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味濃いのって舌変にするから程々にしようぜ 辛味は胃にも悪いから特にね

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匿名ユーザー

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日が南天に昇りきった頃には、麻帆良学園の食堂棟は凄まじい賑わいを見せるものでして。
どう間違っても庶民と言えるような顔立ちをしていない少年が、平然とカウンターで待ち構えることができるのでした。

「はい、天そば1丁!」
「ありがとうございます」

注文した品を乗せたお盆と食券を交換した少年は、慣れた手つきでカウンターから取った七味をほんの1ふりだけお椀に振り掛けます。
続いて外れのテーブルに座り、脇に抱えていた雑誌とお盆を置いて腕時計を眺めますと。

「部活まであと50分ほど……ゆっくり食べていられますか。では、いただきます」

割いた割り箸を持ちながら一礼をしたかと思えば、少年は整った姿勢のままズルズルそばをすすり始めました。

「……あ! こんにちはーいいんちょ、会いたかったよー!」
「ング……まき絵君ですか、どうしましたか」

そんな食事中の中等部3-Aクラス委員長・雪広綾人を、同級生の佐々木まき絵が捕捉するや否や調子よく呼びかけてきましたよ。

「あのねー、さっきまでアキラと亜子に勉強教わってたんだけど、2人とも用事でどっか行っちゃったんだー。それでせっかくいいんちょを見つけたから、分からないとこだけでも教えてほしいなーなんて……いいでしょ!?」
「はぁ……部活が始まるまでの間なら構いませんよ。食事は続けさせてもらいますが……では、そこに掛けて下さい」
「わーい! ありがと、いいんちょ!」

まき絵に限らず勉強の相談は慣れっこな綾人でして、お椀を放さないまま向かいの席にまき絵を促します。

「……それで、どこが分からないというのですか?」
「えっとねー……あー、これって乗馬の本!? いいんちょって乗馬部だもんね、さっすがー!」
「情報誌の今月号ですよ。君が来なければ読むつもりだったのですが……それで、勉強の質問は?」

てっとり早く終わらせようとする綾人でしたが、当のまき絵が関係無いことを訊いてきた所為か語気が強まります。

「そーだった! この数学の問題なんだけど、さっぱり分かんないんだよー!」
「どれどれ……この問題なら、公式に当てはめれば簡単じゃないですか。教科書を読み返して、手順通りに解いてください」
「はーい」

最小限の説明をしてから綾人は食事を再開しましたが、問題を解いているハズのまき絵からの視線に気付きまして。

「……まだ、分からないところでも?」
「ねーねーいいんちょー、どーしておそばなんて食べてるの?」

きちんとした説明を求められたのかと思いきや、また流れを無視したまき絵の質問に綾人も拍子抜けです。

「どうして、などと言われましても。昼食の時間だからですよ」
「そーじゃなくてさー、いつもはお弁当持ってきてるじゃん。ねーどーしてー?」
「僕以外の2人は寮でお昼だからですよ。僕の弁当のためだけに早起きさせられないじゃないですか」

納得がいくまで聞きたいって感じのまき絵の態度に、綾人も次第にイライラを隠さない返事になってきてますぜ。

「でもでもー、いいんちょってお金持ちでしょ? ”ショ・ミーンの食べる安いそばなんて、僕の口に合わないよベイベ~”とかなんないの?」
「そのステロタイプなイメージは何ですか!? ……”幼いころから高級料理ばかり食していると、碌な人間にならない”というのが雪広家代々の教えでしてね。たまに店屋物を頼んだり、スーパーの食材で自炊させられたりしたのですよ」
「そ、そーなんだ……なんかイガイ……」
「おかげで、音を出してすするそばの美味しさに気付けましたが……そうじゃなくて!」

