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月読♂×千草

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
「はぁ・・・・・・」

もう何度目かわからんようなため息がまた出てきよりました。
ウチは天ヶ崎千草、関西呪術協会の呪術師どす。
以前、呪術協会の長の一人娘、木乃香お嬢様の力を利用して関東魔法協会の連中を一掃しようとして失敗、こうして懲罰を受けるハメになっとります。
幸い、協会内の懲罰房で一定期間謹慎する、というだけで済みましたけど、やはり腹立たしいことに変わりはありまへん。
成功まであと一歩のところで、あのサウザンドマスターの息子とその仲間の小娘共に負けさえしなければ・・・・・・!

「・・・・・・ッ!」

思わず、目の前の机を思いっきり叩いてまいました。
こんなことで現状がどうにかなるわけやありまへんけど、溜め込んでばっかりやったらやってられまへん。

「駄目ですよ~、千草はん。 あんまり乱暴なことしたら~」
「・・・ほっといておくれやす、月詠はん」

ひょっこり顔を出した中学生くらいの男の子にとがめられて、向こうが正しいとわかっとっても、ついイライラしてまうのも、この状況のせいどす。
そのうえ、先の計画で手を組んだこの神鳴流の剣士、月詠はんが最近どうにもウチにかまってきよります。
同じ懲罰房の別室で謹慎処分を受けとるから退屈なんはわかりますし、あの小娘達よりちょっと年下の男の子やから、暇をもてあましとるんもわかりますけど、こう毎日毎日来られたらさすがにうっとうしいもんどす。
やからなるべく、適当にやり過ごすようにしとるんどすが、どうもこの子は鈍いというか、なんというか・・・
うちがどれだけ邪険に扱っても、ニコニコしたままずっとそばにおるんどす。
一体何が楽しいのやら・・・・・・

「千草はん、どないかしはりました? 何かさっきからぼーっとしとられますけど」
「へっ? べ、別に何もありまへんえ!」
「そうどすか~? ならええんですけど・・・ あ、お菓子食べはります?」

なんやそんなこと考えとったら、いつの間にか月詠はんが目の前で顔を覗きこんどりました。
慌てて後ずさって、なんでもない、とは言うてみたものの、声が上ずってもうたのは自分がよぉわかってます。
やけど、やっぱりというかなんというか、月詠はんは何もなかったみたいな顔してまたニコニコしながら、戸棚のほうに行ってまいました。
ウチの部屋なはずなんやけど・・・まぁ随分あちこち探って回っとりましたから、どこに何があるかもうわかっとるんでしょな。

それにしてもあの子、どこまで鈍いんやろか・・・
そやけど、落ち着いて考えてみたら、何もウチが飛びのくことなかったなぁ。
まぁ、目の前で顔覗き込まれても気づかんかったウチもウチですけど。
にしても月詠はん、結構可愛らしい顔しとったなぁ。
シネマ村でノリノリで女装しとったときは、さすがに危ないんちゃうかと思いましたけど。
いざ着替え終わってみたら、女の子いうても通るくらい似合とりましたし。
あんな風にニコニコしとると、ホンマ可愛らしい・・・・ハッ?!

「ななな、何考えとんのやウチはッ!!!」
「え、どないしました~?」
「なんでもありまへんっ!」

自分のあんまりにもアホらしいもうそ・・・思考をかき消すために思わず大声が出てまいました。
なんや戸棚のほうでごそごそやっとった月詠はんが覗いてきよったのを慌てて押し戻してことなきを得ましたけど。

まったく、こんな風にカンヅメにされとったらやっぱりおかしな考えが浮かんでまうもんなんどすなぁ。
よりにもよってあんな子供に取り乱してまうとは、迂闊でした。
よぉ考えたら、取り乱すようなことはどこにもあらしまへん。
ウチはあの子より年上どすし、呪術に関しては協会の中でも一目置かれるほどですし(ガキや小娘に負けたけど)、もちろん年相応に恋愛経験だってありますし(振られましたけどっ!)・・・
・・・なんや、言わんでええことまで言うた気がしますけど・・・・・・

とにかく!
うちが月詠はんのことで取り乱さなあかんようなことは何もないんどす!
そう、何も・・・・・!!

「千草はん、お茶はいりました~」
「うひゃいっ?!」
「・・・千草はん、ホンマに大丈夫ですか? さっきからなんや色々おかしい声出してますけど・・・」
「だだだ、大丈夫どすっ」

まっっっっったくこの子はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
鈍いんかわかっとるんか知りまへんけど、いつもいつも間の悪いときにばっかり声をかけて・・・・っ!
そんなんやからウチもあんなふうにみっともなく取り乱してまうんどす!
ウチは別にどうとも思ってまへん!
別に、どうとも・・・・・・・

「・・・はん、千草はん?」
「え?」
「だ、大丈夫ですか? なんやえらい怖い顔してはりましたけど・・・」
「・・・別に、いつものことどす」

ウチはどうやら、また考えこんでもうとったみたいどす。
気がついたらいつの間にか、月詠はんがウチの向かい側に座っとりました。
でも、前みたいに取り乱しはしまへん。
そんなことしたら、向こうの思うツボ。
そう、これでええんどす。
こうやって適当にあしらっておけば、そのうち愛想つかしてウチに寄り付いてきたりはせんようになるはず。
これでええんどす、これで――――

