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◆【ディズニー作品とのコラボレーションの発想は、どこからきたのか】
「ディズニーのキャラクターというのは、おそらく世界でいちばん有名だと言ってもいいですよね。ところがゲームという枠内では、ディズニーで有名なオリジナル作品というのは出てなかった。そこにまだだれも開拓していない、できていないところかなと思ったんです。一方で、自分が考えていたゲームのアイデアがあって。そのアイデアにディズニーのキャラクターを使って、今までになかったものができるんじゃないかなと。彼らのこういう生かし方があるんだというのを見せたかった。ディズニーキャラクターに対するイメージって、どちらかというと“子供向け”だとか、ゲームが好きな層とはかけ離れたキャラクターだ、というのが多いと思うんです。でも、ゲームの層へアプローチをかけられる手段はあるんじゃないかと。キャラの使い方次第ですごい発展の可能性がある、まだまだやれることがあるんだよということです」
―2005年12月19日発売、電撃PSの野村氏のインタビューより―
「ディズニーのキャラクターというのは、おそらく世界でいちばん有名だと言ってもいいですよね。ところがゲームという枠内では、ディズニーで有名なオリジナル作品というのは出てなかった。そこにまだだれも開拓していない、できていないところかなと思ったんです。一方で、自分が考えていたゲームのアイデアがあって。そのアイデアにディズニーのキャラクターを使って、今までになかったものができるんじゃないかなと。彼らのこういう生かし方があるんだというのを見せたかった。ディズニーキャラクターに対するイメージって、どちらかというと“子供向け”だとか、ゲームが好きな層とはかけ離れたキャラクターだ、というのが多いと思うんです。でも、ゲームの層へアプローチをかけられる手段はあるんじゃないかと。キャラの使い方次第ですごい発展の可能性がある、まだまだやれることがあるんだよということです」
―2005年12月19日発売、電撃PSの野村氏のインタビューより―
◆【ファミ通/スタッフインタビュー】
□『イベントチーム』
□『イベントチーム』
- ロクサス編のシナリオが当初からボリュームがあった。
- プロローグがあんなにボリュームがあって、ディズニー作品のワールドが入ったら短いっていうのはどうかなと思い、「じゃあ、ディズニーワールドは2本立てにしましょう」と提案したら、凄いボリュームになった
- 当初は「1.5倍ぐらいで済みますよ」っていう話をしていたが、フタを開けてみると2倍、3倍というレベルだった。
- イベントもいろいろ合わせると800近くある
- モーションの総数は前作の倍を超えている。バトルとイベント全部で約18600
- ザ・ランド・オブドラゴンは、究極のあっさりというテーマ。最初、他のワールドと同じように書き込んだが、全部イチから作り直した
- プライド・ランドでキーブレードをどうやって持たせるか、ずーっと悩んでいた。最初は、しっぽで持たせようとと思ったが、どうもカッコ悪い。試行錯誤の末に口でこわえて横に持つという事で落ち着いた
- 『蒸気船ウィリー』の時代には、ドナルドとグーフィーはいない。そこで、ディズニーから「もし、この時代にドナルドたちがいたら」という見本のデザインを貰った。
- ソラは前作は元気な男の子というイメージだったが、今作では頭身が高くなったので、剣さばきがカッコいいイメージにしてある
- 個々のフォームの差別化には悩んだ。ブレイヴフォーム、ウィズダムフォームはすんなり決まったが、マスターフォームは「剣と魔法が使えるってどんなイメージだ?」なんて、皆で想像しながら話し合った。
- アンチフォームになった瞬間にキーブレードの勇者ではなくなるので、キーブレードを使わないモーションにして差別化している。ビジュアルは、前作にいたアンチソラという影のソラに近い。あまり気づいてもらえないんですが、ちょっと青い模様を入れて凝ったデザインにしている
- キャラクターがアップになる瞬間に、無表情だと耐えられなかったので、ダメージを食らった時は、目をつぶるようにしている
- アトランティカのミュージカルだけは初めから決まっていた。前作からミュージカル要素を入れたいという話があったが実現できなかった。今回は、それに特化しようという事になった
- 王様はディズニーキャラの中でも背が低いので、ソラと一緒に登場する所では、ソラがしゃがんで話しかけるようにした。そのせいで動きの幅が狭まらないように注意した
