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その3

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匿名ユーザー

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―――自分が失明したと知ってから、一日が経った
朝起きてから先生の所へ行き、まずお金うんぬんのことをやった
やはり手術、と言うか、診断のようなものをしたらしく、お金がかなりかかるらしい
この話が本当に面倒くさかった
それから身体障害者手帳をもらうために、先生からまず受診書をもらった
受診書はさっきの診断のようなものをした時点で作ることが決定していたので、すぐに終わった
それから、診断書を作り始めた
診断書は先生が質問、ボクが答え、長岡さんが書く
といった流れだった
写真も、すぐに撮った

――先生が言っていたほど、面倒くさくなかったな
と、ブーンは終わってから思った
これからリハビリが始まるらしい
受けるリハビリは
・感覚訓練 ・点字指導 ・盲人用具の使用方法 ・歩行訓練 ・日常生活動作訓練 ・生活援護についての助言指導
らしい
それを聞いた時ブーンは
(;^ω^)「気が遠くなりそうだお・・・」
と、かすかにつぶやいた

とりあえず、リハビリの説明は明日受けることにし、ブーンは部屋に戻ろうとした
長岡さんに車椅子を押してもらい、部屋に戻っている途中

??「おう・・・ブーン・・・・」

男性の、酷く申し訳なさそうな声が聞こえた

ただ、この声は知っている

( ^ω^)「毒男・・・かお?」

('A`)「あぁ・・そうだ、オレだ・・・それと、ショボンもいる」
お世辞にも、カッコいいとは言えない顔の男
と、その後ろに、情けない顔をした男がいた
(´・ω・`)「やぁ、ブーン。調子はどうだい?」
久しぶりに友人を見た気がする
そのせいか、ブーンはとても喜んでいるように見える

( ^ω^)「二人とも!久しぶりだお!!」

いや、見えるのではなく、喜んでいた

長岡「あら?知り合い?とりあえずもう部屋はすぐそこだから」
   「話すなら、部屋の中でゆっくりねw」
そう言って、少し早めに部屋まで運び
ブーンをベッドに寝かせた
ブーンは長岡にペコリと頭を一つ下げると
長岡はいえいえwとくすりと笑って出て行った
(´・ω・`)「元気そうだね」
これだけ元気なのは、この二人がきたおかげだろう
( ^ω^)「二人とも久しぶりだからだおwwwww」
ブーンは、笑いながら嬉しそうに言った

しかし、二人の顔が見ることができなくて少々残念そうだった

('A`)「あのよぉ・・・ブーン・・・・その、ほんとに・・・・」
   「ゴメンな・・あの時、もっとしっかりしてれば・・・・・」

毒男は、心底申し訳なさそうに言った

その言葉を聞いてブーンは不思議そうな顔をしながら
毒男の予想もしていなかったことを言った

(;^ω^)「・・・ん?なんのことだお・・?」

その言葉を聞き、毒男はキョトンと
ショボンはクスッとした
('A`)「なんのことって・・そりゃねーだろうよ・・こないだの・・お前が怪我した日のことだ・・・」
   「オレがあと少しでも・・・しっかりしてれば・・こんなことにならなかったかも知れないのに・・・・」
あぁ、なんだ。と、軽く納得した顔になったブーンは毒男に
( ^ω^)「毒男が何か悪いことしたかお?これはボクが声に反応したときに」
     「ボクが鈍いからボールがあたってしまったんだお、コレはボクの不注意のせいだお」
と、言った
('A`)「な・・・」
ほんとに不思議そうな顔になった毒男
それに対し、ショボンは予想通り、とでもいった感じで毒男に笑いながら言った

