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「地球に優しい」という言葉があります。

私は、実に欺瞞に満ちた言葉だと思うのです。

無論、言いたいことは分かります。言っていることも大事なことだとも思います。


現在の地球環境というのはこれまでの奇跡的といってもいい偶然によって生まれました。またさらなる偶然によって、現在われわれ人類にとって実に最適な環境となっているわけです。

その環境を大切にしよう、という考えそのものは、正しいと思います。ですが、同時に「現在の地球環境」を維持しようとすることはあくまで人間の立場からのエゴであることも同時に知っておくべきだと思うのです。


地球は誕生したときはただの石ころでした。
その後数億年かけて周囲の隕石との衝突・融合を繰り返し、マグマに包まれた火の玉といっていい状態がありました。

さらに数億年たって地球がある程度冷えたとき、大気中の水蒸気が冷やされて雨となって海ができました。
このころの大気は二酸化炭素が現在の20倍、酸素はほとんど皆無という割合でした。
生物は、そのような環境で生まれたのです。


最初の生物は、酸素を必要としない生物でした。
そのうち、光合成によって酸素を作る生物が生まれたとき、地球環境は激変します。

海中に溶けていた膨大な鉄分が酸素と結合して酸化(さび)て、海は真っ赤に染まりました。また、酸素はそれ以前の生物にとって有毒なものであったため、当時の生物のほとんどが死に絶えてしまいました。

つまり、「酸素を出す」ということがこの時点の地球においては強烈な環境破壊であったわけです。


前置きが長くなってしまいましたが、このように現在われわれにとって必要な酸素を作り出すということが過去の地球においては環境破壊であったことがあったということです。
また、酸素を作り出す過程において大気中の二酸化炭素濃度が減り、地球の気温も徐々に現在の気温まで下がってきたわけです。

地球はこれまでこうした環境の激変を何度も繰り返し体験してきています。
そのたびに、古い生物が絶滅に追いやられるとしても、その激変を乗り切った新しい生物によって進化はとどまることなく続いてきました。


その意味で、今われわれが声高に叫ぶ「地球に優しく」という言葉は、あくまで人間にとって優しい地球を維持しようとするということに他なりません。

私は、それを悪いことだとは言いません。人類が生きていくうえで必要なことであるのですから、生物として自分(の種族)の維持を尊重することは当然のことだと思います。

ただ、それを「地球に優しい」という言葉で「絶対的」かつ「普遍的」な善のように言う言い方に、疑問を感じるのです。


この言葉は、「人間にとって都合がいい地球」が地球にとっていいこと、見たいなニュアンスを含んでいます。

そうではなく、本当は地球によって人間が生かされているのだ、ということをもっと自覚すべきだと思うのです。

現在の地球の奇跡とも言える環境に対する、感謝の念ではなく、人間の都合を地球に押し付けているように、思うのです。


われわれ人類は、地球上で他の生物と「共存」して暮らしているのであって、決して「地球の主」ではありません。
もっと、適切かつ謙虚な言葉があるように思えてならないのです。





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