ついついまき絵にノせられて、話したくも無い事情までベラベラ喋らされた綾人は、立ち返るや否や怒号を飛ばします。

「へ? どーしたのいいんちょ、そんな大声出してー」
「訊きたいのは僕ですよ、まき絵君! 勉強の相談がしたいと言うから解法を教えて差し上げたというのに、問題を放って僕のプライバシーを探ってくるとは……一体何を考えているんですか!?」
「だってー、気になってしょうがなかっただもん。私、いいんちょのことってあんまり知らないし……」

すっごい剣幕で問い詰めてくる綾人にまき絵は目を潤ませて対抗しますが、教えるモードのお坊ちゃまはそれどころじゃありませんで。

「とんだ学生失格娘ですね……分かりました。そんなに僕のことを訊きたいのなら、これから出す問題を解いてからにしてください。ノート、借りますよ」
「えーーっ! そんなテストみたいなことヤダーーっ!」
「ヤダじゃありません! さっぱり分からない箇所の問題を解けるようになっていれば、君にとって喜ぶべきことじゃあないですか……さぁ、即興で5問ほど作りました。やってみてください」
「分かったよ、やるよー……あ、もし分かんないところがあったら、ヒントぐらい聞いてもいいよねー?」
「まあ、答えを直接訊くのでなければいいでしょう。さて、早く食べないとのびてしまう……」

ついに綾人は小テスト的な問題を書き上げて、まき絵に押し付けちゃいましたよ。
ブーたれながらもまき絵は問題に手を付け始めまして、綾人は安心してお食事に戻ります。


「……どう、いいんちょ?」
「……参りました、全問正解です。20分ぐらいかかると見込んでいましたが、まさか12分で解ききってしまうとは……」

ようやくお椀におつゆのみを残して……というところでまき絵に問題を解かれ、綾人は感しつつも少し悔しいようです。

「やったーー! ってことはー、いいんちょに何でも聞いちゃっていいんだよね!?」
「構いませんよ。約束してしまいましたからね……」
「それじゃーねー、えーっと……いいんちょって、付き合ってる人とかいるの?」

ニキニキなまき絵が早速質問をしてきましたが、あまりのド直球っぷりに綾人も小さいながらズッコケちゃいましたよ。

「な、何ですか藪から棒に!」
「答えてくれるん、でしょ?」
「……いませんよ。これで満足ですか?」
「ふーん。じゃー次は……もし、ピンクの髪がキュートで、新体操を華麗にできて、バカピンクなんて言われちゃうところがまた可愛くて……って女子に告白されたら、いいんちょはOKしちゃう?」

続けて質問するまき絵がたどたどしく挙げた例に、鈍感でもなんでもない綾人は質問の意図を予想してしまうわけでして。

「まったく……からかうのも大概にしてくださいよ」
「ほーらー、はやく答えてー♪」
「……そこまで言うならお答えしますが、多分良い返事はしません」

どうやら担がれていると綾人は考えたらしく、急かすまき絵に否定的な答えを返しました。
しかして、その非情っちゃ非情な言葉をまき絵さんは真に受けちゃったらしく……

「え……う、うそ、ウソだよねいいんちょ!? ひょっとしたら好きになっちゃうかもしれないかも~ぐらいは思ってるよね!?」
「なっ、そこまで慌てることはないでしょう! それに言葉の通りですよ、多分受けることはないと……」
「!! わ、私……いいんちょに嫌われてたんだーー!! ふえ~~ん!!!」

肩をつかまれてもドライな返答を変えない綾人の態度に、まき絵ってば完全負に受け取って泣き出しちゃいましたよ!