- ポート・ロイヤルはコインが大変だった。海賊たちのリアルな人間尾大きさに合わせてコインを作ると、ソラなどディズニーキャラが持った時にもの凄く小さくなってしまう。イベントごとにサイズを変えて調整した。
- 『パイレーツ・オブ・カリビアン』のワールドを作ろうという話になった時、イメージしたのが『ロジャー・ラビット』。実写の中にアニメのキャラクターが入り、絵にギャップをつけるという狙い。そのため、他の作品のキャラクターなどは、一切変化させなかった
- ノーバディはチームでデザインコンペをやった。「ハートレスとは違う存在の敵が出ます。ほかの存在とは時間軸がズレているイメージです」と言われ、皆でネタを出した。奇抜なアイディアがいっぱい出た。既存のゲームにない動きを推し進めた結果、あのような、重力感をできるだけ排除した独特な動きになった。ハートレスは心がないということで、コミカルな動きになるが、ノーバディの設定は「存在しないもの」。「存在しないものって何だ?」というところからチーム内で話し合い、今の動きになっていった。その影響で新しく追加されたハートレスは逆にコミカルな動きにしている
- ノーバディはシャープなデザインにしているのも特徴。野村氏が最初にダスクのデザインを出して、そこからイメージを絞り込んでいった。
- ノーバディのマークがあるが、そのえぐれたシルエットを多く使って、より尖ったイメージを与えた
- ノーバディの色に関しては、『KH』は鮮やかな色が多いので、逆にノーバディは限りなくシルバーに近い色にして、動いていなくても差別化できるようにした。でもあんな動きになるとは(笑
- ノーバディは元々あった自我がなくなった人という怖いイメージ。そのため、全部人型にした。しかし、人型の中でも違いを出すために、各ノーバディにジョブを設定し、武器で個性をつけた
- ギリギリまで作りこんでいた。
- プロモーションビデオを作ることが大きな区切りになっていて「ここまで作るんだ」と開発に勢いがついていた。
- プロモーションビデオの構成を決めるたびに、野村氏が「こんなのを作ろうと思う」と言い出して大体、皆が驚く。
- 「ハートレス1000体出して」と急に言われて、こっちとしては「締切まであと半月しかないんですけど」と焦るばかり。でもそのたびに開発が一気に進んで、イメージも固まっていった。
- 野村氏のリクエストをそれぞれ実現されて今の形になった
- 今回は断念した事が少なかったのでやりきった感がある。
- 「誰もできないとか言わないけど、本当にできるの?」と野村氏は心配していた。
- イベントチームは皆、印象に残ったワールドはポート・ロイヤル
- ポート・ロイヤルは、映画に出演したご本人の承認が必要だったり、他のキャラクターよりチェックが多いのですが、激励をいただいたりして凄く感動した
- ポート・ロイヤルは、説得力を持たせるために、発音する舌の動きまでモーションを作っている。それに合わせてテクスチャーも作り、二重のまぶたを作るような細かいところまでやったのは初めて
- トワイライトタウンが最初のステージということで気を配ってやった。
- 短い時間でいかにロクサスに思い入れを持ってもらうかという所を重点を置いたので、結果として切ない印象を出せたと思う
- 『スペース・パラノイド』はあまりリアルに作ってしまうと、ポート・ロイヤルと被ってインパクトが薄れてしまうので、顔は『KH』のキャラクターに寄せて作った。
- ミニゲームのライトサイクルは、『トロン』のワールドが作ると決まった段階でリストに入っていた。『トロン』ならこれは外せないと
□『バトルチーム』
- ファンの声を参考にした部分もあるが、簡単にすればいいというわけでもない
- ライトユーザーからヘビーユーザーまで楽しめるものにするのが難点だった
- 豪華にするけど難しくしない、というのがいちばんの目標
- 要素は多いが、それらを全部使いこなさなくてもゲーム自体は進められるようにしている
- 選択肢の多さがいちばんのウリ。自分が気に入ったシステムだけ使い続けてもクリアできるバランス
- 野村氏からの一番大きな注文は、操作キャラクターの数。
- リアクションコマンドは当初カメラ付きのド派手なアクションをする予定は無かった気がする。ケルベロスを作ったあたりから爆発した感じでどんどん増えていった
- カッコ良さを追った部分はあります。開発中には、もっとゲームとして遊べるようにするのか、それとも魅せる部分に力を入れるのか悩んだ
- ボタン連打でクリアもできるが、そうすることでつまらなくなったりもする。出来るだけそうならないように細かな調整をしている
