするが、すぐにわかった

( ^ω^)「毒男にショボン・・・それに、ツンかお・・・・・・・・・・?」

しっかりと、三人のほうを見てブーンは言った

ツン「え?ブーン・・・・・・・?」
(;'A`)「大当たり・・・っつーか・・お前・・今しっかりこっち向いて・・・・・・・・」
(;´・ω・`)「・・え?どーしたんだい・・・・・ブーン・・・・・・?」
―――――やっぱり!コレは、見間違い・・見間違いじゃないんだ!
失明したのに、見間違いって言うのは変だな、と、ブーンは思い、クスリと笑いながら
( ^ω^)「やっぱりだお!ボクは、視力が回復したお!!!」
―――そもそも、見間違いって言葉は目が見えるから使えるわけで・・
などと、考えながら、視力が戻ったこと、
そして、また毒男とショボン、ツンの顔を見ることのできたことを喜んでいた
('A`)「ちょ・・ホントかよ!ブーン!」
(´・ω・`)「いや、ブーンはさっきはっきりとこっちを見ていったんだ!もしかしたら・・・」
二人は、今にも踊りだしそうだった
今までからでは、想像できないほど、声がはきはきとしている
それに、目が輝いていた

興奮している二人は、本当に嬉しそうだった
('A`)「お、おい、ブーン!コレは何本だ!?」
毒男が、右手の指を三本立ててブーンに向けてくる
( ^ω^)「二本・・・・・・・・」
と、言ったところで、毒男とショボンの顔が曇る
( ^ω^)「二本・・指を折っているお、立てているのは、三本だお」
そこで、また二人の顔が明るくなる
小躍りしながら、本当に戻った!と叫んでいる
その二人の様子を見ながら、ブーンは笑っていた
ふ、と、ツンに目をやると、うつむいている
ツン、と呼ぼうとしたところで、こちらに、一歩、二歩と歩いてくる

すぐに目の前まで来ると、ツンは腕を大きく振りかぶった

(;^ω^)「・・・・・・え?」

ビュンッ、と言う音とともに、ツンの手のひらがブーンの頬に、当たる
( #ω^)「はごふっ!」
頬を叩かれた音で、喜んでいた二人も静まる
(;'A`)「お、おい・・どうしたんだよ・・・・・・・」
(;´・ω・`)「そうだよ、せっかくブーンの目が治ったんだから・・・・・」
心配そうに言う二人と、混乱しているブーン

気づけば、ツンは泣いていた
ツン「あんた・・・・・今まで・・バカ・・・・・・心配・・・させんじゃないわよ・・・・・」
と、消えそうな声で言った後・・・



もう一度大きく振りかぶった

(;^ω^)「ちょ、まっ、まっ、まっ!」
ブーンが止めるのにもかまわず、ツンは腕を振り切る
( ^ω#)「モルスァ・・・・・」
バシィ、と、もう一度部屋に頬を叩いた音が、響く
それから、ニッコリと涙を流しながら笑った
ツン「おめでとう、よかったわね、目が見えるようになって」
そのあとに

そのあとに、何もつけたさない
今まで強がってきた彼女は、今、何も強がらずに自分の本心を
本当によかったと思ったから、自分のありのまま思った言葉を言った

( ^ω^)「ツン・・・・・・・・」

      「ありが・・とうだお」


('A`)「・・・・・・そんじゃとりあえずやまじゅんと長岡さんでも呼んでくるか・・・・・・」
(´・ω・`)「そうだね、治ったんなら、先生に言っておかないと」
そんじゃあ、と一言言って、開きっぱなしのドアに向かって二人は歩いていった
部屋には、ブーンと、ツンだけが残されていた
ブーンはすこし、困っていた
何かを話そう、話そうとは思っているが

ツンが泣いていて、それどころじゃなかった

軽く、ブーンがセキをしてみる
それとほぼ同時に、ツンは口を開いた

ツン「ねぇ・・?アンタって、目が見えなくなって、どう感じた・・・・・?」

――――――どう・・・感じた・・・・・・?
質問の範囲が大きすぎて、どう答えたらいいのかわからなかった
少しの間、沈黙になったあと、そうだな、と口を開く
( ^ω^)「まず・・信じられなかったお」
      「始めは・・目隠しか何かをつけられてるだけだろ、とか思ってたお、けど・・・」
      「顔に何かをつけてる感覚は、一切ないから、よくわからなくなって・・不安になって・・・・・」
だんだん、声が震えていく
徐々に、だけど、少しずつあの世界を思い出していった
( ^ω^)「周りは、何も見えないから・・最初の頃は何事に関してもかなり敏感になってたお・・・・・」
      「それから・・あ、見えなくなったんだ、って思っても・・その事実を受け入れることも出来なくて・・・・・」
一つ一つ、頭の奥にあった、今では信じられない少し前までのことを、引き出していく
少し前まで、当たり前だったことだったのに、今ではそれが信じられない
そして、一度体験したから、トンでもなくオソロシイ・・・・・
( ^ω^)「でも、そんな風に絶望してた時に、すぐに光が見えてきたお」
ブーンの顔が、パッと明るくなる

