Royal Guard

フレンチメイドの恋物語~第01話~

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匿名ユーザー

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いつものようにアクアリースへと行くため、僕はゴーストブルー入口へと来ていた。
今はイベントシーズンなので何かとアクアリースへ足を運ぶ人が多い。
だが、今日はその人の多さが異常だった。
ゴーストブルー入口には人が溢れかえっており、正直転送ゲートや転送NPCを探すことが物凄く困難だった。
「むぅ・・・」
いつもの口癖が思わず出てしまう。
今日はアクアリースで待ち合わせをしているのでなるべく早く向かいたいのだが・・・。
「あ!レヴィさんっ!!」
物思いに耽っている僕に声をかけてくる人がいる。
その人は・・・。
「やはり、ELVANさんでしたか。おはようございます」
とりあえずアクアリースへ行く手間が省けた。
僕はアクアリースでELVANさん(以後ELさん)と待ち合わせをしていたのだ。
正直人混みが苦手なので少し人が少ない位置へ移動して座り込む。
ELさんも同じように隣に座り込む。
「よかったです、入口で待っていれば会えると思っていました。うわぁ、大変な事になってますねぇ・・・」
人混みのほうを見ながらELさんが呟く。
「そういえば、あの人混みは何なんでしょうか?」
今来たばかりの僕は何もわからない状態だったのでELさんに聞くことにした。
「え?レヴィさんは知らないんですか?」
こんなに騒いでいるというのにマイペースだなぁ、と呆れている。
仕方がないじゃないか、こういう性格なんですから・・・。
「えぇとですねぇ・・・フレンチメイドさんが居なくなったんですよ」
ELさんの言葉に、さほど驚くことは無かった。
あぁ、だからみんな転送してもらえなくてこんなに溜まっているんだなぁ、とその程度。
「ふむ・・・。大変ですね」
そんないつもの言葉しか出てこなかった。
「レヴィさんは大物ですね」
すごいなぁ、などと感心しているELさん。
何がすごいのかはさっぱり判らないがまぁそれは置いておこう。
「でも、いいんですか?」
ELさんが不意にそんな言葉を投げかけてくる。
「・・・何がですか?」
本当に心当たりが無いのでこちらが再び質問する形になる。
「あ・・・いや、レヴィさんっていつもフレンチメイドさん達に挨拶とかして、可愛がっていたように感じたから・・・」
そんなELさんの顔にはちょっとした嫉妬のような物が浮かんでいた。
どこか、胸の奥がくすぐったいような感じになる。
「あれは、最低限のマナーのようなものですよ。相手の感情があるなしに関わらず、感謝の気持ちを言葉にすることは大切なことです」
少しだけELさんに近寄り、頭を撫でる。
少しびっくりしたように僕を見上げ、嬉しそうに笑うELさん。
「そっか。ならよかったです」
こてん、と僕の肩に体重を預けてくるELさん。
気持ちよさそうに目を細め、嬉しそうに鼻歌を歌っていた。
それを聞きながら、ゆっくりとELさんの頭を撫で続けることにした。
辺りの喧騒から少しだけ離れたこの場所は、まるで隔離された別世界のように感じた・・・。


しばらくそんな静かな時間を過ごした後、僕らはカバリア遺跡へと足を運んだ。
特に目的があったわけではない。
人混みが嫌いな僕が、イベント期間という憂鬱な時間をゆっくりと過ごしたい、そんな理由で比較的人が少ないこのカバリア遺跡を選んだだけである。
「うぅ~~、やっぱり薄暗くてちょっと怖いです・・・」
びくびくしながら僕の後ろを付いてくるELさん。
「大丈夫ですよ。何度も来ていますが一度だって変な物は出たことありませんから」
そう言いながら後ろを振り返ろうとすると、背中に何かがつかまっている感覚があった。
「はぅはぅ・・・ご、ごめんなさい・・・」
何を謝っているのかよく判らないが、その感覚はELさんが僕の上着をちょこんとつまんでいるものだという事がわかった。
そんな仕草が可愛らしくて、胸に暖かなものがこみ上げてくる。
僕はゆっくりとその手を払う。
「え・・・?」という表情を見せるELさん。
僕は微笑んでELさんの手を握る。
「こっちの方が歩きやすいので。駄目ですか?」
突然のことにELさんは顔を赤く染める。
「だっ!駄目じゃないですっ!!こっちの方が断然いいですっ!!」
声が裏返ってますよ、ELさん。
「なら、このまま行きましょうか」
優しく手を握ると、ELさんがかなり強めに手を握り返してきた。
「そんなに強く握らなくても、離したりしませんよ」
僕の台詞でおもいっきり手を握っていることに初めて気がついたようで、あわてて手を離し言い訳を始める。
「あうぅ!!ち、ちがうんですっ!いまのはえと・・・その・・・」
別に言い訳なんてしないでも、怒っているわけじゃないんですけれどねぇ?
「あ・・・・」
ELさんが悲しげな声を出す。
何があったのかとELさんを見てみると、離してしまった手を残念そうに見ていた。
何度か僕の手と自分の手を交互に眺め、溜息をついた。
僕はELさんに一歩近づき、再度手を取った。
「さぁ、早くいきましょう。日が暮れてしまいます」
ELさんは初めは驚き、次に耳まで真っ赤になって、最後に嬉しそうに笑った。
「はいっ!早くいきましょう!!」
ふむ・・・、やっぱりELさんは可愛いな・・・。
手の温もりを感じながらそんな風に思った。