- バトルのテンポについては、ベースになる部分は逆に若干テンポを落としている。ソラの基本動作でいうなら、ほんの数フレーム。
- ゲームのテンポを上げるとどんどん難しくなるので、そうならないように気をつけた
- テンポアップしたと感じるのは、多分フォーム同士の対比だと思う。フォーム自体のモーションやスピードに速い遅いはあるが、実際にボタンを押す間隔はそれほど変わらないようにしている
- モーションやエフェクトの作り方で、プレイしている人にとってはテンポが上がっているように感じる
- カメラは前作より少し離れている。カメラをキャラクターから離すと、キャラクターが小さく見えるという短所はあるが、敵の数を増やすことが出来る。視点が前作のままだと、敵が大量に映り込んで何も見えなくなったりするので。多少引いて全体が見渡せるぐらいがちょうどいいかなとバランスを取った結果、今の視点になっている
- バトルのバランスの調整では、リアクションコマンドが一番苦労した。
- リアクションコマンドは、本当は全てのザコにひとつ、ボスには3つコマンドをつける予定だった。悪くいえば挫折した。ある程度システムに基づいて作れはするが、時間がかかり過ぎてユーザーを待たせる事になってしまう。計画の時点で少しやりすぎた
- ボス戦は最初に状況を作っておかないと演出も成立しないので、マップをどう作りかという段階から考慮している
- それぞれ異なるリアクションコマンドの総数を考えたら、制作作業も大変だったが、ひとつひとつのモーションが変わると、そこでしか見られない、という貴重さがより引き立つ。最終的には物量との綱引きになるが、いい形に仕上がったと思う
- 連携の最後に大技が出せるが、入力のタイミングをシビアに設定すると、これがなかなか出せない。タイミングよく出せばダメージ量が増えるのですが、誰がプレイしても最後の大技に辿り着くように、仲間と一緒に戦っているんだと感じられるにしたかった
- 『KH』シリーズは、キャラクターの魅力を前面に押し出すゲームとしての側面もある。それで今作は連携を大きく取り上げてみた
- ドライヴシステムは企画当初から要素として組み込まれていた。ドライヴ以外に、召喚なども初めから決まっていた。それらを使い分けて進むというシステムは、最初からそのまま
- 召喚システムが固まったのは、かなり遅い時期。
- フォームに関しても固まったのはギリギリの時期。それは数のせいで、ブレイヴフォームは初期段階からあった。1年か2年ぐらいはブレイヴフォームしかなかった
- フォームは最初に数を決めていたので、それぞれの特徴的なものしようと決めていた。
- アンチフォームに謎は特に無い。確かにアンチフォームだけはキーブレードを持っていないので、どうしたものかとかなり模索した。進めているうちに勢いが出てきたというか
- アンチフォームの発動条件はドライヴしている回数が関係している。変身しているほど確率は高まっていく。他にボス戦だと出やすいといった細かな条件はいくつかある。
- アンチフォームには、わかりやすいヒントを入れようと言った。だんだんソラの影が薄くなってきて消えるとか、その状態でドライヴするとアンチフォームになるとか
- ボス戦でアンチフォームのままゲームオーバーになると王様は助けにこないなんてことは無い
- 今作から操作可能になった王様は、前作にあまり登場しなかったので、そのぶん登場させようと。それなら操作できるようにしようという話も最初はあったが、操作するなら王様なので強く、と考える一方で、王様で話を進めるわけにもいかないというう問題点が(笑。結果、ソラを助けに来るためだったら王様が勝手に話を進めないし、いいかな? と今の形になった
- 王様に限らず、ディズニーキャラクターを操作したいという声はたびたび聞くが、どう操作できるようにすればいいのか、という所で問題が残る。ドナルド、グーフィーは、自分でなく、あくまで「友達」なんです。友達が自分の意のままになってしまうと、ディズニーキャラクターの持つ世界観に合わない。そこでプレイヤーが自分を投影出来るソラがいる。王様は、ちょっと特別扱いになっている。そこは王様だからと割り切って下さい
- セフィロスは最初からラスボス以上に強くして、やり込むためのキャラクターとして登場させている。当然、最初は倒されます(笑)。セフィロスは『KH-ファイナル ミックス-』で初登場したが、今作では最初からいて、そして最後に倒す相手もセフィロスなのかなとおぼろげに思っていました。