( ^ω^)「ツンが、初めて病院に来てくれた時だお」

ツンは、真剣な顔をして話を聞いていた
その顔が、一瞬にして少し間の抜けた顔になったのが、面白かったらしい
軽く、プ、とブーンが吹き出すと、すぐに殴られてしまった
ツン「ふざけないで続けなさい」
少し不機嫌な声で、ツンは座りなおしながら言った
( ^ω#)「ごめんなさいお・・・・・」
       「あの時、ボクはホントにこの世の全てが、もう絶望しか残ってないと思ったお・・」
光がなくなって、何も見ることが出来なくなって
これから見ることの出来るのは、限りない、深い闇だけ・・・
と、少しうつむき、話を続ける
( ^ω^)「でも、ツンがいてくれたから、あの時に励ましてくれたからボクはがんばれたお」
      「目が見えなくても、光を受ける方法があるって気づいたから、がんばれたお・・・」
ブーンの目は、今、しっかりとツンを捉えている

もちろん、しっかり見えている

(;^ω^)「あ、質問に答えられてなかったお・・・・・えーと、簡単に言えばすっごい怖かったお・・」
      「でも、ツンたちがいたから・・・・・あれ?さっきも言った?あれ・・?」
―――――なんだか、話してて頭の中がごっちゃになってきたな・・・
(;^ω^)「って、ツン!?何で泣いてるお!?どうしたお!」
気づけば、ツンは泣いている
しかし、かすかに、笑い声のようなものも聞き取れる
ツン「あんた・・ほんっとに頭悪いのね・・ww」
顔を上げて、ブーンに言った
笑っているが、涙も流している
目をながら、ブーンの頭をなでてきた
ツン「よくがんばったわねー・・、バカで臆病なあんたが・・・」
  「でも、それも今日で終わりでしょ?」

なんだか、頭をなでられたのが照れくさくて、一度うなづいてからうつむいていた

顔が熱くなっているのが、わかる
―――――今、顔は真っ赤なんだろうなぁ・・・
と、そんなことを考えていた時だった
やまじゅん「内藤くん!視力が戻ったって!?ホントかい!!?」
( ^ω^)「ホントですお、ちゃあんと見えますお」
息を切らして、やまじゅんと長岡が入ってきた
長岡「ウソでしょう!?じゃ、じゃあこれは何本に見える?」
信じられない、といった顔で指を二本、ブーンの顔ギリギリまで突き出してくる
(;^ω^)「ちょwwwwwあぶな、危ないお!二本、二本だお、二本!!」
長岡とやまじゅんが、顔を見合わせる
その後ろで、毒男とショボンがケタケタと笑っている
やまじゅん「まさか・・ホントにこんなことが・・・・・・」

ツン「取り込み中悪いけど・・・ちょっと、ブーンを借りてくわよ?」

ブーンの腕をひっぱりながら、ツンは言った

やまじゅん「ちょ、ちょっと待ってくれ・・・・・」
やまじゅんが呼び止める声も気にしない
ツン「あら?別に明日でもいいでしょ?検査やらなんやらは」
やまじゅん「そーゆーわけにもいかないだろう・・・」
       「私としても、内藤くんをいかせてやりたいが、医者としては、いかせるわk・・」
まだ話してる途中なのに、ツンはズンズンと進んでいく
そして
ツン「うっさい」
と一言吐き捨て、殴った
やまじゅん「モルスァ・・・・・・」
ツン「今日くらい、いいじゃない!ブーン、走るわよ!」
そういうと、ツンは駆け出した
ブーンは、みんなに申し訳なさそうな顔をして、ツンを追いかけるように、走っていった
(;'A`)「やっぱスゲェよ・・・あの女・・・・・・」
(;´・ω・`)「うん・・でも、やっぱりツンさんも嬉しいんだよ・・・・・それに、今日くらい・・ね・・・・・?」
部屋に残された三人は呆然としていた

一人、やまじゅんだけは、床にうずくまっていた


院内をすこし走って、ツンは後ろを確認した
ツン「あら?誰も追っかけてこないわね・・許可が出たってことかしらw」
(;^ω^)「・・・・・」
―――――やまじゅんを殴っておいて・・何を・・・・・・
ブーンは、呆れて何も言えなかった
( ゚∀゚)「おう、ブーンにツンさんじゃねーか、どうしたんだ?二人とも息切らして」
後ろを向くと、ジョルジュがいた
が、ブーンが顔を見るのは初めてだった
(;゚ω゚)「ジョルジュ・・・かお・・・・・・?」
声で、わかるが、一応、聞いてみる
彼がジョルジュだと、信じたくないからだった

―――――これなんてイケメン?

( ゚∀゚)「はっはっは!何言ってるんだいきなり!この声を聞けばわかるだろう!」
     「なんなら、おっぱいについて語ってやろうか?」

(;^ω^)「お前・・・イケメンだったのかお・・・・・・」
ブーンが言った言葉は、何気ない一言だったが、ジョルジュは酷く驚いていた
(;゚∀゚)「・・・・・・・え?お前・・今なんていった・・?」
(#^ω^)「そんなに自分がイケメンだって言われたことが意外かお?なんだか腹が立つお!」
(;゚∀゚)「お・・おぉおお!!!」
ジョルジュは、震えていた

気づけば、ブーンに抱きついていた

(;^ω^)「ちょwwwwww何抱きついてんだお!wwwwwwwwwwテラキモスwwwwwwwwwwwww離れるお!」
(;゚∀゚)「お前!視力が回復したんだな!?やったな!!」
ジョルジュは、ブーンの方をたたきながら、ほんとに喜んでいる

