アマゾン・アソシエイトがうまく働いてくれないので、今回は写真なしで行きたいと思います。
この作品は、さすがに巨匠クリスティのものだけあって、文庫だけでも版がいくつもあるようですが、これから読むなら「クリスティ文庫」版が絶対オススメ。なぜなら解説が絶品だからです。1冊で二度おいしいというわけです。
スリーピング・マーダーは記憶の中の殺人を題材とした作品で、ミス・マープルの最後の事件としても有名です。
ある日偶然買った家なはずなのに、なぜか既視感にとらわれる若妻の記憶と過去をめぐって、若い夫婦が調査を進めるというのが話の主筋になり、ミステリーとしてだけではなく(むしろミステリーとしては凡庸だともいえる)、心理的なホラーの要素もふんだんに取り入れられています。ミス・マープルものとは言うものの、マープル自身がそれほど前面に出てきている感じではないのですが、それでも抑えるところは抑えてあるのが、さすがに名探偵です。
イギリスの風俗がいまいちよくわからないので「イギリス人はみんな家に○○荘という名前をつけるものなのか?」とか「友達の友達の友達が近くに行くからお茶に招待してあげて」とか、ところどころ、感覚的にわからない部分もありますが、イギリスの田舎の風景とかを想像しながら読むとそれだけでも味わい深いです。
ところで、今回再読してみるまで、ミス・マープルは背中がちょっと曲がった小さなおばあさんだと思い込んでいたのですが、実際には背が高く、背筋が伸びているとの記述がありました。ちょっと意外です(というか、背が高くてしゃんとしているおばあさん相手だと聞き込みの相手(店員さんとか)ちょっと緊張してしまう気がするんですが、そんなことはないのかな?)