- セフィロスは元々物語の本筋とは関係のない相手なので、バトルの質もグッと変えてアクション寄りにしている。油断するとすぐ倒されるアクションゲームのテイストにしようと、数値的な面だけでも相当強くなっている。キチンと攻撃を避けないと倒される、という相手はセフィロスだけ。アクションゲームが好きな人は、敵の動きを見切り、動きを解析して倒すというのがたまらないでしょう
- 反響を聞いていると、セフィロスみたいな相手がもう2、3体いてもよかったかなと思う
- グミシップはシューティングというスタイルを前面に押し出すのではなくて、アトラクションみたいにしようというのが最初のコンセプト
- ワールド間をつなぐジェットコースターのような感触になればというコンセプト
- 前作は物語の世界観を補う設定として、グミシップの空間があった。その部分の比重が大きかったが、今作では方向性をガラッと変えてみた
- 開発スタッフ内でグミシップにハマる人は多い
- 闘技大会でスコア2倍になる条件は、敵を50体倒す
- ミッキーを王様と呼ぶか呼ばないかで、その人が『KH』を楽しんだかどうかが分かります(笑)
- ディズニーランドでミッキーを「王様、王様~」と呼んでもらえることが夢(笑)
- ゲーム初体験という人でもできるんじゃないかなぁ、とそんな期待をして作ったゲーム
- できるだけ多くの人にクリアーしてもらえるように、プレイヤーに何も強制しないように作った作品。ですが、ひとひねりすれば、敵より倒しく倒せる、という要素も入れてある
- ○ボタンを連打してレベルを上げればクリアーできるが、リアクションなどを使う事で、カッコよく敵を倒せたり、より楽しく遊べる
◆【ファミ通/野村哲也氏インタビュー】
■「『KH2』の開発コンセプト」
■「『KH2』の開発コンセプト」
- 『KH』が続きがありそうな終わり方をしたので、とりあえず物語を終わらせなかった。
- 『KH』が完成した時、『KH2』のおぼろげな形が見えてきて、『KH-ファイナル ミックス-』で具体的なイメージになった。
- ただ『KH』を作った時には、売れなかったら続編を作る気はなかった。面白いものを作った自信はありましたが、時代的にも新規のオリジナルタイトルがそんなに売れると思えなかったので、ここまで売れたのには驚いた。
- 当初は、かなり強気に考えても現在の半分ほどしか売れないと思っていた
- 今は『KH』や『KH -ファイナル ミックス-』のアルティメットヒッツ(廉価版)が売れている
■「『KH2』の舞台となるワールドの選考基準」
- バラエティー感を求めた結果
- 似たようなワールドが多くならないように、いろいろな要素をまんべんなく散らした
■「ポート・ロイヤルに出てくるキャラクターたちのリアルな表情に驚いた」
- リアルな表現ができないものにはしたくなかった
- むしろ「リアルな表現がすごい」と思ってもらえるように頑張ってくれ、とスタッフに伝えた
- いろいろなキャラクター同士のありえない組み合わせが『KH』シリーズの醍醐味でもあるが、特にその組み合わせのギャップを楽しんでほしいワールド
- ソラたちには直接影を描き込んでいるが、ポート・ロイヤルのキャラクターにはライトを当てることで影をつけるという手法でリアルに見せ、よりギャップを出している
■「プライド・ランドはいかがですか?」
- 本当は『KH』でプライド・ランドを入れたかった
- 『KH』のスタッフは今まで『ファイナルファンタジー』を手掛けてきたスタッフが中心で、リアルタイムのアクション要素がある作品は手探り状態で作った。そんな状況で2足歩行と4足歩行のシステムを入れて、2本のゲームを作るような手間をかけることには無理があり、残念ながら断念した
- 『KH2』では、企画初期のワールド候補に入れたところ、「難しいけれどやりましょう」とスタッフの賛同を得られ、無事に形にすることが出来た
■「100エーカーの森に登場するさまざまなミニゲームもバラエティーに富んでますね」
- 僕は中でもハチミツスライダーが気に入ってる
- 『KH』の実にゲームはイベント班とマップ班が中心に作っていたが、今回はリアルタイム半と呼ばれる、 バトルなどリアルタイムに操作する部分に長けたスタッフが担当している
- システムを専用に作るのではなく、他の部分から応用してミニゲームとして組み立てなおしているですが、上手く出来たと思う
■「タイムレス・リバーの表現も斬新です。」
- 目が黒目だけの頃のミッキー・マウスが好きというスタッフが多かったので、そのミッキーが活躍するステージを作ろうと
- そのわりには要所要所でしか出てこないですけれど(笑)。