バシッと、一発、叩く音が聞こえる
( ^ω^)「モルスァ・・・・・」

ツン「何か外されててツマンナーイ」
一人、ツンはふてくされていた

( ゚∀゚)「そんじゃな、二人とも」
軽く話して、ジョルジュと別れた
ツン「ジョルジュっていい人よね、さすが長岡さんの兄よね・・ねぇ?」
(#^ω^)「ジョルジュ・・・ブツ・・・・・・イケメン・・・・・ブツブツ・・・・・・・・」
ツン「・・・・・・・」

あぁ、そうだ、と、ツンはブーンに話しかける
ツン「今日は何の日か知ってる?」
( ^ω^)「何の日?今日は何かの記念日なのかお?」
ずっと、カレンダーを見ることのできなかったブーンが、今日が何の日か、知っているはずもなかった
( ^ω^)「とりあえず・・寒いしさっき行き振ってたのが見えたから・・冬の半ばってことはわかるお・・・・・」
フフっと、意地悪そうに笑い、わからないんなら、いいやと、ツンは言った

(#^ω^)「何か・・腹立つお・・・・・・」
ツン「あら?怒ったところで何かできるのかしら?」

(;^ω^)「ご、ごめんなさいお・・・・・・・」

( ^ω^)「あ・・」
ツン「どうしたの?」
( ^ω^)「一回、ボクの部屋に戻ってもいいかお?」
あそこには、いろいろ置いてきている
と、言っても、財布は持っているし、ケータイもある
が、お金の残りも少なくなってきたので、部屋に隠してあるへそくりを持ってこようと思っているからだ
ツンは、別にかまわないといい、病院を出た

久々に歩いた街の中は、さまざまな明かりで、キレイに装飾されていた
( ^ω^)「まだ昼間なのに・・めちゃくちゃキレイだお・・・・・・」
――――そんな中を、何も飾られてない自分が、ツンみたいなこと歩いているのはなんだか惨めだなァ・・
と、心の中でこぼして、苦笑した
ツン「クリスマスだからね、夜になったら、もっとキレイよ」
ちょうど間に合って、よかったわねと、ツンは笑いながらブーンを見た

( ^ω^)「・・ツンは・・・・・」
ツン「ん?」
心なしかツンは機嫌がいい気がする
( ^ω^)「ツンは・・・せっかくのクリスマスをボクなんかとすごしていいのかお?」
街の中を、こんなのと歩いていて、恥ずかしくないのだろうか?
―――――しかもそれが、ツンなら、なおさらだろう
と、ブーンは思った
それを聞いて、ツンは顔をしかめた
ツン「何?アンタはこんなカワイイ子と歩けて、嬉しくないの?」
( ^ω^)「そんなわけないお!」
なぜだか、ムキになってしまった
ツン「じゃあいいじゃない、ほら、行くわよ」
と、サラッと言ってから、さっさと進んでいく
それにおいていかれないように、ブーンも付いていく

――――あれ?何か上手く誤魔化された・・?

ツンは鼻歌を歌いながら、先へと歩いていった

かなり長い時間歩いたはずだが、ブーンには全然時間が経ってないように思えた
ツン「着いたわね、毎回思うけど・・・やっぱボッロイアパートよね・・・・・・」
(#^ω^)「ほっとけお!」
確かに、お世辞にもキレイとはいえない建物が、ブーンたちの目の前には建っていた

もうどのくらいの間、帰ってきていないのかはわからないが、
10年以上帰ってきていないような気がする部屋のドアを開ける
懐かしくて、ブーンはすこしドキドキしていたしていた

キィ・・・

(;^ω^) ツン「臭ッ!」

ばたんっ!

すぐに、ドキドキなんてものも、懐かしいなんて気持ちも、消えうせた

ツン「ゴホッゴホッ・・・うえ・・・・・アンタ・・何あの部屋・・・・・・」
(;^ω^)「うえ・・・・・・ボクだって・・・・・知らないお・・・・・・・・・」
二人の顔は、この世の終わりを見た、と言った感じの顔だった
ツン「コレじゃ空き巣も逃げ出すわ・・・・・・」
(;^ω^)「と、とりあえずボクは中に入って取るもん取ってくるから・・ツンはここで待っててくれお」
そう、言い残し部屋に入っていった

キィ・・・

(;^ω^)「うは・・・wwwwwwwwなんだコレ・・・・・とりあえずさっさととっておさらばだお!」
すこしだけ、片付いている部屋を、奥へと歩いていく
( ^ω^)「たしか・・・・・この辺に・・・・・・・・」
ゴソゴソと、タンスの裏に手を伸ばす

カサッ、と、手が何かの紙に当たった
ブーンはそれが封筒だと確認すると、すぐに部屋から走り出て行った

ばたんっ

(;^ω^)「し、死ぬかと思ったお!!!!!なんだお!あの部屋は!!!!」

ツン「早かったわね・・・まぁ、あんな部屋に何分も入れたもんじゃないけどね・・・」
  「アンタよく今まであんなトコにいれたわね・・・・・・」
(*^ω^)「外の空気がこれほどおいしいと思ったのは初めてだお!」
もう二度とあんなところには入りたくないな・・、と思いながら、ブーンは大きく深呼吸をした