(´・ω・`)「ね?言ったでしょう?ブーンが君のことを嫌うなんて考えられないよ」

( ^ω^)「ショボンの言うとおりだお」
     「それに、本当に今回のことは、お前は何も悪くないお」
だから気にするなw、と、笑いながら毒男に言った
ブーンの視線の先にいるであろう毒男は少し泣いていた
(;A;)「うう・・・うあ・・・・ありが、ありがとうよ・・・・」
   「ほんとに・・・・よか・・った、お前に嫌われたら・・オレ・・・オレ・・・・」
と、言い、ワッと声を上げて泣き始めた
(´・ω・`)「そんなわけ、ブーンに限って、あるわけないじゃないかw」
      「でも、よかったね毒男。それと、ブーン、君はほんとにやさしくて強い人間だよ」
ブーンを見るショボンの目には、尊敬の念が少し含まれていた
( ^ω^)「そんなこと言われると照れるおwwwwwww」
     「でも、毒男、もっとボクのことを信じてくれお」
少し笑いながら、毒男にやさしく

( ^ω^)「ボクはお前のことを恨むようなヤツじゃないお」

その言葉を聞いて毒男はさらに泣いた、ショボンの目も少し潤んでいた

ちょうどそのころ、ブーンの部屋と壁一枚向こうの廊下
一人の女性が立っていた
ツン「・・・・・・少し来るのが遅れたかな・・・」
りんごが数個入ったかばんを持ちながら、ツンは言った
ツン「邪魔しちゃダメだし・・今日は帰ろうかな、せっかくりんご持ってきてあげたのに」
  「明日、お見舞いに来たら殴ってやるw」
と、軽く笑った
そしてツンが帰ろうと動いた、そのとき
長岡「あら?内藤さんのお友達?」
ツンの後ろから声がした
振り返ると、すぐそこに長岡がいた

ツンは長岡を見て、ただの看護師としか思わなかった
しかし、長岡はツンを見てすぐにわかった

あぁ、この人かw、と

長岡「あぁ、アナタが・・・w」
と、思わずつぶやいてしまった
ツン「え?」
長岡「あ、ごめんなさい。こっちの話よw」
笑いながら、ツンに適当に言い訳をした
長岡「私は内藤さんの担当医の、長岡よ。アナタのことは内藤さんから聞いたわw」
最初、ツンは何の話かわからなかった
しかし、すぐに理解し、顔を真っ赤にさせた
―ああああ、アイツまさか変なこと言ってないでしょうね!!?
ツン「あ、はぁ・・ははw恥ずかしいですね・・・w」
と、平静を装っていたがツンは内心かなり焦っていた
不意に長岡の顔が真顔になりる

長岡「アナタは、とても幸せな人ね」

今彼女は自分の耳が信じられなかった
――今なんて?
確かに、とても幸せな人だと言った
長岡「あんなに人のこと大切に思う人に、大切に思われているんだもの」
   「幸せじゃないわけがないわ」
ニッコリと、そして羨む感じで、ツンに笑顔を向けた
ツン「・・・・」
ツンはどう反応したらいいかわからなかった
しばらく間が開き
ツン「ありがとう、でも、アイツと少しでも関わりをもったなら、アナタも幸せよ」
いつもの照れ隠しは見せずに、ツンは正直な気持ちで話した
ツン「この世にはあの人がいいバカと会えない人の方がたくさんいる中で」
  「会うことができた、それも、十分幸せなことよ」
ツンもニッコリと笑い返した
そして、それじゃあ、と、帰ろうとした

長岡「あら、まだあってもいないのに帰るの?」
と、意外そうにいった
ツン「あんなうるさい中に入る気にはならないわwwwww」
確かに、中からは毒男の泣き声が聞こえた
長岡「なるほどねwあ、そのりんご渡しといてあげようか?」
その長岡の申し出を、ツンは丁寧に断り、病院をあとにした

長岡「やっぱり、明るくて、とても幸せそうな人・・・」
クスッと笑い、長岡はつぶやいた

長岡「まるで太陽みたいな人ねw」

しばらくして毒男は少し落ち着いた
('A`)「ありがとうよ、ブーン。オレがバカだったよ・・」
その言葉にたいしてブーンは
( ^ω^)「そんなことはずっと前から知ってるおwwwwwww」
と、冗談を言い、三人で笑いあっていた