■「今作ではそのミッキーがバトルに参加しますが、これは開発当初から考えていた?」
- ドナルドとグーフィーが戦うのに、ミッキーだけ戦わないというのはおかしいだろうと
- ただし、ソラとドナルドとグーフィーの3人が旅を続ける中で、ミッキーを固定メンバーにするわけにもいかず、どこかのワールドだけしか出ないのも味気ない、そこでミッキーを場鳥に参加させるならこの方法だと、企画当初から決めていた
■「各ワールドが2部構成になってますね」
- ある時、『KH2』のプランニングディレクター、岡(岡勝氏)が「2部構成」にしたいと言い出した
- 本当に? できるの?」と聞いたら、「やります」と言い切ったので、無茶するなあとは思っていたが、やってもらった。バトルなどの他のスタッフが頑張っていたので、「オレもやってやるぜ」と思ったのかもしれません(笑)。
- 2部構成にした事で、1回目のストーリーが尻切れにならないように注文は出しました
- 岡(岡勝氏)がディズニーワールドのプロットを作り、野島さんと密にやり取りしていたので、うまく盛り上げるポイントを作れたのではないでしょうか
■「確かに、遊んでいるうちにいくつも細かい発見があって、飽きない作りになっています」
- 普段ゲームをプレイされない方も『KH』は遊んでくれるようなので、そういう方々がゆっくり遊んだときに、色々な事が見えてくる作りがいいかなと思っている
■「さまざなフォームタイプなど、ソラの成長の過程が多岐に渡っているのには狙いが?」
- やり込み用の要素
- 今回は選択肢が多い作品にしようと思っていた
- ドライヴやそのほかの新システムを使っても使わなくてもクリア出来る作り。ただ、時間がないのか、すぐにクリアーしてそれで止めてしまう方もいるんですよね。もうちょっとソラを鍛えると、色々な事が出来るのですが
- 特にグライドが使えるようになると、足をつけずに移動出来るようになって操作感覚がガラリと変わるので、是非体験してほしい
■「ブレイヴフォームやマスターフォームなどの二刀流は、当初から入れる予定だったのか?」
- 『KH-ファイナル ミックス-』のシークレットムービーで二刀流のキャラクターを出した所、「二刀流で戦いたい」という声が多かった。ただし、常時二刀流だと面白くないので、フォームチェンジというシステムを採用した
■「ファイナルフォームは二刀流だが、キーブレードを手に持ってませんね」
- あれはなかば冗談で「究極のフォームになったら、キーブレードを手に持たないから」と、雑談中に言ってたら、そのまま決まった(笑)。
■「アンチフォームは『KH』でソラがハートレスになった事が原因で変身する形態?」
- ストーリー的にはそう
- ドライヴがとても強いので、力を使いすぎた反動という意味で存在している
- システム面でいうと、強いけれど厄介、というものを作りたかった
■「リアクションコマンドは、簡単にカッコいいアクションを出せるというコンセプト?」
- バトルをカッコよく見せるというのは、本当は『FF8』でやりたかったコンセプトだったが、それがジャンクションアクションシステムに競り負けた(笑)
- 『KH2』でそれをやりたいと話したら、企画のスタッフも同じようなことを考えていて、「ぜひやりましょう」と言ってくれた
- 『FF8』で考えていたのは、敵ごとに使えるアビリティがあるというもの。たとえば、敵に飛び乗る、飛び乗ったら次はどうする、といったように分岐するシステムだった
- 『FF8』の召還獣やリミットブレイクのような、バトル内で派手な演出を行うと思ったのがきっかけ。でも、この時は見てるだけのものだったので、その発展系、プレイヤーが操作して参加できる演出にしたかった
- どこが操作できて、どこが演出なのか区別できないシステムがいいなと思っていた
- 『FF8』の時に考えていたものとは違うが、同じコンセプトで作り、より発展したものがリアクションコマンドになった。更に『KH』シリーズのコンセプトとして、それを誰でも楽しめる形に仕上げた
■「あれだけの数のリアクションコマンドを用意するのは、大変だったのでは?」
- それはもう、モーション担当が大変な苦労すると思った。ただ、提案した所、アニメーションリーダーである神藤辰也氏が「たいへんだけど、おもしろそうだからやりましょう」と言ってくれたので、実現できることになった
■「逆に、その作業量に野村さんの方が心配になったりした?」
- そうですね。誰も「できない」と言い出さないので(笑)。
- 『KH』チームの気質なのか、音を上げないし、どんどん作り込んでしまうしで、大丈夫かなとずっと心配していた