そして・・・


(;^ω^)「あ!忘れてたお!ツン!もう少しここで待っててくれお!!」

もう一度あの地獄のような部屋にようを思い出し、走って中に入っていった
ドアを開けた音とともに、ブーンの臭ッ!と叫ぶ声が、ツンの耳に聞こえて、クスリと、ツンは笑った

(#^ω^)「あー!もうなんだってこの部屋はこんな臭いんだお!!!」
さっき、風雨等を取ったタンスを開けて、何かを探していた
(;^ω^)「あれ・・・?この段じゃなかったかお・・・・・・?」

ツン「・・遅い・・・・・」
もう、五分くらい待たされている
ツン「何か・・・・・ブーンに待たされるのは・・腹が立つわ・・・・・・」
ブツブツと文句を言いながら、言われたとおりツンが待っている
―――そうだwww
ツンは、その場でうずくまった


( ^ω^)「あったお!早くしないと、ツンに殺されるお!!」

きぃ・・・

すこしして、扉が開いた
( ^ω^)「ツン!遅くなってスモォ!!」
出てきたと同時に、冷たい塊が、ブーンの顔に当たった
ツン「遅いのよ、バカ!」
雪だまを投げたツンは、顔に命中させたのにゲラゲラと笑っている
(;^ω^)「ひ、酷いお・・せっかく着替えてきたのに・・・・・」
ブーンの服装は、確かにさっきの服装とは変わっている
ツン「あら、まともな服装になったわねwwwwwww」
ブーンが、短い時間の中必死に考えてあわせたのだ

ツン「それじゃ、行きましょうか」
ツンとブーンは、さっきまでいた街に向かって歩き出した


街に着いたときには、日も沈んでた
―――――もう・・すっかりふゆだなぁ・・・・・
自分が入院したときは、雪なんか降る気配もなかったのに・・
そう、街を明るくする街灯を見ながら思った
そこらじゅう、呼び込みの人がサンタの格好や、着ぐるみを着て、道行く人に声をかけている
―――――こんな寒い中・・大変だなァ・・・・・・・
と、その様子を見てたブーンたちの元に、白い息を吐きながらサンタが一人
おっとりとした顔の青年が来た
( ・∀・)「カラオケイカガデスカー?」
ツン「死ね、行くわよ、ブーン」
(;^ω^) (;・∀・)「・・・・・・」
―――――せっかくのクリスマスにバイト・・・なのに、そのうえコレじゃ、あんまりだ
そう思ったブーンは、青年から券を二枚もらった
(;^ω^)「すいませんお・・それじゃあ!」
先へと行ってしまったツンを、走って追いかける

( ・∀・)「・・・・・」

((( ;∀;)))「コエーヨー・・・」

ツン「え?アンタ・・もらってきたの・・?券・・」
( ^ω^)「せっかくのクリスマスに、外でバイトしてるのにシカトは、かわいそうだお」
ツンに一枚差し出してニッコリと笑った
ツン「しょ、しょうがないから、もらってあげる!」
受け取った直後に、ツンは顔を反らしたからわからないが、
ツンの顔はすこし赤かった気がする
ツン「で、アンタ、コレモラッタはいいけど、カラオケに行くの・・?」
( ^ω^)「かなり近いし、ツンがいいなら、行くお」
別にねぇ・・と、小さくツンがこぼす
ツン「でも・・他に行くところもないし・・行こうかな・・・」
―――――ブーンの歌声も聞いてみたいし・・・ww
と、心の中で思い、小さくニヤケタ
( ^ω^)「そんじゃ、早く行かないと夜料金になって高くなるお」

そうなの?と、ツンが言ったときには、ブーンはもう走っていた――――――

ツン「ちょ・・待ってよ!」
意外とあっさり、ブーンは止まった
(;^ω^)「走らなくても・・すぐ目の前にあったお・・・・・」
外装は、キレイな感じで、装飾も、かなり手が込んでた
ツン「うわぁ・・キレイに装飾してるわね・・・・・」
入ってみると、意外に空いていた
( ^ω^)「うはwwww人スクナスwwwwwwwwwww」
ツン「ラッキーだったわね」
(´・ω・`)「やあ、ようこそ、カラオケバーボンハウスへ。」

受付には、見慣れた青年がいた

(;^ω^)「ちょwwwwww何でお前がいるおwwwwwwwwwwwww」
ショボンが、受付にいた
(´・ω・`)「何でって、ここでバイトしてるからさ、毒男もいるよ」
      「それじゃあ、何時間歌うか聞こうか」
別になんてことない、といった感じで話を進めていくショボン
ツン「普通ってどんくらい歌うの?」
(´・ω・`)「多分2、3時間じゃないかな?」
まぁ、そんなの覚えてられないけどね、と、笑いながら話す
ツン「じゃあ2時間でいいや」
(´・ω・`)「ちなみにサービスはできないよ、毒男、部屋まで案内お願いするよ」
('A`)「ハイハイ・・・マンドクセ・・・・・・じゃあ、お前らこっち来い・・・・・・」
奥から出てきた、制服姿の毒男を見て、思わず二人とも吹きだしてしまった
ツン ( ^ω^)「にあわねぇwwwwwwwww」
(#'A`)「・・ウッセェヨ・・・・・・・」