(´・ω・`)「それじゃあ、僕たちそろそろ帰るね」
( ^ω^)「わかったおwwwww気をつけて帰れお」
('A`)「さっさとリハビリとか終わらせて出てこいよ」
( ^ω^)「すぐ出て行くから待っててくれお」
それじゃあ、と、二人は出て行った
たった二人、二人いなくなっただけなのに
一気に十人くらい出て行ったような、寂しい気分になった
失明する前は、VIPに行って馴れ合っていたが、今はそれもできない


( ^ω^)「すぐに・・・退院してやるお・・・・ツン、ショボン、毒男・・・」

ブーンは二人が帰って、夜にずっと考え込んでいた

自分がこれから生きていく世界は、決して楽な世界ではないこと

たくさんの人に、これまで以上に迷惑をかけてしまうかも知れないこと

たくさんの人を、コレまで以上に傷付けてしまうかも知れないこと

自分のまわりの人と、自分の壁のこと

これから生きていく世界への不安のこと

家族のこと

親友二人のこと

そして、ツンのこと――――

考えていたって仕方ない
考えたからと言って、この怪我が、治るわけではない
それはわかっていた
考えたからと言って、これらの不安がなくなるわけではない
それもわかっていた
――――けど、けど考えることで、不安を少しは和らげることはできるはず

そう、自分をほんの少し、騙すために考えていた

と、言うと、あまり聞こえはよくないが、頭の悪い彼が、
彼なりに精一杯考えた、今できる最良のことだった

やさしすぎる、と言うほどやさしい彼にとって、
これからたくさんの人に、それも今まで以上に迷惑をかけるかも知れないと言うことは、
耐えるには辛すぎることだった

ましてや、その中で一番迷惑をかけるかも知れないのは
自分にとってとても大切な人だ

だから例え気休め程度でも、
そのことを考えていると楽だったのだろう

( ^ω^)「・・・・・。」
かなり、長い時間が経っていた
自分でもびっくりするほど、時間が経っていた
それほど考えていたのに、
その考えを一気に打ち消すほどの出来事が起こった
それは、ごく一般的なことだった

(;^ω^)「しょ・・・小便がしたいお・・・・」
ブーンは、ナースコールをしようと、ブザーのボタンに手をかけた
・・が、なぜかすぐにその手を離し、手をゆっくり動かし始めた
屎尿瓶を探し始めたのだ
そこで、瓶を落としてしまわぬように、ゆっくりと動かしたのだった

カンッ

爪と、ガラスがあたったときの、高い音が鳴った

――  なぜ、彼は急に自分で尿をしようと考えたのか?
それも、彼にとっては気休めの一つにすぎなかった

―――自分一人で小便もできないと、たくさんの人に迷惑をかけることになるかも知れない

――だけど、コレで一人ですることができたら、すこしかも知れないが、

―迷惑をかけるかも知れない人を、減らせるかも

そう、彼は思ったのだ

実際に、彼の今の行動は立派なリハビリの一つだ
触覚という、視覚の次に大事な感覚を育てるリハビリになっていた   ―――

彼は、爪とガラスの当たった音に反応し、すぐにそれを触った
確かに、ガラスの物だ
そして、取っ手を両手で探し始めた

( ^ω^)「・・・いや、取っ手を探すよりも、下から持ち上げた方が安全かも知れないお・・・・」
そう思い、下から両手で持ち上げた
床に瓶を置き、ぺたぺたとさわり、探し当てたふたを開け、自分のアレを出した
絶対にこぼれないように、と、必死に考えながら
小便をし始めた

――ジョロ、ジョロ、ジョロロロロロロ・・・・・

( ^ω^)「うはwwwwアバ茶の完成だおwwwwっうぇwwwwww」

すっきりとした顔で、そんな冗談を言った

うっかり溢してしまわないように
さっきよりも丁寧に、慎重に持ち上げ、テーブルに置いた

確かに気休めは気休めだが、ブーンの顔は達成感とすっきり感で幸せそうだった

気づいたらブーンは眠っていた
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