- ミニゲームも気づいたら増えていた。スケボーは最初トワイライトタウンだけにあったが、いつの間にか他のワールドにも入っていたりした
■「スタッフの方々のモチベーションが高いですね」
- とても
- 自分が言いだしっぺなので止めはしないが、「できない」と言われたら止めようと思っている
- 「こういうのはできないかな?」と企画を提案すると、皆やってしまう(笑)。
- 僕は「やるんだぁ……」という感じ
■「『KH2』では、野村さんが思い描いていたものは、全て出来たのか?」
- 最終的には、容量や時間の問題があったので、全て理想通りとはいかなかったが、この期間内で出来うる最高のクオリティーには達したと思う
- スタッフも開発終盤に、「時間があればあれもこれもできた」と言ったり、ムービーを担当したビジュアルワークス(スクエニのムービー制作する部署)も「容量がもっとあれば……」と言っていた
- 作り込もうと思えばいつまでも作り込んでしまうスタッフばかりなので、そこは自分が線引きしないと
- かなり切迫した、発売日に間に合わないのではという時期があったが、その時にメインのスタッフを集めて、「このまま作り込むか、どこかを削って間に合わせるか、どっちがいい?」と聞いた。そうしたら、「このまま作り込んで、納期も守る」と「両方取る」と言ったので、「そうか、じゃあやろう」という事になった
■「その甲斐あって盛りだくさんの内容になりました」
- 『KH』には色々なゲームが入っているようなバラエティー感を出すというコンセプトがある
- あらゆるジャンルを取り入れて、ないものがないようにしてくれとスタッフにお願いした
■「バラエティー感があるおかげで、全編通して飽きずにサクサクとプレイできますね」
- その代わり、早く終わってしまうという面もある(苦笑)。サクサクと遊べるように狙ってはいるんですけれど
- すぐに終わらせることも出来れば、その世界にたっぷりと浸っていつまでも遊べるようにしている
- 時間がない方でも楽しめるように、行かなくてもクリアー出来るワールドを作ったりもしている
■「各ワールドをクリアーするまでのプレイ時間は、想定して作っている?」
- 想定しているが、だいたい最終的に崩れてしまう
- トワイライトタウンもあんなに長くなる予定ではなかった(笑)。プロットを書きながら、「これは長くなりそうだ」と思っていましたが
■「トワイライトタウンでのプレイは、ロクサスにとても感情移入できますよね」
- ロクサスは、続編なのに新キャラクターで主人公なので、いかに短い時間で思い入れをもってもらえるかがカギだと思っていた
- 遊んだ人の反応を見ていると、「かわいそうだった」、「切なかった」という意見が多い
- ゲーム本編の割合からすると短い時間の中で、よく出来たと思う
- 電車に乗っていて、一人だけボールを持っていないというエピソードが本当に切ない。あれは野島節で、野村氏のプロットにはなかった
■「最初、カイリはなぜソラのことを忘れてしまっている?」
- ソラが記憶を失ったことで、ソラに関係した人々、連なる者たちも同じ状況になっているから。ソラがカプセルに入り、記憶を修復すると、皆も記憶を取り戻していく。それで、ホロウバスティオンでレオンたちが「最近まで、みんなソラのことを忘れていた」と言っている
■「王様が黒コートを着ている理由は?」
ソラ達が表舞台で戦っている中、王様は裏舞台で身を伏せつつ、まあ王様はすぐにバレると思うんですけど(笑)。隠れつつ13機関について探るために、カモフラージュで着ている
ソラ達が表舞台で戦っている中、王様は裏舞台で身を伏せつつ、まあ王様はすぐにバレると思うんですけど(笑)。隠れつつ13機関について探るために、カモフラージュで着ている
■「ある人物(賢者アンセム)が、王様と会話するシーンでシーソルトアイスを食べているが、真剣に語りながらアイスを食べるギャップに笑ってしまった」
- あれは野島さんのアイデア
- トワイライトタウンでシーソルトアイスを出したのは、野村氏だった
- ディズニーシーで食べたシーソルトアイスが忘れられなかった。あのしょっぱいのに甘いという味がショックで、「これ、おいしいな」と(笑)。
- ディズニーシーにあるものはカップだったが、食べているシーンの見た目を考えて棒状のアイスにした
- 自分の中ではトワイライトタウンだけのものだったが、いつの間には重要アイテムになっていた
■「ハートレスは『心がない存在』ということだが、そのハートレスを倒すと心が出現するのは何故?
