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年齢制限の規定」(2007/04/26 (木) 23:14:46) の最新版変更点

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**何故、浅田選手はトリノ・オリンピックに出られないの? 国際スケート連盟の規定として、オリンピックに出場するには、オリンピックの前の年の7月1日までに15歳になっている必要があるからです。 **何故、そんな規定があるんですか? これにはフィギュアスケート界独特の事情が関係しています。ご存じのように、日本ではフィギュアスケートはマイナーなスポーツです。 しかしアメリカ合衆国では、アイスショーと呼ばれるフィギュアスケートの興行が極めて盛んで、アイスショーの人気者は結構な金額を稼ぐのです 。(一方、アマチュアのフィギュアスケート選手は、ごく一部のトップ選手を除くと、決して経済的に恵まれている人々ではありません) そして、アイスショーで人気者になる一つの道として、オリンピックや世界選手権という最高レベルの競技会で名前を売るというものがあるのです。 さらにつけ加えておくと、アイスショーとアマチュアの競技会では、要求される技術の難易度やプログラムを滑る為に必要な体力という点で、大きな差があります。楽なのはアイスショーです。 ですから、選手や選手の家族の中には、オリンピックや世界選手権をさっさと勝ってプロに転向してしまった方が良いな、と思う人も出てくるわけです。こうした風潮を象徴するのが、長野オリンピックで優勝したタラ・リピンスキー選手でした。彼女は今回の浅田選手と同じように特例で世界選手権に出場して優勝したのですが、続くシーズンの長野オリンピックで優勝するとさっさとプロになってしまったのです。   こうした風潮に歯止めをかけるために設けられたのが、フィギュアスケート独自の年齢制限です。 &color(red){日本スケート連盟もこの決定に賛成しています。} **でも、プロになるかどうかは個人の自由でしょ? その通りです。しかし、14歳や15歳で最高レベルの競技会に勝つ為には、桁外れの才能に加えて幼い頃からの鍛錬が求められます。そうした時期の子供たちが、親や周囲の要求に毅然として対応し、自らの心身の健康を守る為の主体性を維持出来る可能性はさほど大きくありません。もちろん浅田選手のように、滑る事を楽しんでいるうちにとてつもないレベルに達してしまったという例もあるでしょうが、親や周囲の大人がアイスショーでの収入やマスメディア露出に伴う収入目当てで子供に厳しい訓練を課してしまうおそれもあります。 国際スケート連盟の年齢制限規定には、こういった状況を未然に防ぐという意味合いもあります。 **それで、浅田選手はトリノに出てはいけないの? 浅田選手がトリノ・オリンピックに出れば表彰台争いをする可能性は非常に高く、金メダルの可能性も無いとは言い切れません。浅田選手個人について言えば、年齢による出場制限は合理的根拠を持ちません。しかし、フィギュアスケートという競技全体を考えると、浅田選手の特例を認めないことには合理的な根拠があります。というのは、 &color(red){たしかに浅田選手は色々な意味で規格外の選手であり、トリノ・オリンピックに出たからといって競技寿命を縮める可能性はさほど大きくありませんけれども、あるジュニア選手がそういった桁外れの天才なのか、あるいは異常な早期教育を施されたいびつな選手なのかを判定する合理的な基準が設定できない以上、ここで浅田選手の特例を認めると、心身に過大な負担をかけて育成された選手であっても、グランプリ・シリーズで浅田選手と同等の成績を上げたならば、オリンピックや世界選手権に出さざるを得なくなるからです。} 将来的に、例えば複数のスポーツ医学の専門家による診断書があれば年齢制限を解除出来るようにするなど、より合理的な制度が考案される可能性はありますが、そういった方策が未だ具体的な議論の場に出てきていない段階で、超法規的に浅田選手の出場を認めることは、&color(red){将来に禍根を残す}のではないでしょうか。 別の言い方をすると、&color(red){フィギュアスケート競技におけるジュニア選手の心身の保護を、現在の年齢制限よりもより合理的に実現出来る対案が提出されない限り、年齢制限を解除することのリスクは、それによって得られるメリットより大きいという事です。}            **じゃあ、何でグランプリ・シリーズやグランプリ・ファイナルは年齢制限が緩いの? はっきりした理由はわかりません。オリンピックや世界選手権に較べると、競技会のレベルや知名度が明らかに落ちる為、グランプリ・シリーズやグランプリ・ファイナルを勝った程度では、プロに転向しても人気者になれる可能性が低いからかもしれません。 たしかにグランプリ・シリーズとオリンピックや世界選手権で、年齢制限が異なっていることは、今回のような混乱を引き起こしかねないので、将来的には規定変更の議論も出てくるでしょう。 &color(red){しかしそれはあくまでも、次のシーズン以降どうするかという議論であり、今シーズンは既に連盟としてルールに合意している以上、シーズン途中での規定変更はあり得ません。}