毒男の顔は、すこし恥ずかしそうだった

(#'A`)「お前らもう二度とくんなよ」
部屋の前まで連れてきて、別れ際に毒男が言った
ツン「今のことを店長に言ったらどうなるかしらね・・・・・」
( ^ω^)「うはwwwwwwwww夢がひろがりんぐwwwwwwwwwwwwwwwww」
(;'A`)「きた・・キタネェ・・・・・・・」
失礼しました、と、最後に言い捨てて毒男は戻っていった
部屋は、2人分にしては広くて、快適だった
ツン「さて・・・どうぞ、ブーン」
マイクが、ツンからブーンへと渡される
( ^ω^)「ボクはあとでいいお、先に、ツンが歌うおw」
ブーンからツンへと
ツン「ブーンはカラオケなんて久しぶりでしょ?やっぱり、先歌って感覚を取り戻さないと」
また、ツンからブーンへと
( ^ω^)「いや、久しぶりだから先にツンに歌って欲しいんだお」
こんなやりとりが何度も行われる

ツン「わかった!それじゃ、じゃんけんで決めましょ!」
数分、マイクの譲り合いが続いたあとに、ツンが提案した
(;^ω^)「最初からそうしたらよかったお・・・」
ツン「うるさい!それじゃ、行くわよ、最初はグー・・じゃんけん」
二人の目が、光る
( ^ω^) ツン「ぽん!」
ブーンは、コブシを強く強く、握っている
それに対するツンは・・手のひらを、大きく、開いている
ツン「やた!勝った!第三部完!!」
ぴょんぴょんと、飛び跳ねながら喜んでいる
(;^ω^)「負け・・・たお・・・・・?」
ブーンは、その場でがくっとうなだれる

(;'A`)「あいつら・・・何してんだ・・・・・・?」
その様子を、たまたま監視カメラの映像で見ていた毒男が、呟いた

ツン「そんじゃ、先よろしくねーwwwww」
リモコンと、マイクを投げ渡してくる
ブーンは、しぶしぶ番号を入力して、リクエストする
画面に、曲名が表示される

~VIP STAR~

(;^ω^)「あ、アイワブァナあljだ;:うぇfろ・・・・・」
しょっぱなから、噛んでしまった
ツンは横で大笑いしてくる
(;^ω^)「夢中なそれ、なんーてエロ~ゲ!」
ブーンは、思っていたよりも数倍




下手だった

ツン「あは、はっはっは!!wwwwwwww」
腹を抱えながら、大笑いして転げまわるツン
しかし、ブーンは気にしなかった
もう慣れていたからだ
―――――――毒男たちと同じ反応をする、ツンのときに大笑いしてやる
と、心に決めた
( ^ω^)「隠していたクオーリティーいーをぉ、キミはそぉと拾ーい上ーげーてぇ」
だんだん恥ずかしさがほぐれてきたのか、さっきよりも数段上手くなってきている
ツン「あれ?さっきより上手くなってきてるじゃない」
  「で、でも、聞ける程度のレベルだからね!?ほめてるって勘違いしないでよ!!」
この状況でも、強がる、ツン
もう、熱中しているブーンに声は聞こえていなかった

( ^ω^)「キラキラのVIP STAR 腕を広げ、魔法をかけーてあーげーよーぅ、君だけにぃーー」

そして、ブーンは歌い終わった

( ^ω^)「さて、次はツンの番だお!採点はまだかお?」
パラパラと、曲を探してたツンが、手を止めて、あ!、と何かを思い出したように叫んだ
ツン「ゴメン!採点入れるの忘れてた!!!」
(;^ω^)「ま、マジかお・・・・・」
ツンは、さっきから謝ってくる
ツン「次からは入れるから!ゴメンね・・」
別にいい、と、ブーンはツンにマイクとリモコンを渡す
( ^ω^)「次は、ツンの番だお」
手渡されたリモコンに、番号を入れてリクエストする
画面に、緑色で文字が表示される

~BASKET CASE~

この曲で、盛大に笑ってやろうとブーンは思っていた

スゥ、と、一息すって、うたい始める
ツン「ドゥーユハブぁずターイム、トゥーリッスントゥミールァ-ィ」
(;゚ω゚)「・・・・・・」
ツン「アーイあむワノブゾーズ」
めっちゃくちゃ、上手かった
―――――コレなら・・・・・・プロにいける・・
ブーンは、本気でそう思った


ツン「フゥ・・・」
(;゚ω゚)「や、ヤッバイお!ツン!めっちゃくちゃ上手いお!」
     「コレなら、本気でプロにいけるお!」
ツン「え?ホント・・?あ、べ、別にあんたにほめられても嬉しくないんだからね!」
  「でも、ありがとうね」

こんな調子で、二時間は過ぎていった―――

コンコン

ドアをノックする音が聞こえたので見てみると、毒男がいた
( ^ω^)「なんだお?」
('A`)「お客さーん、もう二時間だよー」
ツン「あれ?もうそんな時間・・仕方ない、出るわよ、ブーン」
リモコンの演奏中止ボタンを押して、ツンはボクを引っ張り出した
(;'A`)「おい・・延長・・・・・まぁ、いっか」
ツン「あ、毒男、お金、払っといてね?wwwwwww」
(;'A`)「はぁ!?何でオレが!?」
ゴン、と、何かを叩く大きな音がする
( #ω^)「モルスァ・・・・・・」
ツンのコブシが、ブーンの頭に乗っかっている
そして、さわやかな笑顔で毒男に聞き返した
ツン「え?何か言った?」
('A`)「喜んで払わせていただきます」