- 心がないので、心を奪って自分の存在を保っているイメージ。要はエネルギーのようなもの。人の心を奪うと新たなハートレスが発生しますが、奪われた心は奪ったハートレスのエネルギーとして使われる。ソラはハートレスを倒すとそのエネルギーである心が抜かれた人のもとに戻ると思っていたが実はそうでなく……。というのは、プレイされた方がご存知の通りです
■「ノーバディについているシンボルマークは、野村さんがデザインされた?」
- そうです。あのデザインコンセプトは、『欠けた心』。一方、ハートレスのマークのコンセプトは『棘の心』。対極のイメージにしている
■「13機関がノーバディであるということは、彼らのハートレスもどこかにいる?」
- おそらくどこかにいるでしょうが、大したハートレスでないと思う。人間の形をしたハートレスはゼアノートぐらいだった
■「アクセルは『FF7 アドベントチルドレン』のレノと声優も同じで、見たメモイメージが近いが、意識して?」
- 自分の中では、レノと近い存在、同じコンセプトで作っているが、別人。二人は違う人物だが、意識的に似せている。全く異なるキャラクターだけど、とても似ているキャラクターが、別々の世界で違う役として登場したらどうなんるかというのを試してみたかった
■「ソラとロクサスが戦うイベントがあるが、野村さんは実際に戦わせようとは思わなかった?」
- 本当はバトルにする予定だったが、時間の問題でイベントに差し替えた。13機関クラスのボスを作るのはとても時間がかかってしまう。本当はロクサスとのバトルで構想していた仕掛けがあったが、実際に凝った作りにしようとしたので、実現出来なかった。
■「『FFキャラクター』を出す基準はあるのか?」
- 基本的にリクエストの多いキャラクターを選んでいる。『KH』では役があって、そこに当てはめていったが、『KH2』でそうしたのはトワイライトタウンのキャラクターだけ。アーロンやユ・リ・パ達はリクエスト
■「ユ・リ・パを妖精のように小さくして出したのは、どなたのアイデア?」
- あれは僕のアイデア
- 等身大であの3人を出すと、画面がうるさくなってしまうかなと思った。それでコンパクトにまとめることで、女の子が3人集まるにぎやかな感じを出しつつ、キャラクターが強調されるかなと
- 実年齢で出すと、3人だけ浮いてしまいそうな気もした
■「3人(ユ・リ・パ)の羽のデザインも変えてありますね」
- はい。ユウナの髪飾りが羽になっていというのは、多少、無理があったかもしれませんが(笑)
■「クラウドとセフィロスが戦うシーンは、『FF7AC(アドベントチルドレン)』を彷彿とさせます」
- あのシーンを担当したスタッフに『FF7AC』を研究してもらった
- 『KH2』のスタッフは『FF7AC』を見て「がんばろう」と思ったようです。もちろん、その逆もあった。特に野末(『KH2』のムービーディレクター「野末志氏」)は『KH2』を見て「悔しい」と言っていた(笑)。
- その反動が『Passion』とともに流れるオープニングムービーの質の高さにつながったのだと思う
■「終盤のバトルで、急にあるキャラクター(リク)が操作できるようになりますが、あれは驚きました」
- 僕も驚いた
- あのバトルを企画した者のサプライズ
- 「あのキャラクターを操作したい」という要望に応えたんでしょう
- チェックのためにプレイしたら、急に操作が切り替わって焦った(笑)
■「リクはかなり筋肉質なイメージですね」
- 前から筋肉質と言われていたので、いまさら細くするのもおかしいですし(笑)
■「ソラたちの成長した姿を描くのは苦労した?」
- ソラはすぐに描けたが、リクは苦労した。最後の最後、流石に描かないといけない、という段階まで描かなかった
- カイリもずっと制服姿しか描いていなかった。だからパッケージのイラストは制服
■「終盤にソラでないキャラクター(カイリ)がキーブレードを持つ場面がありますが、そのキャラクターも勇者の資質があるということ?」
- どうでしょうね? キーブレードに関しては、まだ出ていない設定が沢山ある。そこに絡んでいるので、具体的には言えない。あのシーンが何かを暗示しているのは確か
■「裏アンセムレポートにも、キーブレードには『過去に混沌と反映をもたらした』とありますが、それもキーブレードの設定のひとつ?」
- そうですね
- キーブレードには謎が多い。
- 誰が何のために作ったのかという疑問もありますし、シグバールもソラに「いままでのやつらに比べて、随分とお粗末だ」と思わせぶりなことを言っている。
- キーブレードに関しては答えづらい(笑)。
■「シークレットムービーの内容も、同様にキーブレードに関わってきますね」
- そうですね
- あそこに出てくる人達は、顔を隠しておきたかった
■「ということは、プレイヤーが知る人物?」
- まだ顔を描いていないだけ(笑)。
- 『KH-ファイナル ミックス-』のシークレットムービーの様に黒いフードで隠すわけにもいかないし。フードの色を変えればという邪念も浮かんだが(笑)。それはよくないと鎧にした
