じゃあ、陳情メールを出しまくれば何とかなるの?


わかりません。未来は予測出来ません。ですが、比較的蓋然性の高い予想を紹介することは出来ます。






国際スケート連盟に嘆願メールを送りつけたら、何とかなりますか?


国際スケート連盟は日本スケート連盟からの要請が無い限り、理事会も総会も開きません。






日本スケート連盟に嘆願メールを送りつけたら、連盟は動くでしょうか?


代表選手選出は今週末(※作成時2005年12月末)です。スケジュール上ももう無理でしょう。






文部科学省やJOCに嘆願メールを出したら、何とかなりますか?


文部科学省に出来るのは、助成金削減などをチラつかせて脅しをかけるくらいのことですが、文部科学省がそこまで浅田選手の問題を深刻なものと考えている節はありません。
JOCは日本スケート連盟からの要請が無い限り動かないと言っています。






これがアメリカなら、メディア総動員で国際スケート連盟に圧力をかけてもらえるのに!


アメリカの世論がフィギュアスケートに対して奇妙な影響力を持っているのは、アメリカがアイスショーのメッカであり、そこから上がる収益がフィギュアスケート選手の強化にも役立っているからです。(アマチュアのフィギュアスケート選手もオフシーズンにはアイスショーに出ています)

一方、日本ではフィギュアスケートはマイナースポーツです(その日本に現在これだけの陣容が揃っているのは、皆さんの嫌いな城田さんの手腕による部分が大きいと言えます)。産業としてのフィギュアスケートにとっては大した市場では無い日本の世論を国際スケート連盟が気にかけるとは思えません。






真央は出るチャンスさえ無いじゃないか


オリンピックは4年に1度しか開催されない為に、選手生活のどのタイミングでオリンピックが開催されるかには、運が大きく影響します。もしも浅田選手の力のピークが現在だったとしたら、浅田選手にも運が無かったということです。

浅田選手の特例出場を嘆願した場合のリスクとリターンについては、「駄目もとで嘆願書を出すくらい、やってくれても良いじゃないか!」の項で。






しかし、今が真央の全盛期だとしたら、オリンピックに出られないのは可哀想だよ!


まったくその通りです。ですが、浅田選手の今後の成長がどのようなものになるかは、未確定です。そのような可能性は、特例措置を認める根拠にはなりません。
例えば、浅田選手が不治の病に犯されていて余命いくばくもないというのであれば、敢えて特例措置を願い出る理由になるかもしれませんが。


実際に浅田選手の力のピークが現在だったとしたら、それはフィギュアスケートという競技とオリンピックという特殊な競技会の関わりにおいて常に問題となる、「最高の実力者が必ずオリンピックの金メダルを取るわけではない」という、比較的ありふれた悲劇の例に新しいものがまた一つ付け加わるだけでしょう。
残念ですが、それもまたオリンピックという競技会の価値の一部です。


過去、伊藤みどり選手、エルヴィス・ストイコ選手、トッド・エルドリッジ選手、マリア・ブッテルスカヤ選手など、幾多の歴史的な名選手がオリンピックの金メダルと無縁なままに競技生活を終えましたし、現役選手では、ミシェル・クワン選手、イリーナ・スルツカヤ選手、エフゲニー・プルシェンコ選手などは、誰もが認める超一流の選手が選手としてのピークの時期にオリンピックに挑みながら、金メダルを取れなかったのです。

だからこそオリンピックの場は特別なものとなり、鬼気迫る伝説の名演が生まれるのかもしれません。






フィギュアヲタの言い分はわかったけれど、俺は納得いかない


理解していただけなくて残念です。ただ、これに懲りずに今後もフィギュアスケートを見続けていって欲しいものです。
そうすれば、いつかヲタの意見が理解出来るかもしれません。付け加えるならば、国際スケート連盟というのは基本的にはヲタに近い価値観を持っておりますから、よほどの事が無い限り、彼らを動かすことは出来ません。






この悔しさをどこにぶつけたら良いんだ!


くれぐれも日本スケート連盟に脅迫状を送りつけたり、ネットに愚劣な犯行予告を書き込まないようにお願いします。情熱はより建設的な方向に使いましょう。
例えば、一律の年齢制限に替わる、フィギュアスケートという競技の発展をより合理的に実現しうる代替案を議論してみるというのはどうでしょうか? 
現在の年齢制限は、ジュニア選手の心身の健康を守るという目的に対し、一定の効果を持っている制度ですが、これが最善の制度というわけではありません。現在の制度に不備があると考えるならば、その不備を克服しうるより良い制度を考えて、日本スケート連盟に提案することこそ、大事なのではありませんか?








最終更新:2007年04月14日 03:55