ツンは、上機嫌で店を出て行った
ブーンは、引きずられるように店を出て行った
毒男とショボンは、震えながら店に残った

そのあと、しばらくブーンとツンは街を回った
服や、小物を見て回ったり、CDを見たり
気づけば両手に荷物
(;^ω^)「買いすぎだお・・・」
ツン「うるさい!たまには、こーゆーことだってあるわ!」
(;^ω^)「すこしくらい、持ってくださいお・・・・・」
ツン「だが断る!」
こんな調子で、時間は過ぎていく
そんな時、ブーンの腹から間の抜けた音が鳴る
ツン「ぷww」
( ^ω^)「そういえば・・おなか空いたお・・・」

気づけば、時針が八時を回っていた


ツン「もうこんな時間だしねぇ・・・」
ツンが腕時計を見て、答える
( ^ω^)「あ、あそこの店美味そうだお!」
ブーンが指を指す方向を見てみると、イタリア料理店がある
ツン「じゃあ、あそこでいいや、おいしそうだし、近いしwwwwww」
( ^ω^)「決定だお、そんじゃ、行くお」
ブーンは、ツンの手を掴んで走っていった

ブーンに手をつかまれたことで、ツンの顔は真っ赤になっていた

カランカラン

ドアを開けると、鈴が鳴った
店内はキレイで、ツンもブーンも、中に入ってから回りを見渡している
(・∀ ・)「二名様ですか?」
と、入ってきた二人に落ち着きのない感じのウエイターが、話しかけてきた
ツン「あ、はい、そうです」
(・∀ ・)「それなら、こちらへどうぞー」
と、二人はテーブルに案内された
人は入っていたが、いくつか、空いてるテーブルがあったおかげで、すぐに座れた
メニュー票を手に取ると、ブーンもツンも、うわぁ・・とこぼした
( ^ω^)「めっちゃく茶美味そうだお!」
ツン「スゴ・・決めらんない・・・・・オススメはある?」
ツンは、ウエイターに尋ねた

そーですね・・と、すこし悩んでから
(・∀ ・)「当店はパスタがオススメですよー、女性の方に人気もありますしー」
じゃあ、それ、と、説明されてすぐにツンは注文した
( ^ω^)「じゃあ、ボクにオススメはあるかお?」
(・∀ ・)「ねぇ、アナタってデブでしょ?」
ブーンの方を向いて、ウエイターは言う
(;^ω^)「え・・・?」
ヽ(・∀ ・)ノ「ピザでも食ってろよー」
ウエイターは手を振りながらブーンに言った
ツンは、笑いをこらえている
(;^ω^)「じゃ、じゃあそれで・・・・・」
態度の変わりっぷりに、ブーンは戸惑っていた
(・∀ ・)「わかりましたー、それでは、お待ちください」
そういうと、ウエイターは奥へと進んでいった

(#^ω^)「な!何だお!アイツ!!」
あまりの接客態度の悪さに、ブーンは腹を立てている
それに対して、ツンは腹を抱えて笑っていた
(#^ω^)「笑いごとじゃないお!」
ツン「あはっははっはははははwwwwwww」
言っても、と舞える気配はない
そのとき、テーブルにさっきのウエイターが来る
(・∀ ・)「娼婦風パスタです」
コト、と、ツンの前に置く
パスタの上に赤いトマトソースがかけられ、その上に、チョコンとパセリが置いてある
ツン「うわァ・・・・・」
ツンの目は輝いていた
そして、ブーンの目の前にも、ピザが置かれる
(・∀ ・)「ピザでも食ってろデブ、それではごゆっくり」
また、奥に向かっていく
(;^ω^)「・・・・・・・」

ツンは、今度は笑わなかった
    パスタに意識が行っていたからだ

(#^ω^)「やっぱあの店員腹立つお!あとで絶対苦情入れてやるお!!」
二度も、あんな態度を取られ、ブーンは顔を真っ赤にしていた
ツン「いいじゃない、ほんとのことなんだし」
  「それよりも早く食べましょ」
どうでもいい、といった感じで、いただきますと言うツン
(#^ω^)「ツンにまで言われたお!もういいお!いただきます!」
腹を立てたまま、ブーンは一切れ口に持っていく
ツンは、さっき一口パスタを入れたきり、口をもぐもぐと動かしながら、パスタヲ見つめて、黙っている
ブーンも、今は黙ってピザを見つめている
そして、二人とも顔を見合わせて、一言

ツン「スゴイおいしい!!!」
( ^ω^)「テラウマス!!!!!!」

二人は、笑いあった

( ^ω^)「こんな美味いピザ初めて食ったお!」
ツン「アタシもこんなおいしいパスタ初めて食べた!」
ツンは、今までに見たこともないような笑顔だった

すこし話しながら、料理を食べてると、さっきのウエイターがやってきた
(・∀ ・)「本日はクリスマスと言うことで、店側からワインのサービスを・・」
と、グラスと、ワインを持ってきた
( ^ω^)「気がきくおwwwwwww」
グラスに、ワインを注いでいく
ツン「うわぁ・・・、すごいキレー・・・・・・」
赤色に、天井のライトが透き通ってみえ、とてもキレイだった
(・∀ ・)「このワインはうんとかかんとか」
ウエイターは、ワインの説明をした
それ聞いて、ツンは感心していたが、ブーンは興味がない様子だった