結局怖い怖いと言いながらも最深部まで潜り込み、トムベスまで退治してしまった。
正直僕よりELさんの方が強いのは問題があるのではないだろうか?
そんことをふと漏らすと、
「いつか私を守れるようになってくださいね☆」
といって微笑まれた。
僕たちはカバリア遺跡入口まで戻り、手にした太陽の紋章を眺めながらしばらく談笑した。
ふと気がつくともうすぐ夕暮れの時間。
今日はELさんが夜に用事があるそうなのでここまでだ。
「さて、丁度良いのでここらでお開きにしましょうか」
そういって僕が立ち上がってもELさんは立ち上がろうとはしなかった。
「どうしたんですか?」
すこし屈み、覗き込むような姿勢になる。
「・・・今日の予定、キャンセルしちゃおうかなぁ?」
目を伏せて、そんなことをつぶやき始めるELさん。
「どうしたんですか?いきなりそんなことを言うなんて、相手にも失礼ですよ?何かありましたか?」
そんなELさんの無責任な言葉に少しだけ口調が荒くなっていたのかもしれない。
僕の発言に泣きそうになりながらELさんはぽつぽつと答えた。
「だ・・・だってぇ、レヴィさんと離れたくないんだもん・・・。もっと一緒に・・・いたいんだもん・・・」
そう言われてはっとなる。
少し酷いことを言ってしまったかもしれない、と。
「今日、これだけ長いこと一緒に居たら・・・もっと、もっともっと一緒にいたくなっちゃってそれなのに・・・」
ELさんの言葉を遮るように優しく抱きしめた。
「すみませんでした。僕も少し言い過ぎました。一緒にいたいのは僕も一緒ですよ?だから、明日も会いましょう。明日も、明後日も。予定が無い日は毎日。だから――――」
「でもでもっ!!」
そういって僕の言葉を遮るようにして言葉を発するELさん。
その顔が、僕を見つめた瞬間――――操られるようにELさんにキスをしていた。
「―――――っ!!!!」
ほんの少し触れるだけの、優しくて、ちょっとだけ物足りないキス。
その行動にELさんは顔を真っ赤にして立ち上がる。
「あああああの、あの・・・きょ、今日は楽しかったです!!ま、また明日!!メールおくりますぅぅ~~~!!!」
そういって丁寧に一度だけお辞儀をして足早に立ち去っていった。
「・・・むぅ、やりすぎてしまいましたかね・・・?」
少しだけ熱くなった頬に手を当てながらつぶやく。
ひんやりとした夜の空気が心地よかった。
ふと空を見上げると、もう一番星が輝いていた。
明日もいい日でありますように――――そんなことを一番星に祈っている僕がいた。
その時、隣に人の気配を感じた。
「本当に綺麗な星ですね。あ、隣、空いてますか?」
そういって僕の隣に現れたのは――――フレンチメイドだった。






  • 職場からうp
    今度は気がつかないだろぅ?
    ん?仕事?なにそれ? -- どら (2006-10-31 16:23:17)
  • これは素敵なねつねつカップルですね -- 熱 (2006-11-01 07:26:06)
  • EL仔はあたしのなのにぃぃぃヽ(`Д´)ノ -- 華 (2006-11-05 01:19:20)
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