Royal Guard
第12話 ジュジュの子守唄
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ねーむれーよねむれーははのうでーにちちのむねーに。
って。これだとガラガラ効果で眠るじゃないか。
寝ちゃダメなんだってば。
「…であるからして、この相転移エンジンは、真空をより密度の高い真空に変えることでエネルギーを……」
テンレン先生が授業を進めている中、私はスイマーと格闘していた。
スイマー「寝ちゃえよ。ガズエル」
える「だ、だめだよっ。テンレン先生の授業ちゃんと聞かないとかわいそうだよっ。ただでさえ教室の80%は寝てるんだから!」
スイマー「状況説明乙」
える「…このすく水女むかつくーーっ」
スイマー「すく水言うな。競水だっ」
える「そんなの見た目同じジャン」
スイマー「ばっか! スク水はご自愛用で競水は競泳用の水着であって使われる用途が…」
私はスイマーが競水について語り始めたあたりでいいことをおもいついた。
題して『目の前に垂れ下がっている縄を使ってスイマーを追い払おう作戦』略して、MMR。
やりかたは簡単。なぜかさきほどからエルの正面にあるこの黒い縄を我が左腕に巻きつけます。
ただし、あまりひっぱりすぎないように注意してください。
この縄はあまり長くないので、肘を立ててる状態でぎりぎりピンと張る感じなので、もし、エルが寝ちゃって肘を立ててる状態がくずれたら…。
「んで、この相転移エンジンをさらに発展させたのがこのブラックホールエンジンで…っと、ちなみに。ハッテン場は関係ないのであしからず」
………。
……。
…。
ぐき。
いい音がした。
「いったああぁぁぁっぁぁぁっ」
そして、女の子の悲鳴が聞こえて目がさめた。
すぐ正面でおぼちゃんが転蓮華をくらったかのように首が凶がってネジになっていた。
「どうしました? 泪月さん」
「…い、いえ…なんでもないです…ぐすっ」
テンレン先生に尋ねられて、半べそになりながらもおぼちゃんが答えた。
テンレン先生は、そうかというと説明の続きに入った。
やばっ。
私は急いで縄をほどいた。
テンレン先生が黒板に向き直るのをかくにんすると、おぼちゃんがぎぎぎっとこちらを振り向く。
その顔には、『トイレの裏に来い』と書いてあった。
懸命な諸兄にはもうおわかりであろうが、縄の正体はおぼちゃんの三つ編みだったのだ。
諸兄ってなんだ。
「で。えるさんはなんであんなことをしたのかな?かな?」
疑問譜の後のスペースを省略する独特のフレーズでおぼちゃんが尋ねてきた。
顔は笑ってるけどやたらと怖いんですけど…。
「眠かったから…つい。てへ」
ことの次第をおぼちゃんに説明すると
「それじゃあ仕方ないですね」
と言って許してくれた。
さすがおぼちゃん。話がわかる。
「なんて言うとでも思いましたか?」
わけもなく、2時間におよぶお説教をくらい、午前中の授業を強制的にボイコットさせられたのだった。