Royal Guard

第3話 空ときみのあいだに

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匿名ユーザー

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 君がなーみだのときにはーぼくはーポプラァのえーだになーるー。
 なるな。
 ポプラの枝ってなんだろうね。
「えるぅ…ちゃんとそこにいる?」
「ここにいるよ」
 愛はまだ。
 中島みゆきはもういいってば。
 おでこのタオルを絞りなおしてのっけてあげる。
 あれから、アルの具合はどんどん悪くなっていった。
 やっぱり。船酔いの人間を横にするのはよくないらしい。
 顔色がすでに土気色になっている。
 さすがにこれは…ヤバイかも。
 船酔いって死亡フラグになったっけ?
「もしかしたら薬とかあるかもしんないから添乗員さんに聞いてくるよ」
「………うぅ」
 とりあえず唸ってるアルを放置して外にでた。
 んー…添乗員さんってどこにいるんだろう。
 RPGとかだと酒場にいるけど……うん。いってみよう。
 お気に入りのくまさんポーチから、乗船したときにかっぱらった船上MAPを取り出して、位置の確認をする。
 ここが801号室だから…酒場はっと……あ、このBARってヤツか。
 縁起わるいな。Bigの方がいいでしょ。純増96枚なんてお話になりません。
 っていうか。遠っ!
 むしろ。この船広すぎ。
 最初、こってり懸賞で当たった旅行だからショボイ客船でいくもんだと思ってたんだけど、来てみてびっくり。超豪華客船じゃあ~りませんか。
 ガンバスター1個分って微妙なうたい文句だったから、1個ってたいしたことないじゃんププッって笑ってた自分が恥ずかしい。
 ガンバスターってでかかったんだということを認識させられた一日でした。











 って。終わってどうする。
 とりあえず、薬をもらうというクエストをしてこないと。
 めんどくさいけど、あんなのでも姉だから行ってあげないと。
 な、なによ! 仕方なく行くんだからね!
 別に心配なんかしてないんだから!!
 アルなんか本当はどうなっても知ったことじゃないんだから!!!
 ズドゴオオオオォォオン!!
 どっからともなく、富野チックな効果音が聞こえてきた。
 明らかになにか爆発してる音だ。
「な、なに?! なんの音!?」
 きっと機械室でなにかトラブルかなにか起こったんだろうけど、お約束の言葉を言っておいた。
 っていうか。これって、死亡フラグだよね?
 koolに判断してる場合じゃない気もするけど。
「なんだっていうのよ!今の音!!」
「逃げろーー!」
「いやあああああああ」
 なんて考えてると、そこいらの部屋から人が飛び出してきた。
 みんな。必死すぎwwww
「きゃっ」
 なんてツッコミいれてると、逃げ惑う人に後ろから押されて、壁に激突させられた。
「痛っ」
 痛くないけど。
 人って別に痛くなくても反射的に痛いって言っちゃうよね。
 イタイのはお前の存在だよって姉にはよく教えてあげるけど。
『非常事態発生!非常事態発生!!』
 なんてわかりやすい放送が聞こえてきた。
 なんか、落ち着いて下さい。非難用のボートが用意してあるので甲板に行ってください。押さないで下さい。
 みたいなことを言っている。
 状況把握をしている間に、何人もの人がエルの目の前を必死の形相で走り去っている。
 どうしようかな…このまま甲板いってもコミケみたいに人たくさんいるんだろうなぁ。
 ならぶのめんどくさいなぁ。
 ここはあえて、逆にいって他の非難方法を探すのもオツかもしれない。
 ……うそです。ごめんなさい。
 ゲームならそうするけど。リアルでさすがにそれをやる勇気はありません。
 仕方ないけど行くか……。
 エルも小走りに行列のできるお店へ向かうことにした。

 エルの予想は裏切られた。
 甲板にでると、思いのほか人がいなかった。
 客船をかこむように小型艇がずらりとならんでおり、水兵さんが先導してスムーズに事を運んでいたからだ。
 水兵さんなんていなかったような気がするけど…っていうか、普通いないだろ。
 って疑問に思ったけど口にすると消されそうだったのでやめた。
 どういう原理でそうなっているのか。甲板のいろんなところからカタパルトみたいなのがのびていて、ずらりとならんだ箱舟チックな小型艇へとつながっている。
 これだけの船どっから集めたんだろ?
 うーむ。なぞだ。
 客船の方もさっき爆発音がしたわりにはとくに変化もないし……。
 まさか。ドッキリだったりして。
 やけに手際もいいし。
 あれ?
 そういえばさっき爆発したとき……。
「そこ!なにしてんの!!早く乗って!!」
 鈴置さんみたいな素敵ボイスが聞こえた。
「え?え??」
 と思ったら、体が宙に浮いた。
 …って、これ。お姫さま抱っこ?!
 ちょっとかっこいいお兄さんの顔が目の前まで接近する。
 うほっ。いい男!
 サングラスでよくわからなけど、多分このひとカッコイイ。
「あ、歩けるからおろしてください!」
「喋るんじゃない。舌を噛むぞ」
 通常の1.7倍くらいの速さで、周りの人をおいぬいていく。
 ちょwwwww濡れたwwwwwww
 なんてことはぜんぜん彼女も言ってない。
「あんなところでつったっていたら危ないじゃまいか」
 と言いながら、男の人はエルを開放してくれた。
「じゃ。オレ急いでいるから」
 エルを下ろすと、かわらない速さで奥へと行ってしまった。
 あの人。ぱっと見で誰かに似てると思ったら月光仮面だ。
 全身白づくめなところとか。
 ……なんだろ。この気持ち。
 なんかもやもやする……。
 あれ? そういえば…いつの間にか雨がやんでる……じゃなくて。
 なんか忘れてる気がしなくもなくもない……。
 まぁ、思い出せないならたいしたことじゃないよね。うん。
 そう自己完結すると、船は動き出していた。
 動き出すのはいいけど、どこ行く気なんだろう。この船。
 さっきまで乗っていた船がどんどん遠さかっていく。
 さらば…宇宙戦艦ヤマト。愛の戦士たち。
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