「そ、そうですか・・・ あ、お、お菓子、食べはります?」

そういって月詠はんが和菓子をウチの前に出してくれはりました。
けど、なんや怖がってるみたいな、そんな感じどす。
ウチの態度が変わったのに戸惑うとるみたいどすなぁ。

「いりまへん。 またあとでいただきます」
「・・・す、すいません・・・」

きっぱりウチが断りを入れると、月詠はんはうつむいてまいました。
ちょっときつう言い過ぎたかな・・・
いいえ、これでええんどす。
これぐらいせんと、この子にはききまへんから。

「あ、あの、千草はん・・・」
「・・・なんどす?」

聞こえるか聞こえへんか、ギリギリくらいの声で、うつむいたまま、月詠はんがウチを呼びました。
随分こたえてますなぁ、いっつも嫌になるくらいまっすぐウチの顔見て話しよるのに。

「ボク、やっぱり、邪魔ですか?」
「・・・ええ、邪魔といえば邪魔どす」
「・・・・・・っ!」

ようやっと気づいてくれましたか。
そうどす、あんさんの言うとおりなんどす。
やから、ウチのことなんか気にせんと、ほかのとこでニコニコしとったら――――

「・・・ぐっ、えぐっ・・・うぅっ・・・」
「え?」

妙な声がする、と思うて月詠はんのほうを見たウチには、信じられんような光景でした。
あのいつでもニコニコ笑って、能天気の代表みたいな月詠はんが、泣いとるなんて。

「な、なんも泣かんでもええでっしゃろ! 情けない・・・」
「だっ、だって、ボク、千草はんに、きっ、嫌われ、てもうてぇ、うぐっ、えぐっ・・・」

ウチに嫌われたから、泣く?
なんで、なんでそうなるんどす?
ウチに嫌われるくらい、たいしたことやないはずでっしゃろ?
やのに、なんで――――――――

「ごめっ、ごめんなさいっ、ボク、嫌われてるなんてっ、知らんくて、ちょっとでも、千草はんに喜んでもらお思ただけでっ・・・・」

ウチに、喜んでもらいたくて?
そんな、ウチはそんなことされるようなこと、なんもしてへんのに。

「なんで、なんでそないなこと――――」

気がついたら、勝手に声が出とりました。
どう考えたってわかりまへん、なんで月詠はんがウチにそんな気遣いをするような理由があるんどす?
――――月詠はんは、無理やり泣き止んで、息を詰まらせながら、答えてくれました。

「ぼ、ボクっ、子供やのに、剣しかとりえないのに、千草はんのこと、好きになってもうてっ、どうにもっ、できんくなって、ちょっとでもそばにおらしてもらいたくてっ・・・」

ウチのことが、好き?
そんなアホな、理由があらしまへん、手を組んどったときやって、優しくした覚えなんてありまへんし、ここに来てからはずっと、冷たく当たっとったのに。
なんで、なんで―――――なんで?

「ぼ、ボク、この前の仕事が、初めて任された大きな仕事でっ、子供やからたいしたことさせてもらえへんと思とったのに、先輩と戦うなんて大役を任せてくれてっ、こっちに来てからも、毎日毎日押しかけてもっ、そばにおらしてくれてっ、調子に乗ってもうてっ」

ああ、やめて、もうやめて。
ウチはそんなええ人ちゃいますのや。
子供でも何でも利用できるだけ利用したろと思ただけで。
野太刀振り回す同門相手やったら二刀流は戦いにくいやろと思ただけで。
うっとうしい、出て行けなんていえるだけの度胸もなかっただけで。

――――――――え?

そうや、なんでそう言えんかったんや?
一言「出て行け」言うたらそれで終わりやのに。
うっとうしいうっとうしい思とったのに、出て行って欲しいとは思てへんかった。
わからへん、なんでウチは、わからへん。

「調子に、乗ってしもて、すっ、すいませんっ、もう、ご迷惑、かけんように、しますからぁっ・・・」

そこまで言うて、月詠はんはまた泣き出してまいました。
ウチにはどうすることもできまへんでした。
ウチも、自分がなんできっぱり月詠はんを拒絶せぇへんかったんか、わからんかったから。

――――追い払うのも面倒やと思っとった?
んなアホな、うっとうしい思うんやったら追い払うのが一番手っ取り早いのに。
――――おってもおらんでも別に同じやった?
それやったらいちいち取り乱したりしまへん。

――――ホンマに、月詠はんのこと、なんとも思てへんかった?

そう思たときには、いつの間にか、ウチは月詠はんの頭を抱きしめとりました。

「ち、千草、はん・・・?」
「すいまへん・・・すいまへんでしたなぁ・・・」

ああそうや、うちは最初から、こうしたかったんや。
自分に素直になるのが怖くて、理由をつけてごまかそうとしとったんや。
ウチのがこの子よりよほど年上やから。
子供を好きになったなんて、みっともないと思とったから。
やけど――――――――

「もう泣かんでええどす・・・ ずっと、ウチのそばにおってくれればええですから」
「えっ――――――――」

ぱっと、顔を離してウチの顔を見つめる月詠はん。
ああ、こんな涙でぼろぼろなってもうて・・・ごめんな。
もう、そんな顔、せんでええから――――

「ウチも、月詠はんのことが、好き、どす――――――――」

そして、ウチは、月詠はんに、そっと口付けました。
自分に、素直に。

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