(・∀ ・)「それじゃあ、ごゆっくり」
再び、彼は奥へと入っていった
ツン「それじゃ、乾杯しない?」
( ^ω^)「?何に対してだお?」
グラスを手渡されながら、ブーンは尋ねた
ツン「アンタの目が治ったことに関して!」
  「あ、別にしなくてもいいんだけどね!?でも、・・せっかくだし?」
顔を赤くして、ツンは誤魔化す
( ^ω^)「それもそうだお、それじゃ、ボクの視力回復を祝って」

乾杯、と言う声とともに、グラス同士の当たる、カン、という音が鳴る

時針は、もうすぐ十時を指す

顔がすこし、赤いまま二人は店を出た
おそらく、ワインのせいだろう
(;^ω^)「うはwwwwwwwwテラサムスwwwwwwwwwwwwww」
ツン「ホント・・・・・あ、雪降ってきた・・」
落ちてくる雪は、街の明かりに照らされて、キレイなオレンジ色や青色、緑色などになって落ちてくる
( ^ω^)「すごいお・・・・・・・」
ツン「ホントにキレイ・・・・・・・」
このとき、ブーンはある決意をしていた

( ^ω^)「ツン、すこし歩かないかお?」

二人は、雪の降ってる街を歩いた
積もっている、と言うほどでもないが、歩くたびに、雪の感触を足に感じる
どんどんどんどん、進んでいくと、人影があまり見えなくなっていく
街から、少しずつだが離れようとしているのだ
ブーンと話しているからか、ツンは気づいてない様子だった

気づけば、二人は人通りの少ないところを歩いていた
ツン「その辺の公園もや家も・・きれいに装飾されているわね・・・・・」
( ^ω^)「ホントダオ・・」
すこし、ブーンが緊張しているのが声からわかる
ツン「どうしたの?ブーン、どっか調子悪いの?」
心配そうにブーンの顔を覗き込みながら、ツンは、べ、別に心配してるわけじゃないんだからね!と、顔を赤くした
――――――言うなら・・今しかない・・・・・
ブーンは、覚悟を決めた

時間は、十一時五十分、あと少しで、クリスマスは終わる・・・

( ^ω^)「大丈夫・・・だお!」
と、笑って、ツンに見せた
( ^ω^)「ちょっと疲れたから・・そこのベンチで休んでいいかお?」
ツン「しょうがないわね・・あ、でも、アンタのためじゃないわよ?」
  「アタシも疲れてるから、ちょうどよかったのよ?」
と、急いで付け足す

二人は、ベンチにすう割りながら、降ってくる雪を見ていた
ツン「スッゴォー・・・コレ・・積もりそう・・・・・・」
( ^ω^)「多分、つもるお」
できる限り冷静でいようとしているブーンだが、その心臓はバクバク言っている

ブーンはとうとう覚悟を決めて、立ち上がった

時間は、十一時五十五分―――――

いきなり立ち上がったブーンを見上げて、ツンはきょとんとした
( ^ω^)「ツンに、ちょっと聞いてもらいたい話があるんだお」
      「そのまま、座ったままでいいお」
大きく深呼吸をして、ブーンは話し始めた
( ^ω^)「ボクは、目が見えなくなってからも、その前からも、ツンに本当にお世話になってきたお」
      「特に、目が見えなくなって、ツンが励ましてくれたから、今まで頑張れたと思ってるお」
ツンの顔が、赤くなり、すこしうつむく
( ^ω^)「何度も何度も、光のない世界にいたときに、ツンは手を差し伸べてくれてたお」
      「だから、どんなリハビリだってこなして、強くなろうって、思えてたお」
緊張からか、ブーンのノドが渇いていき、何度もつばを飲み込むのがわかる
足も、ガクガク震えている
―――――頑張らなきゃ・・、頭もすこし、くらくらしてきたな・・・・・
もう一度つばを飲み込み、また、話始める

( ^ω^)「それで、頑張って今まで来れた・・・・・今までたくさん光をもらったから・・・・・」
      「でも・・・・・今日でそれも終わりだお・・・・・」
      「頑張って、これから今まで受けてきた光を・・・・・ツンに返そうと思ってるお・・・・・・」
それで、聞いて欲しい、と、一呼吸置いて話そうとした

とき

( ^ω^)「それを、返すために言うお・・・」


      「ボクは、ツンのことが・・・・・あ・・・・・・・・?」

頭の中が、ぐるンと回る
震えていた足が、ふらふらと動き出す
目の前がぐるぐると回る

―――――――・・・・・・・・え?

時計は、十一時五十八分、クリスマス終了まで、あと二分・・・・・・・


ドサ

と、大きな音を立て、ツンの目の前で人が、倒れる
ツン「ブーン!?ブーン!!しっかり!!!」

―――――何・・・?コレ・・・・・・

頭の中が、ぐらぐら、ぐらぐらと揺れている感覚が、ブーンを襲う
足への、感覚は、ない
目の前は、ぐるぐると回り続ける
耳から聞こえてくる音は、エコーして聞こえる
―――――こわ・・恐い恐い・・・・・恐い恐い恐い恐い恐い・・何コレ・・・・・・・・・・・
ツン「ブーン!待ってて!今、病院に電話したわ!!しっかりして!お願い!」
―――――ツン・・・何か叫んでいるのに・・・・・・・聞こえない・・・・・・・・・・
だんだん、目の前が暗くなっていく


                  目が見えない、   あ       の感 覚      に   似て  い    る


ブーンの頬に何か、温かいような、冷たいような、ぬるい雫が当たる

そのまま、ブーンは目を閉じた

意識も、途切れる

時間は、ジャスト、00:00

クリスマスが、終了した


闇の中に、人が二人

――――・・誰・・・・・・?

