Royal Guard

フリージア

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作者 ガズアル


フリージア



カバリア島では毎日ドリルの音が響いていました。
フリージアチケットを100枚掘り当てると、フリージアというペットが貰えるからです。
そんなドリラー達の中に、白ナース牛もいました。
牛はチケットを100枚集めると、ワクワクしながらフリージアが来るのを待っていました。

「はじめまして。ふりーじあです。ふつつかものですがよろしくおねがいします」

牛の所にやってきたのは、頭に花をつけた可愛い女の子でした。
でも、牛はフリージアの能力を見て少しがっかりしました。牛はLvが高く、もはやフリージアは足手まといだったのです。
それでも牛はフリージアをつれて歩きました。
メガロポリス、学園、海、雪山。どこかに行くたびにフリージアは目を輝かせ、嬉しそうに絵日記をつけているのでした。
牛はそんな姿を見ているのが幸せでした。

でも、ある日からフリージアは少し様子がおかしくなりました。
笑顔はいつもどおり。でも時々、悲しそうな顔をするのです。

「どうかしたのかい?」
「え?ううん?なんでもないよごしゅじんさま」

そんな様子が続いたある日。

「やったぁ!うまれた!」
「ナヌ」
「あ、や、なんでもないよ?」

なにやら聞き捨てならない事を言うと、フリージアは嬉しそうにクルクルと踊っていました。
牛は気になりましたが、普段「腐」な会話に慣れていたので、それ以上は追求しませんでした。
次の日。フリージアは珍しく牛に「お城いきたいな」とねだりました。牛は少し驚いてから、「いこうか」と笑いました。
途中で何度も気絶しましたが、お城にたどり着き、テラスにのぼりました。
フリージアはずっと眩しそうに遠くを眺めていましたが、牛の手を取るとこう言いました。

「これ、あげる。ふりーじあのたからもの」
「? ああ、ありがとうな」

牛に何かを手渡すと、フリージアはぱたり、と倒れました。

「・・お、おい!どうしたんだよ」
「ごめんね・・もう、いっしょに、いられないみたい・・・」

フリージアは今。何と言ったんだろう。
牛には分かりませんでした。だって、今日だってあんなに笑っていたじゃないか。

「ごめんね。それ、わたしのきゅうこんなの・・・わたしのやくめはおしまい。だから」

「だからって何だよ!
だって、だってさ・・・今日もこれから皆とネタやってさ・・お喋りしてさ・・・それで膝の上でお前が踊っててさ。
ほら、いつも通りのはずだ・・・なのに役目って何だよ!そんなんでお前が・・そんな・・どうかしてたまるかよ!
な、この子ってそうなんだろ?家族が増えるんだろ?いいじゃないか・・3人で学園にいこう、な、楽しみだな、フリージア・・・」

フリージアは辛そうに牛の顔を見ると言いました。

「かなしそうなかおしないで・・・ねぇ、おねがい。いつものあれ、やって・・・?」
「・・・・・」
「おねがい・・・」
「・・・・・・・フォーーーーーーーー!」

牛はいつもの持ちネタをやりました。力いっぱいやりました。
それを見るとフリージアはにっこりと笑って、

「ありがとう。いっしょにいられて、よかった」

それきり動かなくなりました。

フリージアにとっての幸せは、牛と一緒にいた事。
牛はいつまでもフリージアを抱きしめていました。


今でも牛はフリージアが描いていた日記を大切に持っています。
そして傍らの新しい命とともに、今日も仲間達とカバリア島でネタをしています。




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