⊂二二二(  ^ω^)二⊃ブーン小説まとめサイト

その1

最終更新:

匿名ユーザー

- view
管理者のみ編集可
チュン・・・チュン・・・・
スズメが鳴き、空はキレイな青で、とてもいい天気だった
( ^ω^)「うーん・・・すばらしい寝起きだお!」
だが、おそらくブーンがこの天気を見ることはないだろう
( ^ω^)「今日はすばらしいことが起きそうだ・・・・お?」
代わりに、ブーンはこの時ある異変に気づいた
とても大きな異変に

(;^ω^)「ん・・?あれ・・・?あれ!?」

ショックで気が遠くなってしまいそうになる異変



(;^ω^)「あれ!?・・・何も・・・・・見えないお・・・・・・・・?」

最初はただの停電かと、ブーンは思った
が、今は夜ではないことには気づいていた
おそらく、スズメの鳴き声で気づいたのだろう
そして、隣から聞こえる音にさらにブーンは混乱した

ガラッ

と、ドアの開く音と同時に、部屋の中に聞き覚えのある、若い女性の驚いたような声が響いた
??「・・・!! ブーン!?ブーン!?大丈夫!??」
おそらく一番聞き覚えがあり、親しい声

( ^ω^)「ツンかお・・・・?」
ツン「よかった!意識が戻ったのね!?」
ブーンは状況が飲み込めないでいた
なぜなら声しか聞こえず、目で見えるのは真っ暗な、深い闇だけだったからだ
( ^ω^)「ここは・・・?」
よく考えてみると、布団も枕も、自分の物ではない
見えなくてもそれくらいは感触でわかった
ツン「ここは・・って病院よ?病院、ホスピタル。」
一息つき、バカにした、しかし楽しそうな声で
ツン「ひょっとしてショックでそんなこともわからなくなったの?w」
と、笑いながら少し強気な発言をした

( ^ω^)「病院・・・・?」
ブーンは少し理解した
だが、信じたくはなかったのでこう付け足した
この後自分を不幸のどん底に突き落とされることを心の奥で怯えながら
( ^ω^)「ツン・・・・悪いけど部屋が暗くて何も見えないお」
ツンは「え?」と、大きな目をさらに大きくして、驚いた顔をした
( ^ω^)「電気をつけてくれないかお?」
この時ツンは自分をバカにしていると思ったのだろう
少し不機嫌な顔になり一回軽く、ブーンを殴った
(;^ω^)「ちょwwwwwww何怒ってるお?wwwwwwwwwwww」
本気で言った、と言うことがブーンの顔からわかったのだろう
ツンは振り上げていた手を下ろし
ツン「電気はついてるし・・・それにこの天気なら電気をつけなくてもいいと思うけど?w」
と、笑いながら言った

( ^ω^)「・・・・・・え?」

ブーンの子供のような無邪気な顔が、不安と恐怖と、少しの絶望で歪んだ
(;^ω^)「電気は・・・・ついてるのかお・・・・・・?」
歪んだ顔のブーンを見て、ツンは不思議そうに

ツン「そうよ、って言うか、言わなくてもわかるじゃない?」

この時ブーンの目が見えていれば、ツンの顔も、少し不安で歪んでいるのがわかっただろう
(;^ω^)「とりあえず・・・なんでボクがここにいるのか教えてくれお・・・」
ブーンはもう理解していた、が、それを信じたくはないので話をそらした
ツンも同じ気持ちだったのだろう
とりあえず、ツンは質問に答えて現実を少しずつ見ようとした
ツン「そー言えば言ってなかったわね・・・・あんたは昨日、毒男と歩いていた時の話ね」
ゆっくりと、聞き取りやすいようにツンは話していった
ツン「川原の上を歩いていたあんたたちの後ろの方のグラウンドで、野球をしていたのを覚えている?」

ブーンは、今の話をゆっくりとかみ締めるようにうなづいた

ツン「その後ろのグラウンドでは試合が終盤の大詰め、バッター側は強力な代打を出したわ」

 「そしてツーストライクのツーボール、神様はバッター側に救いの手を差し伸べた」

ツンは少しの怒りを含んだ、呆れた口調で話した
ツン「ど真ん中に、すごく甘いボールがキャッチャーミットをめがけて飛んできた」
 「当然そんな球に手を出さないはずがない、それがお人よしのあんたでも手を出すだろうってくらい、甘い球に」
ブーンはその話を、少しも、それが一言でも一文字でも聞き逃さないように聞いていた
こぶしを握る手を含め、全身に冷や汗を掻いていた
ツン「バッターは豪快にフルスイング、そのせいで少し振り遅れたんでしょうね」
ここでひとつ、ため息をついてツンは話した
ツン「その球はあんたたちをめがけて飛んできた。当然、みんなは危ないと言ったわ」
 「その言葉に反応したせいで、鈍いあんたはかわすことが出来なくて右の目に直撃。そのまま倒れた」
(;^ω^)「・・・・・・・・。」
ブーンは凍りついた、もともと凍っていたがさらに堅く
ツン「それからこれは、多分何億分の1くらいの確立じゃないかしら・・・・」