意識が途切れたはずなのに、闇の中、一人の人間がブーンの前に立っていた
( ゚д゚ )「おう、ブーン」
(;^ω^)「だ、誰だお?アンタ・・・、それより、ツン!!ツンは!!?」
回りをきょろきょろと見渡すが、一人、この男以外は闇しか見えない
( ゚д゚ )「ツンは、今お前をつれて病院に向かっているよ、大丈夫だ、お前は死んでない」
     「それより、今日はどうだったんだい?」
それを聞いて、安心した
――――――知らない人間といるのに、安心すると言うのは・・おかしなことかな・・・・・・?
と、思ったが、なぜかその男を信用することができた
( ^ω^)「今日は・・楽しかったお・・・・・でも・・・・・・・」
ブーンは、うつむいて首を振る
(  ω )「ツンには・・・・・・何も伝えることができなかったお・・・・・・・・・・・」

こぶしを強く握り、ブーンはうつむき震えていた

( ゚д゚ )「・・・そうか・・・・・・」
でも、と、ブーンの方を叩く
( ゚д゚ )「いつも怯えてる、弱いお前があそこまで勇気を出せたんだ」
     「それだけで、相手に気持ちを伝えることはできたと思うぞ?」
ニッコリと、ブーンに笑いかけた
闇に隠れていて、わからないが、ブーンの足元には水滴のあとがあった
( ゚д゚ )「さて、オレも行かなきゃな・・・・・クリスマスが終わったのにここにいるのも変だしなwwwwww」
笑いながら、後ろに歩いていこうとする
( ^ω^)「あ、あの!」
      「アナタは、誰なんですかお・・・・・・?前にもあった気がするんですが・・・」
んー?と、振り返りながらブーンに答えた
( ゚д゚ )「なんだ、お前自己紹介もしたのに忘れたのかwwwwwwww」
     「まぁ、いいや、よーく考えてみろ・・・・・25日になってすぐに、ここで一度あっているから・・・・・」
それだけ言って、また奥へと、歩き始めた・・・・・・

男が見えなくなって、ブーンの意識がまた、途切れる

12月26日―――――――
目が覚めると、寝なれた感触が、ブーンを覆っていた
( ^ω^)「夢・・・・・かお・・・・・・・・・?」
寝なれた感触
見慣れた、闇

――――――ここは、病院だ

それを理解すると、冷静に、さっきの夢を思い出していた
―――――夢にしては・・リアルだったな・・・・・・
クス、と笑い、そう思った

―――――そういえば・・さっきの男は・・・・・・なんだったんだろう・・・?
さっき夢に出てきた男を思い出していた
確かに、見覚えはある、のに、誰かは思い出せない

―――――――( ゚д゚ )「なんだ、お前自己紹介もしたのに忘れたのかwwwwwwww」

( ^ω^)「自己紹介・・・・・した・・・・・・・・?」

―――――――( ゚д゚ )「まぁ、いいや、よーく考えてみろ・・・・・25日になってすぐに、ここで一度あっているから・・・・・」

ガラ、と言うドアが開く音が聞こえる
そのすぐあとに、聞きなれた大きな声が
ツン「ブーン!?ブーン!!よかった!!よかっ・・た・・・・・・」
( ^ω^)「ツン?」
ツンから、すすり泣く声が聞こえる
ベッドから降りて、ツンから全てを聞いた

―――――――やっぱり・・夢じゃなかった・・・・・
ツンは、泣き疲れて寝てしまった
ベッドにツンを寝かせ、ブーンは、さっきの男のことを思い出そうとしていた
――――――( ゚д゚ )「クリスマスが終わったのにここにいるのも変だしなwwwwww」

あ、と、ブーンは間の抜けた声を出し、笑い声を出した

――――――もう、すっかり存在なんて信じてなかったのに・・いまさら・・・・・

なぜだかおかしくて、笑いが止まらない
―――――そうだ・・アンタは・・・・・・

12月25日になってすぐ―――――――
ブーンは、あの場所で男に会っていた
彼は、赤い服を着ていて、ブーンの目の前に現れた
そして・・

( ゚д゚ )「お前に、今日だけ欲しいものをやるけど・・何かある?」

と、いきなりブーンに問いかけた
(;^ω^)「な・・だれだお・・・・・・アンタ・・・・・・」
困惑して、質問するブーンに、笑いながら答えた
( ゚д゚ )「オレはいろんなヤツからコッチミンナって言われてるけど、本名はちげーぞ?」
     「一応、サンタだ、で、お前の欲しいものは?」
普通なら、ありえない話だと、信じないだろう、が、なぜかブーンには彼を信じることができた
そして、一つだけ、お願いをした

( ^ω^)「・・・・・毒男や・・ショボン・・・・・、ツンの顔を見たいお・・・・・・」

笑いながら、おkwwwwwwと、サンタは答えた

そして、一日『だけ』、彼に『視力』を『プレゼント』してあげた・・・―――――――――



クリスマス番外 ~終~


                                                           ( ゚д゚ ) ・・・・・・・・・・・
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