**何故、浅田選手はトリノ・オリンピックに出られないの? 国際スケート連盟の規定として、オリンピックに出場するには、オリンピックの前の年の7月1日までに15歳になっている必要があるからです。 **何故、そんな規定があるんですか? これにはフィギュアスケート界独特の事情が関係しています。ご存じのように、日本ではフィギュアスケートはマイナーなスポーツです。 しかしアメリカ合衆国では、アイスショーと呼ばれるフィギュアスケートの興行が極めて盛んで、アイスショーの人気者は結構な金額を稼ぐのです 。(一方、アマチュアのフィギュアスケート選手は、ごく一部のトップ選手を除くと、決して経済的に恵まれている人々ではありません) そして、アイスショーで人気者になる一つの道として、オリンピックや世界選手権という最高レベルの競技会で名前を売るというものがあるのです。 さらにつけ加えておくと、アイスショーとアマチュアの競技会では、要求される技術の難易度やプログラムを滑る為に必要な体力という点で、大きな差があります。楽なのはアイスショーです。 ですから、選手や選手の家族の中には、オリンピックや世界選手権をさっさと勝ってプロに転向してしまった方が良いな、と思う人も出てくるわけです。こうした風潮を象徴するのが、長野オリンピックで優勝したタラ・リピンスキー選手でした。彼女は今回の浅田選手と同じように特例で世界選手権に出場して優勝したのですが、続くシーズンの長野オリンピックで優勝するとさっさとプロになってしまったのです。   こうした風潮に歯止めをかけるために設けられたのが、フィギュアスケート独自の年齢制限です。 &color(red){日本スケート連盟もこの決定に賛成しています。} **でも、プロになるかどうかは個人の自由でしょ? その通りです。しかし、14歳や15歳で最高レベルの競技会に勝つ為には、桁外れの才能に加えて幼い頃からの鍛錬が求められます。そうした時期の子供たちが、親や周囲の要求に毅然として対応し、自らの心身の健康を守る為の主体性を維持出来る可能性はさほど大きくありません。もちろん浅田選手のように、滑る事を楽しんでいるうちにとてつもないレベルに達してしまったという例もあるでしょうが、親や周囲の大人がアイスショーでの収入やマスメディア露出に伴う収入目当てで子供に厳しい訓練を課してしまうおそれもあります。 国際スケート連盟の年齢制限規定には、こういった状況を未然に防ぐという意味合いもあります。 **それで、浅田選手はトリノに出てはいけないの? 浅田選手がトリノ・オリンピックに出れば表彰台争いをする可能性もありますし、金メダルの可能性も無いとは言い切れません。浅田選手個人について言えば、年齢による出場制限は合理的根拠を持ちません。しかし、フィギュアスケートという競技全体を考えると、浅田選手の特例を認めないことには合理的な根拠があります。というのは、 &color(red){たしかに浅田選手は色々な意味で規格外の選手であり、トリノ・オリンピックに出たからといって競技寿命を縮める可能性はさほど大きくありませんけれども、あるジュニア選手がそういった桁外れの天才なのか、あるいは異常な早期教育を施されたいびつな選手なのかを判定する合理的な基準が設定できない以上、ここで浅田選手の特例を認めると、心身に過大な負担をかけて育成された選手であっても、グランプリ・シリーズで浅田選手と同等の成績を上げたならば、オリンピックや世界選手権に出さざるを得なくなるからです。} 将来的に、例えば複数のスポーツ医学の専門家による診断書があれば年齢制限を解除出来るようにするなど、より合理的な制度が考案される可能性はありますが、そういった方策が未だ具体的な議論の場に出てきていない段階で、超法規的に浅田選手の出場を認めることは、&color(red){将来に禍根を残す}のではないでしょうか。 別の言い方をすると、&color(red){フィギュアスケート競技におけるジュニア選手の心身の保護を、現在の年齢制限よりもより合理的に実現出来る対案が提出されない限り、年齢制限を解除することのリスクは、それによって得られるメリットより大きいという事です。}            **じゃあ、何でグランプリ・シリーズやグランプリ・ファイナルは年齢制限が緩いの? はっきりした理由はわかりません。オリンピックや世界選手権に較べると、競技会のレベルや知名度が明らかに落ちる為、グランプリ・シリーズやグランプリ・ファイナルを勝った程度では、プロに転向しても人気者になれる可能性が低いからかもしれません。 たしかにグランプリ・シリーズとオリンピックや世界選手権で、年齢制限が異なっていることは、今回のような混乱を引き起こしかねないので、将来的には規定変更の議論も出てくるでしょう。 &color(red){しかしそれはあくまでも、次のシーズン以降どうするかという議論であり、今シーズンは既に連盟としてルールに合意している以上、シーズン途中での規定変更はあり得ません。}

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