二階の自室だと空調が必要なくらい熱い季節になりました。単純に言えば七月に入った訳で、既に半分リレーを終えたことになります。過ぎ去る月日は早いものだなあ、と思いつつ今回の作品の検討経緯。一番目に目についたのは倉知淳の「日曜の夜は出たくない」、猫丸先輩シリーズ第一作なのですが、氏の作なら「星降り山荘……あ、絶対だめじゃん」ということで保留に。「人間失格」にするかな、と思いつつ自宅の本棚に見あたらないし買ってまで読み返したくないな、と思ったところに目に入ったのが「鈍い球音」。とりあえず同氏の代表作「大誘拐」には及ばないけれど十二分に面白いし、解説が倉知淳という偶然のバッティングも面白かったので採用決定。
いろいろ監督がらみで因縁のある「東京」と「毎日」の日本シリーズ直前に監督がトレードマークの髭をのこして行方不明になるところから事件は始まり、その調査を行うのはコーチの友人の新聞記者が引き受けることとなったが、事件はそれでは終わらず、代理監督も洋服を残したまま行方不明となってしまう。嘘のような状況の背景は? そして日本シリーズの展開は? といった内容なのだが、流石に天童真、読み手を引きつけるのが上手いのだ。
だーっと流し読みするつもりが結局綺麗に再読してしまった。単純に楽しめる小説であり、テイストは初期の赤川次郎に近いと言って差し支えないと思うけれど、引き込まれる確率は天童作品の方が高いと思う。うーん、と首をかしげたくなるシーンも今の感覚ではあるけれど、それは赤川次郎も一緒だし、それを上回る魅力が天童作品に詰まっているのは間違いない。
ifさん、次は「と」と相成りましたのでよろしく、と。