- 僕が最初に雰囲気だけ描いて、後はスタッフに任せたが、鎧は『FF12』のジャッジがいるので、ヒーローっぽいデザインにしてみた
■「あのシーンはソラたちのいる時代より過去? 未来?」
- どうでしょうね(笑)。
- いつの時代なのかは言えないですけれど、ちゃんと考がある
■「今回、シークレットムービーを見る条件、ジミニーメモのコンプリートが難しくなっていますね」
- 開発終盤までは簡単に見られるようになっていた
- 当初はプラウドはクリアーするだけ、ノーマルも全ワールドクリアーすれば見られて、イージーがジミニーメモのコンプリートという条件
- これですぐに見られてしまうので、もっとやり込んでほしいという思いを込めて変えた
■「そのジミニーメモのアルバムには、ソラの手書きコメントがありますね」
- あれは僕が書いている
- ある時、企画とメニューの担当者が気まずそうに来た。「アルバムに手書きのコメントを入れたい」と言うから、「いいんじゃない」と答えた。そうしたら、「そこでお願いがあって……書いてください」と(笑)。
■「コメントの内容はどなたが考えている?」
- 中身は企画の者が、3つのプランを用意してきて、それを混ぜながら書いた
- 時間があるときに少しずつ書いてたが、意外とたくさんあって……
- 「書き終わったー」と思ったら、「つぎのコメントができました」と、また持ってきて。それを何度も繰り返し
- なるべく間違えないようにしたが、失敗してもソラだったら……と考えて、そのままごまかしつつ書いたりもした
■「ジミニーメモは本当に盛りだくさんですよね」
- メニュー担当が企画志望のスタッフだったので、そのあたりのこだわりは凄い
- 攻略法まで書かれているというのは、そうそうない
■「スタッフのこだわりが作り上げた作品ですね」
- 皆本当に頑張った。
- 『KH』が好きなんですよね。『KH』を作りたくてこの会社に入ったというスタッフもいます。
- 『KH2』の制作が終わったのでチームは解散になるが、渋るスタッフも大勢いる。「いつか、続編を作るときがきたら必ず関わりたいので、このままスタッフとして残りたい」と言うんですよね
■「スタッフの声もあるようですが、『KH』の続編は?」
- 『KH』、『KH -ファイナル ミックス-』、『KHチェンイン オブ メモリーズ』、『KH2』……と、ここ数年ずっと『KH』につきっきりだったので、少しお休みをいただいて、違う作品を作ろうかと思っている
■「ファンの中には『KH2』の『ファイナル ミックス』を持っている人もいると思うのですが」
- 最初に『KH -ファイナル ミックス』-をプレイして、英語版が自分の『KH』だという方も大勢いるので、何か考えたと思っている。ただ、ファンの声次第とは言えない。スケジュール的な問題
■「野村さんの次回作は『KH』とは別の作品で動いているということでしょうか。」
- そうです。ただし、発売には数年かかると思う
- かといって『KH2』の『ファイナル ミックス』は、そのあとに出るとも言えない
- もともと今回は、『ファイナル ミックス』を作らないつもりだった。最初から英語ボイスも入れようと思っていたが、容量的に入らないと判明して……
- 仮に『ファイナル ミックス』があるとしても、「容量ないですよ」とスタッフに言われている(苦笑)。
■「今年の活動状況はいかがですか?」
- 種まきのはずだったが、実りのあるものも出てくるかもしれない
- 『KH2』が完成したのに、手掛けているタイトルの数は減るどころか増えている
- ただ、これからはほかのスタッフをディレクターに立てていくことになるでしょうね
- キャラクターデザインも任せたいと思っているスタッフが何人かいるんですけど、作風による部分もあるので、難しい
■「若いスタッフも増えているんですね。」
- 『KH2』が完成したときに、スタッフの何人かが「いままで言えなかったんですが、中学生のころからファンでした」と言ってきた。「僕が『FF7』を作っていたころに中学生!?」と、これには驚いた(笑)。
■「野村さんにとって『KH』という作品はどういった位置づけなのでしょう?」
- 自分が作りたかったゲームはこれだ、と言える作品。作ると燃え尽きてしまのですが(笑)。
■「最後にいまプレイしているユーザーや、これから遊ぶユーザーにメッセージをお願いします。」
- いま遊んでいる方は、ゆっくりと楽しんでいるのだと思います。『KH』はやり尽くすところに楽しさがあるゲームなので、そのままのペースで遊んでもらいたいですね。いろいろなところに遊びが詰め込まれているので、それを体験せずにやめてしまうのはもったいないと思います。それから、ディズニーのワールドへは、友達の家に訪ねるような感覚で、いろいろなキャラクターに会いに行ってもらいたいですね。すでに遊んでくれた方も、かつて巡ったわワールドをまた尋ねてみてください。何か発見があると思います