「ど、どうしたんですかまき絵君、こんなところで泣くことはないでしょう!? ほら、周りの皆さんも驚いて……」
「だって、だって……告白を受けないってことはフっちゃうってことでしょ!? 私、いいんちょにフられるなんて思ってなかったもん……ふえ~~ん!!」
「まあ、拒否されることを考えないあたりは君らしいと言いますか……でもですよ、そんな冗談めかしている告白ならば僕だって受けたいと思いませんよ。正面から気持ちをぶつけてきてくれたのなら、僕なりに真剣に応えますけれども……」

周囲の冷たい視線とまき絵の被害妄想との板ばさみで、綾人もしどろもどろに弁解の言葉を呟き始めます。

「ぐすっ……じゃあ、目の前でちゃんと好きだって言ったら、OKしてくれるの?」
「それは勿論! 相手の方の思いを打ち明けようという決心を無碍にはしません。そのような行いは、何より雪広の家名が許しはしないt……」
「……よかったー。それじゃあいいんちょ、私と付き合ってくださーい♪」
「……へ!?」

続けて心にも無い誤魔化しまで喋る綾人に、計算通りか天然か、突然まき絵が愛の告白をしてしまいました!

「へ、じゃないよー。カッコよくて背も高くて、勉強もスポーツも得意でお金持ちで……毎日ウルサイくらいにクラスのことを心配してるいいんちょのことを私、好きになっちゃったんだ。だからお願いだっちゃ、ダーリン♪」
「だっちゃって何ですか! そういう小ネタの所為で真剣味が感じられませんし、それに君たちが騒がしくしているから僕の声も大きくならざるを得ないのであって……」
「……! や、やっぱりフっちゃうんだ……ホントの気持ちを伝えたのに、家名が許さなくてもいいくらい私のことが嫌いだからフっちゃうんだ……うるるるるる」
「ですから泣かないで下さいって! 本当なのでしたら、まあ……もう少し分かりやすく伝えてもらいたかったのですg……あっれー、どうしたんですか皆さん、そんな注目するなんて」

やっと担がれているのではないと気付いた綾人ですが時既に遅し、涙目のまき絵と周囲の興味深そうな視線とに選択肢をどんどん狭められているようです。

「それじゃ、私と付き合ってくれるの?」
「……はい。そこまで言われたのなら、僕としても応えるしかありませんよ」
「じゃあ、毎日デートして勉強教えてくれて、カフェのスイーツおごってくれる?」
「それは……ま、毎日となると……ど、努力はします!」

否応なしとはいえ、お財布にやさしくないオプションまで付属した状態で綾人はまき絵の気持ちを受け入れちゃいましたよ。

「ぃやったーー!!! 幸せになろ-ね、あやとくん♪」
「僕には幸せのビジョンが全く見えませんよ、本当に……あーそうでした、今日は特別早く部活に行かなきゃいけないんでした! 忘れてしまうとは僕らしくもない……」

追い詰めた上とはいえOKをもらえて浮かれるまき絵の一方で、急用を思い出した綾人が急ぎ荷物をまとめ始めます。

「どーしたのあやとくん、もう部活行かなきゃダメなの?」
「人の話聞いてましたか!? とにかくすぐ出なければ遅刻です、失礼しますまき絵君!」
「そっかー、じゃあ私もいっしょに行っていい!? 部活でがんばってるあやとくん、見てみたいなー」

のんべんだらりと様子を見ていたまき絵の同伴に、綾人も急ぎ旅を忘れて目を点にしちゃったよ……そりゃ唐突だもんねぇ。

「ヌ……僕は構いませんが、まき絵君も部活があるのではないのですか?」
「それならだいじょーぶだよー……あーもしもしにのみー!? はいはい別にいーじゃん、こっちの方が呼びやすいんだし。それより、今日は部活出られないから欠席にしてくださーい。それじゃ!」

新体操部のホープであるまき絵にすりゃ練習は削れない……ハズなのに、あっという間にケータイで顧問に欠席を告げるのだから素早いですなー。

「これでよしっ! それじゃ行こー、あ・や・と・くん♪」
「何が行こう、ですか。自由にも程度があるでしょう……多分失敗なんでしょうね、この決断……」

コトは済んだとばかりにまき絵が浮かれて走り出しまして、当然とはいえ異常な早さで後悔する綾人は頭を抱えますが、どうしようもないと気付いて不本意な彼女を全力で追いかけて行きました。

こうして、振り回される超優等生と天然元気っ子の馴れ初めは幕を閉じるのでした……続き? さてどーだろーね。

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