わずかに、だが、ツンの肩は震えていた
しかし、その姿が見えないはずのブーンは気づいていた
直感、と言うものなのか、わずかな声の震えに気づいたのだろうか
ツン「あんたは倒れぬようにふんばったんでしょうけど、けどそれがマイナスになった」
 「そこであんたは意識が途切れたんだと思うわ、前の方に倒れて、左の目を強打」
ブーンの体に電撃に似た感覚が走った
―――あぁ、なるほど。そのとき。そのときだ・・・・。
ここでツンは絶望的な一言を吐き捨てる。と、ともに声をあげて泣いていた
ツン「あん・・たは、・・うっ・・・・その時に・・で、しょうね・・・・・ひっ・・・」


 「両・・目・・・・から、ひっ、ひぐ・・・・光が奪われたのは」


ブーンの中で、『視覚』と言う感覚が音も立てずに崩れたのを実感した

( ^ω^)「・・・・・・・・。」
あの後しばらく二人とも黙り込んでいた
ツンはしばらく泣いていた
ブーンは呆然としていた
理解していたことだった
が、改めてその現実を突きつけられると自分が絶望の淵に立っている錯覚に陥る

いや、光のない世界など絶望なのかも知れない

だが実際に生きている世界には光が満ち溢れている

なぜ自分の目にその光は届かないのだろう

そんなことがブーンの頭の中を駆け巡っていた

ツン「・・・・それじゃ、あたし帰るわね・・・・・・・」
真っ赤になった目をしながら、申し訳なさそうに無理やり笑っていった
( ^ω^)「うん・・わかったお、気をつけて帰るお」
ブーンは声のする方を向き、そういった

ツン「・・・あんたはまだ大丈夫よ」

なだめるように、やわらかくツンはブーンに言った
ツン「あんたの目は光を受けることは出来ないわ・・・」
 「けどあんたはその体いっぱいに使って体に光を受けることが出来るじゃない」
ブーンは目を大きく開きツンを見た
その目がツンのことを捉えたわけではない、いや、捉えることは出来ない
しかし、ブーンの頭の中では確実にツンを捉えていた
ツン「だからさぁ・・この世から光がなくなったみたいな顔をしないで」
 「もしも・・・それでも不安ならあたしが受けた光をあんたにあげるわ」
と、ここまで話して急にツンの顔が真っ赤になり、慌てながら
ツン「べ、べ、べ、別にあんたのためじゃないんだからね!?」
 「ただいつまでもあんたがそのしょぼくれた顔してたらこっちも気が滅入るって言うか」
 「心配するっていうか・・じゃなくてfjだいおhふじfこあjfwぽあw」
( ^ω^)「・・・・・・wwwwwww」
ブーンは慌てるツンの様子を、見えなくても理解し少し笑った
そしてとてつもない殺気に襲われ、震えた

(;^ω^)「うあ・・・うああうあうあhふぃおあjうじkをさおjふぃお・・・」

ツン「それじゃあたし帰るから」

ピシャッ

と、ドアを閉めて出ていった
帰り際に一度ブーンを殴って・・
( ^ω^)「・・・・wwwww」
ブーンは殴られた腹をさすりながら考えていた
おそらくツンはこれからブーンの目の代わりをしてくれるのだろう
ブーンはしばらくツンに迷惑をかけることを考えていた
―――――でも、ツンが一緒なら
――――ツンがそばにいてくれるんなら
―――暗い闇なんか、絶望なんか怖くない
そう思い、この目を持ちこれからを生きていこうと決めた
( ^ω^)「・・・・なんか何も食べる気が起きないお・・・・・・」
しかし、それでも不安はあるのか、食欲がわかない
とりあえずツンが持ってきたりんごを、一口、二口と少しかじり、夜まで寝なおした

――――やはりブーンは今日のあのすばらしい空を見ることはできなかった
目安箱バナー