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妖精ハンター 折口牧夫のフィールド・ノートその1
「えすに様」
私が恵栖二市に研究に行ったところそこでは「えすに様」とよばれる奇妙な風習があった。
子供のひとりが「えすに様」になり、3メートル(約10フィート)ほどの棒をもって床や壁を叩き
「ここに罠はないかー」
と叫ぶのだ。
そうすることによってムラにやってくる災厄を防いでいたのだという。
「ああ、えすに様ねえ・・・昔は子供ではなくて、”えすにん”がやっておってね」
「”えすにん”?」
「まあ、キ*ガイのことだね」
子供が「えすに様」になるのは、70年代以降のことだったらしい。
長老に話を聞いた私は、そのあとで「えすに様」をやった子供に話を聞いた。
「えすに様? あんなのウソだよ。つまんない行事だよな」
その晩、棒を手にした青年が町内の床や壁を叩きながら
「ここにキャリオンクロウラーが隠れてるぞ!!みんな戦えよ!!!」
と叫んでいたが、すぐに取り押さえられて連れ去られた。
たぶん、昔なら彼が”えすにん”だったのだろう。
私は薄気味悪く思いながら東京に戻り直後に、恵栖二市を大規模な地震が襲ったことを知ったのだった(終)
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