Royal Guard
第8話 すくらんぶる
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「初日から遅刻なんて、マジでやばいってカンジだよね~」
私は全力で走っていた。
もちろん、パンをくわえたまま。
理由は、転校初日だからである。
謎の転校生、しかも美少女だったら転校初日は登校路を猛ダッシュしなくてはならないのだ。
ちなみに。普段ならセーラーカラーは翻さないよう、プリーツの裾は乱れないようゆっくりと歩いていきます。
「YOYO,ねーチャン」
港をぬけるた森の途中で、ラップ口調の赤いガクランに風邪用マスクをしたにーちゃんが通せんぼをしていた。
「あんま見ねぇ顔だな…って、おい!」
どんがらがっしゃーーん。
わたしとそのガクランのにーちゃんは派手な音をして激突した。
「いったーー、なんでこんなとこでつったてるのよ!
こっちは走ってるんだからどきなさいよね!」
ツンデレ口調でおでこをさすりながら相手をみると、ぽかーんとしていた。
うわー、ハズレだ。
どうみてもただのヤンキーにしか見えません。
こんなのとフラグたってもしょうがないってば。
[>プラン変更
「じゃ、わたし急いでるんで」
立ち上がって、ほこりを払っていると、あんじょうすったらんほんましゃーらんと。
「マテヤねーちゃん。今ので足の骨が折れたやんけ。慰謝料おいてけや」
うわーーーーー。本当にこんなこというヤツいるんだーーーー。
スゴイぞ、カバリア島!
「やわな骨だね」
率直な感想を言ってあげた。
なにをどうすると今ので足が折れるのかと。
「んだとこらぁてめぇはなにもいわずにかねおいてばいいんじゃなんならからだでもいいぜまぁむねはねーけどかおはいいしなげへげへ」
ぷっちーーーん。
この脂の塊は今、自らの口で死への扉を開いた。
「闇よりもなお昏きもの。
夜よりもなお深きもの…混沌の海よ
たゆたいし存在…」
わたしが呪文詠唱に入ると、そいつは顔色を変えた。
「げええぇぇえ、もしかしてあれは…」
車田口調で叫んでいるが、最後までしゃべることは許されなかった。
わたしの呪文が完成したからだ。
そう、史上最大最悪の黒魔術、重破斬(完成版)!
「しゃわーーーおぶ、あろーーーー!!!」
なんて危ないもんができるはずもなく、お気に入りの魔術その1を解き放った。
魔力で編んだ矢が七本、頭上に現れた。
七本の魔力の矢は、ぐるぐるまわーるぐーるぐるまわーると、狙いを定め、一気に鮮やかな赤いガクランを貫き、どす黒い赤に変えていった。
おk。せんめつ。
七本すべてが命中すると、脂の塊はその場につっぷした。
本来なら、このカバリア島においては呪文の詠唱はなしで魔術を行使できるんだけど、やっぱりふいんき(なぜか変換できない)は重要だとわたしは思うわけで、そのときのノリで使い分けている。
「やめてよね。ぼくが本気になったらサイがかなうはずないだろ?」
某友人の女を寝とった主人公のセリフをあびせてあげた。
っていうか、時間!
「やばっ」
いまのでかなりロスってしまった。
キャプテン翼ばりのロスタイムだ。
「あれ、君みない顔だね。もしかして、噂の転校生かな?かな?」
近くの茂みから声がして、そちらを振り向いたら安全ヘルメットをかぶったラビットがいた。
これが、わたしと熱短の出会いだった。
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